紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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今回から、ついに本編の話となる、第一章の始まりとなります。

シンフォギア本編の第一期、四話と五話の中間から始まります。
では、どうぞ!


第一章 ルナアタックの始動
第一話 帰ってきた戦士、再会


ツヴァイウィングのコンサートでの事件から二年後。

 

東京に入る道を、トラックと車とバイクが走っていた。

トラックは引っ越し業者の物。車も一般の物。バイクは、全身が真っ赤な・・・真紅のバイクだ。

まるでコウモリの様な感じの見た目で、普通のバイクではない事は分かる。

 

二台は、目的地に到着。そこは、都内のマンション。一般より少し高級なマンションだ。

 

部屋に運ばれた荷物を、三人の人間が片付けている。

 

「ここが、俺達の新しい家になるんだな・・・」

「そうね、ダーリン♪」

 

「・・・流石にダーリンは止めてくれ。恥ずかしいぞ、恵」

「えへへ。ごめんね、啓介君」

 

三人の内二人は、名護 啓介と名護 恵。

 

ファンガイア討伐組織で、今は人間と他種族との共存に協力する「素晴らしき青空の会」のメンバーだ。

 

共存に反対するファンガイアが、東京を拠点に活動をしているという事を知り、青空の会も東京本部で活動をする事になった為、引っ越ししたのだ。

 

それまでは、他県の支部で活動していたのだ。

話を戻す。

 

二人は一年前、ファンガイアとの戦いの中で愛を育み、一つの大きな戦いが終わった後に結婚したのだ。

 

一年経った今でも、新婚夫婦の様に仲が良い。

 

 

「啓介さん、恵さん。イチャイチャするのは、荷物の整理が終わってからにしましょう。ほら、早く」

 

「わかったよ、直人君」

「はーい!」

 

三人目は、二年前に行方不明になっていた、紅 直人だった。

 

彼もファンガイアと戦いを経て、この街に戻ってきたのだ。二年が経ち、直人も立派な青年に成長していた。

 

三人で協力して荷物を片付け、気づけば午後となっていた。

作業を終えた後、直人はこの町にある自分の家に帰る事となった。

 

「直人君、手伝ってくれてありがとう。おかげで早く終わったわ」

「この町でも、よろしく頼む。共に共存のために、全力で頑張ろう」

 

「はい。啓介さん、恵さん。これからも、よろしくお願いします!」

別れ際にしっかりと握手を交わし、直人は赤いバイク・・・マシンキバーに乗って、自分の家に帰っていった・・・。

 

十数分後。

直人は自分の家に・・・自宅兼バイオリン工房へ、二年ぶりに帰ってきた。大きめの洋館で、何人かが共同で生活をしても、余裕で暮らせる大きさだ。

 

一階から工房となっている二階へ上がった後、鞄を開ける。

「もう出てきていいよ。キバット、タツロット」

 

鞄の中へ声を掛けると、二匹のモンスターが姿を現した。

「へぇ、ここが直人の家か。いいねいいねぇ、この古さの中にある神秘的な感じがたまらんな!」

 

一匹は、金と黒のコウモリ。

「キバットさんのおっしゃる通りですね~。私のテンションもフォルテッシモですよ」

 

もう一匹は、金色の竜。

キバットバット三世と、タツロット。直人に力を与える存在であり、共に戦う仲間であり、直人の新しい家族でもある。

 

二匹が家の中を飛び回っているが、直人はなぜか出かけようとする。

「二人とも、悪いけど僕、また出かけてくるよ」

「ん?どこに行くんだ?」

 

キバットの質問に、直人は少しの緊張を覚えながら答えた。

「会いに行かないといけない人たちがいるから」

 

再び外に出て歩いて3分、辿り着いたのは大きな和風の家。木製の門の表札には、「風鳴」と書いてある。

そう、ここは翼と弦十朗の家だった。

 

「・・・・・・」

緊張のあまり、インターホンを押す指が震える。ようやく会える。まずは謝ってそれから・・・

 

色々な事を考えてしまい、中々手が前に進まない。

そんな葛藤が続く中・・・。

 

「直人・・・?」

「・・・・・・え?」

 

後ろから声が掛かる。昔からよく聞いていた、男性の声だ。

後ろを向くと、屈強な体を持ち、片手にはレンタルビデオ店「TATUYA」の袋を持っている男性・・・

 

「おじ・・・さん・・・」

特異災害対策機動部二課の司令官、風鳴 弦十朗だった。

 

「直人・・・直人なのか!?・・・無事だったのか、今までどこに・・・!」

弦十朗は、それ以上言えなかった。直人が涙を流しながら、弦十朗に抱きついたからだ。

 

「ごめんなさい・・・心配かけて、ごめんなさい・・・っ!」

泣きながらも、ちゃんと言おうと思っていたことを伝えた直人。弦十朗は、何も言わず、直人をそっと抱きしめた。

 

「無事で良かった・・・」

それだけ言って、直人が泣き止むまでそのままでいた。

 

 

その後。泣き止んだ直人は風鳴家に入り、リビングで弦十朗から自分がいない間の話を聞かせてもらった。

 

翼がソロ活動をしていること。今のマネージャーはエージェントの一人、緒川 愼二が勤めていることを。

 

特に直人が驚いたのは二つ。

コンサート会場で直人と奏が救った少女・・・立花 響の心臓にガングニールの破片が刺さっていて、その影響で響がガングニールのシンフォギアを身に纏い、ノイズと戦う力を得たこと。

 

そして今は、弦十朗始動で鍛えていること。

「そう、なんだ・・・あの時の子が・・・」

 

もう一つが、失われたはずの完全聖遺物、ネフシュタンの鎧を身に纏う謎の少女との戦いがあった。

その中で、翼が絶唱を歌い、その反動で今は入院していることを伝えた。

 

すると、直人は顔色が青くなり、弦十朗に問い詰める。

「つ・・・翼は!?翼は、大丈夫なんですか!?」

 

「大丈夫だ。命に別状は無い。翼は無事だ」

「・・・っ、良かった・・・!」

 

「それに、翼はお前に会わないまま死んだりしないさ!」

「はい・・・!」

 

本当に安心したように、直人は座り直した。

その後も色んな事を話したが、直人はキバやファンガイアについては話さなかった。

 

その後。直人は弦十朗と一緒に二課へ向かい、緒川 愼二、藤尭 朔也、友里 あおい、櫻井 了子といったメンバーと再会。

 

「皆さん、今まで心配を掛けてしまって、申し訳ございませんでした。

紅 直人、本日ただいまをもって二課のシンフォギア奏者に復帰いたします!」

 

直人が復帰の挨拶をすると、了子が泣きながら抱きついてきた。

「直人ぐ~ん!良かったわーー!どれだけ心配したと思ってるのよ~~~!!」

 

「りょ、了子さん!?痛いです、体が痛いです強く抱きしめすぎです痛いです!」

 

「直人さん、お帰りなさい」

「了子さんの言っていた通り、すごく心配したんですよ」

 

「帰ってきてくれて、嬉しいよ」

 

「愼二さん、あおいさん、朔也さん!見てないで助けてください!」

 

「「「「あははははは!」」」」

 

 

直人が帰ってきた事で、二課の皆に笑顔が戻ってきたのであった・・・。

 

 

翌日。直人は再び風鳴家を訪れていた。弦十朗に誘われたのだ。

響がここで修行をしているので、会っていくことになったのだ。

 

庭に向かうと、二年経って成長したショートカットの少女・・・立花 響が、木につるされたサンドバックに必死にパンチを叩き込んでいる。

 

「・・・」

「話したいことが、あるんだろ?」

 

「はい」

「うむ。おーい、響!」

 

「えいっ!えいっ!・・・はい、師匠!・・・・・・あ・・・!」

 

弦十朗に呼ばれて振り向いた響は、直人の姿を見て驚き、固まった。

 

響は、二年前の事を全て覚えていた。奏と直人が助けてくれた事を。二人が言ってくれた言葉を、全て。

 

直人は響の側にまで行って、優しく語りかける。

 

 

「初めまして・・・ううん、久しぶりだね。僕のこと、覚えてる?」

 

「は・・・はい!もちろん、覚えています!奏さんと一緒に、私を助けてくれた人・・・ですよね?」

 

「うん。紅 直人。シンフォギア奏者兼、バイオリニストです。よろしくね」

 

「はい・・・!立花 響です!あの時は私を助けてくれて、ありがとうございました!」

 

二年前に救い救われた者同士が、ついに再会した・・・。

 

 

 




次回予告


「私・・・紅さんに、謝らないといけないことがあるんです・・・」

「なぜ・・・なぜ人間と共存などしなければならない!?」

「もう一人の王として、掟に背く者に裁きを下す!」


第二話 触れ合う心、王の戦い

Wake,Up! 運命の鎖を、解き放て!!


今回より、次回予告を入れます。
やっとキバとして戦える・・・。

それと、新しい小説を投稿したいと思います。いつかはわかりませんが、どんなのを書くかはもう決まっています。

もちろん、キバもちゃんと連載していきます。
では、次話か次回作でお会いしましょう!

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