紅牙絶唱シンフォギア ~戦と恋の協奏歌~   作:エルミン

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大変お待たせしました!
第五話の更新です!

シンフォギア三期のソフト買って、見ました。やはり素晴らしい!

それと、UAが一万を突破していました!
皆様のお陰です、本当に、ありがとうございます!


第五話 イクサ、爆現

デュランダル移送計画の翌日。

雪音 クリスはアジトにしている、とある人物の家の自室として使っている部屋にいた。

 

昨日、直人に抱きしめられて以来、彼の事を考えることが多くなっていた。

 

「・・・何で・・・何であいつの事ばかり考えちまうんだ・・・」

 

 

彼が与えてくれた温もり・・・その残滓が彼女に残っている。

 

自分が誰かに抱きしめられたのはいつ以来だろう。どうして彼は自分に優しくしてくれたのだろう。

 

そして、どうしてこんな気持ちになるんだろう。心臓がトクン、トクンと脈打つのが止まらない。

 

 

「・・・~~~っ!あぁもう!わかんねぇ!何でこんな気持ちになるんだよ!!」

 

 

ボフボフ!と、ベッドの上の枕を連続でたたきつける。

しかし、考えないようにすればするほど、余計に気にしてしまう。

 

とりあえず落ち着こうと思い、クリスは部屋に備え付けてある冷蔵庫から缶を取り出し、プルを空けて飲んだ。

 

『ファムタ 靴紐結ぶ、カルピス味』を。

 

 

「はぁ・・・。私は・・・あいつが・・・」

 

クリスがつぶやく。

 

「気になって・・・・・・しょうがねぇ・・・!」

 

 

 

 

同日、午後。都内トレーニングジム。

 

啓介と恵の名護夫婦は、素晴らしき青空の会の会長、「嶋 護」から指示を受けていた。

 

「共存に反対するファンガイアが、暴れている・・・ですか?」

 

「あぁ。その資料を見てもらえば判るが、その二人のファンガイアは、都内で二十人以上の人間を襲い、ライフエナジーを喰らっている。その二人を、倒してほしい」

 

「判りました」

「任せて下さい」

 

二人はトレーニングジムを出て、早速行動を開始する。

 

「この二体は、相手を油断させて一気に襲うという。注意していくぞ」

 

「えぇ!」

 

啓介は専用バイク「イクサリオン」に恵と一緒に乗り、標的を探して共に町中を駆け抜ける。

 

 

 

 

少し後。響は親友と一緒に町中を歩いていた。

 

「それでね、私は弓美に言ってやった!『お前の血は何色だ?』って。そしたら、真顔で『緑色ですが何か?』って言われちゃって・・・」

 

「もぅ、響ったら・・・。それって漫画のネタだよね?弓美の影響だよね?現実と虚構がミックスしてるよ?」

 

 

親友の名は、「小日向 未来」(こひなた みく)。響の最大の理解者でもある。

 

 

「ウェヒヒ・・・ごめんごめん・・・あ!」

 

響は、前に転んでいる老人の男性と、男性を助け起こそうとする同じく女性の老人がいた。

 

響と未来はすぐに駆け寄って、助け起こす。

 

「ありがとうな。本当に助かったよ」

「いえ、困ったときはお互い様ですよ」

 

「ダンナは若い頃はスポーツ万能なイケメンだったのに・・・今じゃあ見る影も無くなっちゃたのよねぇ」

 

「いやぁ。ワシも後五十年くらい若ければのぉ」

 

「アハハ・・・」

四人を中心に、暖かい空気が流れる。しかし・・・・・・

 

「おぉ、そうじゃ。二人とも、すまぬが、わしらのお願いを一つ、聞いてくれんかの?」

「はい、いいですよ!なんでも言って下さい!」

 

「そうかい、ありがとう。君たちは優しい、いい子だね」

「そ、そうでしょうか・・・」

 

それは、一瞬にして壊れる。

 

「それで、お願いって何ですか?」

「あぁ。それは・・・・・・」

 

顔に、異端の印を浮かばせて・・・。歪んだ笑みを浮かべて・・・。

 

「「二人の若くておいしそうなライフエナジーを、食わせてくれ!!」」

 

 

 

真の姿を現した。

 

男性は蜘蛛の性質を持つ、スパイダーファンガイアに。女性の方は、トカゲの性質を持つ、リザードファンガイアになった。

 

「き・・・きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「ファンガイア!?」

 

突如怪人の姿になった二人に、未来は恐怖の悲鳴を上げ、響は驚きながらもある程度冷静に、未来の手を握って走り出す。

 

「未来、逃げるよ!」

「きゃぁ!?」

 

「待てえぇぇぇぇぇ!!」

「にげるなぁ!!」

 

逃げる二人を、ファンガイアは追いかけ続ける。

 

(どうしよう・・・未来がいるからシンフォギアは使えないし・・・。直人さんみたいに戦えないし・・・)

 

「きゃっ・・・」

「未来!?」

 

走り続け、木々の生えた広場まで来たものの途中で未来が転んでしまう。

 

「追いついたぞ!ライフエナジーを吸い尽くしてやる!!」

「あ、あの!あなた達は、共存に反対なんですか!?」

 

「あぁ、そうさね!我々は人間の命を喰らって生きる者!それを禁止されて生きられるほど甘くない!」

 

「人はあたし達に喰われる!それが、この世界の理だよ!」

「どうしてですか!?どうして共存を受け入れられないんですか!?」

 

「ええいうるさい!黙って喰われるといい!」

「そうだ、喰われるといい!」

 

響の言葉にも耳を貸さず、二体は襲いかかろうとしたその時、一台の白いバイクが二体に突っ込んで襲いかかるのを妨害した。

 

響は一瞬、直人が来てくれたのかと思ったが、すぐに違うと判った。

 

 

青年・・・名護 啓介は、バイクを降りて妻の恵に指示を出す。

 

「恵、あの二人を頼む」

「うん!」

 

恵は響と未来の元に駆け寄る。

 

「君たち、大丈夫?」

 

「「は、はい!」」

「あの怪人は私の夫がやっつけてくれるから、もう大丈夫よ」

 

二人を安心させるように、優しく言う。未来は安心したように緊張を解くが、響は気になることを聞く。

 

「あ・・・あの!あなた達は、その・・・直人さんのお知り合いですか?」

 

「え?君、直人君を知ってるの!?」

 

「はい!少し前に、ファンガイアに襲われた所を、助けてくれたんです。それで、直人さんから事情を聞いて・・・」

 

「・・・そっか」

 

納得する恵。一方、未来は響が怪物の事情を知っていることに驚いていた。

 

 

「響・・・前にもあんな怪物に・・・!?どうしてちゃんと話してくれなかったの!?」

 

「うっ!・・・ご、ごめん。でも、大丈夫だよ。ファンガイアの中にもいい人はいる!それは、間違い無いと思うよ!」

 

 

「どうして・・・そう言い切れるの!?」

 

「だって、助けてくれたその人は・・・ファンガイアの・・・優しい王様だから」

 

「優しい・・・王様?」

 

 

 

一方、啓介は二体のファンガイアと対峙していた。

 

「共存反対派の者だな。考えを改めるつもりはないか」

 

「そんなつもりは無い!我々は変わらんぞ!」

「さぁ、邪魔するならあんたも喰われてしまえ!」

 

「そうか・・・ならば、俺も容赦はしない!」

 

 

啓介はフエッスルが6つ付いたベルトを装着し、右手にデバイスを持つ。

 

デバイス・・・イクサナックルを右手に持ち、端子部分を左手に当てる。

 

 

《レ・ディ・イ》

 

「変身!」

 

《フィ・ス・ト・オ・ン》

 

 

黄金の光が出現して、鎧の形をして啓介の体に装着された。全身が白く、顔には十字状のバイザー。

 

仮面ライダーイクサ、爆現!

 

 

「イクサ・・・人をファンガイアから守るために、人が作り出した力よ」

 

「直人さんのキバ以外にも・・・」

 

 

恵の説明に、響はもう一人の戦士に感嘆の声を出す。未来は未だに事態を把握できていない。

 

しかし、今戦っている人物・・・啓介が響の言う「直人さん」とは違うことはわかった。

 

そして、響の言う直人という存在に、強い興味を抱いていた。

 

 

(響がここまで思うその人は・・・どんな人なの?あんな怪物を治めている王様って、どんな人なの・・・?)

 

興味は尽きない。その興味が、好奇心が、ファンガイアへの恐怖を上回った。

 

スパイダーとリザードが、雄叫びを上げながら襲いかかるが、イクサは顔のバイザーを開き、安定しているセーブモードから、出力百パーセントのバーストモードに移行した。

 

二体の攻撃をかわしながら、次々にパンチを与えていく。そのパンチで、二体はダメージを多く喰らって倒れる。

 

イクサは、スペック的には腕力の方が強い。パンチなどの格闘戦と武器による接近戦にて真価を発揮するライダーといって良い。

 

 

しかも、二年の間にイクサはまたバージョンアップが施され、「VerⅩⅡ」になっていた。

 

外見上の変化は無いものの、内部のシステムは前回より大きく上昇していた。

 

倒れた二体に、イクサは宣言した。

 

 

「人間との共存に反対し、罪無き人々の命を奪うファンガイアよ」

 

 

「その命、神に返しなさい!!」

 

 

宣言終了と同時、イクサは専用武器、「イクサカリバー」を取り出し、赤い刀身がきらめく剣形態にして、走った勢いを加えて何度も切りつける。

 

スパイダーは、抵抗しようにもイクサの怒濤の連続攻撃に反撃の隙が無いことによって、全く抵抗できない。

 

 

「アンタァ!!」

リザードが助けようと全力で走り、手に持った剣でイクサに斬りかかる。

 

しかし、イクサはそれを読んでいた。

イクサは体を回転させるようにひねってその場から離脱し、リザードの攻撃をかわす。

 

止まってすぐに、イクサカリバーを銃形態に切り替えて、トリガーを引き、ファンガイアの苦手としている純銀物質を含んだ銃弾を喰らわせる。

 

「「ぎゃああ!!」」

 

 

悲鳴を上げて倒れる二人。しかし、すぐに起き上がって反撃に転じる。

 

スパイダーが口から糸を吐いて、イクサの足を絡め取って動きを封じる。

そしてリザードが剣で再び斬りかかる。

今度はスパイダーも加わり、鋭い爪で斬りかかろうとする。

 

「危ない!?」

響が思わず声を掛けるが・・・。

 

 

「・・・」

イクサは全く慌てること無く、冷静に対処する。

 

イクサカリバーの銃を左手に持ち、イクサナックルを外して右手に持ち、襲いかかる両者に向かって同時に銃弾とエネルギー弾を放つ。

 

せっかくの攻撃が失敗したことに驚きながら、何とか着地して体制を立て直す二体。

 

 

「くそ・・・イクサ、噂には聞いていたが、これ程とは・・・!人間のくせに・・・」

「人間の分際で、なんて忌々しい・・・」

 

「なんと言われようと、俺たちはやるべき事をやるだけだ。それと・・・」

 

イクサは、ようやく来たか・・・と思いながら、こう言った。

 

 

「あまり人間のことを悪く言っていると、もう一人の王が黙っていないぞ?」

 

 

「「!!」」

 

イクサの言葉の意味に気づいたが、もう遅い。二体は背後からバイクに・・・マシンキバーにひかれて左右に吹っ飛ぶ。

 

「すみません、遅くなりました」

「やっと来たわね、直人君!」

 

「待っていたぞ」

「直人さん!」

 

啓介と恵、そして響は嬉しそうに直人を呼ぶ。特に響は、本当に嬉しそうに、直人の所に駆け寄る。未来も、ようやく会えた直人に駆け寄っていく。

 

「響ちゃん、大丈夫だった?」

「はい!」

 

「良かった。恵さんと・・・君も大丈夫?」

「は、はい!・・・あなたが、響の言っていた、直人さん?」

 

 

「うん。紅 直人、よろしくね」

 

「は・・・はい。小日向 未来です。響を怪物から助けてくれたって聞きました。

その、ありがとうございました!」

 

「気にしないで。僕は当然の事をしただけだから・・・」

「直人君、そろそろ戦ってくれ!」

 

直人と未来が話をしている間、イクサは一人で相手をし続けていた。

 

 

「あ・・・す、すみません!キバット!」

 

「おいおい、しっかりしとけよ!まぁ、キバるけどな。ガブッ!」

「変身・・・!」

 

キバに変身して、イクサに助太刀する。キバは二体の肩の上を踏み台にして高くジャンプ。

 

 

そのままスパイダーに向かって落下の勢いと魔皇力から変換した力を合わせた強力なかかと落としを喰らわせる。

 

イクサも、内部のエネルギーを右拳へと集中させて、余剰エネルギーを吹き出しながら強力なパンチをリザードにたたき込む。

 

イクサのパンチによって、リザードはもはや戦闘不能状態に陥る。

 

スパイダーはキバに襲いかかるが、キバはその腕を掴んで、そのまま上に投げ飛ばして右腕に魔皇力を集中させて、力をためる。

 

その影響か、右腕が魔皇力で真っ赤な光に包まれる。

 

落ちてきたスパイダーに向けて、そのままアッパーをスパイダーの腹にたたき込む。くの字に折れ曲がったまま、スパイダーが崩れ落ちる。

 

「トドメ、行きましょう」

「あぁ。しかし・・・思っていたよりバージョンアップしているな」

 

「青空の会の技術はどんどん上がっていますね。まぁ、いいことですけど」

 

二人は同時に必殺技を発動する。

 

キバはウェイクアップフェッスルをキバットにふかせ、イクサはイクサカリバーを剣形態にして、フェッスルをベルトに入れて、イクサナックルを押し込んで必殺技を発動する。

 

 

「ウェイクアップ!」

《イ・ク・サ・カ・リ・バ・-・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ》

 

キバがダークネスムーンブレイクを発動したことで、夜が広がり、イクサの必殺技の一つ・・・「イクサジャッジメント」が発動したことで、灼熱の太陽が浮かぶ。

 

 

その光景は、怪しくも美しい闇夜の中に暖かくも煌めく太陽が浮かぶという、矛盾した・・・しかしどこか幻想的な光景が発現する。

 

 

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 

キバのキック、イクサの一閃が見事に命中し、スパイダーとリザードは遂に限界を迎えて、体が砕け散った。

ライフエナジーの塊二つは、城竜に喰われた。

 

その後、響と未来に、改めて自己紹介した後、未来に事情を説明した。

 

ファンガイアとキバの存在。共存に向けての活動。青空の会について等。

 

全て説明を終えた後。未来は直人と話をしていた。

 

 

「そうだったんですか・・・。あの、直人さんは、出来ると思っているんですか?ファンガイアとの共存を・・・」

 

「出来る出来ないじゃない・・・やるんだ。僕は共存を唱えた者としての責任があるから。それに・・・」

 

「・・・?」

「僕個人としても、危ない目に遭っている女の子を放っておけないから」

 

「あ・・・」

直人の真っ直ぐな言葉に、未来は響の言っていたこと・・・「優しい王様」というのが本当だというのがわかった。

 

「・・・・・・ありがとうございました。二年前も、今も響を、そして私を助けてくれて、本当に、ありがとうございました!」

 

お礼を言う未来の顔は、とてもかわいい笑顔になった。それはまさに、小さな日向。

 

 

「それに、かっこいいし・・・」

「?」

 

「え・・・・・・あ、いえ!何でもないです!?」

 

自分の言葉に気づいて、慌ててごまかした。しかし、その顔はほんのり赤い。

 

 

未来の言葉は直人には届かなかったが、聞こえた響は、胸に小さな痛みを自覚していた。

 

 

(何だろ・・・今、未来の言葉を聞いたら、胸が苦しくなったような・・・?)

 

「全く、直人君は・・・。まぁ、彼の魅力がそうさせているのだろうな」

「むふふ~、青春の予感♪」

 

名護夫婦は、気づいていたようだ。

 

こうして、今回の騒動が終わりを告げた。

しかし、まだまだ戦いと物語、そして恋は終わらない・・・。

 

 

 

 

「・・・・・・はっ!直人がまた、新たな女の子と仲良くなった気がする・・・」

 

 

以上、防人女子の一言。

 

 




次回予告

「直人・・・。は、恥ずかしいよ・・・」

「大丈夫・・・。平気、へっちゃらです!」

「・・・・・・許さない」


第六話 紫の雷、怒りの鉄槌

Wake・Up!運命の鎖を、解き放て!


次回、いよいよフォームチェンジが出ます。お楽しみに!

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