GX編はキバの劇場版「魔界城の王」の話にもなります。どちらも「父親」が深く関係しているので、魔界城の王の話を書くならGX編からと決めていました。
第一話 幼子の生誕祭、怪物の覚醒時
キバとエグゼイド、両戦士の共闘からしばらく経過した。今日は七月七日、この日は七夕で有名だ。
織姫と彦星が一年に一度会える日であり、笹に願いを書いた短冊を吊るすと願いが叶うと日だと言われている。
だが、この日の夜には直人やシンフォギア装者達、キバットとタツロットには別のイベントがある。それは・・・・・・。
『クロード君、九歳のお誕生日おめでとう!』
「みんな、ありがとう!」
クラッカーが鳴り、飾りが飛ぶ。クロードは大喜びでお礼を言う。
そう、七月七日はクロード・グラトリンの誕生日である。皆に愛されているクロードの誕生日を初めて祝う事もあって、皆気合を入れて飾りや料理を用意していた。
ファンガイアは人間の食事は殆ど食べない。人間と同じ食事による代替もある程度は利くが、彼らには重視されていないのである。
普通に飲食する者もいるが、全体的にワインやコーヒー、チョコレートパフェ等の嗜好品を好む傾向にある。
クロードの場合、好きなのは「果物」である。フルーツやそれを使ったお菓子は好んで食べている。
そこで、調が作ったのはフルーツたっぷりのケーキであり人間の料理も多い。そしてロウソクを吹き消し、皆の拍手が響く。
「クロード君、改めておめでとーう!私も嬉しいよ〜」
「うんうん、クロード君が元気に誕生日を迎えられて嬉しい!」
「響お姉ちゃん、未来お姉ちゃん、くすぐったいよ〜」
「クロード君の好きな果物を使ったケーキ、遠慮なく食べてね」
「私も調と一緒に作った自信作デスよ!」
「調お姉ちゃん、切歌お姉ちゃん・・・それに皆、本当にありがとう!」
響、未来、調、切歌に抱きしめられながら礼を言うクロード。心からの笑顔に皆も笑顔で答える。
そしてパーティは楽しく過ごしていく。
姉達がクロードに「あーん」で食べさせたり、皆が誕生日プレゼントを渡したり・・・誕生日パーティとしてはありきたりな、しかし最高の時間を過ごしていく。
それからある程度時が経つが、パーティはまだまだ続く。直人は少し離れた所で飲み物を飲みながらクロード達を見ていたが、直人の隣に翼が立つ。
「直人、今日はクロードに喜んで貰えて良かったね」
「うん、僕も嬉しいよ。クロード君にはレティアさんのいない世界でも、幸せになってほしいから」
直人は部屋に飾られた小さめの笹に飾られた短冊を見る。誕生日パーティの前、クロードに日本文化を体験させる為に用意したのだ。
皆が自分の願いを書いた短冊を飾ったが、クロードも練習中の日本語で書いて飾った。その内容は・・・。
「せかいのみんなが、えがおでしあわせにくらせますように」
世界の皆が、笑顔で幸せに暮らせる事・・・クロードらしい、優しさに満ちた願いである。
直人が言う。
「この世界には、まだ脅威が多い。共存反対派のファンガイアは勿論、精霊の力を悪用する者・・・DEM。それにヒュージとか・・・数えたらキリが無いよ。
でも、それでも・・・僕は脅威から未来ある善なる者達の命を、心を、夢を守る為に力を使いたい」
「うん・・・そうだね」
直人の言葉に翼も同意する。ここで直人のスマホにとある人物から電話が入る。
「ちょっと席を外すね」
「うん」
一言断ってから離れる直人。翼はパーティを楽しんでいるクロードを後ろから優しく抱きしめる。
「わっ・・・翼お姉ちゃん?」
「・・・クロードは、今・・・幸せ?」
柔らかい口調で尋ねる翼に、クロードは笑顔で答える。
「うん・・・響お姉ちゃん達がいてくれるから・・・僕は、幸せだよ」
「良かった・・・私も、クロードを守れるように頑張るね」
「翼さん。そこは私達が・・・ですよ、私達皆で守るんです」
話を聞いていた響の言葉に、他の皆も頷く。クロードは皆の優しさと温もりに包まれながら、最高の誕生日を過ごした。
一方、直人はとある人物と電話をしていた。
「ヒュージによる被害地の復興は上手くいってる?・・・・・・そうか、ケミー絡みの問題も特に起こって無い、と。良かったよ。
・・・・・・うん・・・・・・レジェンドルガの復活!?・・・やっぱり月の異変はそれが理由か・・・・・・わかった、合流しよう。具体的な話はその時に・・・」
通話を終えた後に月を仰ぎ見る。ルナアタックによって破損した月の一部が環になっている月。
その月に、禍々しい巨大な一つ目が存在する蔦植物が付いていた。
月の異常は、ここにいる者達では直人とキバットとタツロット以外には見えていない。
直人は月を真剣な、そして勇ましい目付きで見る。近々、大きな戦いが始まる事を予感していたから。
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同日、世界の何処か。そこにガーゴイルとメデューサに似た人型の魔物が石棺を開けると、植物・・・マンドラゴラに見た魔物が起き上がる。
同胞の覚醒を確認したメデューサ型の魔物が言う。
「これで残るは、一体の同胞と・・・
その言葉に同意する様に、魔物・・・レジェンドルガの雄叫びが響き渡る。そして最後の仲間と王が眠る地へ向かう。
同時刻、違う場所から月を眺める人物は一つ目を睨み、これから起こるであろう大きな戦いに戦意を高ぶらせながら、背を向けてその場を後にした。
次回予告。
現れるは意思を持つ傀儡達。現れるは古代より恐れられし魔物達。古から伝わる災禍が新たな激闘の開幕を告げる。
「第二話 激闘の始まり、現る錬金術師」
その戦いは避けて通れない。古代の災禍は今に未来に牙を向く・・・。
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GX編はNOVEL大戦 SYMPHONYの後の話ですが、その内容のネタバレになる事は書かないようにします。