紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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早めに書けたので、更新いたします。情報量が多くなっておりますので、ご注意下さい。

切歌の二つ名と、三種の神器について少し修正しました。

二章の六話と二十一話と、登場人物の方も修正しました。


第五話 邪悪な道具、魔皇の魔剣

キバットとウェルの杉○大戦からすぐに、今度こそちゃんとした戦いが始まった。

 

「ではでは、始めさせていただきましょう。僕が開発したこの道具・・・"ファングライザー"の実戦テストをね!」

 

ウェルが取り出したのは、奪取したイクサシステムのデータを元に開発した物。名はファングライザー。

 

イクサベルトと同じ形だが、全体が黒くベルトとナックルが最初から一体化している。

 

また、イクサベルトの赤い玉のパーツ「イクサジェネレーター」は真っ赤になった眼となっていて、全体的に不気味な感じを抱かせる。

 

「なるほど、青空の会から奪取したデータを元に作ったのか・・・」

 

「ハッキングの犯人は変態ドクターってわけか!さっさとぶっ倒そうぜ直人!」

 

 

ウェルはここで己の姿をファンガイアの物に変えた。

 

ウェルのファンガイア態、それは様々な生物の特徴が融合している人工生命体。

 

クラス不明、真名不明の生物・・・キメラ。

キメラファンガイア、それがウェルの新たな姿と名前。

 

さらにファングライザーを装着し、禍々しい模様がついた黒いフエッスルを取り出してベルトに入れて・・・。

 

 

着装(ちゃくそう)!」

 

掛け声の直後ナックル部分を押し込むと、重く暗いメロディが短く鳴りウェルの体に鎧が装着されていく。

 

鎧といっても、全身を覆うものではなく胴体と両腕の肘から指先までと、両足の膝から足の指先までだ。

 

しかし、ファングライザーによる鎧を装着する事で防御力を高めるのはもちろん、装填したフエッスルによっては特殊な効果を発揮可能。

 

今回ウェルが使ったのは、能力なしで鎧を纏うだけのスタンダードな物。

 

しかし、それは戦闘が得意ではないウェルを補うには十分な物だ。

 

「あ゛ぁ゛~~~良いですねぇ良いですねぇ!僕の発明はまさに英雄の装備に相応しい・・・さぁ始めましょう!」

 

「私達は好きにやらせてもらうわよ、いいわね轟木」

「OK、派手にいこうか!」

 

ウェルの相手は直人、翼、マリア。

美穂の相手は士、響、セレナ。

零士の相手はクリス、調、切歌

 

それぞれに別れることになった。

 

 

 

零士は銃を構える。そして美穂は・・・。

 

「立花 響。私もあなたに合わせてあげる・・・・・・感謝して倒されなさい」

 

 

首にかけたペンダントを取り出して見せた。それは・・・シンフォギアのペンダントだった。

 

「シンフォギア!?」

驚く響達をよそに、美穂は聖唱を歌いシンフォギアを身に纏った。

 

 

S.O.N.G.仮設本部でも、その反応を感知していた。

 

「新たなシンフォギア反応を感知!聖遺物のデータベースと照合・・・・・・一件ヒットしました!」

 

モニターに映ったデータを見て、弦十郎が叫ぶ。

 

八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)だとぉ!!?」

 

 

それは天叢雲剣と同じ三種の神器の一つ、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)の欠片から作られたシンフォギア。

 

黒と白の二色で、両手に勾玉をイメージしたトンファー型のアームドギアを持っている。

 

シンフォギアから流れる曲は和風ロック。

美穂の"人間への否定の気持ち"と、"響への敵対心"が歌詞となっている。

 

「ーーーーーっ♪」

それを激しく歌い、響、士、セレナに攻撃を仕掛ける。

 

三人はそれをかわし、着地。

 

「美穂ちゃんが、シンフォギア装者・・・!?」

「ぼさっとするなら死ねぇ!」

 

美穂の猛攻は止まらない。しかし、その攻撃を士の銃撃とセレナの短剣が阻止する。かわすために、美穂は攻撃を中断して距離をとる。

 

「響さん、大丈夫?」

「あ、ありがとうセレナさん」

 

「随分張り切ってるな。なら、俺も少しは本気を出した方が良さそうだ・・・・・・変身」

 

《KAMEN RIDE》

《DECADE!》

 

ネオディケイドライバーの上からカードを入れて、ディケイドに変身する。更に、もう一枚のカードを入れる。

 

「狐には、鬼で勝負だ」

 

《KAMEN RIDE》

《HIBIKI!》

 

清めの音を奏でる音撃の戦士・・・仮面ライダー響鬼の姿になった。

 

「私!?」

「違う!」

 

響鬼(ヒビキ)という音声に(ひびき)が反応するが、士が即否定する。

 

士は専用武器の、音撃棒烈火を取りだし、先の鬼石に炎を灯してそれを美穂に向けて放つ。

 

美穂の虹色の炎弾を撃って相殺、トンファーで攻撃しようと一気に接近する。

 

しかし、その攻撃は読まれており、士はカウンターの要領で音撃棒烈火による打撃を与える。

 

「ガッ・・・!?」

美穂はすぐに立ち直るが、士は反撃の隙を与えないように更に連続で攻撃していく。

 

美穂はトンファーで防いでいくが、余裕はない。

 

(一撃一撃が重い!これじゃ魔術を使う余裕も・・・!)

美穂は反撃できず、ただ防戦一方になっている事に苛立ちを募らせる。

 

士が美穂に更に重い一撃を与え、美穂を地に倒す。そして、士はネオディケイドライバーにカードを入れる。

 

《FINAL ATTACK RIDE》

《HI HI HI HIBIKI!》

 

「わ わ わ 私!?」

「違う!」

 

響鬼(ヒビキ)という音声に(ひびき)が反応するが、士が即否定する。

 

士はネオディケイドライバーから出現した音撃鼓で美穂の動きを封じ、清めの音を叩きこむ音撃打を放った!

 

大きなダメージを受けて、よろける美穂。

 

まだシンフォギアを使用しての戦いに慣れていない事に加えて、初めて会った時から更に多くの世界での戦いを潜り抜けてきた士の強さに敵わない故に、ここまで苦戦していた。

 

響とセレナも、美穂の反撃を警戒しているが響は考え直して構えを解く。

 

美穂を説得しようと美穂に近づいていき・・・。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

零士が魔皇力を操り、銃から魔術の弾丸を放つ。相変わらずの高威力で、着弾点に小さなクレーターが出来る。

 

クリスは矢を、調はノコギリを、切歌は鎌の刃を飛ばして攻撃。

 

零士はその全てを撃ち落とし、更に追撃をかけるために銃弾を放つ。

 

それは切歌に向けて放たれた。クリスと調はその事に気付いて助けようとするが、切歌は冷静だった。

 

少し深呼吸して、手を前に出して・・・。

 

 

 

 

翡翠創造(エメラス・クリエイト)!!」

 

 

切歌は、己自身の魔皇力を操り・・・半年の特訓によって使えるようになった己の魔術を発動する!

 

瞬間、切歌の前方に宝石のエメラルドのように翡翠色に透き通る結晶が壁のように現れて銃弾を防ぐ。

 

更に、翡翠の結晶が形を変えて一本の槍になり、切歌は零士に向けて投げる!

 

零士はそれを横に飛んで回避するが、避けられた槍は粉々に砕けて消える。

 

切歌はすぐに翡翠創造を再発動、イガリマのアームドギアの刀身に翡翠の結晶を纏わせて、切れ味を更に上げる。

 

そのまま零士に突撃し、鎌で切り裂く。零士は銃で受け止めて防御するが、何と銃が二丁とも切り裂かれた!

 

「マジかよ!?」

零士は驚き、すぐに銃を手放して下がった。刀身に纏われた翡翠の結晶が砕け散り、消える。

 

 

「すげぇ・・・切歌のやつ、あんなに魔術を使えるようになったのか・・・」

「切ちゃん、かっこいい・・・!」

 

クリスは驚き、調は目を輝かせる。

 

切歌が使えるようになった魔術、翡翠創造(エメラス・クリエイト)は切歌のオリジナル魔術である。

 

切歌は魔皇力を頭に描いたイメージ通りに形にする、「創造系」の魔術が得意という事が判明した。

 

それから、聖の特訓によって切歌は宝石のエメラルドのように具現化するようになった。

 

イメージ通りの形にして、武器や防具にしたり。アームドギアに纏わせて切れ味を上げたり。

 

 

様々な事が出来るようになったが、聖の言うとおりまだまだ未熟。

 

魔皇力の練り方や精度、イメージの早さ、強度・・・全てが未熟である。

 

しかし未完成であるが故に、今後も成長が可能な魔術だ。つまり、翡翠創造は切歌と一緒に成長する魔術なのである。

 

 

零士は少しの間、地に落とした切断された銃を見ていたが、クックックと笑いだす。

 

「クックック・・・・・・ハハハハハハハハハハハハ!!やるじゃねぇか明光の翠刃・・・いや、暁 切歌!お前が気に入った!」

 

零士は切歌を名前で呼び、切歌を評価した。

 

 

「あなたに気に入られても・・・嬉しくないデス!」

 

切歌は油断なくアームドギアを構える。クリスと調も切歌の両隣に立ちアームドギアを構える。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

直人、翼、マリアの三人はウェルと戦っていた。

 

しかし、ファングライザーによって纏った鎧の強度はかなりの物で、アームドギアでは僅かなダメージしか与えられない。

 

「素晴らしい!僕は今、僕が作った発明品に興奮している!」

 

悦の感情に支配されているウェル。三人は何とかしようと考え、直人は一つ思い付く。

 

「あれを使うか・・・・・・翼、マリア、ごめんね」

「「きゃっ!?」」

 

直人は翼とマリアを抱えて後ろに下がる!

 

「逃げるのかぁ!?」

ウェルも三人を走って追いかける!

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

直人が翼とマリアを担いで下がったのは、丁度響やクリス達の交戦している場所の中間・・・装者達が並んだ。

 

「・・・・・・タツロット、あれを出して」

「はい!久しぶりですねぇ。そーれ!」

 

タツロットは口からあるものを吐き出した。それは、直人の切り札。

 

手に入れた時から、直人の力になってくれた"最強の武器"。

 

炎は形となり、直人の手に収まる。それの姿を、装者やファンガイアの皆が目にする。

 

 

それは、剣。巨大な魔皇石を削って作られた刀身を持ち、幻影怪物ザンバットバットが剣と直人の仲介役を果たす。

 

剣先に赤い魔皇石が付いていたり鍔の部分に皇帝の紋章が付いているなど、装飾も豪華。

 

 

「あれが・・・!」

「魔皇剣・・・!」

 

 

「ザンバットソード」

 

 

美穂、零士、直人が紡いだ剣の名はザンバットソード。これこそ、ファンガイアの王のみが持つことを許された、この世に存在する剣の中でも最強の存在!

 

「あの剣は・・・・・・!」

 

「あれはザンバットソード。ファンガイアの王の為に作られた特別な剣だ。この世に存在する刀剣類の武器で、ザンバットソードの右に出るものは無いかもな!」

 

驚く翼達に、キバットが説明した。そして、直人は右手にザンバットソードを右手に持ったままウェルに向かって、ゆっくりと歩く。

 

 

「キバッて行くぜ!」

「変身!」

「テンションフォルテッシモ!」

 

直人はエンペラーフォームに直接変身し、ザンバットバットを掴んでスライド、刀身を研ぐ。

 

「舐めるな!そんな剣を持ったくらいで僕の発明品に勝てるはずが無い!」

 

ウェルは左腕で殴りかかるが、直人は慌てず左腕の装甲部分を斬るとそれは簡単に切り裂かれる。

 

「え!?」

 

アームドギアでも傷が付かなかった装甲は、いとも簡単に斬られる。

 

今度は右手で攻撃するが、それも簡単に斬られる上に今度は胸部装甲を数回連続で斬り、ズタボロにしてしまう。ウェル自身にも大きなダメージを与える。

 

 

「嘘だ・・・シンフォギアの攻撃は勿論、ファンガイアの攻撃にだって耐えられる強度にしたのに!

 

零士や美穂と直接戦闘を行って強度実験だって行ったのに・・・幹部達からもお墨付きを得られたのに!」

 

「今後、どんなに装甲を固くしても無駄ですよ。この剣は・・・・・・僕が斬りたいと思った物を必ず切り裂く!」

 

直人はザンバットバットに付いているフエッスルを取り、キバットに吹かせる。

 

「ウェイクアップ!」

 

メロディが鳴り響く中、ザンバットバットを動かし、ザンバットソードの刀身に容量ギリギリまで魔皇力を注ぎ刀身を真紅に染める。

 

ザンバットバットの位置を戻し、構えてから一気に走る!

 

ヤケクソに叫んで攻撃するウェルをかわし、腹部のファングライザーのみを切り裂く!

 

ザンバットソードを用いての斬撃必殺技、ファイナルザンバット・斬を発動したのだ!

 

切り裂いてから、ザンバットバットを動かして魔皇力を削ぎ落としていく。そして全て削ぎ落としザンバットバットを元に戻す。

 

そして、ファングライザーは真っ二つに切り裂かれ完全に破壊された!

 

 

ウェルは人間の姿に戻って倒れる。

 

「そんな・・・バカなぁ!?」

 

己の発明品が敗北した事が受け入れられずにいるが、直人にザンバットソードの切っ先を向けられて静かになる。

 

「これで終わりです」

 

直人の言うとおり、美穂とウェルは敗北し零士は武器を失った。状況は革命団が圧倒的不利だ。

 

それでも、と悪あがきをしようとしたその時・・・。

 

 

 

 

 

一人の少女が、空から直人達の元に落ちてきた。

 

「おいおい、この感じ・・・まさかお前が来たのかよ!」

「気まぐれとはいえ、来てくれたのは感謝すべきかしら・・・」

「せめて着地の時はゆっくりと降りてくださいよぉぉぉぉぉぉ!?」

 

零士、美穂、ウェルは誰が来たのかわかったのか、それぞれが言いたいことを言う。

 

 

煙が立つが、それも少しして晴れた。落ちてきた少女・・・それは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・か、な・・・で・・・・・・?」

「奏・・・さん・・・・・・?」

 

翼と響は、呆然と呟く事しか出来ない。他の装者やS.O.N.G.・・・旧二課の皆もとても驚いていた。

 

直人は仮面の奥で、苦虫を何匹も噛み潰したように、表情を歪めている。

 

目の前にいるのは、ファンガイア達の中心に降り立ったのは・・・。

 

 

ガングニールのシンフォギアを纏いながら、顔にステンドグラスの模様を浮かばせている・・・・・・。

 

 

 

天羽 奏だった。




次回予告

現れたかつての仲間であり恩人である者は、敵となっていた。その力はあまりにも・・・。


第六話 現れた奏、奏でられる死の歌


こんな形で会いたくなかった、そんな思いは届かない。ただ無慈悲に純粋に、力を使うだけ。


ーーーーーーーーーー


ついに奏が現れました。次回は、奏の事についての説明も入れようと思います。

活動報告も投稿します。よろしければご覧下さい。

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