今の小竜姫は出ないで全部未来の小竜姫なので少し喋り方が違ったり、黒い所もあると思いますが、ご理解の方をよろしくお願いします
話も長くなってきているので、こういう補足とかもあっても良いかなあと思ったので、それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
別件リポート 竜の姫と未来視の魔王
私は老師に頼み込んで仙術で一時的に現在の身体を借りて人間界に来ていたのですが……
(う、動きにくい……)
自分の身体なのに違和感ばかりを感じる。老師にも言われたが、まさかこんなに動き難くなるとは思ってもなかった……まるで身体に重りをつけているかのような違和感を感じながら蛍さんから貰った地図と睨めっこしながら目的地を探す
「ここですか……確かに見つけるのは難しいですね」
東京の街の一等地に立てられている巨大なビル。だがそのビルを見ている人間は誰も居ない、それも当然だ。このビルには強力な認識阻害の術が掛けられているのか私でも薄らとしか認識できない。多分場所を聞いた上で地図が無かったら
見つけることが出来なかったかもしれない……
(流石はアシュタロスと言う所でしょうか……)
今のアシュタロスは神魔大戦を起こす気が無いと言うか、起こす理由が無い。恐らく前の時もこうして東京の拠点を置いてたんでしょうが、私もヒャクメも見つける事が出来なかった。索敵に特化したヒャクメが見つける事が出来ないのだから、アシュタロスの凄まじさが良く判りますね……そんな事を考えながらビルの中に足を踏み入れると
「待ってましたよ。小竜姫さん」
エントランスで本を見て待っていた蛍さんがそう声を掛けてくる
「蛍さん……今日は態々どうもありがとうございます」
私の不調……その理由事態は判っている。未来の存在である私が、現在の私の中に居る事による反発現象……認めるのは嫌だが、多分今の私は魔族よりの考えを持っている。だからこそ現在の私が受け入れることが出来ず、こうして体調不良という形で出ている……だけどこのまま現在と未来の私の魂が馴染む事が無ければもっと酷い症状になりかねない。だが神族の治療を受ければ魔族に近い私の魂が反応してしまい、私がスパイと思われかねない。ならば事情を知っていて霊的なことにも詳しい相手に頼むしかない。その点ではアシュタロスはこれ以上に無い適任と言えるでしょう
「どうぞ。お父さんも待っていますのでこちらへ」
いくら老師の仙術でもいつまでも効果を発揮できるわけでは無いですからね。話をするのは診察が終わってからですね、私は蛍さんに案内され、ビルの地下へと降りていくのだった……
「待っていたよ小竜姫君。さっそくで悪いがそこに座って楽にしてくれたまえ」
白衣に眼鏡姿のアシュタロス。こんな人だったけ?もっと真面目な人だったような……いやまあ、あの時とは事情が違うし、こっちが本性なんでしょうか?私の記憶の中のアシュタロスと全然違うことに違和感を感じながら言われた通り椅子に腰掛ける
「では診察を始めるよ。と言っても直ぐに終わるから心配ないし、身体に触れることもないから身構えるのは止めてくれたまえ」
……あ、無意識に神剣の柄に手を伸ばしていた事にそう言われて初めて気付いた。いけませんね、身体を見てもらうというのにこの態度は良くないですね。あ、でもこれが横島さんなら……
(うん。多分抵抗しないですね)
やはりそれは女性として当然の反応ですね。好意を持っている男性ならまだしもそうじゃ無い相手では警戒するのは当然と言うものでしょう
「大丈夫ですよ小竜姫さん。お父さんが何か変な事をしようすれば私が頭を叩き割ります」
巨大なハンマーを装備している蛍さんが笑顔で言ってくれる。あれなら大丈夫そうですね
「君達は私をなんだと思っているんだ!?」
悲しそうな顔でそう叫ぶアシュタロスに私も蛍さんも無言で返事を返すと
「……まぁ良いさ。所詮私なんて刺身の横についているつまかタンポポ程度の扱いさ……」
メンタルが弱すぎる……これはもしかすると蛍さんのせいなのでしょうか?もとからメンタルが弱かった可能性もありますが、それにしてもこれは酷いですね……
「目を閉じて楽にしてくれ。10分程で済むから……身の危険を感じたとかで殴らないでくれよ?」
「善処します」
善処どまりなのか……と呟くアシュタロスの声を聞きながら私は言われた通り目を閉じるのだった……
「うーむむむ……」
私は氷嚢を頭に当てながら小竜姫君の診察結果を調べていた。なんで氷嚢を頭に当てているかって?なんか邪な気配がしたとかで診察後に神剣の柄で頭を強打され蛍のハンマーのフルスイングを喰らったからだ
(なにかするつもりなんて無いのに……)
ただ私はちょっとした興味心で小竜姫君の角に手を伸ばしたが、いくらなんでもこれは酷い……いやまあ竜神族の誇りとも言える角を勝手に触ろうとしたのは悪いけど、せめて口で言って欲しかったなあ……深い溜息を吐きながら診察結果に目を通す……まぁこれは格好だけで、私としては判っていた事なんだがね
「それでお父さん。小竜姫さんの体調不良の原因は?」
ハンマーをソファーの上に置いたまま尋ねてくる蛍。口で注意してくれれば良いんだから、殴りに来ないで欲しいんだけどなあ……
(蓮華やあげはは大丈夫なんだろうか……)
今ビルの最深部で眠っている二人の娘も蛍みたいだったらと思うと若干怖い……いやそんな筈は無いだろう。うん、きっと無いと思う、と言うかそうであって欲しいと思いながら真剣な顔で私を見ている
「まぁ小竜姫君も判っていると思うけど、これは未来の君がどちらかと言うと魔族よりに近づいているから、現在の純粋な神族の自分と同化が上手く行ってないのが原因だね」
「やっぱりですか……」
人は恋すれば変るというが、それは神族も変わらない。しかし小竜姫君の場合は竜族特有の気質である情の深さもあって霊核にも影響が出てきている
「もう魔族に転生した方が早いかも?むしろその方が「ハイ、ドーン」あいだあ!?」
私としてはもう魔族に転生した方が色々と早いし、小竜姫君もその方が自分に正直に成れるので良いとおもうんだけどなあ、ここまで魔族よりになっているのだから、ここから神族に戻すよりも、魔族のほうに行った方が早いし負担も小さいし……私は善意でそう勧めたのだが……
「正座」
「いや?蛍さん?これは難しい」
「正座」
「ですからね?」
「正座」
「……はい」
どうも蛍には私の考えを理解してもらえなかったようだ。ハンマーの素振りを始めてしまったので大人しく正座する。最近こんな事ばかりしている気がするなあ……
「小竜姫さんが魔族になったら追われちゃうじゃないの!なにを考えているのよ!この馬鹿親はッ!!!」
「そうだったぁ!?」
蛍のハンマーのフルスイングを喰らいながら大事なことを思い出すのだった……しかし蛍繰り返すが、私は言葉が判るので、こんな実力行使にでなくても良いし
「本当に!お父さんは!馬鹿!なんだから!!!」
そして!ごとにハンマーを全力で振り下ろさないで欲しい。魔神だからそりゃ並の人間よりかは頑丈だが、痛い物は痛いのだから……その凄まじいハンマーの威力に意識を吹き飛ばされながら、声にならない声で蛍にそうお願いするのだった……
「はー……はー……」
私はハンマーに寄りかかり、荒い呼吸を整えていた。馬鹿お父さんが小竜姫さんにとんでもない事をアドバイスしたからだ。紫色の血の中に沈んでいるが数分で回復するだろう。魔神の回復力は本当に凄まじい
(小竜姫さんが魔族になったら駄目でしょうが……)
横島が霊力に覚醒するには小竜姫さんの存在が必要だ。これはきっと変え様がない事実、心眼を授けることが出来るのは小竜姫さんだけなのだから……心眼が無ければ横島は霊力には覚醒しない。その為には小竜姫さんには神族で居てもらわないと困るのだ。それに
(小竜姫さんが魔族になったらなんて考えるだけで怖いし……)
魔族なってしまって自分に正直になられすぎたら困る。横島は年上の女性が好きだ、そして小竜姫さんの事はかなり好意的に見ているのを知っているから、最悪の展開だけはどうしても避けたい
「魔族……は流石に……いや、しかし……それも1つの」
ぼそぼそとやばいことを言っている小竜姫さん。恋する乙女は暴走しガチと言うのは私も知っているけど、小竜姫さんは更に暴走しがちだから本当にヤバイ
「でも魔族になったらスパイ容疑立つんじゃないんですか?」
私がそう呟くと、むうっと呻く小竜姫さん。過激派魔族と協力している神族が居るという話は最近良く聞く、そんな中で魔族に転生するのはいらない疑いを受けるだけですよ?と言うと
「むーでもこのままだとそのうち私消えちゃいますし……」
それが問題ね。神族の中に魔族に近い魂があれば、魂の防衛本能で排除される……
(あれ?それって好都合?)
うん。それは私的には実に好都合だ。未来を知っている小竜姫さんよりも、現在の小竜姫さんの方が対処しやすいと思う……そう思えばむしろ消えて欲しいかも……
「あーそれなら心配ないよ。現在の小竜姫も随分と横島君に好意を持っているからね、今は反発しているけどそのうち馴染むよ。薬を処方したから持って帰ると良い、それと寝ているときに精神干渉をするとかすればもっと同化が早くなるかも?」
いつの間にか復活したお父さんが薬の包みを小竜姫さんに投げ渡し、対処法を伝える
「ありがとうございました、では失礼します」
薬の包みを持ってビルを出て行ってしまう小竜姫さん。私がお父さんを睨むと
「仕方ないんだよ。これ明確な妨害行為だぞ?」
え?……あ……そう言えばあんまり妨害すると恋愛とかを司る神から私が絶対横島と結婚できなくなるって……記憶を持っているというのは絶対に有利では無い……それが私が逆行する
「で、でもそれは現在の小竜姫……「そうでもないんだ。はい」
お父さんに差し出されたトトカルチョの紙を見ると
芦蛍 1.3倍
美神令子 1.0倍
メドーサ 2.6倍
ヒャクメ 3.5倍
×××××× 2.2倍
タマモ 5.7倍
小竜姫 4.1倍(現在)
小竜姫 1.4倍(未来)
おキヌ 2.4倍
×× 2.0倍
六道冥子 2.7倍
マリア 3.4倍
夜光院柩 4.7倍
シズク 5.5倍
神代瑠璃 7.7倍
シルフィー 7.8倍
アリス 6.5倍
神宮寺くえす 124.9倍
愛子 7.8倍
テレサ 6.9倍
「まさかのダブルエントリーに!?しかもまた増えている!?」
しっかりと現在と未来の小竜姫さんの名前が刻まれていた。しかも未来の方は私と倍率が0.1しか違わない!?そしてやっぱり愛子さんもエントリーしているし、しかもしれっとテレサの名前まである!?
「そう言うわけだ。判ってくれたか?」
「……うん。それとごめん、ちょっと……いや大分ショックだから少し寝るわ。おやすみなさい」
予想外の自体が起きていた事に精神的なショックを受けて、私はふらふらと自分の部屋に戻りそのまま眠る事にしたのだった……
ふらふらで歩き去っていく蛍を見つめていたアシュタロスもまた深い溜息を吐きながら
「本当横島君は女難の相でもあるのかな……このままどれだけ増えるんだ?」
蛍に聞いた話よりも遥かに増えている女性の名前に頭痛を感じずに入られないのだった……
なお妙神山に戻った未来の小竜姫はと言うと……
「夢で今の私に干渉……んーどうすればいいのでしょうか?それに干渉すると言ってもどう干渉すれば?」
卓袱台の上に貰った薬を置いて、現在の自分にどうやって干渉するか?を必死に考えていた。元が真面目な小竜姫なのでどうすれば良いのか?なんて直ぐ判るはずも無く。大分悩んだ結果……ぽんっと手を叩き
「私が知っている横島さんの成長した姿を見せましょう」
弟子が成長するのを見るのは師の喜び。しかもあれほど急激に成長する弟子を見ればきっと現在の小竜姫も喜ぶと判断し、小竜姫は自分の記憶の中にある横島の姿。それも文珠に覚醒した後の横島の姿を夢の中で見せることにしたのだった……勿論文珠は見せないでだが……
「横島さん……才能はあるのは判ってましたけど……まさかですよね?なんでこんな夢を見たんでしょうか?」
現在の小竜姫は夢の中の横島の姿を見てありえないですねと呟いた物の……
「あそこまで成長してくれるなら……本当に将来有望なんですけどね……」
小さく微笑んだ小竜姫は寝室を後にして朝食の準備に向かうのだった……なお何度もこの夢を見た小竜姫はもしかして正夢?と思い始める。そして考えが変わった頃はちょうど竜神王と地上の竜族の会談の時期だった……
そしてそこで小竜姫は横島の才能の発現を見ることになるのだが、今の小竜姫はそれを知る由も無いのだった……
リポート18 アリスちゃんと魔法の箒と騒がしき日々 その1へ続く
次回は魔法の箒の話に前に出したアリスなどを出して行こうと思います。他のキャラがメインになる話もありますし、意外なキャラも出そうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします