紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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お待たせしました。忙しくて、書くのが遅くなってしまってしまいました。


第五話 交わされる情報、決める時。

「QUEENS of MUSIC」の事件の翌日。

 

 

特異災害対策機動部二課に関係者が集結し、話し合いが行われることになった。

 

 

 

弦十朗、直人を含むシンフォギア奏者。許可を取った未来も加わっている。

 

ナスターシャ教授と、マリア達新たな奏者四人。

 

素晴らしき青空の会から、会長の嶋と秘書兼護衛として名護 啓介。

 

チェックメイトフォーのキング、登 大牙と秘書兼護衛としてチェックメイトフォーのルークの大男。

 

 

以上の者達が集結した。

 

 

 

「久しぶりですね、紅君」

「お久しぶりです、ナスターシャ教授。お元気そうで」

「えぇ、まだこの老骨でも役に立つ事がありますからね」

 

直人とナスターシャの再会の挨拶が終わった所で、大男が前に出て一礼した。

 

 

弦十朗とほぼ同じくらいの身長に逞しい筋肉を持っていた。

 

その逞しさは、スーツを着ていてもハッキリとわかるほどだった。

 

弦十朗が、自分と似たような大男に親近感を抱いていた。

 

 

 

すると、ここでルークの男と嶋と大牙が初めて会う人物達もいるため自己紹介を始めた。

 

 

「皆様、お初にお目にかかる。俺はチェックメイトフォーのルーク、『矢嶋 豪介(やじま ごうすけ)』と申します。

 

本日は、キング・・・大牙様の秘書兼護衛として同行いたした。以後、お見知りおきを」

 

 

「素晴らしき青空の会、会長の嶋だ。よろしく頼む」

 

「チェックメイトフォーのキング、ファンガイアの王、登 大牙。直人の兄だ」

 

 

大牙の自己紹介を聞いてマリア、セレナ、調、切歌の四人は素早く動き、大牙の近くまで来て頭を下げた。

 

 

「「よろしくお願いします、義兄さん!」」

「「お義兄ちゃん!」」

 

 

マリアとセレナが義兄さん、調と切歌がお義兄ちゃんと呼んだ。

 

ライバル達も大牙を義兄呼びである。

 

 

 

未来は昨日、響から「ライバルが増えた」という事は聞いていたが、改めて見てみると歌姫マリアは勿論、妹のセレナや仲間の調と切歌の可愛さに危機感を募らせる。

 

 

 

「・・・・・・直人」

 

「・・・・・・ノーコメント」

 

 

そんなやり取りもありつつ、席につく。

 

お互いの紹介も終わった所で、話し合いは始まった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

今回話し合うのは、『終焉の革命団』への今後の対策についてと、直人とマリア達の関係性について。

 

後者については、皆にも知ってほしい事があるから話題に出すことにしている。

 

 

 

まず前者。これについてはスムーズに進んでいく。

 

革命団については、今後は三組織の連携を強化して情報の収集及び市民を守るために戦っていく事で決定した。

 

 

続いて後者。翼、響、未来、クリスにとっては重要な話だ。

 

直人とナスターシャ教授がお互いに話すことに。

 

 

 

直人の母親である真夜の頼みによって、タイムトラベルを可能とする「時の扉」を使い、六年前のアメリカに飛ぶ。

 

聖遺物研究機関の「FIS」に到着、そこで当時のマリア達を救った。

 

暴走した完全聖遺物、ネフィリムを撃破し元の時代、つまり現代に帰還した。

 

 

 

「タイムトラベルゥ!?」

 

「うん、あるんだ。キャッスルドランの内部にね。

時の扉を使えば、過去に飛べる。干渉すれば、歴史を変えられる」

 

 

「・・・えっと・・・凄いって事はわかりました!」

 

「成る程、それなら直人が六年後の未来から来た、というのも納得ね」

 

「スゴいデス!デ○リアンがあるんデスね!」

「それは車だよ、切ちゃん」

 

「ド○えもんみたいなのじゃあ無いんだ・・・」

 

 

 

時の扉の話題について奏者達が盛り上がっている中、翼は直人の服の袖を掴む。

 

直人を見上げる翼の表情は、一筋の希望にすがる様な必死さが感じられる。

 

 

「翼?」

 

「直人・・・・・・お願い。私、その時の扉を使いたい。そうすれば・・・奏を・・・!」

 

「あ・・・!」

 

 

翼のお願いに、隣にいた響が小さく声をあげる。

 

翼は時の扉の話を聞いて、こう思ったのだ。

 

 

『自分も過去へ・・・ツヴァイウィングのコンサートの時に向かえば、奏が死ぬという結末を変えられるのではないか?』

 

 

その考えは・・・翼が抱いた僅かな希望は・・・。

 

 

 

 

 

「翼・・・ごめん。それは出来ないんだ」

 

 

 

 

叶わなかった。直人が、翼の考えを否定した。

 

 

「どうして・・・?」

 

「僕が東京に戻る前、次狼さんや母さんに無理を言って奏を救うために使ったことがある。でも・・・出来なかった。

 

あの会場の中で、僕が絶唱を歌おうとしていた奏に近づこうとした瞬間・・・」

 

 

 

直人は当時の事を思い出して、少し顔を俯かせる。

 

 

「まるで、見えない壁に阻まれるように前に進めなくなった。

 

そして、強い力に弾き飛ばされるように吹っ飛ばされて、強制的に元の時代に戻されたんだ」

 

 

ぎゅっと拳を握る直人。悔しい気持ちを持って語る。

 

 

 

 

「まるで・・・そう。何者かが、奏を救う事を妨害しているようだった。そうとしか、思えなかった」

 

 

「そんな・・・!」

 

「その後、母さんは言ってた。奏には、人智を越えた『何か』が関わっている。それは、僕たちでもどうすることも出来ない・・・」

 

 

「・・・奏」

「ごめん、翼。僕は、奏を救えなかった・・・」

 

「・・・・・・大丈夫」

「翼・・・?」

 

 

顔をあげる翼。目に涙が溜まっているが、表情は悲しみではなかった。

 

 

「直人は、奏の為に頑張ってくれた。それだけでも嬉しい。

それに、私もいつまでも俯いていられないって思ったの。下を向いてばかりいたら、奏に怒られちゃうから」

 

「そうです!」

 

 

響も二人の話に加わる。奏に救われた者として。

 

 

「奏さんを救えないのは辛いですけど、でもその事に囚われてばかりじゃあ、奏さんも安心出来ません。

 

私達が今を生きて人々の為に戦っていく事が、奏さんの望んでいる事だと思います!」

 

 

「・・・・・・そうだね、二人の言う通りだ。翼、響ちゃん。ありがとう」

 

お礼を言う直人。翼と響も同じく笑顔だ。

 

 

時の扉と奏の話が済んだ所で、再び話し合いが始まる。

 

 

 

次の話は、マリア達のシンフォギア関連の事だ。

 

マリア達が使用しているシンフォギアは、フィーネ・・・櫻井 了子が米国に流した物をFISが受けとり、奏者の適正があった四人が使用することになった。

 

 

しかし、正規適合者はセレナ一人だけ。

マリア、調、切歌の三人はLiNKERを使わなければシンフォギアを纏えない。

 

FISにはシンフォギアだけでなくLiNKERのサンプルとレシピもあった。

 

 

それを元に新しい・・・体に負担がほとんど無い改良型LiNKERをウェル博士が開発していた。

 

 

しかし、ウェル博士はマリア達の仲間ではない。別の組織に身を寄せていて、改良型LiNKERはマリア達には渡らないと思われた。

 

 

しかし、とある人物が接触。改良型LiNKERを提供する変わりに、ウェル博士を連れ戻してほしいと依頼をしてきたのだ。

 

 

 

その人物とは、ウェル博士の「助手」だった。

 

 

ウェル博士を尊敬していたその助手は、改良型LiNKERの開発にも携わっていた為、改良型LiNKERの開発が可能だった。

 

その助手からLiNKERの提供を受けながら四人はシンフォギア奏者となっているのだ。

 

 

「・・・以上です」

「ありがとうございます。・・・改良型のLiNKERに、ウェル博士か・・・」

 

 

「では、今後は革命団との戦いだけでなく、ウェル博士を確保する事も入れましょう。

 

青空の会の会員達にも動いてもらい、情報を集めましょう」

 

そしてまた細かい部分を話し合い、会議は終了した。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

会議終了後、名護 啓介は嶋と一緒に潜水艦の外に出る。その際、嶋と話をした。

 

 

「名護君。この後、時間はあるか?」

「はい、大丈夫ですが」

 

「昨日、『青空工学研究所』から連絡が入った。イクサの新装備が一つ、完成したんだ」

 

 

「新装備・・・以前話にあった、アレの事ですね!」

 

「そうだ。チェックメイトフォーのナイトとポーンが協力してくれたお陰で、予定より早く完成した。

 

君には、そのテストを頼みたい」

 

「わかりました!」

 

 

二人は車に乗って、人間工学研究所へ向かう。啓介は、新装備に少し心を踊らせていた。

 

 

 

同時刻。登 大牙も矢嶋 豪介と一緒に会社に戻る途中だった。

 

「色々な事が起こっているな・・・」

「そうですな。キングに新たな義妹が四人も増えられまして。

 

義妹ハーレムですなぁ、ハハハ」

 

「・・・」

 

どう言えば良いのかわからず、沈黙することにした大牙。

 

 

「それに、人工ライフエナジーも後もう少しで完成しますからな」

 

「そうだな、後一ヶ月もかからない。いよいよだな、いよいよライフエナジーの問題が一つ片付く」

 

「そうですな。きっと、共存派の皆は喜んでくれるでしょう」

 

 

「・・・共存派は、な」

 

大牙は懐からあるものを取り出して見る。

 

 

 

 

 

それは、蛇の彫刻が刻まれた、漆黒のフエッスル。

 

 

 

 

「・・・負けはしない。負けるわけにはいかない。絶対に・・・!」

 

大牙は、王としても戦士としても、改めて決意した。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

会議から三日後。直人の自宅に、四人の客が来ていた。

 

 

「という訳で」

「隣に引っ越して来ました!」

 

「よろしくお願いします」

「引っ越しそば、どうぞデス!」

 

マリア、セレナ、調、切歌の四人だ。

 

 

なんと、四人・・・正確には、ナスターシャ教授を含めた五人は直人の家の隣にある家に引っ越してきたのだ。

 

五人で住んでも問題ない位の大きさの一軒家だ。

 

 

「あ、ありがとう・・・よろしくね」

「えぇ、こちらこそ」

 

「・・・直人さんのお家、広いですね」

「バイオリンがいっぱいデス!」

 

四人が興味深く見渡していると、奥からクリスがやって来た。

 

 

 

「わざわざ隣に引っ越して来るたぁ、いい度胸してるなぁ」

 

 

「あなた、イチイバルの・・・!」

「どうして直人さんのお家にいるデスか!?」

 

「いいか、よーく聞け!私は直人の弟子で、一緒に住んでるんだよ。

 

わかるか?一・緒・に・住・ん・で・る・ん・だ・よ!」

 

 

一緒に住んでる事を強調するクリス。クリスに嫉妬して睨み付ける四人。

 

クリスも負けじと睨み反す。

 

 

「いやいや、羨ましいね。よっ、色男!」

「直人さんはモテモテですね~!」

 

「・・・」

キバットとタツロットのからかいにどう言えば良いのかわからず、沈黙することにした直人。

 

 

マリア達が加わり、革命団が本格的に動き出した。これから色々な事が起こっていくだろう。

 

しかし、直人は思う。皆と一緒なら、どんな困難も乗り越えられると。

 

 




次回予告


会議から一週間後、ウェル博士を足取りを掴んだ二課はマリア達と一緒に現場へと向かう。そこで出会ったのは・・・。


第六話 小さき者、幻の中で


夢、それは実態無き現実。


ーーーーーーーーーー

ウェル博士の助手はオリキャラです。登場にはしばらくかかります。


今回の話に出てきた、青空工学研究所は、キバ本編でイクサシステムを開発した「人間工学研究所」を建て直した組織です。

詳細は、設定紹介に乗せます。


イクサの新装備と、サガ新しいフエッスルは、後々出していくのでお待ち下さい。

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