紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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お待たせいたしました。

やっと書けたので、更新いたします。


第十三話 降臨、裁きの蛇

東京都内にある高層ビル。

 

 

その中にとある部屋が存在する。窓が無く、照明によって明かりを得ている、周りを鉄の壁で覆われた空間。

 

更に、周辺を青い光の壁で覆っている。

 

 

その部屋の中心に、鎧の戦士が立っていた。

全体的にゴシック感の強い、威風堂々とした戦士。

 

 

その周りにファンガイアの死体が複数倒れているが、その死体達は、ブゥゥゥン・・・という音と共に消えていく。

 

 

それに連動する様に、周りの光の壁も消えていく。

 

ファンガイアも光の壁も、全て機械によって作り出したホログラムのような物であった。

 

 

戦士の腹部についている丸い・・・円盤のようなモンスターが離れると、鎧は解かれ、姿をさらす。

 

 

茶髪の二十代前半位の、若い男性。ラフな私服で、左手だけに黒い手袋を着けている。

 

 

その彼の周りに複数の人がよっていく。

 

 

黒髪を長く伸ばしている若い女性。

 

学生服を着ている、小柄な金髪の少年。

 

大きなスーツを着ている大柄な男性。

 

双子であろう、同じ顔をしている、ツインテールとポニーテールの美少女二人。

 

 

一ヶ所に集まり、話しを始めた。

 

 

「いかがでした、キング」

 

「とても良かった。強くなっている事が実感できたよ。

二人とも、忙しい中ありがとう」

 

 

キング、と呼ばれた青年は、双子に言う。

 

「いえいえ、私たちは役目を果たしているだけですよ」

「そうですよ。いい仕事しましたもんね~」

 

 

「「ねー♪」」

声をピッタリ合わせる双子。

 

 

双子は一旦離れて、腕を一振りすると、周囲にSF系の漫画やアニメに出てくるような、空中ディスプレイが表示される。

 

そこには様々なデータが表示されている。

 

「私達の改良によって、その鎧のスペックは向上しています-。追加装備もありますよ~」

 

「『黄金』と『闇』にも改良を加えたいところですね。

後、青空の会と協力して、イクサもいじっていく事を相談中です」

 

「わかった。今日の後の予定は・・・」

 

 

「キング、今日はもうお休みになられた方が良いかと」

 

「そうですよ。あなたは毎日頑張っているけど、明日は久しぶりのお休みなんですから」

 

「お休みも、大事だと思います・・・」

 

 

「・・・わかった、そうさせてもらうよ。俺が休んでいる間の仕事は頼んだよ」

 

頷く三人。今度は双子に言う。

 

 

「二人は引き続き、例の件について検討を続けてくれ」

 

「了解です!・・・でも、やっぱり難しいですね~」

 

「そうですよ。特に『黄金』の件は、完成させる為に必要な物が、中々見つからないですし・・・」

 

 

「それでも、頼む。必ず必要になる」

「「はい!キング!」」

 

最後の話を終えて、この場は解散となった。

 

 

 

彼らは、チェックメイトフォー。

ファンガイア最強の戦士であり、役目を持つ者達。

 

 

彼らも、共存の為に動いている・・・。

 

 

 

 

 

その翌日。

 

風鳴 翼は、街中にある公園の中にいた。

リディアンの制服ではなく、私服姿で。

 

 

水色のワンピースで、上に薄めの上着を着ている。

 

普段はそういう女の子らしい服を着ない翼は、少々戸惑いながらも頑張って着たのだ。

 

 

何故そうなっているかというと・・・。

 

昨日、クリスと未来に二課を案内していた直人、翼、響。

 

 

そこで緒川、藤尭、了子の三人も加わっての雑談や恋バナになった際、響の提案で直人、翼、響、クリス、未来の五人でデートをすることになったのだ。

 

少女達は、直人とデート出来ることを理由に承諾。

直人もOKを出したことで決定した。

 

 

そこで、翼は了子とあおい、二課の女性職員の中で親交の深い二人に相談。

 

着せ替え人形のようにされた末、今の服で落ち着いた。

 

 

「・・・変なところ、無いよね・・・」

 

手鏡で何度も髪や服装を確認。

 

 

 

そうしていると、響と未来、さらに直人とクリスも合流。

 

女子達は、直人と一緒にデートをすることを意識してか、全員可愛らしい服装だ。

 

 

余談だが、響と未来はお互いに似合うものを選び合い、クリスは恵に協力を要請して選んだものだ。

 

さらに余談だが、翼、響はクリスが直人と一緒に暮らしている事は既に聞いていて知っている。

 

未来は以前のケンカの件で既に知っていた。

 

 

最初聞いたとき翼と響の心の中で、羨望と嫉妬が心中で渦巻いたが。

 

 

「さぁ、私達のデートを始めましょう!」

 

響のこの一言が、デートの始まりの合図となった。

 

 

 

 

五人のデートは順調だった。

 

ウィンドウショッピング、服屋、映画鑑賞、昼食、カラオケ屋と順調に回っていった。

 

 

「いやー、まさか翼さんが演歌を歌うなんて」

「うん、僕も驚いた」

 

「・・・昔から、こういうのは歌ってみたいと思ってたから」

 

「いや、ギャップありすぎだろ」

「私はいいって思うよ」

「そうかぁ?」

 

そんなことを話ながら、次の目的地である、ゲームセンターへ。

 

 

そこのUFOキャッチャーの前に全員集合していた。

 

「翼さんがご所望の品は、私が必ずゲッチュして見せます!」

 

「少しお金をかけすぎじゃないか?」

 

「・・・なんつーか、もうオチが読めてきたんだけどよ」

「「あはは・・・」」

 

「キエェェェェ!」

 

「変な声を出さないでよ!」

「って言うか、その声どこから出した!?」

 

 

直人が苦笑していると、誰かが直人の肩を軽く叩く。

振り向いた直人は、その人物の顔を見て、パァッと笑顔になる。

 

 

響がアームを操作していくが、目標物を掴んだ所で、落ちてしまう。

 

「・・・!このUFOキャッチャー壊れてるうぅぅぅ!」

 

「ちょっと、落ち着いて響!」

 

「壊れているならいいですよね、今すぐシンフォギアを纏ってぶっこぬいてやりますよ!」

 

「落ち着け!もっと平和的に解決しろ!」

 

「できぬぅ!この怒りに身を任せれば、デー○ウェポンだってアームドギアだってぇ!」

 

「もう!他のお客さんに迷惑だよ!」

 

 

数分後。

 

「よし!新記録!」

「かけた金が新記録じゃ意味ねぇだろ!?」

 

「もう!直人さんも何か言ってやってくださ・・・あれ?」

 

 

未来が後ろを向いて疑問の声を上げる。

 

他の三人も後ろを向くと、少し離れた所で、直人が知らない男性と楽しそうに話していた。

 

ラフな私服を着た、二十歳位の青年だ。

直人は翼達に気付いて、青年と一緒に駆け寄ってきた。

 

 

「急に離れてごめんね。久しぶりに会ったこの人と話をしていて・・・」

 

 

「直人、この子達が前に言っていた?」

「うん」

 

「そうか・・・」

 

翼達を見る青年の表情はとても優しく、まるで直人がもう一人いるような・・・そんな気持ちになる。

 

 

「直人さんのお友達ですか?」

 

響が訪ねると・・・。

 

 

 

「ううん。この人は、僕の兄さんなんだ」

 

予想外の答えが帰って来た。

 

 

数秒間ポカンとしていたが、その言葉を脳が理解した瞬間・・・。

 

 

「「「「兄さん!?」」」」

 

 

四人同時に驚きの声をあげた。

青年はそんな四人に微笑みながら自己紹介をした。

 

 

「初めまして、俺は登 大牙。直人の兄だ。

君たちの事は、直人から聞いているよ。よろしくね」

 

 

こうして、大牙と少女達は出会った。

 

 

 

 

 

その後。

大牙を含めた六人は、話しやすい場所に向かった。

 

そこは、数日前に美穂と戦ったあの公園である。

敷地内にある木製の椅子に座り、各々が買った飲み物をテーブルに置いた。

 

 

「いやー、ビックリしましたよ。直人さんにお兄さんがいたなんて」

 

「・・・私も、知らなかった・・・」

 

 

「ごめんね、翼。黙っていた訳じゃなくて。

出会ったのは二年前だけど、会ったばかりの時は、お互いが兄弟だとは知らなかったんだ」

 

「知らなかった?」

クリスが首をかしげながら訪ねると、大牙が説明した。

 

 

「そもそもあの時は、俺がファンガイアの王で、人間を守っていた直人とは敵同士立ったからね」

 

大牙はそういうと、左手の手袋を外して、甲の方を見せる。

 

そこには、王の証である紋章が刻まれていた。

 

 

「改めて。俺は登 大牙。ファンガイアのチェックメイトフォーのキング・・・純血の、ファンガイアの王だ」

 

 

「え?ファンガイアの王様って、直人さんの事じゃあ・・・それにチェック何とかって・・・えっと?」

 

 

響は混乱してしまっているようだ。

翼、未来、クリスも、口には出していないものの、困惑しているらしい。

 

 

「直人・・・もしかして、説明していなかったのか?」

「うん・・・一度に全部話すと混乱すると思って、一部しか話していなかった」

 

 

バツが悪そうに苦笑しながら話す直人。大牙は小さくため息をはいてから、直人に言う。

 

「では、今から説明してしまおう。チェックメイトフォーについてかな」

 

「後、十三魔族についても話した方がいいと思う」

「そうだな・・・よし、そうしよう」

 

 

簡単な打ち合わせの後、翼達への説明会が始まった。

 

 

 

『十三魔族』

 

 

この地球上に存在する、知性を持つ十三の種族。

細かく分けるともっといるものの、大まかに分けると十三に分けられるためだ。

 

ファンガイア族、キバット族、そして人間。

人間は、通称「人族」ということが呼ばれることもあるという。

 

 

さらに・・・。

 

 

人狼の性質を持つ、ウルフェン族。ガルルセイバーとなる、次狼。

 

半魚人の力を持つ、マーマン族。バッシャーマグナムとなる、ラモン。

 

人造人間の性質を持つ、フランケン族。ドッガハンマーとなる、力。

 

大小様々の大きさの体を持つ龍、ドラン族。直人の家族である、タツロット。

 

 

女人魚の姿を持つ、マーメイ族。

 

十メートルを越える巨体を持つ、ギガント族。

 

幽霊のようなアストラル体のゴースト族。

 

体が小さくて平和主義のホビット族。

 

凶暴で好戦的なゴブリン族。

 

伝説の魔物の姿と能力を持つ、レジェンドルガ族。

 

 

 

以上の十三の事をまとめて『十三魔族』という。

 

ただし、ゴブリン族、レジェンドルガ族の二つの種族は、過去のファンガイアとの戦争で種を根絶・・・つまり絶滅させられており、魔族は現在十一残っている。

 

 

 

 

次は、チェックメイトフォー。

 

 

チェックメイトフォーは、一言で言うと、「四天王」と言うべき。

 

最強の戦闘能力や知恵を持つ四人のファンガイアによって構成されており、キング・クイーン・ビショップ・ルークの、チェスに由来する称号を得る。

 

 

キング・・・大牙は、同族の管理・掟の制定。

 

クイーンは、掟を破った者への制裁・キングと結婚して子孫を残すこと。

 

ビショップは、キングとクイーンの補佐や同族の監視。

 

ルークは、敵の殲滅及びキングとクイーンの護衛。

 

また、チェックメイトフォーに匹敵する階級として、ナイトとポーンがある。

 

この二人は発明家で、キバの鎧など様々な物を開発した功績によって与えられた称号。

 

 

ちなみに、直人と大牙は、二人で王の権利を半分ずつに分けて行使しているという状態だ。

 

 

 

「こんなところかな」

 

「なるほど、勉強になりました!・・・ところで」

 

響が少々言いずらそうにしながらも聞いてきた。

 

 

「直人さんと登さんって名字が違いますけど・・・ご結婚されているんですか?」

 

 

「あぁ・・・。確かに俺は結婚しているし、俺と直人は兄弟だが、少々複雑でね。

 

母親は同じだけど、父親は違うんだ。いわゆる、異父兄弟というやつなんだ」

 

「あ・・・ご、ごめんなさい!」

 

少々とは言え、軽い気持ちで聞いたことを謝罪したが、二人は気にしていなかったのか、気にしないでと言った。

 

 

「俺の父親が、先代キング。そして母が先代クイーン。

俺は純血のファンガイアの王」

 

「そして僕は・・・・・・父親が人間、世界最高のバイオリニスト、紅 音也。母は兄さんと同じ先代クイーン。

 

つまり僕は・・・人間とファンガイアのハーフなんだ」

 

 

「「ハーフ!?」」

 

響と未来の驚きの声が重なった。翼とクリスも、声には出していないものの、目を見開いて驚いていた。

 

 

「僕が共存を考えるようになったのも、僕が人間とファンガイアのハーフだと知ったからなんだ。

 

それ以前にも、人と共にいるファンガイアを見てきたけど、ハーフということを知ったのが一番大きいかな。

 

共存の架け橋になりたいと思ったから」

 

しみじみと語る直人。その時。

 

 

 

 

「それでも・・・直人は直人だ」

 

静かに、それでいて微笑みながら言ったのは翼だ。

 

 

「人とファンガイアのハーフであることも、もう一人の王・・・閃紅の魔皇であることも・・・。

 

どんなことがあっても、どんな事実があっても、直人である事は変わらない」

 

「翼・・・ありがとう」

 

 

微笑みながら、見つめ合う二人。

 

三人の少女は、直人と最も距離が近く、直人を一番わかっていて望む言葉をかけられる翼に嫉妬していた。

 

暖かい空気の中(一部冷えているが)、その空気を割くように・・・。

 

 

 

 

一筋の矢が大牙に向かって飛んできた。

 

 

 

 

大牙はそれを左手で掴んで止めた。

 

大牙と直人はすぐに意識を戦闘に切り替える。

奏者達は少し遅れて状況を理解して、ペンダントを握る。

 

 

大牙は矢を捨てて、飛んできた方向を見る。

 

そこには、一体のファンガイアがいた。

 

共存反対派に属している、スナイパーの一人。

 

 

テッポウウオの性質を持つ、アクアクラスのアーチャーフィッシュファンガイアだ。

 

「キング・・・ふたり・・・ころす」

 

口から再び矢を放つ。それは、漁の時に使用する銛のようなものだ。

 

大牙は座っていた椅子からジャンプしてかわし、アーチャーフィッシュと対面するように対峙する。

 

 

「直人!こいつは俺がやる。お前はその子達を守ってやれ」

 

「わかった。気を付けてね兄さん!」

 

 

「直人さん・・・大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だよ。だって・・・」

 

直人が大牙を見る目には、尊敬と信頼で溢れていた。

 

 

「兄さんも、王の鎧を・・・その力を持つ者だから」

「王の・・・鎧・・・」

 

 

 

アーチャーフィッシュと対峙する大牙。

 

「ころすころす、共存反対共存反対。

いっぱいいっぱいころしたころした。次はお前お前」

 

 

「・・・・・・人間と、ファンガイアの共存を否定し、罪なき人々の命を奪う者よ」

 

静かに、それでいて怒りの声で言いながら大牙は手袋を外して、左手をアーチャーフィッシュに向ける。

 

 

 

 

「王の判決を言い渡す。死だ」

 

 

その言葉と共に、紅い王の紋章が浮かび出る。

 

「サガーク!」

 

「○◇△□!(ボク、サンジョウ!)」

 

 

大牙の呼び掛けに答えて、一体のモンスターが古代ファンガイア語を言いながら、浮遊して大牙の元にやって来た。

 

全身銀色で上に青い円盤の模様が付いている。

その模様は、回転するパーツだが。

 

ファンガイアによって造り出された人工モンスター、サガークである。

 

 

「ゆ・・・UFO!?」

響が言う通り、それはまるでUFOのようだ。

 

 

少しの差で、キバットがやって来た。

 

「おいおい、今回はサッちゃんかよ!俺は!?」

「今回はステイ」

「えー」

 

 

サガークは大牙の腹元について、ベルトが自動で伸びて固定される。

 

そして、大牙は縦笛型の武器「ジャコーダー」を取りだし、それの先端をサガークの右の穴に入れて引き抜く。

 

 

「変身」

「ヘン・シン!」

 

大牙とサガークの声と共に、ついに変身した。

 

胸元にステンドグラスの模様を持ち、全体的に銀色で王の風格に溢れている。

 

 

 

「あれは、サガ。運命の鎧という名を持つ、ファンガイアが初めて作り出した鎧だ。

 

あの鎧を纏う兄さんは、『裁きの蛇』と呼ばれるようになった」

 

「サガ・・・・・・」

 

 

仮面ライダーサガ、降臨!

 

そして、大牙の二つ名は、『裁きの蛇』。

 

 

 

アーチャーフィッシュは口から矢を連射するが、サガはジャコーダーを振るう。

 

すると、赤い刀身が現れて、鞭のようにしなやかになってサガの振るいに合わせて動き、矢を全て弾き落とす。

 

 

ならばと、アーチャーフィッシュは体組織から槍を生成し、接近戦を仕掛ける。

 

槍による鋭い一閃を繰り出すが、サガはジャコーダーの機能を切り替える。

 

 

「ふっ!」

「!?」

 

 

ジャコーダーの刀身がレイピアのように直剣のようになり、その先端と槍の先端がぶつかり合い、一瞬で槍の方が砕け散った。

 

アーチャーフィッシュが動揺している隙に、ジャコーダーのレイピアで連続の突きをくらわせる。

 

目にも止まらぬ連続攻撃に、アーチャーフィッシュに反撃する隙を与えない。

 

アーチャーフィッシュは何とか一発口から矢を放ったものの、サガは首を横に傾げてかわした。

 

その間、攻撃の手は止まらない。

 

 

数十発の突き攻撃を止めて、直後にバツ印状に切り裂き、アーチャーフィッシュは倒れた。

 

そして、アーチャーフィッシュはこの時、心の中は後悔と恐怖でいっぱいだった。

 

挑まなければ良かった、キングを狙わなければ良かった。

 

 

 

しかし、キングは・・・大牙は裁きを決して止めない。

 

 

裁きの蛇に牙を剥いたものは、死という奈落を永遠にさ迷う事になるのだから。

 

 

 

 

サガは後に開発される事になるフエッスルの原形となる「ウェイクアップフエッスル」を取りだし、サガークの口に入れて吹かせる。

 

 

「ウェイクアップ!」

 

メロディが響き、ジャコーダーの柄尻を穴に入れると、魔皇力がジャコーダーの刀身に溜まっていく。

 

それと同時、一気に夜になった。

 

 

魔皇力が満タンになった所で、ジャコーダーを真上の夜空に向けると、魔皇力の一部が放たれて上空にキバの紋章が現れる。

 

「ウアアァァァァァ!!」

 

アーチャーフィッシュは恐怖に負けて逃げ出したが、サガはジャコーダーの刀身をアーチャーフィッシュに向けて放つ。

 

刀身が高速で伸びて、アーチャーフィッシュを貫いた。

 

サガは高くジャンプして、紋章をくぐり抜け、アーチャーフィッシュを吊し上げる。

 

サガが左手の人差し指と中指で右手に持つジャコーダーをそっと撫で、一気におろす。

 

瞬間、ジャコーダーの刀身から注がれる大きな魔皇力によって、アーチャーフィッシュの体を断末魔の叫びを上げる暇も与えず、完全に破壊した。

 

 

 

砕け散った体組織が、雪のように降り注ぐ。

少女達はサガの圧倒的な強さ、王たる姿から最後まで目を離せなかった。

 

 

 

戦闘後、翼達にサガークを紹介。

円盤に手を触れる事で意志疎通を可能とすることを教え、サガークとの会話も終わったところで・・・。

 

 

「あの・・・」

「ん?何だい?風鳴さん」

 

「翼でいいですよ。・・・・・・その・・・」

 

翼は少々モジモジしながらも、覚悟を決めたのか、キリッと表情を引き締めて頭を下げて・・・。

 

 

 

「これからも、よろしくお願いいたします!『お義兄様』!!」

 

 

 

 

「「え?」」

「「「!!?」」」

 

 

 

翼が大牙を義兄と読んだことに、直人と大牙本人は抜けた声を出してしまい、響、未来、クリスは義兄の意味に瞬時に気付き、三人も同じように呼び始めた。

 

 

響が。

 

「わ、私も!よろしくお願いします、『お義兄ちゃん』!」

 

未来が。

 

「お、『お義兄さん』!」

 

クリスが。

 

「あ、ア・・・『アニキ』!」

 

 

翼に続き、三人も、それぞれの言い方で大牙を義兄呼びした。

 

 

直人に恋する乙女にとって、大牙の存在は確かに義兄だろう。

 

 

「・・・・・・な、直人!義妹が、義妹が一気に四人も出来た!十二人になったりしないか!?」

 

「お、おおお落ち着いて兄さん!」

 

 

「いや、お前らが落ち着けよ!」

「○◇△□(ダメダコリャ)」

 

その光景を呆れるように、それでいて微笑ましく見守るモンスター達。

 

 

こうして、響の提案で始まったデートは、幕を閉じたのであった。

 

 

 




次回予告


「世界を舞台に、歌いたい!」

「見せてやろう。イクサの更なる力を!」

「デカい奴には、デカい奴で対抗だ!」


第十四話 蒼き太陽、吼える巨竜


Wake up!運命の鎖を、解き放て!




戦闘シーンが短くてすみません。


チェックメイトフォーについて少し捕捉すると、大牙と結婚している現クイーンは、キバ原作に出てきたあの子と同一人物です。

大牙と己の運命を受け入れたIFの存在といった感じです。


ビショップとルーク、ナイトとポーンはオリキャラです。

今のチェックメイトフォーは、全員共存に賛成しています。

本格的に登場するのは、二期からです。



次回は九話後半の話です。
太陽が蒼くなって、お城が吼えます。

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