紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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お待たせいたしました。

うまく書けてるか不安ですが・・・。


第四話 魔の戦い、女の戦い

直人の鋭い言葉を受けても、『終焉の革命団』幹部の一人、レティア・グラトリンは余裕の笑みを浮かべるだけ。

 

 

「許さなければ・・・何?私は簡単にやられるような奴じゃないって事はよーく知ってるでしょ?」

 

「そう言えば、引き下がるとでも?」

 

「そんなわけ無いかー。まぁいいや。久しぶりに激しい運動をしましょうか」

 

 

レティアはソロモンの杖を亜空間にしまい、高々に宣言した。

 

 

 

「革命団幹部、レティア・グラトリン!簡単に倒されるほどザコくありませんので悪しからず!」

 

 

 

言い終えた直後、顔にステンドグラスの模様を浮かべ、ファンガイアの姿に変わった。

 

その姿は、まるで巨大な魚が人の姿になったかのようで。

 

 

両手足に、体より一回り大きい硬質なパーツが付いている。そして魚を思わせる姿だが、見るものを圧倒するような大きさも感じられる。

 

 

 

 

 

終焉の革命団幹部の一人、レティア・グラトリン。

 

クジラの性質を持つ、アクアクラスの「ホエールファンガイア」だ。

 

 

 

 

 

「キバット!」

「おう!キバって行くぜ!」

 

 

「・・・変身!」

 

 

キバに変身し、静かに身構える。ホエールも両手の拳を静かに握る。数秒間の静寂。そして・・・。

 

 

 

「裁きの刻だ!」

「深海の闇に沈め!」

 

 

 

宣言と同時に両者は人知を越えたスピードで走り、一瞬で交差し、激突した!

 

 

キバとホエールは己の手足に魔皇力を集中させて、殴り合う。

 

 

両者の激しい攻防が繰り広げられる。

 

 

「あはははは!ほらほらほら!」

「・・・」

 

ホエールが殴りかかれば、キバは的確に受け流し、合間を縫って反撃のパンチを繰り出す。

 

しかし、それは当たらない。

 

 

キバが殴りかかれば、ホエールは的確に受け流し、合間を縫って反撃のパンチを繰り出す。

 

しかし、それは当たらない。

 

 

 

その繰り返しになっていた。

 

お互いの攻撃は全く当たらず、完全に拮抗していた。

 

しかし、これでも両者は全力を出していない。お互いに様子見として力をセーブしているからだ。

 

 

 

 

そして数十秒後、二人は一旦離れる。

 

 

「やるじゃない。私の動きに付いてこれるなんて」

「・・・全力を出していない」

 

「それは、お互い様でしょ?それに、簡単に終わったらつまらないじゃない」

 

 

ホエールは魔術を使う。右手に氷の剣を作り出し構える。

 

「私、氷属性も持ってるの。二重属性持ちね」

「だから?」

 

 

《ガルルセイバー!》

 

キバはフエッスルでガルルセイバーを呼び出し、ガルルフォームになる。

 

走り、交差の一瞬でお互いの体を切り裂く。

両者はダメージを気にすることなく、切り合いを続ける。

 

 

「はいさぁ!」

「・・・っ!」

 

 

 

ホエールは左手の剣を捨てて、右手の剣を両手で握り、力を込めて降り下ろす。

 

キバはガルルセイバーを逆手に持ち、横回転するように振るう。

 

ガルルセイバーが、ホエールの降り下ろした剣を弾いて、出来た隙を突くようにキバが右手を手刀にして攻撃する。

 

 

鋼鉄すらも切り裂けるガルルフォームの手刀を受けて、ホエールはダメージを受けながらも一旦下がる。

 

 

 

「きゃは♪ (*≧∀≦*)」

 

 

 

楽しそうにはしゃぎながら、ホエールは魔術を使う。

 

 

己の周囲に水を発生させて、その上に乗る。

ホエールは魔術で水を操り、波乗りをするサーファーのように会場内を縦横無尽にめぐる。

 

 

 

「なみのりピ○チュウよ!いや、私はクジラだからホ○ルコかしら?」

 

「・・・」

《バッシャーマグナム!》

 

 

キバは突っ込む事もなく、バッシャーフォームになる。

 

キバも同じくアクアフィールドを生成。そこを高速で動き回る。

 

 

「ヒャッハー!」

 

ホエールが放つ水の弾丸を、キバはバッシャーマグナムの水弾で相殺していく。

 

 

しかし、ホエールが波の形を瞬時に大きなランス状に変えて、それを高速で投げる。

 

キバは水の槍を受けてしまう。

 

 

地面に落ちるキバとホエール。しかし、キバは大したダメージは無く立ち上がる。

 

キバは水の槍を受ける前に咄嗟に魔皇力を練り、水の壁を形成すると同時に魔皇力で鎧の防御力を上げておいたのだ。

 

しかし、それでもノーダメージとはいかず、体に痛みが感じられる。

 

 

 

「フゥ~・・・」

《ドッガハンマー!》

 

キバは軽く息を整えて、ドッガフォームになる。

 

 

「いいわね!それならこっちも!」

 

ホエールは氷のハンマーを形成。その大きさは、丁度ドッガハンマーと同じくらいだ。

 

走り、ハンマーの届く距離まで行った所で、お互いにハンマーを降り下ろす。

 

ドッガハンマーと氷のハンマーがぶつかり合い、その衝撃が会場内を走る。

 

 

打ち合っているハンマーを離してもう一度。

ぶつかり合う音と衝撃が響き渡る中で、二人は一歩も退かずにハンマーを打ち合う。

 

 

ただ降り下ろすだけでなく、角度を変えたりフェイントを挟んだり様々な方法で攻撃をするが、それでも両者は決定打を与えられない。

 

 

 

「餅つきならぬ、キバつきだぁ!」

 

 

レティアは戦闘となると、テンションが上がる。

しかし、言葉ではふざけている事が多いが、戦闘は一切ふざけていない。

 

 

生まれ持った強さと、豊富な戦闘経験によって洗練された戦い方を持ち、キバと互角以上に戦える。

 

しかし、これでもまだ手加減をしていると言うのだ。実際の強さはどれ程の物だろうか?

 

 

キバとホエール、互いのハンマーが今まで以上の力で激突。

 

その威力は大きく、ホエールの作ったハンマーは砕け散り、キバは維持できず通常のフォームに戻ってしまう。

 

 

「・・・へっへへ」

「何がおかしい」

 

「笑っちゃうわね。お互いに全力は出さず戦う、なのに私は今楽しんでる。あんたとの戦いを」

 

 

「・・・」

「でもまぁ、今回のフィナーレは大きく飾りましょう!」

 

 

ホエールは魔術を起動し、魔皇力を足に集中させる。

 

キバは、ウェイクアップフエッスルをキバットに吹かせる。

 

「ウェイク・アップ!」

 

音色と共に、キバの右足のヘルズゲートが開く。

 

 

そして、両者は走り、力を込めたキックがぶつかり合う。

そして、爆発が起こった。

 

その衝撃は今までの戦闘で発生した物の比ではなく、その衝撃に奏者たちは倒れないようにと踏ん張る。

 

 

直後にキバは着地。ホエールは蹴りがぶつかった時の衝撃を利用して後ろへ飛び、観客席に着地。

 

 

「今日はここまでね。楽しかったわよ!また遊びましょうねー!」

 

陽気に手を降り、ホエールはワープしてそのまま消えてしまった。

 

 

数秒間警戒していたが、後は何も起こらないため、変身を解く。

 

 

直人が一息ついた所で翼達が声をかけようとした瞬間・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「直人さあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

「直人さんっ!!」

 

「え・・・うわっ!?」

 

 

二人の少女・・・切歌と調が大声で直人の名を呼び、涙を流しながら走り、直人に抱きついた。

 

 

「も、もしかして・・・調ちゃんと、切歌ちゃん?」

 

「はい!切歌デス!直人さん・・・会いたかった・・・会いたかったデスよぉ!」

 

「直人さん・・・会いたかった!」

 

 

再び会えた喜びから、もう離さない!とばかりにぎゅっと抱きつく。

 

涙を流しながらも、二人は笑顔だ。

 

 

 

「直人・・・また、会えたわね」

「直人さん・・・お久しぶりです」

 

 

更に、マリアとセレナもやって来る。

 

 

 

「久しぶりだね。マリアちゃん、セレナちゃん。

マリアちゃんのライブは配信で見てたよ。すごく上手かった」

 

 

「もう・・・ちゃん付けはやめてよ。私達、もう子供じゃ・・・無いんだから・・・っ!」

 

「直人さん!」

 

 

マリアとセレナは、喜びと感動から涙声で、直人の両腕に抱きつく。

 

 

四人は直人の体から感じる温もりを、余すこと無く堪能している。

 

その温もりが、再び会えたことは夢ではない・・・それを証明していた。

 

 

 

「直人さん・・・あったかいデス」

 

「・・・ポカポカ♪」

 

「あなたとまた会えて・・・こうしてふれ合えて・・・本当に嬉しいわ」

 

「えへへ・・・直人さん♪」

 

 

凛々しいマリアも、穏やかなセレナも、静かな調も、元気な切歌も。直人の前では恋する乙女である。

 

 

 

 

しかし、当然ながら・・・それを良く思わない者が出てくる。翼、響、クリスの三人だ。

 

 

三人は目にも止まらぬ速さで直人を回収して、今度は翼達が直人にギュッと抱きつく。

 

直人は絶対に渡さないと、そう主張するかのように。

 

 

 

同時刻、避難した未来は。

 

「ハッ・・・強敵が増えた気がする!」

 

乙女の勘で恋敵が増えたことを感じとり、回りの友人達をポカン、とさせた。

 

 

 

 

 

 

「ちょ・・・三人とも!?」

 

 

「直人は・・・ゼッタイニワタサナイ」

 

「ダメですよ~。直人さんとイチャイチャスルナンテ・・・」

 

「おい・・・直人とは・・・ドウイウカンケイナンダ?」

 

 

 

 

若干光が失われた目でマリア達を睨む三人。負けじとマリア達も睨む。

 

 

 

「邪魔しないで!」

「感動の再会を邪魔するなんて、酷いデス!」

 

「いけないわね、そういうのは・・・お仕置きが必要かしら?」

「ふふ・・・ふふふふふ♪」

 

 

 

七人の乙女達は理解した。「恋敵だ」ということを・・・。

 

 

 

 

『直人(さん)は、渡さない!!』

 

 

 

その宣言と同時に、奏者達は己の武器を持ち、恋心と嫉妬心を燃料として戦いを始めた。

 

 

 

「直人を奪わせはしない!」

 

「それはこっちの台詞よ!」

 

 

「直人さんを守るためなら、私は戦う!」

 

「・・・負けない!」

 

 

「ちょっせぇぇぇぇぇぇい!直人を奪うって言う奴は、全部撃ち落としてやらぁ!」

 

「死ぬデスよ・・・直人さんにまとわりつくお邪魔虫は、皆死ぬんデス!・・・ただし、調とマリアとセレナは例外デス」

 

 

互いの拳と武器と恋心がぶつかり合い、激しい戦闘になる。

 

 

 

 

 

 

「ふふ。ところが私は、直人さんを独占しちゃいまーす♪」

 

ところが、セレナはその戦いに参加せず一瞬で抜け出して、直人と腕を組む。

 

 

「ちょっとセレナちゃん!?早く皆を止めないと!」

 

「直人さん・・・女の子には、戦わないといけないときがあるんですよ」

 

「え~と・・・」

 

 

「・・・直人さん。改めて、お礼を言わせてください」

「・・・?」

 

 

直人から一旦離れて、真剣な声と表情をするセレナ。

 

 

 

「六年前のあの時、私の命を救ってくれて、大切なことを教えてくれて・・・ありがとうございました」

 

「僕はただ、目の前の危機を見過ごせなかっただけ。それに、僕達にも様々な事情があった」

 

「例え、事情やきっかけがどんな物でも、救ってくれた事実は変わりません。

 

私が今、姉さんや皆と一緒に笑顔で生きていられるのも、直人のお陰なんですから」

 

「そっか。セレナちゃんは」

 

「セレナ。もう子供じゃ無いんですから、姉さんにもちゃん付けは不要ですよ」

 

 

 

「・・・セレナは、今・・・幸せ?」

「はい!」

 

満面の笑顔で答えるセレナ。その笑顔に、直人も安心したように微笑む。

 

 

一方、翼達六人は、戦闘を中断してセレナ達の方を見ていた。

 

特に、翼と響とクリスは、マリア達四人との関係についての情報を得ようと、耳を象のように大きくして(イメージ)聞いていた。

 

 

「直人さんに、幸せのお礼です!」

「え」

 

セレナは直人を引き寄せて・・・。

 

 

 

 

チュッと、ほっぺにキスをした。

 

 

 

 

「な・・・」

 

「えへへ♪」

 

『あぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

 

驚いて固まる直人。少し恥ずかしがりながらも、嬉しそうに笑うセレナ。悲鳴と驚きの混ざった声をあげる翼達。

 

 

 

「そんな、ズルいわよセレナ!なんてうらやまけしからん事を!」

 

「セレナ・・・抜け駆け!」

 

「オンドゥルルラギッタンデスカアァァァァァァ!?」

 

 

 

「・・・・・・立花、雪音」

 

「わかってますよ、翼さん」

 

「今の敵は・・・あいつだ!」

 

 

 

 

「じゃあ、退散しまーす!」

 

『待てえぇぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

 

走り出すセレナと、それを追いかける翼達六人。会場内での追いかけっことなった。

 

 

 

直人は最初固まってしまっていたがすぐに復活。

皆を止めるために、対象の動きを止める魔術を使用して、六人の動きを止めた。

 

そして、説得の末に漸く収まった。

 

 

そして今までの状況をモニタリングしていた弦十朗から、事情の説明もかねて二課の仮設本部に連れてくるように依頼が来た。

 

マリア達はそれを了承。もう一人の仲間である、ナスターシャ教授も同行させる事になった。

 

ただし、今日はもう遅いため、翌日に改めてという事で話がついた。

 

 

 

「QUEENS of MUSIC」は、こうして終わりを告げた。

新たな驚異の出現と、恋の嵐が吹き荒れたのだが。

 

これからどうなるかは、誰にもわからない。




次回予告。


仮設本部に集結する者達。様々な事情が明かされ、交差していく。



第五話 交わされる情報、決める時。



あらゆる事は、決断によって決まる。それはどんな影響を与えていくか?



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女の戦いを上手く書けたか、という不安があります。
もっと上手く書けるように精進しないと、と思います。


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