紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

去年の内に投稿したかったのですが、年末年始故の忙しさがあって投稿が遅くなってしまいました。


第二十二話 決戦、そして・・・

全員のシンフォギアがXD(エクスドライブ)へと、至った。

 

奇跡の歌によって成された、奇跡の力。その力を今、装者達はネフィリムに向けて行使する!

 

すでに土台はネフィリムの抵抗で崩壊しているが、装者達は飛び、他の皆は再び駆けつけてくれたキャッスルドランに乗っている。

 

「ここは僕達が!皆は下がっていて!」

「頼む!」

 

キャッスルドランが離れていった所で、最初に動いたのは調と切歌。

 

二人は強化されたアームドギアで斬りかかるが、攻撃の直後にシンフォギアのエクスドライブのエネルギーまでもが吸われてしまう。

 

このままではネフィリム・ノヴァは爆発、地上は蒸発する。

 

しかし、それでも皆は諦めない。

 

次に前に出たのはクリス。クリスは先程回収したソロモンの杖を使い、バビロニアの宝物庫を開く。

 

エクスドライブモードの出力も合わせて、入り口をどんどん大きくしていく。

 

バビロニアの宝物庫内部にネフィリム・ノヴァを隔離するためだ。その中ならば爆発しても地上に被害は出ない。

 

「人を殺すだけじゃないってことを、証明して見せろよ!ソロモオォォォォォォォン!!」

 

クリスの叫び(想い)に答えるように、ソロモンの杖は出力を更に上げて、遂にネフィリム・ノヴァが入れる程に大きくなった。

 

装者達はそのままネフィリム・ノヴァを避けて後ろ穴に入る。ネフィリム・ノヴァもそれを追いかけていく。

 

その後、閉じる直前に()()()()()()()

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

バビロニアの宝物庫内部は、ノイズが数えるのも嫌になる程の数が犇めいている。

 

ソロモンの杖の力でも、この数のノイズはコントロール出来ない。

 

ネフィリム・ノヴァも直人達を倒そうと攻撃を仕掛けるが、それは氷の盾に止められる。

 

 

レティアとクロード・・・グラトリン姉弟だ。

 

 

「レティアさん!クロード君も!?」

「地上に戻ったからクー君の所に行ってね、どうするかを聞いたら立花ちゃんの助けになりたいって聞かなかったから、連れてきたの」

 

レティアはエクスドライブとなった響を見る。

 

「それがエクスドライブかぁ・・・私もそういうの纏ってみたいわ」

 

「響お姉ちゃん、大丈夫!?」

「うん!平気、へっちゃらだよ」

「よかったぁ・・・」

 

「ウラヤマシイ、ネタマシイ・・・この妬みはネフィリムにぶつけてやるわ!行くわよクー君!」

 

レティアとクロードはファンガイアの姿になり、響の隣に並び立つ。

 

「一緒に戦ってくれるんですか!?」

「ここまで来たら乗り掛かった船よ!最後までやってやるわよ!」

 

「一緒に頑張ろう!」

「・・・うん!もちろん!」

 

二人の加勢により、自然と役割は決まった。

シンフォギア装者が周囲のコントロール外のノイズを、グラトリン姉弟がネフィリム・ノヴァの足止めを担当する事になった。

 

装者達はエクスドライブの力を存分にふるい、向かってくるノイズを倒していく。

 

レティアがウォーターカッターでネフィリム・ノヴァの伸ばす触手のような光を切り裂く。更に大きな氷塊を出して投げた。

 

クロードは己の出した幻覚・・・カラフルな大量のブロックを、更に魔術で実体を持たせて一気に放つ。

 

氷塊と大量のブロックをぶつけられる。

 

 

しかし、ネフィリム・ノヴァはここまでのしつこい皆に怒りを抱き、力を溜めた触手の鋭い一撃を放つ!

 

その狙いはクロード、真っ直ぐに向かっていく。

 

「ーーー!」

クロードは気づいたが、間に合わない。それは真っ直ぐにクロードを・・・・・・。

 

 

貫かなかった。

 

「お・・・・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・・・・?」

「クー君・・・大、丈夫・・・・・・?」

 

レティアが、クロードを庇って貫かれていた。魔術を発動する余裕も無かった為に、己自身を盾としてクロードを庇い守ったのだ。

 

刺さった触手が抜かれ、レティアの体に空いた穴がハッキリと見える。ファンガイアの姿から、人の姿に戻る。

 

「お姉ちゃあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

クロードの絶叫が皆にも聞こえ、レティアの惨状を目の当たりにして慌てて駆け寄った。

 

「レティアさん!」

「良いのよ・・・クー君を守れたんだから・・・。それにこれは致命傷ね。もう、長くないわ・・・回復の魔術でも、間に合わない」

 

「そんな・・・!?」

「やだよ!死なないでお姉ちゃん!」

「・・・立花ちゃん、今はネフィリムに集中しなさい!私は今すぐ死ぬ訳じゃないから・・・」

 

「レティアさん・・・・・・クロード君、レティアさんの側にいてあげて!」

 

装者達は動く、レティアの意思を無駄にしない為に!

 

 

「調ちゃん、切歌ちゃん!」

「「はい!」」

 

直人に答え、調と切歌は直人と手を繋いで共に飛ぶ。

魔皇力のパスが形成され、調と切歌に直人の魔皇力が供給される。

 

「最大出力で行きます!」

「デス!」

 

二人は手を繋いだまま新たな技を発動する。

 

 

調は武装の一部を分離して巨大なオートマタに再構成、頭部に騎乗し操作する。

 

その一部には、直人の魔皇力によって出来た宝石のルビーのように輝く装甲が付いている。

 

切歌は右手にに紅色の三枚の刃が付いているアームドギアを持ち、更に自分の魔皇力も追加して振り回し斬りかかる。

 

 

紅Ω式(こうオメガしき) ディストピア》

 

紅虐・Ne破aァ乱怒(こうぎゃく・ネバーランド)

 

 

調と切歌がネフィリム・ノヴァに接近して、そのまま一閃!

 

魔皇力によってコーティングを施したので、今度はエネルギーが吸われることはない。確かにダメージを与えた。

 

 

「直人!」

「直人さん!」

「行くよ!」

 

今度はマリアとセレナが直人と手を繋いで共に飛ぶ。

魔皇力のパスが形成され、二人に直人の魔皇力が供給される。

 

二人は腕部ユニットからアームドギアである短剣を引き抜き、それに連なって引き出された無数の短剣を周囲の空中に展開。

 

紅色の短剣を今まで以上の数を展開し、一斉に投擲する。

 

《CRIMSON†CRIME》

 

それは全てネフィリム・ノヴァに命中。苦しみ、動きが止まっている隙に、クリスが更にソロモンの杖を発動し、現実世界へと繋ぐ穴を広げる。

 

レティアとクロードを抱え、皆はネフィリム・ノヴァが爆発する前に穴から出るために急いで移動する。

 

しかし、ネフィリム・ノヴァが先回りし、通せんぼをするように立ち塞がる。

 

「もう少しなのに・・・!」

「だったら・・・皆で、手を繋ぎましょう!」

 

響の言うことに従い、装者達が手を繋ぐ。

すると、レティアとクロードも端にいるクリスと切歌と手を繋ぐ。

 

「私達も・・・入れてくれる?」

 

「でも、レティアさんにも負担がかかってしまうんじゃ!?」

 

「どうせ死ぬことに変わり無いならば、せめてここから出てから死んでやる!」

「お姉ちゃん・・・、僕もお姉ちゃんがここに残されたままなんてもっと嫌だ・・・!」

 

レティアとクロードの決意、それは変わらないとわかり、皆は動く。

 

マリアと響のギアの各部パーツが分離してそれぞれ巨大な金の右手と銀の左手を形成、十人をその両手で包んだ状態で軸回転しながら突進を行う。

 

それは繋がれ、繋がりあった手がもたらす力。

 

 

《Vitalization》

 

 

「「最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に!!」」

 

響とマリアの言葉が重なり、皆の力や魔皇力が合わさり一直線に、ネフィリム・ノヴァを貫く!

 

それはネフィリム・ノヴァに当たり、更に貫通して空いていた穴から現実世界へと帰還した!

 

 

疲労困憊で倒れる装者の女子達。直人は立っているが、流石に疲労している。

 

そこに、未来が駆け寄ってソロモンの杖を手に取る。

直人も一緒に手に取り二人で閉じかけているバビロニアの宝物庫の扉へ投げる。

 

杖は吸い込まれるようにバビロニアの宝物庫に投げ込まれ、ネフィリム・ノヴァが爆発する寸前に扉は閉じた。

 

恐らく、ネフィリム・ノヴァの爆発で杖はもちろん、内部のノイズも爆発によって殆どが消えているだろう。

 

こうして、ネフィリムとの戦いは終わった。一人の大きな犠牲を払って・・・・・・。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「はぁ・・・・・・終わった、かぁ」

 

レティアの体は・・・命は、限界だった。体にヒビが入り、いつ砕けてもおかしくない状態だ。

 

「お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」

クロードは泣きながらレティアに抱きつく。

 

「何とか・・・出来ないんですか?」

響が直人に訪ねるが・・・。

 

「・・・」

直人は静かに、しかしハッキリと首を横に振る。もう、レティアを助ける術はない。

 

 

レティアはクロードを抱きしめながら、己の言葉を伝える。

 

「クー君、よく聞きなさい」

「お姉・・・ちゃん?」

 

「あなたはこれから、私のいない世界で生きなければならない。

どんなに悲しくても、辛くても、泣いても・・・私は死ぬ・・・いなくなる事は変えられない」

 

「お姉ちゃん・・・そんなの、やだよ・・・!」

「大丈夫・・・あなたは強い子だもの。それに、あなたは一人じゃない」

 

レティアが顔を上げて直人達を見る。

 

「あなたには・・・立花ちゃん、小日向ちゃん、魔皇にシンフォギア装者の皆がいる。もうあなたは一人ぼっちじゃないわ」

 

「でも・・・お姉ちゃんがいない・・・そんなの、嫌だよ・・・!」

 

「全く・・・本当に甘えん坊なんだから・・・。クー君、一つお願いがあるの」

「お願い・・・?」

 

 

「生きて、私の分も」

その一言には、レティアの想いの全てが込められていた。

 

 

「私の死はきっと、私への罰よ。いくら共存が嫌だから、クー君の為とはいえ世界に混乱をもたらした私には死という罰が下される。

 

そしてクー君もその中に加担していた。そんなクー君への罰は、私の分も生きること。

 

私のいない世界で私の分も生きて、この世界を見届けなさい」

 

レティアの体がどんどん崩れていく。ステンドグラスの体組織がボロボロと崩れ落ちていく。

 

「お姉ちゃん・・・!?」

レティアは痛み、苦しみに負けずクロードに笑顔を見せる。

 

「・・・・・・クー君、大丈夫。私は死ぬけど、クー君をずっと見守っているわ。地獄に落ちても、ずっとクー君を想い続ける」

 

「お姉ちゃん・・・そんな事言わないでよぉ・・・!」

 

「・・・立花ちゃん、小日向ちゃん・・・そして皆。クー君の事、お願いね。この子は人を襲っていない、だから・・・」

 

「もちろんです、約束します!クロード君は私達が支えます!」

「レティアさん・・・安心してください。私達はずっと、クロード君の味方です」

 

「閃紅の魔皇としても・・・紅 直人としても、クロード君を守っていくと誓います」

 

響、未来、直人が誓いの言葉を言う。他の皆も真剣な表情で頷き誓いとした。

 

それを見て、感じて安心したレティアだが、とうとう体に、命に・・・限界が訪れる・・・。

 

 

 

「クー君・・・クロード、私をお姉ちゃんにしてくれてありがとう。大好きって言ってくれて、ありがとう。私も大好きよ、愛してる・・・わ・・・・・・」

 

 

遂にレティアの体が砕け散った。レティアの最後は、終焉の革命団幹部としてではなく・・・クロードの姉としての最後だった。

 

 

ライフエナジーの塊が空高く上がっていく。その光景はまるで・・・レティアの魂が、天に召されていくようだった。

 

 

クロードが泣きながら、上っていくレティアのライフエナジーに手を伸ばす。逝かないで、ずっと一緒にいてと言いながら。

 

でも・・・・・・届かない。

 

響と未来がクロードに駆け寄り、クロードを抱きしめた。二人の腕の中でクロードは泣き続けた。涙が出なくなるまで・・・ずっと。

 

 

 

こうして、後世で「フロンティア事変」と呼ばれる大きな戦いは幕を下ろす事になった。

 

世間では、宣戦布告を行った革命団の女性は死亡したが、構成員はまだ残っており、今後も調査と警戒、検挙を行っていく・・・と公表された。

 

ちなみに米国政府は、フロンティア事変の時に軍艦や基地に大きな損害を受けた上に、保管していた魔術書を盗まれる等散々であり、革命団の調査に力を入れていく事になった。

 

 

クロードはその後、大牙と直人の保護下に置かれる事になった。

 

協議の結果、クロードは特に罰則などは設けず直人の元で預かる事になった。紅家にクリスに続いて新たな同居人が増えたのだ。

 

数日は共存派の施設に入っていたが、その後は紅家に引っ越し、正式に紅家の一員となった。

 

 

クロード自身は本音を言うと、一番なついている響、未来と一緒にいたかったが女子校の女子寮に入るわけにもいかずこのようになったのだ。

 

響と未来も学園が休みの日は、紅家に行ってクロードと交流を持っている。他の皆もクロードが少しでも寂しく無くなるように、と思い交流している。

 

クロード自身は皆との交流で笑顔でいるが、夜はレティアの事を思い出して泣いてしまう事があり、直人やクリスと一緒に寝ることがあるという。

 

 

そして、レティアは死亡しクロードも幹部を抜けて直人達と共にいる事を望んだため、革命団の幹部は四人となった。

 

浅間 美穂、轟木 零士、五人目、そしてまだ見ぬ六人目。しかし、彼らはグラトリン姉弟の件で少しも悲しんでいない。

 

共存世界の破壊のため、彼らは動き続ける。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

フロンティア事変から半月後。某国、重要犯罪者収容所。そこのウェルの入っている牢獄があった。弦十郎に英雄たる事を否定され発狂した後、ここに送られたのだ。

 

ウェルはネフィリムの力を得たとはいえ、それは聖遺物と聖遺物の力を持つものにのみ適応される。

 

聖遺物では無いものには何の効果も発揮されず、普通の人間と何も変わらない為、ウェルが入っている牢獄も人間用の物になっている。

 

そして今、ウェルの収容された牢獄の前に、一人の人物が立っていた。

 

 

「ウェル博士・・・お久しぶりです」

 

「・・・・・・ケビン?」

 

声をかけられたウェルは、その声に反応して顔をあげる。ウェルは痩せ、目も虚ろで生気が減っているようだ。

 

 

三十代前半の金髪の男性、ケビン・ウェード。ウェルの助手として働いていた男性であり、マリア達に改良型LiNKERを提供している。

 

「あなたは、とても優秀で・・・私が出来なかった事を形にして・・・そんなあなたを心から尊敬して助手になって・・・・・・。

 

どうしてあなたは、英雄になることに固執しているのですか?英雄になるためなら、何をしても良いというのですか?」

 

「ケビン・・・僕は・・・」

何かを言おうとしたウェル。しかし・・・。

 

 

 

 

「英雄・・・英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄英雄・・・エイユウになりタイ、助けテ、ケビん」

 

 

 

狂っていた。ケビンの事は認識しているが、やはりというか英雄たることに固執し妄念に憑かれていた。

 

ケビンは悟った、この人はもう駄目だ・・・と。ケビンは立ち上がり、ウェルに背を向ける。

 

「私は今後も、マリアさん達に支援を続けます。あなたが本来やるべきだった事を・・・さようなら、尊敬していたウェル博士」

 

尊敬していた・・・・・・過去形になり、ケビンは去っていった。

 

ウェルは再び下を向いて英雄と呟いていたが・・・。

 

 

 

「やれやれ、元気無くなったなウェル博士」

ワープの魔術を使い牢獄の中に転移してきたのは、轟木 零士だ。

 

「轟木・・・・・・零士?」

 

零士は人払いと防音の結界を張って、ウェルに言う。

 

 

「ウェル博士、このままだとあんたは()()()()()()()()()()()()

「・・・どういう・・・事だ?」

 

零士は一枚の紙を取り出して、ウェルに見せる。その内容を簡単に語ると・・・。

 

『国際取引の結果、それまでの罪状もろとも人権も存在も抹消した上、その身にネフィリムの力を宿していることから「人」ではなく「物」として扱い、異端技術の管理特区「深淵の竜宮」に監禁する』

 

・・・という事を決定した内容を記した紙である。

 

 

その事を読んだウェルは怒りがこみ上げてきて、目に光が灯り生気も戻ってきた。

 

 

「ふざけるなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

人権抹消?物扱い?監禁?英雄になるこの僕を・・・物扱いして監禁だとおぉぉ!?

 

認められるか!認められるか!!認められるかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

声の限り怒りのままに叫ぶ。紙を力を込めて握り潰す。

 

零士は耳を塞いでいた手を離してウェルに悪魔の囁きをする。

 

 

「だよなぁ?許せないよなぁ?俺達はあんたの頭脳と技術を高く評価してる。こんな所で腐らせるのは勿体ないと思っている。

 

そこでだウェル博士・・・あんた、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・・・・・・・・・・何?」

 

零士は野球ボールサイズの、ステンドグラスの模様が入った球体を取り出す。

 

「こいつを埋め込めば、あんたはファンガイアになれる。そしたらあんたを革命団で保護し、新たな幹部に迎え入れる。

 

あんたが元々持っている優れた技術と頭脳・・・そこにファンガイアの長い寿命と魔的な力を併せ持った存在になれる。その上で活動していけば、きっとあんたは英雄になれる。

 

どうする?ファンガイアになる事と引き換えにここから出て英雄になるか。人間のままでいる変わりに物扱いされて幽閉されるか・・・・・・」

 

ステンドグラス模様の球体と、紙を交互に見て・・・・・・ウェルは決めた。狂気の笑みを浮かべて。

 

 

「ハハハ・・・・・・アーッハハハハハハハ・・・・・・!ならば、答えはひとつだぁ・・・・・・!」

 

ウェルは紙を両手で持って、全力で破り捨てた。そして狂気のままに叫んだ。

 

 

「終焉の革命団にぃ!忠誠をぉぉぉ!!誓おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

「ハハハハハハハハ!人間ってこういう面白い所があるから、嫌いになれねぇんだよなぁ!いくぜ博士!」

 

零士は笑い、球体を腕ごとウェルに埋め込んだ。腕を離した直後、傷が即座にふさがり、ステンドグラスの模様がウェルの体全体に行き渡り・・・。

 

「オォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

ウェルは、ファンガイアへと変貌した。手に入れたばかりの圧倒的な力で牢を破壊して、零士と一緒に出ていく。

 

「革命団にようこそ・・・ウェル博士。新たな幹部として歓迎するぜ」

 

「えぇ、貢献を約束しますよ。あなた達には恩が出来ましたからねぇ!今度こそ英雄になる・・・アハハハハハハハハハ!!」

 

ウェルは、人であることを・・・人の心を捨てた。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

様々な事が、大きく変化していく。それは未来にどのような影響を与えていくか・・・それはまだ、わからない。

 




次回予告


第二章・最終話 喜びの祭典、想いを込めて


ーーーーーーーーーー

次回でG編の最終話となります。なるべく早く出したいと思っています。

クロードが紅家に住むというのは、以前は考えていなかった事でしたが、変更してこのようにしました。

SP話を、クロードがいる状態で書き直したいと思っています。

ウェル博士が凄いことになりましたが、ここでウェル博士を逃がさないと今後博士の登場が怪しくなってしまうので・・・。

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