挿入歌も演出も戦闘シーンも台詞も・・・全てが最高でした!
今回、遂に奏を乗っ取った存在が登場。
「・・・・・・か、な・・・で・・・・・・?」
「奏・・・さん・・・・・・?」
翼と響は、呆然と呟く事しか出来ない。S.O.N.G.・・・旧二課の皆もとても驚いていた。
直人は仮面の奥で、苦虫を何匹も噛み潰したように、表情を歪めている。
目の前にいるのは、ファンガイア達の中心に降り立ったのは・・・。
ガングニールのシンフォギアを纏いながら、顔にステンドグラスの模様を浮かばせている、天羽 奏だった。
「・・・・・・・・・こんにちは。私は、
胸元に手を当てて、自己紹介をするカナデ。その口調は落ち着いており、奏の体を乗っ取った直後の幼い子供のような話し方では無くなっていた。
奏ではない、カナデだ。奏の体を乗っ取った存在・・・それが皆の目の前に現れたのだ。
奏と同じ名前を名乗り、奏と同じシンフォギアを纏って。
「来てくれたのは良いけどさ、あなた真面目に戦う気はあるの?」
「ふふ・・・大丈夫だよ美穂。私、強いもん」
「カナデ!お前が来たってことは暴れっぷりに期待して良いのか?」
「手加減はするけど、ちゃんと戦うから」
「あのあの、カナデさん!どうか助けてください!ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲あげますから!」
「もちろん助けるけど、ネオなんとかはいらないな」
革命団幹部三人と仲良く話すカナデ。直人が装者達を守るように前に出る。
「君が目覚めるとは思っていた・・・でも、わざわざ僕達の前に姿を見せるなんて、何を考えている?
「カナデ、だよ。その名で呼ばれるのは嫌いだな」
直人の言う名に、カナデは嫌そうな顔で反論する。側にいたクリスが言う。
「直人・・・そのオリジナルファンガイアって何だよ?」
「・・・・・・この世界に最初に誕生した、ファンガイアの男女を指す。
ファンガイアそのものがどうやって誕生したのかはわからない。それは"卵が先か鶏が先か"っていう話になるけど」
「いわば、ファンガイアの"アダムとイヴ"ってやつだね。私がイヴ・・・でも、私の名前はカナデだからね」
直人の説明に、カナデが追加で話す。
「私の肉体は昔はちゃんとあったんだけど、四十年位前に元の肉体を失って魂だけの存在になってた。
そして新しい肉体を構築するための"器"を探していて、見つけたのが天羽 奏なの」
「・・・・・・器?」
器という言葉に、翼が反応する。
「そう、器。新しい肉体の為に・・・・・・例えるなら奏の肉体は、たい焼きの鉄板。魂だけの私は形が定まっていない生地や餡かな」
「何で、たい焼きで例えてんのよ・・・」
美穂の突っ込みは皆にスルーされた。
「二年間何もしなかったのは、新しい肉体を作るのに激しく動くと新しい肉体がぐちゃぐちゃになるから。
時間をかけてゆっくりと、しっかりと肉体を構築する為なの」
「つまり、別の例えをするなら天羽 奏の肉体は蛹の外側。カナデさんの魂は蛹の中身です!
成虫になる前に中でドッタンバッタン暴れたら、成虫になるのに悪影響を及ぼすようなのです!」
「「博士、その例えはキモい」」
「グハッ・・・!」
美穂と零士に言われ、精神的ダメージを受けて崩れ落ちる。
「デメリット無くシンフォギアを纏えるように、奏の肉体を内側から少し
終わったら、奏の体は返してあげる。でもその前に・・・・・・あなた達で遊びたいなって」
カナデは、ガングニールのアームドギアの槍先を直人達に向ける。
「手加減はしてあげる・・・でも、あなた達は全力でおいで。じゃないと・・・・・・壊れちゃうよ」
美穂、零士、ウェルは後方に下がり観戦に集中することにした。
向けられた面々の内、翼と響以外の面々が前に出る。
直人、クリス、マリア、セレナ、調、切歌、士は各々の武器を構える。
「僕は・・・・・・奏を救うため、奏と戦う!」
「先輩、響・・・私は天羽 奏と面識が無いから、思い入れも躊躇いもねぇ」
「私もよ。二人が出来ない分は、私達が引き受けるわ」
「姉さん、私も一緒だよ」
「・・・行こう、切ちゃん」
「はいデス」
「あんなのと戦うのは初めてだが・・・まぁいい、やるか」
カナデと戦おうとする皆の姿に、翼と響は冷静さを失い目に涙を溜めながら、狼狽えが隠せない声で言う。
「ま・・・待って!お願い、奏を傷付けないで!」
「奏さんを助ける方法は、他にもあるはずですから!」
「・・・二人共、ごめんなさい。僕は奏を傷付ける罪を背負うことになっても、奏を救って二人に会わせるから」
直人は二人に優しい声で言い、そして全員が一気に走り出す!
「奏と・・・直人達が・・・戦う?奏が・・・ファンガイアになって・・・敵?嫌・・・・・・いやぁぁぁ・・・・・・!」
「奏さん・・・・・・う、うぁぁぁぁぁ・・・!」
翼と響は、奏がファンガイアに体を乗っ取られ敵として現れた・・・その残酷な現実を受け入れられず、戦意を喪失。
膝から崩れ落ち、泣くことしか出来なかった。
ーーーーーーーーーー
最初に攻撃をしたのはクリス。
《QUEEN'S INFERNO》
アームドギアとして形成した両手に携える2丁のクロスボウから、多連装のエネルギー矢を高速連射する。
カナデは鼻歌を歌いながら、連射されたエネルギー矢を体を傾けながらかわし、最後の一本は歯で噛んで止めた。
《
調はアームドギアから巨大な円状の刃を形成し、内側に乗り高速で突進する。
《
切歌はギロチン状に変形したアームドギアをセットし、ブースターを噴射させスリングショットのように突撃する。翡翠創造で、アームドギアの刃を纏うことも忘れずに。
しかし、カナデはエネルギー矢を口にくわえたまま、タバコのように吹かすふりをしながらアームドギアを上に向かって投げる。
そして空いた手で、二人の攻撃を左右の指一本で止めてしまう。
指には傷ひとつ付いておらず、カナデ自身は全く痛がっていない。
「「「嘘だろ!?」」」
クリスだけでなく、調と切歌も全く同じ言い方で驚く。
奏の体を傷付けることも覚悟の上で放った一撃。
決して手を抜いていない、全力の攻撃を余裕で止められた事に驚きを隠せない。
カナデは調と切歌のアームドギアから指を外し、口のエネルギー矢を持つと、それをクリスに向けて投げる。
それは、力をほとんど込めていない軽い投擲。それで尋常じゃないスピードを出す。
「ーーーーーーッ!?」
クリスがそれをかわせたのは、奇跡に近い。
咄嗟に、自ら横に倒れるようにかわす。クリス自身の戦闘センスの高さとこれまでの実戦で身につけた対応能力によるものだ。
地に伏したクリスは、後ろを見ると・・・・・・絶句した。
後ろにあったビル群の多くが瓦礫の山になり、使い物にならなくなった。
人々はシェルターに避難している為、人的被害は一切無かったが。
その破壊力はシンフォギアで例えるなら、絶唱やエクスドライブモードに匹敵する程の威力だ。
「・・・・・・あれ、軽く投げたつもりだったけど・・・力を入れすぎたかな。いや、そんな筈無いよね?
「・・・・・・あれで、十パーセント・・・・・・?」
「嘘デスよね・・・?」
調と切歌は顔を青くして絶句した。
絶唱やエクスドライブモードに匹敵する程の威力を出しておきながら、僅か十パーセントしか出していないというのだから。
「この程度でビックリしてたらダメだよ。私、まだまだ強い力を出せるからね」
調と切歌の耳元で囁くように言って、二人の額にデコピンをする。
それは、五パーセントにも満たない力だが、二人は吹っ飛び、瓦礫の山となったビル群とは反対側のビルに激突。
気を失うことは無かったが痛みがすごく、額から血を流しながら倒れ、暫く立ち上がれない。
次はマリアとセレナと士。イヴ姉妹は同じ技を発動する。
《HORIZON†CANNON》
アームドギアである短剣をマリアは左腕部ユニットの、セレナは右腕部ユニットの肘部側から装甲内部に再び納刀するように接続。
左腕部ユニットが、多数の光り輝くフィンを有する射撃形態へと変形。
掌部を変形させ形成した砲身から、高出力のエネルギー光波を迸らせる。
《FINAL ATTACK RIDE》
《DE DE DE DECADE》
ディケイドの必殺技の一つ、十枚のカード型エネルギーを潜りながら強化されたエネルギー弾を撃つ、ディメンションブラストを放った。
斬撃ではなく、砲撃で攻撃する。三人の砲撃が纏まった巨大なエネルギー。
カナデはここで、初めて歌う。その歌は静かで穏やかで、しかし何の感情が籠められていない。
淡々と全てを消すように・・・そんな意味がある歌詞から歌われる"死の歌"だ。
そして、アームドギアを持ったまま突進。アームドギアを用いた突進で砲撃を突破して・・・。
半分以上、砲撃を突破したことで破損したアームドギアを投げ捨て、士を拳で殴る!
「ッ!?ガァァ・・・ッ!」
一発のパンチで、ディケイドの装甲に大きなヒビを入れて倒す。変身が自動で解けて、士は殴られた所を押さえながら、痛みに耐える。
更に、イヴ姉妹の二人を超高速のキックで吹っ飛ばしてしまう。イヴ姉妹はキック一発で大きなダメージを受けて戦闘不能になってしまう。
僅かな時間で、直人以外の皆が戦闘不能になってしまった。
「~♪」
死の歌を奏でながら、カナデはアームドギアを再生成して直人の方へ歩く。
「・・・・・・」
「やべぇ・・・直人、あいつやべぇよ!」
「ここは一時撤退した方がよろしいかと・・・!」
キバットとタツロットも危機感を抱き、撤退を促す。
「・・・・・・本当なら、そうするべきだろうけど」
直人はザンバットソードを構える。
「奏を目の前にして、何もせず諦めて逃げるなんて・・・自分自身で許せない!」
決意を宣言した直後、直人は足に力を込めて一気に走る!
ザンバットソードを研ぎ澄まし、それを構えて一閃。
「ふん」
カナデはそれをノーガードで受け止める!しかし、それでも体に傷ひとつつかない。
ウェルの作った鎧すら簡単に斬り裂いたザンバットソードの刃が、全く通らない。
「魔皇力で奏の体をコーティングしているのか・・・・・・」
「女の子の体は、いつも綺麗にしていないとね」
カナデは超高速でアームドギアで攻撃する!
吹き飛ばされながらも、直人はザンバットソードを地面に刺して急ブレーキをかける。
止まった直後、カナデは直人の眼前におり、直人の顔を殴る!
二回攻撃を受けただけで、エンペラーフォーム状態の直人も耐えられず、変身が解けてしまう。
仮面ライダーも装者も、僅かな戦闘で全滅してしまう。残っているのは、戦意の無い翼と響のみ。
「「・・・・・・・・・・・・」」
二人は、目の前の光景をただ呆然と見ることしか出来ず・・・・・・。
カナデが二人にゆっくりと歩み寄るが、二人は皆が全滅し奏が攻撃をしようとしてくる事に精神が耐えきれず、気を失ってしまった。
「あれま」
カナデは気絶するのは予想外だったのか、軽く驚きながらも興味を失い背を向けた。
「ふふ、久しぶりの良い運動になったな。さぁ、三人も一緒に帰ろうよ」
カナデは美穂達を連れて、ワープの魔術でアジトへ帰還する。
そのすぐ後、ヘリが複数台到着。装者達を乗せて本部へ急いで搬送していったのであった。
カナデ相手に、皆は完全な敗北をしてしまった・・・。
次回予告
カナデとの戦いで、体に傷を負った者達・・・心に傷を負った者達。皆は再び立ち上がれるのか・・・。
第七話 堪えられぬ悲しみ、立ち上がる勇気
カナデが残した傷は深い。しかし、いつまでも悲しんだままではいられない。
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本日、新しい活動報告も投稿いたします。
カナデは現時点での強さは、例えると「仮面ライダーエボル・フェーズ1」位です。
奏の体から出たら、フェーズ2やフェーズ3位になるかと。
そして、奏の体を乗っ取ったのは世界で最初に誕生したファンガイア・・・その片割れの"イヴ"です。
そして奏とカナデ・・・同じ名前です。カナデという名の理由は、いずれ書くカナデの過去のお話で。
ところで、"アダム"はどこに?