それとクリスマス、バレンタインデー、ホワイトデーの話を削除しました。チャンスがあれば、また書き直したいと思ってます。
昔の夢を見た。直人と奏が打ち解けるきっかけとなったあの日を。
「なぁ、紅。どうしてそんなに優しいんだよ?」
「天羽さん、急にどうしたの?」
「私がLiNKERを打つのを止めないでくれたし、復讐を肯定してくれた。復讐なんて後ろ暗いこと、普通だったらやめろって言うだろ。
それだけじゃなくて、翼と歌う時も色々支えてくれて、嬉しいけど何でかなって・・・。
それと昨日作ってくれたオムライス、めっちゃ美味しかったです」
「それは良かった・・・質問の答えだけど、復讐・・・恨む気持ちは心を持つ生き物なら誰でも抱く当たり前の感情だ」
「・・・・・・」
「上手く言えないけど・・・それを無闇に否定するのは、なんか違うかなって気がしたんだ」
「・・・そっか、まぁ確かに復讐は良いこととは言えないけどね・・・でも、その・・・ありがとな」
「うん・・・」
「・・・ごめん!しんみりした感じにしちゃって・・・・・・そうだ、これからは私の事は名前で呼んでくれよ」
「え、何か急だね」
「いや、本当はもっと早く言いたかったけど、ちょっと緊張しちゃって・・・今回のが切欠で打ち解けたって事にしよう」
「あ〜・・・何となくわかるかも・・・・・・うん、わかった。これからもよろしくね、奏」
「あぁ!よろしくな、直人!」
ーーーーーーーーーー
「・・・・・・と・・・直人!」
「!・・・・・・奏」
「全く。ぐっすりだったけど私の話、聞いてるか?」
「・・・あぁ。えっと、ダークなプ○キュアになりたいけど、どうすればいいかって話だっけ?」
「全然違あぁぁぁぁぁう!でも私にピッタリそうだなその設定!」
「ごめん、何の話だっけ?」
「全く、ちゃんと聞いてくれよ。いいか?・・・ヒマだ、何とかしたい!以上」
「ヒマって・・・」
「奏、もうすぐ
「固い事言うなよ翼~。将来ハゲちゃうぜ?」
西暦2044年、六月第一週。カナデとの戦闘から三週間後の事。
直人、翼、奏の三人はとある待機室の中にいた。その理由は、弦十郎から聞かされた提案に関係している。
それは・・・・・・。
「ねぇ・・・未来。これは夢じゃないよね?現実だよね?」
「響・・・その質問、もう五回目だよ」
「だってだって、私・・・師匠から話を聞いてからこの日をずっとずっと楽しみにしてたんだもん!」
響と未来、更にクリス、マリア、セレナ、調、切歌、クロードはとある会場の座席に座っていた。ステージがよく見える特等席だ。
「まぁ、響の気持ちはわかるけどな・・・私は初めて見るから、ちょっと楽しみだ」
「クリスの言う通りね。私も楽しみだわ」
「デスデス、早く始まって欲しいデース!」
「切ちゃん、ステイ」
「セレナお姉ちゃん、何が始まるの?」
「凄いこと、だよ」
これから行われる事、それは・・・。
実は、カナデが奏の体を乗っ取ってから一人で勝手に行動する事が多かった。
その中で、時折一般人にその姿を目撃され、「天羽 奏は生きているのでは?」という噂が一部で出ていた。(翼は無意識に奏について捜索することを避けていた)
その噂も大きくなっていた時に、奏の奪還に成功。
噂をもみ消すのも難しくなっているのも含めて、弦十郎は考えたのだ。
「噂を本当にしてしまおう」と。
そして考えついたのが、奏のアーティスト復帰・・・即ちツヴァイウィングの復活である。
奏や他の皆も了承し、大々的にツヴァイウィング復活が報じられた。奏については、簡単にだが以下のように説明された。
「天羽 奏が死亡したと報じたのは、天羽 奏を悪しき者の魔の手から守るために偽造報道を行った。
二〜三年経った今、その問題は全て解決し表舞台に出ても問題なくなったので、再びツヴァイウィングとして活動を再開することになった」
という説明がなされた。詳しい説明を求める声や疑問の声も少なからず出ていたが、それよりも奏の復活を喜ぶ声の方が大きく、少ない疑問は押し潰された感があった。
コンサート会場には響達だけでなく、多くのツヴァイウィングファンで満席だ。テレビでも放送されネットでも配信される・・・まさに一大イベントと化していた。
「皆、お待たせ」
「あ、直人さん」
直人も合流。唯一空いていた響とクリスの間に座った。
「直人さん、今どんな気持ちですか?」
「もちろん・・・・・・最高だよ!」
直人も本当に嬉しそう笑顔で答えた直後、遂にコンサートが始まる。ステージ場に翼、そして奏が現れ・・・。
「皆ぁ!久し振りーーー!!私は帰って来たあぁぁぁぁ!!」
奏の言葉に、会場の皆が大きな歓声で答える。
「色々あったけど、こうして無事に復帰出来たぜ!これからは今まで出れなかった分、いっぱい歌っていくから応援よろしくな!
さて、長話は嫌われるし、早速歌うぜ!最初は、勿論この曲!」
「「逆光のフリューゲル!」」
ツヴァイウィングの代表曲から、もう一度。
サイリウムの光が、光の海を作る。響の感動の涙による輝きもプラスされる。
二人の歌は皆を魅了して離さない。そして次々と歌い、約三年ぶりのツヴァイウィングのコンサートは大成功を納めたのであった。
ーーーーーーーーーー
その日の夜。奏は直人の家にいた。奏は直人の家で暮らしている。
紅家は直人、クリス、クロード、翼、奏。そしてキバットとタツロットの五人+二匹が暮らしている事になる。
リビングでは直人と奏の二人だけがいた。奏がビールを飲みながら直人の作ったつまみを食べている。
2044年時点で奏は二十一歳なので、飲酒をしても問題ない。
「はぁ〜~~・・・うまい!」
「うーむ、奏はお酒を美味しそうに飲むけど、僕はまだ飲めないからわからないな」
「直人も翼も、来年には二十歳だろ?そしたら一緒に飲もうな」
「うん、喜んで。あ、マリアも一緒でも良いかな?」
「おう良いぞ~。賑やかな方が楽しいもんな〜」
暫くは談笑していたが、やがて奏は大人しくなり、静かに言う。
「なぁ、直人・・・私さ、夢を見たんだよ」
「夢?」
「・・・・・・直人と名前で呼びあえるように打ち解ける切欠の日の夢をさ。嬉しかった」
「僕も夢で見たよ。あの待合室で」
「そうなのか?ヘヘ、お揃いだな・・・・・・それともう一つ」
奏は残ったビールを飲んでから言う。
「直人が、私のために一生懸命頑張ってた時の夢・・・いや、記憶かな」
「・・・・・・」
「カナデに乗っ取られていた時にも、私の意識は浮き沈みを繰り返していた。
そして開放される前の私が見たのは・・・キバの鎧を纏っててもわかるくらい、一生懸命に私のために頑張ってくれているのがわかる直人だった」
「・・・・・・」
「嬉しかった。翼や他の装者達もだけど勿論一生懸命だけどね、私の為に頑張ってくれる男の人って、お父さん以外だと初めてで、だからその・・・・・・」
「大丈夫、言いたいことはちゃんと伝わったよ」
直人がそう言うと、奏は立ち上がり直人の隣に座り、直人の肩に顔を乗せる。
「奏?」
「さっきも言っただろ。お父さん以外だと初めてだって・・・・・・。
ドキドキした、嬉しかった、胸が熱くなった。私は・・・直人の事・・・」
続きは言わなかった。代わりに、直人の頬にそっとキスをした。
離れた奏は、顔をもっと赤くしながらも、優しく微笑みながら直人に言う。
「ありがとう」
「・・・うん」
奏の気持ちを受け取った直人は、優しく奏の頭を撫でる。奏もそれを喜んで受け入れた。
そんな二人を、窓から降り注ぐ月の光が優しく照らしていた。
次回から第四章、GX編に入ります。
それと直人のヒロインはシンフォギア装者のみに限定し、それ以上は増やしません。
よって直人のヒロインは翼、響、未来、クリス、マリア、セレナ、調、切歌、奏の九人になります。
ネタバレですが、上記の通り未来も装者になります。タイミングは決めています。