紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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お待たせさせてしまい、本当に申し訳ございません。

ギーツが凄く面白くて、毎週ワクワクしながら次話を待っています。


第十話 激槍の神撃、激奏の心歌

「行くぞ!」

「来い!」

 

遂に、奏を取り戻すための戦いが始まった!

 

カナデはガングニールのアームドギアを直人達に向けて投げた。

 

それは鋭い一閃となるが、皆がそれを周囲に散らばるように避けるとすぐ近くの者達と即席のチームを組んで攻撃する。

 

一人で攻撃するのではなく、最低でも二人で攻撃する事。それを事前の話し合いで決めていたのだ。

 

 

最初に攻撃を仕掛けたのは直人、クリス、セレナ。

 

《GREMLIN†ROYALE》

 

セレナがバインダーから伸ばした多数の刃でカギ爪のごとく切り裂いく。しかし、カナデには傷一つ付かない。

 

例えるならば、家庭用の普通の包丁で大きな鉄の塊を切ろうとしているような感じだ。

 

だが、それでも諦めず攻撃を続ける。

すると、セレナの背後からクリスがジャンプしてアームドギアをカナデに向ける。

 

《ARTHEMIS SPIRAL》

 

アームドギアを本来の形である弓に変形させ、ミサイルのような高威力の矢を放つ。セレナも、バインダーからエネルギー波を放つ。

 

クリスはそれに飛弾の魔術、必中の飛弾を重ねて放つ。二人の砲撃が放たれた直後・・・。

 

「WAKE UP FEVER!」

 

キバはエンペラームーンブレイクを発動し、背後から全力で蹴った!

 

前方の砲撃と後方の蹴り、二つを同時に受けてその衝撃で上に吹っ飛ぶ。

 

すると、吹っ飛ばされたカナデよりも高くジャンプした響が、己の両拳を合わせて、カナデ目掛けて振り下ろす。

 

(奏さん・・・ごめんなさい!)

心の中で奏に謝りながら、振り下ろした一撃をカナデの腹部に当てる。

 

「・・・っ」

 

今度は真下に急降下して、地面に激突。

土煙の中、立ち上がったカナデはアームドギアを再生成して横に振るう。

 

金属同士がぶつかり合う音と共に、翼と士の攻撃を防ぐ。

 

アームドギアを振るい二人を引き離すが、その後の一瞬の隙を狙って切歌が翡翠創造でカナデの足元を固定するように固め、更に大牙がジャコーダーを鞭にして振るい、アームドギアを持つ片手を封じる。

 

《裏γ式・滅多卍切》

 

調はヘッドギアの左右のホルダーから巨大な四枚の回転鋸を放つ。

 

《TORNADO†IMPACT》

 

マリアは左腕から短剣を円状に展開し高速回転させ竜巻を纏いながら対象に突撃し攻撃する。

 

二人の技が直撃し、よろけるが拘束を力づくで引きちぎって動けるようになるが・・・。

 

「ついでに貰っとけ」

 

《FINAL ATTACK RIDE》

《DE DE DE DECADE!》

 

士は、ディメンションスラッシュを発動しがら空きの体を切り裂く。

 

そして、翼もイクサカリバーを手にカナデに向けて走り、すれ違い時に一閃。

 

仮面の奥で、一筋の涙を流しながら・・・。

 

皆の攻撃は、前回と異なりカナデにダメージを与えていた。大きくはないものの、確かに攻撃は通っている。

 

「この短期間で・・・やるね」

カナデはニヤリと笑いながら称賛した直後、攻撃に転じた。

 

 

一瞬で距離を詰め、槍を直人に向けて振り下ろす。直人はそれを両手で受け止めてアームドギアを奪取、それを持ったままカナデに接近戦を仕掛ける。

 

カナデに対して真っ直ぐガングニールのアームドギアの連続刺突を繰り出す。

 

カナデはそれを全て人差し指一本で受け止めて、アームドギアを回収する事無くそのまま直人の胴体に掌底をぶつける。

 

しかも、その衝撃でアームドギアは粉々に砕け散った。

 

 

後ろに吹っ飛ぶ直人の横を翼が走ってカナデに接近。フエッスルをベルトに入れてリード。

 

《イ・ク・サ・カ・リ・バ・-・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ》

 

イクサジャッジメントを発動し、カナデに向けて振り下ろす。

 

だが、カナデはバリアを発生させてイクサジャッジメントを防ぎ、翼に右足での回し蹴りをくらわせる!

 

その威力は大きく、翼は地面に吹っ飛ばされる。翼はすぐに起き上がるが、ここで変身を解除して・・・。

 

「立花!」

「はい!」

 

イクサナックルとベルトを響に投げ渡した!翼はシンフォギアを纏った姿に戻り、一旦直人の方に駆け寄る。

 

響は受け取ったイクサベルトを装着して、イクサナックルを右掌に当てる。

 

《レ・ディ・イ》

 

電子音声の後、響はイクサナックルを上に上げて、左から右へスライドさせる。

 

「変身!!」

 

《フィ・ス・ト・オ・ン》

 

イクサナックルをイクサベルトに装填。電子音声と共に、響は仮面ライダーイクサへと変身した!

 

更に、翼の時と同じくすぐにライジングに移行し、カナデに向かって走り出す!

 

 

マリア、セレナ、大牙、士の大人組がカナデを足止めしていたが、響が来たことで一旦離れた。

 

「ハアァァァァァァッ!!」

 

響はカナデに対する攻撃の手を緩めず、パンチのラッシュを浴びせる。

 

カナデはその全てを紙一重でかわして、最後のパンチをしゃがんで回避し右拳で殴る!

 

しかし、響は体を強引に「く」の字に曲げてギリギリながら回避。更にフエッスルを取り出してベルトに入れてナックルに読み込ませる。

 

《イ・ク・サ・ナ・ッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ》

 

ブロウクンファングを発動。エネルギーが溜まったイクサナックルを持ち、それで直接殴る!

 

カナデにクリーンヒットしたが、イクサナックルを両手で受け止めていた。

 

そのままイクサナックルを握り潰そうとしたが、響はそれを察知し素早く強引に離脱。

 

今度は調と切歌、直人と翼が四人がかりでカナデに攻撃を仕掛ける。

 

響は変身を解き、隣に着地したクリスに渡す。

 

「クリスちゃん、お願いね!」

「あいよ!」

 

渡してすぐに、直人達に加勢する。クリスは受け取ったイクサベルトを装着して、イクサナックルを右掌に当てる。

 

《レ・ディ・イ》

 

電子音声の後、クリスはイクサナックルを真っ直ぐ前に突き出す。

 

「変身!!」

 

《フィ・ス・ト・オ・ン》

 

イクサナックルをイクサベルトに装填。電子音声と共に、クリスは仮面ライダーイクサへと変身した!

 

そしてすぐにライジングに移行し、イクサカリバーのガンモードとイクサライザーの二丁銃でカナデに射撃を行う。

 

カナデが逃げられないように、と調が魔皇力を流して硬度を上げた刃付ヨーヨーのアームドギアを器用に操り縛り上げる。

 

弾が全て命中するが、カナデの体から少しの煙が出るだけだった。

 

クリスは慌てずフエッスルを装填してリード、「ファイナルライジングブラスト」を発動。

 

己の魔皇力もミックスして、強力な砲撃を放つ!その一撃はカナデにも確かなダメージを与えるが、カナデはヨーヨーを強引に引きちぎり離れる。

 

体から煙を立たせ、俯いたまま動かなくなるカナデ。

 

すると、カナデは急に顔を上げ、人間には理解できない言語で、呪文の様に唱える・・・否、上級魔術発動の為に呪文を詠唱していた。

 

全員、意味は理解できずとも高速攻撃で妨害しようとするが、間に合わなかった。

 

その魔術は、これまで皆が経験してきた魔術を上回る。

 

それはライフエナジーとファンガイアの死骸を集めてサバトを生み出す方法と同じだが、サバトを生み出す事が目的ではない。

 

高くジャンプして、高エネルギー圧縮体となった球体を真下に投げる。

 

全員慌てて離脱。地面に接した瞬間、それは爆発。

 

掌大にまで凝縮した高エネルギー圧縮体は音も振動も発さないまま弾け飛ばし、大規模の爆発と熱波を発生させる神の業火。

 

それは広範囲を灼熱のクレーターに変えてしまう。

 

「滅茶苦茶だっ!!」

 

《KAMEN RIDE》

《BUILD!》

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!》

 

叫んだ士は愛と平和を創造する戦士・・・仮面ライダービルドの姿になった。そして、士はネオディケイドライバーに更にカードを入れる。

 

《FINAL ATTACK RIDE》

《BU BU BU BUILD!》

 

出現したx軸で敵を拘束し放物線の上を滑るように加速し途中の点mで更に加速したキック・・・ボルテックスフィニッシュを当てる。

 

カナデはそれを受けて吹っ飛ぶが、宙を回るカナデを大牙がジャコーダーで拘束。

 

「ウェイクアップ!」

スネーキングデスブレイクを発動し、拘束した状態で魔皇力を流し込みダメージを与える。

 

そして、イクサに変身したままのクリスは、もう一度ファイナルライジングブラストを放ち追加でダメージを与えた。

 

そこでイクサナックルに搭載されているAIが自己判断により、変身を自動で解除した。

 

荒い息を整えるクリスに、響が寄り添う。

 

 

全員が警戒しながら無闇に攻撃せず、様子を見る。するとカナデは・・・。

 

「ハハハハハハハハハハ・・・・・・ハハハハハハハハハハ!!」

 

大声で笑いだした。

 

「凄い・・・短期間で強くなって、久しぶりの上級魔術もかわされて、まともなダメージも受けて・・・こんなにワクワクしたのは久しぶりだなぁ」

 

喜び、怒り、痛み、幸福・・・他様々な感情を込めて、甘い声で言うが・・・。

 

「もう時間かな・・・天羽 奏の体を返してあげるよ。でも・・・・・・」

 

 

 

 

 

「それは終わりじゃない、始まりだ」

 

そう言った瞬間、カナデの背中からステンドグラスで形作られたニ対四枚の翼が出現。

 

蛹から蝶が羽化するように、新たな肉体を得たカナデが奏の背中から現れた。

 

容姿は天羽 奏と瓜二つ。だが、髪と瞳の色は水色・・・奏と反対の色となっている。

 

カナデとの融合が解けて、シンフォギアも解けて美穂から受け取った服に戻って倒れる。

 

そのすぐ隣に着地するカナデ。この瞬間、カナデは新しい肉体を得て第二段階に至った。

 

「うん、いい感じかな」

「お・・・前ぇ・・・!」

 

カナデが自分の体の調子を確かめていると、倒れた奏がカナデの方を向く。意識はしっかりしており、その表情と声には強い怒りがハッキリと出ている。

 

「よくも、今まで・・・私の体で好き勝手しやがって・・・直人を、翼を、私が助けた子を、他の皆を・・・傷付けて!」

 

「あなたの体は居心地が良かったよ、ありがとう♪」

「うっ・・・」

 

そう言って、奏の頭を掴んで前に掲げる。奏は体に力が入らず抵抗できずにぶら下げられる。

 

「奏!」

「奏さん!」

 

翼と響がたまらず名を叫ぶが、カナデはニヤリと笑って・・・。

 

「約束通り、返してあげるよ。はいどうぞ!」

 

瞬間、奏の体を投げ捨てた。その力はかなり強く、下手したら奏の体は接地と同時にグシャリと潰されてしまうかもしれない。

 

それに対処したのは士だ。世界を移動する時などに利用する灰色のオーロラを出現させて、その中に奏を入れて保護した。

 

しかも、その中に翼と響と直人が奏を追いかけて入っていく。オーロラは皆から少し離れた所に移された。

 

カナデはその事に何の興味も示さず、士達の方を見る。

 

「さぁ、第2ラウンドだよ」

 

壮絶な笑みを浮かべながら、カナデは挑発するように手招きをする。

 

戦いは、まだ終わらない。




次回予告

新たな肉体を得たカナデは、士達と戦いを続ける。

そして、オーロラの中で直人、翼、響は開放された奏と話をする。


第十一話 進化する女神、奏の心


かつて戦い救った少女は、救われた者達と再会し、語り合う。互いの心がぶつかり合い、解れ絡み合う。


ーーーーーーーーーー


カナデが第二段階に至りました。エボル・フェーズ2みたいな感じです。

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