紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

6 / 65
序章 始まりの歌
第一話 始まりの平穏、崩れる平穏


「心の音楽に耳を澄ませ、心の歌を歌いましょう。大切な人へ、その歌を届けてあげるの。きっと、解り合えるから」

 

少年はかつて、自分の母親が言っていた言葉を思い出した。きっかけは無い、本当に突然だった。言われた当時はまだ幼かったから判らなかった。

 

 

でも、今ならわかる。歌は、自分の気持ちを、言葉にして大切な人へ伝えること。気持ちを伝える為に、言葉は存在するのだと。

 

そして、音楽は。自らの心を映す、鏡なのではないか。その鏡と向き合い、自分の心を・・・気持ちを知ることが、心の音楽に耳を澄ませる・・・ということではないか・・・。

 

 

 

 

 

「・・・驚いたな。旧式とはいえ、我々の保有する兵器達が、こんなに簡単に・・・・・・」

 

山梨県、北富士演習場。多くの自衛隊員や日本政府の人間が見守る中、一人の少年と二人の少女が、兵器を全て破壊したのだ。

 

茶髪の少年、蒼い髪の少女、橙色の髪の少女。三人がそれぞれ装束を身にまとい、手に武器を持っている。

壊れた兵器の中で、三人は平然と立っている。

 

 

「特異災害対策機動部二課が所持する、FG式回天特機装束・・・シンフォギア、か。まさかこれ程とは・・・」

 

 

特別な力を扱う三人。その三人は今・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「直人!私の話、聞いてるか?」

 

「え・・・あぁ、ごめんね奏。えっと、炎の精霊を使役して、『ちっちぇな』と言いながら世界を征服したいけど、どうすればいいかって話だっけ?」

 

「全然違あぁぁぁぁぁう!!でも私にピッタリそうだなその設定!」

 

「ごめん、何の話だっけ?」

 

 

「全く、ちゃんと聞いてくれよ。いいか?・・・・・・ヒマだ、何とかしたい!以上」

 

「ヒマって・・・」

 

「奏、今はまだ任務中よ。ちゃんとしないと・・・」

「固い事言うなよ翼~。将来はげちゃうぜ?」

 

 

待機室で、おしゃべりをしていた。

 

紅 直人。風鳴 翼。天羽 奏。この三人は、シンフォギア奏者として人類の脅威と戦う戦士だ。

 

 

 

「なぁあんた。この施設ってさ、暇つぶしに良い所ってない?」

 

奏は、この部屋に居る四人目・・・自衛隊員の津山一等陸士にたずねた。

 

「あの、勝手な行動は控えていただきたいのですが・・・えっと、娯楽施設としてはシアタールームくらいしか・・・」

 

「あはは、ごめんごめん。あんたは真面目だよねぇ」

「うん、翼みたいだよ」

 

「直人!」

「翼も昔は、もっと素直で可愛かったのにな・・・」

 

 

「えぇ!?か、可愛いって・・・私、あの、そんな・・・」

 

「幼なじみとしても鼻が高いよ。可愛い翼をたくさん知ることが出来たんだから」

 

「う・・・うぅ・・・直人の、いじわる・・・」

 

 

直人と翼は、幼稚園に入る前からの付き合い・・・いわゆる幼なじみだ。長い時を共に過ごしていく中で、翼は直人に何度も救われていた。

 

 

いつも一緒に遊んでくれた。不安なとき、怖いとき、いつもそばにいて手を握ってくれた。なぐさめてくれた。

怖い物から守ってくれた。

 

 

翼は幼い頃から直人に好意を抱いており、成長していき、直人への恋心をハッキリと自覚した。

 

奏は、翼の恋を応援しており、色々とアドバイスや工作を行っていた。

 

 

そんな奏にとっても、直人は大切な存在であることに変わりは無い。自分たちの支えになってくれる、優しい少年だから。

 

それに、そういう奏自身も直人の事を・・・。

 

 

 

「そうだ!直人、バイオリン、ひいてくれよ!持ってきてるだろ?」

 

「え?うん、もちろん持ってるけど・・・いいかな?」

 

翼の方を向いて訪ねる直人。翼は微笑んで肯定した。

 

 

「あぁ。私も、直人のバイオリンを聞きたい」

「わかった。津山さんも、ぜひ聞いてみてください」

 

「は、はい!」

 

 

直人はバイオリンをケースから出して、弦を持ち、構える。

 

 

すると、直人の雰囲気が一変した。優しい雰囲気が、真剣な物へと。そして・・・ゆっくりと引き出した。

 

 

その旋律に、翼も奏も、津山も聞き惚れる。とても神聖な、それでいて力強い不思議なメロディだ。

 

ポン、と弦を一回はじく音を最後に、演奏は終了した。

 

 

「・・・・・・すっごくよかったぜっ!やっぱり直人はすごいな!」

 

「うん。何度聞いても、すばらしい音色だったわ」

 

 

「・・・本当に、すごかったです」

「ありがとうございます」

 

 

礼儀正しく一礼する直人。音楽を通じて、四人の心に安らぎが生まれた。しかし・・・・・・。

 

その時間は、突然の警報と、特異災害対策機動部二課の司令、風鳴 弦十朗からの通信によって破られた。

 

 

 

『この基地内にノイズが大量発生!当たるのを幸いの大暴れしている・・・っ!』

 

『伝説の武器はこっちで預かってるわ。D300区画まで来れる?』

 

 

シンフォギア開発者、櫻井 了子も通信に加わる。

 

三人は肯定して、D300区画まで向かっていく。ノイズと戦う奏者・・・防人としての使命を果たすために!




頑張って書いていくので、よろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。