暗殺教室 鶴久紅の事件ファイル   作:残月

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策謀の時間

 

 

 

どうにも最近、速水に避けられてる気がする……

 

つい先日、一緒に夏休みの宿題をやろうと約束していたのだがドタキャン。その後も矢田や千葉を含めて遊びに行こうと話が上がったのだが速水は『用事がある』『その日は都合が悪い』と来なかったのだ。

その割りには別の日に矢田や倉橋達と遊びに行っていたらしく、俺は速水に避けられていた。

 

今日はE組校舎でロヴロ先生を講師に暗殺のレクチャーを皆で受けているのだが、やはり俺は速水に避けられていた。

 

だからと言って訓練をサボる訳にはいかない。大和屋常連の人から貰ったサンドバッグをE組校舎に吊した俺はひたすらサンドバッグを殴っていた。

 

 

「行け、ジョー!涙橋の子供たちにお前のパンチを見せてやれ!」

 

「丹下のオッサンかオメーは!」

 

 

ひたすらサンドバッグを殴る俺に不破が叫ぶ。それに俺がジョーだったとしてもクロスカウンターなんか殺せんせーに使えるかっての。

 

 

「ふー……」

 

「中々、良い拳だな紅」

 

 

一息付いた俺にロヴロさんが話し掛けに来た。先程までロヴロさんは渚から今回の暗殺のプランを聞いていたのだが説明が終わったのだろう。

今回の暗殺の舞台は旅行の最中だ。基本プランとしてまず先に七本の触手を破壊し、すぐさまクラスでの一斉攻撃で奴を仕留める。更に精神的な部分も攻める為に日頃の殺せんせーの痴態や先日のエロ本の事など、いびるネタかなり有るので存分に使わせて貰う。つーか、アイス一本で口止め出来るわけないだろうに。

 

 

「暗殺に拳を使う気か?殺せんせー相手には……」

 

「殺せんせーに当てる気は無いよ。って言うか無理なんだけどさ。でも全くの無駄にはならないと思うんだ、だから今はひたすら鍛えたい」

 

 

ロヴロさんの指摘は最もだろう。マッハ20に拳なんて意味が無い。でと何もやらないよりもマシだ。

って言うより、身体を動かしてないと速水の事で悩んでウジウジしそうだし。

 

 

「ハァァァァァッ!幕ノ内、幕ノ内!」

 

「すげぇ!デンプシーロールだ!」

 

 

俺は無心となりサンドバッグを叩きまくる。吉田が俺の見様見真似のデンプシーロールに驚いていた。

 

 

 

 

 

 

◆◇side矢田◆◇

 

 

 

最近、凜香の様子がおかしい。

妙に鶴久君の事を避けてる気がする。この間、皆で夏休みの宿題をやろうと言っていた日に私は病院に行かなきゃ行けない日だったし、千葉君も別の用事で大和屋には行かなかった日。あの日に何があったのか知らないけど、あの日を境に凜香は鶴久君を避け始めた。

 

一緒に遊びに行くときも鶴久君を誘うと凜香は遊ぶのを断り、鶴久君がいない時は私達と普通に遊んでた。

 

本当にどうしたんだろう凜香。

さっきの狙撃訓練もロヴロさんが感心する程に百発百中だったのに鶴久君の話題が出てから弾が当たらなくなった。それに顔も赤くなって明らかに動揺してたし。

 

 

あの日に何があったか私は知らない。私だけが知らないのかな?千葉君も知らないのかな?

そんな事を考えてたら胸の辺りがモヤモヤしてきちゃったよ。

 

 

今日のロヴロさんのレクチャーが終わったら鶴久君誘って遊びに行こうかな。話も聞きたいし、何より鶴久君と一緒にいたいから。


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