紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます!

今年の初投稿です!


第十五話 その力は、あなたに届くか

 

「レティアさん・・・あなたを止めます!」

響がイクサに変身し、レティアに向かって走る。

 

「私を止められるのは、クー君だけだ!」

レティアも周囲に水の塊を複数浮かせながら響に応戦する。

 

イクサに変身しても、響の戦い方は変わらない。今まで通り、拳を握りしめ振るうのだ。

 

 

「何やってんだあのバカ響!」

「早く止めないと・・・!」

 

クリスとマリアが慌てて止めようとしたが・・・それを直人が止める。

 

「皆、ここは響ちゃんに任せよう」

「どうしてデスか!?」

「響さんが危ないよ・・・!」

 

「響ちゃんが言ったでしょ、最速で、最短で、真っ直ぐに前に進む、何も出来ないという絶望に打ち勝つって。

 

ここでそれを止めてしまうのは、響ちゃんの決意を無駄にする行為だ」

 

「だが、立花の身にもしもの事があったら」

 

「響ちゃん自身もそれはわかってると思う。でもガングニールを纏うよりは危険は少ない。

 

それに、響ちゃんの決意は揺るがない・・・だからこそ、啓介さんもイクサを貸したんだ」

 

「そうだ。俺は彼女の決意を尊重し、イクサを貸したんだ」

 

皆の所に啓介と健吾が合流した。啓介は翼達に頭を下げながら言う。

 

 

「皆、ここは立花君に戦わせて欲しい。これは必要な事なんだ。

 

それに、非難されるなら立花君ではなく、イクサを貸した俺だ。責任は俺にある。立花君ではなく、俺を責めなさい」

 

健吾も同じように頭を下げた。

 

「俺達が立花ちゃんを見つけたとき、出来る事をやれって言うたんは俺や。俺にも責任があるけど、立花ちゃんは好きにやらせて欲しい。この通りや!」

 

頭を下げる二人に、装者達は少し考えた末に頷いた。

弦十郎達も響の戦いを見守る事にした。直人達はすぐに動けるように身構える。

 

皆が注目する中、響とレティアの戦いは続いていた。

 

 

 

「ホラホラホラホラホラァ!」

「やあぁぁぁぁ!」

 

レティアが水の弾丸を幾つも放ち、響は走りながら避けて接近していく。

 

途中で避けられず当たってしまう事もあったが、響は怯まず走る。最速で、最短で、真っ直ぐに一直線に。

 

 

「はぁっ!」

響はレティアのすぐ近くまで来て、鋭いパンチを繰り出す。

 

レティアは手を前にかざして、氷の盾を作り出して防ぐ。しかし・・・。

 

パリイィィィィン!と砕ける音と共に氷の盾が砕け、響のパンチはレティアに届いた。

 

(うそ!?)

レティアは内心で驚いた。響のパンチがレティアに届き、更に響は追撃をかけていく。

 

更に胴体を数回殴り、最後に回し蹴りをくらわせる。

 

イクサエンジンからもたらされるパワーがどんどん上がっていき、響に更なるパワーを与えていく。

 

ジャンプして上空から殴りかかるが、レティアは両腕から水の鞭を生成。それを降るって響を叩き落とした。

 

更に鞭を振るうレティア。響はすぐに体制を立て直し、足に力を込めて再び走る。

 

レティアの振るった鞭を響は無我夢中で掴む。何と水の鞭を掴むことが出来た。

 

 

「どっせーーーーーい!!」

「あれぇぇぇぇ!!?」

 

背負い投げのように投げて、レティアを地面に叩きつける。更に自分の元まで引き寄せて頭突きを当てる。

 

倒れるレティア。

「あたた・・・強いな立花ちゃん。正直、甘く見てたけど・・・」

「ハァ、ハァ、ハァ・・・」

 

息を切らしている響。初めてイクサに変身して、しかも負けられない戦いであることから来る緊張感が強いからだ。

 

何とか息を整えた所で、レティアが仕掛ける。氷を両手にパンチンググローブのように固め、ファイティングポーズを取る。

 

「立花ちゃんの得意分野で勝負よ!」

「行きます!」

 

響も拳を強く握りしめて、二人は殴りあう。

装甲でも、ファンガイアの体でもダメージが伝わる程の衝撃が襲う。

 

 

打ち合う内にレティアの方が押していき、響の隙をついて力を込めた一撃を当てて吹っ飛ばす。

 

「ぐっ・・・!」

「良いの入ったわね。どう?まだ戦う?」

 

「もちろんです・・・!私は諦めません!」

 

響の言葉に答えるように、イクサの"クロスシールド"は展開されてバーストモードになった。

 

「いいわね、あなた面白いわ!でも、これでトドメよ!」

 

 

レティアは両手の氷を砕いて手を自由にした。

そして、大気中の水分を大量に集め、一つの大きな水の塊を作り出した。更にそれを凍らせて大きな氷の大玉に変えた。

 

質量が大きく、真正面から当たればイクサを纏っていてもただではすまない。

 

しかし・・・・・・響は諦めない。イクサの仮面の下では、響は勇ましい表情になっていた。

 

そして、レティアが氷玉を放つ前に、フエッスルを取り出してベルトに入れてナックルに読み込ませる。

 

 

《イ・ク・サ・ナ・ッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ》

 

ブロウクンファングを発動。エネルギーが溜まったイクサナックルを持ち、レティアに向かって走る。

 

レティアは響に向けて氷玉を投げる。そして、響は迫り来る氷玉の下に来て・・・。

 

 

「行けえぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

迫り来る氷玉に対してブロウクンファングを放つ。下から放たれたエネルギーの塊が氷玉を下から上へと打ち上げ、高く上がり・・・上空で爆発した。

 

砕け散る氷玉。細かい破片が雪のように降り注ぐ。

 

 

「・・・・・・お見事!!」

 

 

レティアは純粋に心からの称賛の言葉を送った。そして、レティアに向けて響が全力のパンチを放つ。

 

レティアはそのパンチをノーガードで受け、背後のビルの壁まで吹っ飛んだ。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・」

響の変身が解けて、ナックルとベルトが地面に落ちた。

 

流石に響も限界で倒れそうになるが、すぐに駆け寄った直人が優しく受け止める。

 

「直人さん・・・」

「よく頑張ったね。格好良かったよ」

 

「えへへ・・・」

 

直人に誉められ、笑顔になる響。翼達も響の元に集まり、お説教やら何やら言われたが最後には皆が誉めた。

 

 

すると、レティアが起き上がって来た。人間の姿に戻っていて体もボロボロだが笑みを浮かべていた。

 

「いいわね立花ちゃん・・・美穂ちゃんがあなたに夢中になった理由がわかったわ」

 

「美穂ちゃんが・・・?」

「ふふふ・・・またね」

 

レティアはワープして姿を消した。二課からノイズの反応も無くなったと連絡が入った。

 

大牙もファンガイアとの戦いを終えて合流。敵ファンガイアは、ワープしたレティア以外は全て倒した事も確認できた。

 

「・・・・・・」

 

響は掌を見つめる。イクサに変身して戦った事で皆を救えた事を実感し、グッと拳を握った。

 

 

 

「・・・・・・」

 

そんな響を、少し離れた所から浅間 美穂が見ていた。

 

イクサに変身して戦い、力も心も強くなった響を見て美穂は強く拳を握った。そして何も言わずに姿を消した。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「・・・・・・ってな訳で、この戦いは立花 響の勝ちでしたとさ」

「・・・・・・」

 

轟木 零士は、シェルターの人がいない所に小日向 未来を連れていき、魔術によって響とレティアの戦いの映像を中継して見せていた。

 

魔術を消して、零士は未来に言う。

 

 

「んで、お前が戦ってほしくないと思ってもあいつは戦う、止まらねぇさ・・・いいな、あぁいう奴は俺も嫌いじゃないぜ」

 

「響・・・・・・」

 

ガングニールの侵食を受けて、それでも尚戦う響。未来は響が止まらない事を苦しく思う。

 

すると・・・。

 

 

「てな訳で・・・お前に提案があるけどよ」

 

零士は未来に"あるもの"を見せた。

 

 

「これは・・・!?」

「大人しく俺達の所に来れば、こいつをプレゼントするぜ・・・使えるようにもしてやるが、どうする?」

 

零士が見せたもの・・・それは、シンフォギアのペンダントだった。

 

ウェル博士が、未来は零士が見せているシンフォギアの適合者であることに気付いており、零士に言葉巧みに未来を連れてくるように依頼した為だ。

 

 

未来はシンフォギアを見て、考えた末・・・頷いてしまった。

 

 

 

そして、未来は姿を消した。

 

 




次回予告


帰ってこない未来。だが、未来は無事である事はわかっている。そんな時、弦十郎が特訓を提案する。

そして特訓の中で、伸び悩む戦姫達に直人はあることを語る。


第十六話 始まる特訓、語りの時


今は何も出来なくても、出来る事を見つけたい。それが道を切り開くと信じて。


ーーーーーーーーーー


次回は、G編九話の特訓話を掘り下げた感じの話です。

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