『緊急ニュースです。本日、アメリカの現地時間○○:△△分にて終焉の革命団の仕業と思われる、政府関係施設襲撃事件が発生しました』
『こちら、現場の□□です。○○:△△分、QUEENS of MUSICの会場で終焉の革命団の存在を知らしめた女性の姿が確認された瞬間、ノイズを放ち施設内の人々を殺害し、施設も爆破したとの事です』
『また、こういった事はアメリカのみならず、複数の国でも同じような事が起こっています!』
『現在、日本ではそのような事は起こっていませんが、政府は警察組織と協力して警戒を強化していく方針を発表しておりー』
『他国でも同じように警戒を強化し、市民を守ることに全力を尽くすとコメントを発表しております』
『この件について、どう思われますか?』
『例の女性は、"この世界の掟に不満を抱きし者達の集い"と言っていましたね。この世界の掟を作っているのは政府ですから。
革命団という反政府組織として本格的に動き出したのでしょう』
『何故今まで動かなかったのでしょうか?』
『これは私の推察ですが・・・』
響とクロードの出会いから数日後。テレビでは、革命団による政府施設襲撃事件のニュースが繰り返し報道されている。
革命団は遂に動き出した。目立つのを避けていた方針を変えてでも。
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同時刻、D&P社・東京本社第一会議室。一番広い会議室内では大牙、護、弦十郎といった組織の上に立つもの三人を中心に人々が集まっていた。
直人、啓介、恵等の戦う戦士達。響や翼達シンフォギア装者達。
響は戦えないが、戦闘以外なら参加は制限が無い為である。
「皆、集まってくれてありがとう。今から話し合う内容は、ニュースでも報道されている革命団による政府施設襲撃事件についてだ」
皆が真剣な表情のまま話を聞く。最初に語るのは弦十郎だ。
「革命団が襲撃した施設は、米国の聖遺物研究施設であり、そこはFIS関係の施設でもある。そして、施設内の聖遺物の欠片が盗まれた・・・ですね、ナスターシャ教授」
「えぇ。その研究施設に保管されていた聖遺物は欠片だけで完全聖遺物は無い筈です。
考えられるとすれば、ネフィリムをまた復活させてからの餌として確保しておこうと考えたのかもしれませんが・・・・・・」
「ファンガイアが、聖遺物を・・・八咫鏡の時と同じか」
「・・・えぇ・・・・・・ですが」
「何か、他に気になる事でも?」
「・・・その研究施設は、かつてフィーネ・・・櫻井 了子が一時在籍していた事のある場所なのです」
ナスターシャの証言に驚く一同。了子はフィーネとして暗躍していた時に米国政府とも繋がっていた。それを考えれば、米国にも活動拠点となる研究所等があってもおかしくない。
「シンフォギア関連の資料は盗られていないようですが・・・。
もしかしたら櫻井 了子が他の場所に隠しているシンフォギア関係の資料も狙われている、或いはもう革命団側にあるかもしれません」
「フィーネは革命団と繋がってた。もしかしたら、協力の対価としてシンフォギアのデータを得ていても可笑しくねぇと思う」
一時的にフィーネと行動を共にしていたクリスは、ファンガイアと電話していた場面を見ていた。
クリスの言うとおり、ファンガイアの技術を得る対価にシンフォギアの技術を与えていた可能性があるが、実際はわからない。
「わかった。では、続いて嶋会長。青空の会側の報告をお願いします」
「わかった。我々青空の会は、もう一人の戦士を助っ人としてこの東京に呼んだ」
「え、助っ人ですか!?」
驚く響に、啓介が答える。
「あぁ。今後は我々だけでは対象しきれない事が増えていく可能性があることを考慮してな」
嶋が続きを言う。
「それで、その助っ人をここに呼んで話し合いに参加してもらう予定だったが・・・遅いな」
嶋は腕時計を見ながらまだ来ない隊長の事を言ったその時、ドアがノックされる。
大牙がどうぞ、と言うと一人の青年が入ってきた。
黒髪の一部に金色のメッシュを入れている男性で若者が好む私服を着ている。全体的に「若者」という感じが強い。
しかし、鍛えられた体から発せられる雰囲気は戦士という感じも纏っている。
「すんません!東京に不慣れなもんで遅れてしまいましたわ!元々いた場所は東京より田舎なもんで・・・おぉ直人!久しぶりやな!」
「健吾君!」
入ってきた人物は直人を見て嬉しそうに挨拶して、直人も喜んで名を呼んだ。
「直人の親友、
バンドグループ、"イケメンズ"のリーダーやってますわ!そして、青空の会の戦士として参戦や!」
直人達の所に現れた男性は、襟立 健吾。
二年前に直人と出会い、ギターとバイオリンという音楽を通じて仲良くなり、親友となった男だ。
直人は健吾の所まで駆け寄って、握手をかわす。
「健吾君、来てくれてありがとう!」
「何水臭い事言うとんねん!俺らはダチや、ダチの力になるのは当たり前やないの!」
直人は笑顔でお礼を言い、健吾も笑顔で答えた。
「驚いたよ、健吾君がもう一度戦士になって戦ってくれるなんて」
「直人を驚かせよう思うて黙ってたんや。ふふふ、それは成功やな」
「バンドも上手くいってるみたいだね。僕もCD買ったよ」
「ホンマか!おおきに!日本中をジンジン言わせてるで!
でも上手くいっとるは確かやけど"ツナ義ーズ"には勝てへんのや。
リーダーが夜は焼き肉っしょー!言うてるバンドなんやけど、メンバー全員が演奏も歌もホンマ上手いのなんの!」
日本に存在するバンドのランキングで、イケメンズは二位。一位がツナ義ーズである。
イケメンズも日本各地で高い人気だが、ツナ義ーズには一歩及ばない。
「ほら、二人とも。再会出来て嬉しいのはわかるが、会議を再開しよう」
「あ・・・ごめんなさい」
「すんませんでした!今会議に加わりますんで!」
軽く注意した嶋に謝り、二人は席に座る。
「俺も皆の力になる、よろしく頼みます!」
健吾が頭を下げて、皆が拍手で暖かく受け入れた。
ちなみに余談だが、健吾が装者達と改めて自己紹介しあった時、健吾自身も大ファンである翼とマリアの存在に、また騒いでしまった。
その時・・・・・・。
ブラッディローズが鳴った。
敵が来たのだ。
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レティア・グラトリンはソロモンの杖を持ち、多数のノイズを出現させて東京の街中を堂々と歩いていた。
更に、別の場所ではレティアの部下であるファンガイアが別動隊として動いていた。
既に住民は避難済みだが、レティア達の目的は住民の殺害でもライフエナジーを奪うことでもない。
では何か目的か・・・それは、東京に存在する聖遺物を入手することだ。
ナスターシャの予想通り、ネフィリムを復活させてからの餌を補給すること。
その為に「たまにはテロ組織みたいな事をやってカモフラージュしておこう」、という軽い気持ちで実行していた。
ワープの魔術で様々な場所にワープして聖遺物の欠片等を奪い、最後は日本を残すだけとなった。
「・・・・・・おいでなすったか」
レティアは小声で呟く。上を見上げると、ヘリコプターからジャンプして、装者達がシンフォギアを身に纏い着地。レティアと対峙した。
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「細かい事は言わない。私達は壊して奪う。あなた達は守る。それで十分でしょう?・・・・・・やれ」
レティアがやれと命じた瞬間、ノイズ達が一斉に装者達に襲いかかる。
更に、魔術で生成した氷を
直人、翼、クリス、マリア、セレナ、調、切歌の七人で大量のノイズ達を次々と倒していく。
氷柱を避けながら直人と翼の斬撃が、クリスが銃撃が、マリアの力強い突撃が、セレナによる短刀の雨が、調と切歌のユニゾンがノイズの群れを一掃。
七人の力の前にノイズは無力に等しい。しかし、そこに響がいないだけで必要なピースが欠けている感覚がある。
すると、レティアはソロモンの杖を器用にバトンのようにクルクルと回しながらチアガールのように踊る。
それに連動して、ノイズが追加で召喚される。
「いいわね、楽しくなってきた!」
レティアは本当に楽しそうな笑顔で躍りながら、ノイズを追加召喚していく。
装者達は慌てず対処する。流石にレティアもノイズでは直人達を倒せないと思ったのか、躍りを一旦止めてソロモンの杖を亜空間にしまう。
そして自身の姿を怪人態・・・ホエールファンガイアに変えて直人達と対峙する。
更に、レティアは魔術によって空気中の水分を集めて水を作り、腕を指揮棒のように振りながら操っていく。
「勝負」
「キバって行くぜぃ!」
「変身」
直人もキバに変身。装者達はアームドギアを構えて・・・。
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同時刻。別の場所ではレティアの部下であるファンガイアが二体、別々に行動していた。
その内一体は既に、大牙が変身しているサガと戦っている。
残る一体はまだ敵と遭遇していない為、スムーズに動いていたが・・・。
「待たんかい!」
ファンガイアの前にイクサに変身した啓介と健吾が現れた。EFSでサーチして来たのだ。
「その命、神に返しなさい!」
啓介は勢いよく走る。ファンガイアも同じように走り、お互いの拳がお互いの顔面に当たった。所謂クロスカウンターだ。
啓介は即座にパンチをファンガイアの腹に当てて、一旦下がってからイクサカリバーを銃形態にして銃弾を放つ。
ファンガイアがダメージを受けて怯んだ所で、健吾が飛び蹴りを当てて吹っ飛ばした。
更に、吹っ飛んだファンガイアに背負っていたマシンガンを構え、青空の会が開発した対ファンガイア銃弾を放つ。
健吾は過去にイクサとして戦っていた時期があり、一旦はイクサを止めてからもトレーニングは欠かさず行っていた。
「まだまだいきましょう、師匠!」
「無論だ!」
啓介と健吾は追撃をかけるべく、ファンガイアに向けて走り出した。
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レティアは作り出した水を自身の周囲に出しながら立っている。
直人は走って攻撃を仕掛けようとしたが、一瞬嫌な予感を感じて急停止して後ろへ下がる。
すると、直人がいた前方に一瞬遅れてシュバッという音が聞こえたかと思うと、アスファルトに剣で斬られたような線が出来ていた。
しかし、レティアは剣どころか何も武器を持っていない。レティアはクスクスと笑いながら説明した。
「ウォーターカッターって知ってる?加圧した水を小さな穴から勢いよく出すことで切断等の加工を行うという技術。
水の中に研磨材を入れて使えば、鉄鋼や宝石だって加工できるのよ」
「・・・まさか、それを魔術で再現しているのか!?」
「ピンポーン。ぼさっとしていると、スパッと斬られちゃうよ?スパパパーン!」
魔術によるウォーターカッターが複数、直人や装者達に襲いかかった。
それを避けた調と切歌が丸ノコと鎌の刃を放つ。更にセレナの短剣のクリスのミサイルが雨のように降り注ぐ。
しかし、それはウォーターカッターがアッサリと切り裂いてしまう。一つ残らず全てを。
マリアが隙をついて槍を構え、突進を繰り出す。反対方向から翼も斬りかかる。
しかし、レティアが使っているウォーターカッターが自動的に二人に迎撃。アームドギアの刀と槍は切断されてしまう。更にレティアは二人の頭を掴んで近くのビルまで投げ飛ばしてしまう。
翼とマリアはビルに激突する前に、走って駆け寄った直人に受け止められた。
ウォーターカッターの魔術は皆の予想を越えた威力と万能性を発揮していた。
あれがある以上、レティアに迂闊に近距離攻撃も遠距離攻撃も出来ない。
「あははははは、楽しいな!もっともっとかかっておいで!」
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「・・・・・・・・・・・・」
立花 響は、シンフォギアを纏って戦うことを禁止されている以上、戦闘に参加できない。
その為、シェルターに逃げ遅れた人の捜索や保護を行っていたが、それも終わった。後は未来のいるシェルターに自分も向かうだけ、なのだが・・・・・・。
「やっぱり、モヤモヤするな・・・・・・こういうの」
自分だけ戦えず、安全な所にいないといけない事に心の中にモヤモヤした気持ちを抱えていた。
しかし、この時の響は未来も同じような気持ちを抱いている事に気づいていなかった。
響は気持ちを切り替えるように頭を数回横に振り、シェルターに向かおうとしたその時、響は啓介と健吾がファンガイアと戦っている場面に遭遇した。
しかも、響の視界には隠れて戦いの様子を伺っている子供の姿もあった。
逃げ遅れていた子供が、戦闘の場面に出くわしてしまい、動けなくなってしまったのだろう。
そして、ファンガイアが手に持った銃から放たれた銃弾が拡散し、周囲を破壊していく。
その中の一発が子供の真上が直撃し、壊れた破片が降り注ぐ。
啓介と健吾がその事に気付き、駆け寄ろうとするが間に合わない。しかし・・・。
「キャアアアッチ!!」
響は即座に動き、子供を抱き締めて破片の届かない所まで運んだ。
「大丈夫?ここにいると危ないよ。早くシェルターに」
「うん・・・!」
子供は素直に頷いて、一番近くのシェルターの入り口へ走っていった。
「立花ちゃん!」
「襟立さん・・・」
「おおきにな。君のお陰であの子供は助かったで」
「・・・・・・そうですよね」
《イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ》
「はあぁぁぁぁぁ!」
「ギエアアァァァァ!」
イクサジャッジメントがファンガイアを倒した。
啓介は健吾と話している響の表情が暗い事に気付いた。
「私、今・・・・・・モヤモヤしてるんです。戦えなくても、自分に出来ることをやっていこう。
そう決めた筈なのに、力を持つ者として皆と一緒に戦えない事が・・・。皆が傷付きながらも戦っているのに私だけいない・・・それが・・・・・・自分自身への絶望になってて・・・!!」
響は俯きながら、体を震わせながら、心にあった己の気持ちを打ち明けた。
今の自分には力がある。その力を持っているのに使えず、仲間達が戦っているのに何も出来ない。
その現実は、響を深く悲しませ悔しいという気持ちを強くしていた。
両腕が無くなっても、両足が無くなっても、言葉が無くなっても、前に進む・・・・・・。
レティアに力強く告げた宣言。それを守れていない、果たせない自分自身に絶望すらしていた。
すると、健吾は数秒考えてから、勢いよく響の両肩に両手を置いた。
「立花ちゃん、よう聞き。俺もかつて、自分自身に絶望した事があったんや」
「え・・・?」
「直人と出会って、ダチになった中でファンガイアの存在を知って青空の会に加わったんや。
その後、俺にとってのキツーイ現実・・・怪我でギターが弾けなくなって、直人は俺に隠し事してて、師匠には見捨てられたって事があったんや」
「あの時は・・・本当にすまなかった・・・」
「もぉ仲直りしたからえぇですって。んで、そんな現実に打ちのめされて、もっと力が欲しい思うて戦士としての訓練をしたんやけど・・・・・・」
健吾はかつて、ギターを弾けなくなり、周りからも見捨てられたというショックから冷酷になった事もあった。
「その中でもう一度自分を見つめ直す機会を得て、それで俺は気付いた。
大好きなギターが出来なくなったという現実から逃げているだけやったんやって」
しかし、それらは全てギターが出来なくなったという現実から目を背けて戦いの中に逃げていたに過ぎなかった。
「んで直人や師匠に謝って、仲直りしてもう一度ダチに、そして弟子になったんや。
それはな、自分自身への絶望に打ち勝つ事が出来たからなんや」
「自分自身への絶望に打ち勝つ・・・・・・」
「立花ちゃん。俺は立花ちゃん本人やないから、立花ちゃんの自身への絶望はわかるとは言わへん。
でもな、立花ちゃん。その絶望から目を背けて逃げる事はやったらアカン。
打ち勝つ為に必要なのは、逃げずに立ち向かう勇気や。要するに、キバって行くぜ!ってことやな!」
「・・・・・・あははは!今のキバットみたいですね!」
「そうやろ?似てるやろ?」
「はい!・・・・・・襟立さん、ありがとうございます。私、諦めようとしてたんですね。
戦うのを禁止されているからって、落ち込んでいたんですね。立花 響、もう大丈夫です!」
「よし!良い笑顔やで!」
元気な笑顔を取り戻した事で、健吾も笑顔になった。
「立派になったな、健吾」
「へへへ、師匠や直人のお陰です!」
「それは嬉しいな・・・さて、立花君」
「はい?」
「君にこれを」
そう言って、啓介は響にあるものを手渡した。
「え!?これ・・・良いんですか?」
「構わない。責任は全て俺が持つ。だから・・・己の絶望に負けないように、成すべき事を成せるように、前に進みなさい。後、終わったらちゃんと返しなさい」
「・・・わかりました!啓介さん、襟立さん、ありがとうございました!」
響は二人に頭を下げて、直人達の元に向かって走り出した。
「立花君を追いかけるぞ」
「はい、師匠!」
二人も響を追いかけていく。
ーーーーーーーーーー
「スッパパ、スッパパ、スッパッパ~♪」
レティアは楽しそうに歌いながら、ウォーターカッターに格闘を駆使して直人達を翻弄していた。
QUEENS of MUSICの会場で戦っていた時は手を抜いていた・・・それがよくわかる程に今のレティアの強さは桁違いだった。
「強すぎるデス!全然近づけないデス!」
「スッパパされちゃう・・・」
「狼狽えるな!ここで屈しては、共存は崩壊してしまうわ!」
「マリアの言うとおりだ!心を強く持て!」
「でも、本当に強い!」
「マジどうするんだよ!」
「本当に、どうするかな・・・」
すると・・・・・・。
「レティアさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「スパ?」
レティアが横を向くと、そこには響がいた。走ってきたので息を切らしているが、目は鋭くレティアを見ている。
「響ちゃん!?」
「どうして!?」
「あらら、立花ちゃん。あなたも来たの?」
「レティアさん・・・皆をこれ以上襲わないでください」
「それは無理でーす。っていうか、立花ちゃんは何しに来たの?」
「・・・・・・レティアさんを止めに来ました!」
響は啓介から借りた物を取り出した。それは・・・・・・イクサナックルとイクサベルトだった。
「おいバカ!それは!?」
「立花!?」
皆が驚く中、響はイクサベルトを巻き付け、ナックルを構える。
「私も、共存を望むファンガイアや人々の為に、立ち止まりたくない。最速で、最短で、真っ直ぐに・・・前に進む!何も出来ないという絶望に打ち勝つ!!」
皆に聞こえるように大声で言い、ナックルを掌に当てる。
《レ・ディ・イ》
電子音声の後、イクサナックルを上に上げて、左から右へスライドさせる。
偶然なのか、それは過去にイクサを使った男・・・紅 音也と同じポーズだった。
そして、響は叫んだ。
無力な自分を捨て、前に進み戦うための言葉を。
「変身!!」
《フィ・ス・ト・オ・ン》
イクサナックルをイクサベルトに装填。電子音声と共に、イクサナックル内のアーマーの映像が現れ、響の身体と重なった。
純白の鎧を身に纏い、響は仮面ライダーイクサへと変身した!
だが啓介が変身していた時とは異なり、イクサメットの防護装甲、"クロスシールド"は展開されておらずセーブモードのままだった。
「良い着心地!」
響は拳を握りしめ、ファイティングポーズを取り・・・。
「レティアさん・・・あなたを止めます!」
宣言の直後、響はレティアに向けて走り出した!
次回予告。
変身した響は戦う。レティアはそれに応じる。その戦いで響は、悩み俯く自分に勝てるか?
第十五話 その力は、あなたに届くか
決めた覚悟を拳に乗せて、少女は目の前の敵に立ち向かう。その力は、悪意を打ち砕けるか?
ーーーーーーーーーー
健吾が登場しました。これからは彼も直人達に協力してくれる頼もしい仲間です。
響がイクサに変身しました!装者をイクサに変身させるのはやりたかった事の一つだったので、書けて良かったです。
今後、響以外の装者もイクサに変身して戦う事も考えています。