呉鎮守府にいる駆逐艦で艦これに実装されているのが吹雪と磯波だけという珍しい状況です。
そして今のところメインキャラとなりそうなオリキャラは三人です。
まず東雲。東雲といえばとある日常アニメのロボを思い出します。むしろそれしか思い当たりません(私がサブカルに接するきっかけがこのアニメなので仕方ないです)という訳で東雲はそんな感じだと思って下さい。
そして薄雲。名前通りあまり存在感がないキャラをイメージ。話し方は山雲と荒潮の間くらいですかね。見た目は初雪と望月くらいがいいですね。
最後に白雲。これは私の学校の校歌(知らなくていいです)に出てくるイメージがあるのでバンカラで江戸っ子っぽい感じです。深雪と江風の間くらいですかね。(結構有名な校歌なので知っている人がいるかも。私はそれを10年間歌わされたので、白雲と言えばこれ)
こんな感じを想像してます。若竹級はその都度ネームド化します。ああ、早く白雪叢雲が来てくれるとやりやすいんですけどねー。
結局喧嘩のせいで夕食の味は分からなかった。だが親しい仲間が出来ただけでよしとしよう。
食事が終わり、皆と別れて部屋に戻ると疲れからかすぐに寝てしまった。
翌朝はラッパの音で目が覚めた。寝ぼけているとノックがする。
「吹雪ちゃん、起きて!」
「ふぇ?」
扉が開け放たれる。磯風が珍しく慌てている。
「0605に朝点呼だよ」
「うそ!」
懐中時計を見ると6時3分であった。
「ああ!」
「急いで着替えて」
吹雪が大慌てで制服に着替える。走って玄関に出るとすでに駆逐艦娘が整列していた。12駆のメンバーはバツの悪そうな顔をしている。
「2分の遅刻だ。新人だからって許されないぞ」
「はい…」
駆逐艦娘の前には木曾が立っていた。毎日点呼を取るのは軽巡の仕事だ。最年長は天龍だが一水戦の仕事があるため、役職に就いてない艦娘が担当する。
「罰として二人で鎮守府を2周して来い」
「磯風ちゃんは私のせいで…」
「い、いいよ。遅れた事には変わらないんだし」
二人は揃ってランニングを始めた。残りの艦娘は朝の体操を行い、部屋の清掃をする。これも点検があるのだが、二人はまだ帰って来ていない。
二等駆逐艦達はその事を笑い、更に朝食が遠のくと話している。
数十分後、見回り当番の谷風が二人の部屋を見に行った。しかし予想とは違い、そこには整理整頓された部屋が並んでいた。
「ん?やけに綺麗じゃないか」
谷風はべらんめえ口調(なお生まれは舞鶴)で驚いた。
「朝礼前に片付けたんじゃなかなー」
隣の部屋から薄雲が見に来た。
「そうか。なら問題ないな」
「んー?若竹型みたいにいちゃもん付けないのー?」
「ちゃんとしてるならいいんだよ。あたしは古参だけど一等駆逐艦だし妬みなんかない。新型が性能いいのは当たり前だろ?」
「へー、意外」
「そう思うなら先輩を敬うくらいはしろよ?」
「うん…。ありがとうございました」
こうして見回りは無事終わった。
後ろからこっそりと様子を伺っていた東雲が出てくる。手には掃除道具が握られている。
「上手く行きましたね」
「私達も磯波に助けられたからねー」
「でも全員が私達をよく思ってない訳じゃないんですね」
「みたいだねー、一等駆逐艦はもしかしたらそうかも」
「じゃあ江風さんも同じかもしれないね」
「二人が帰って来たぞ」
窓の外を見ていた白雲が声をかけた。
罰走を終えた二人はふらつきながら宿舎に戻って来た。
「た、ただいまー」
「朝一では辛いね」
「清掃の見回りは終わったよ」
「あ、そうだった。私は再点検かな」
吹雪が顔を青くする。
「私達がやっときました」
「特型仲間だからな」
東雲と白雲がニコニコしながら言った。
「本当?ありがとう」
「間宮羊羹一本ね」
「うん。買っとくよ」
5人は笑いながら
0700時。艦娘達はぞろぞろと食堂を兼ねている第一士官室へ向かった。
朝食は食パン一枚とみそ汁である。最初は変な組み合わせだと思ったが慣れると悪くない。他の駆逐艦娘は吹雪と磯波がここにいる事に驚いたが谷風が何食わぬ顔で食べているのを見て理解したようだ。
いくら険悪だからと言って毎回喧嘩になる訳ではない。今朝はそれ以上問題になる事は無かった。
0800時。午前の課業が始まる。熟練度や隊によって異なるが、吹雪達は一日中座学である。特型は艦娘になったばかりなので地理歴史から艦娘はどうあるべきかなどまでを学ぶ。
毎回終わる前にテストをするので知らない分野は予習しておかなければ辛い。もし点数が悪ければ明日また同じテストを行う。
五人はなんとか付いて来ていたが五日目に吹雪が地理を落としてしまった。
「う…。やってしまった」
「え、落としちゃったの?」
磯波が心配そうに声をかける。
「都洛ってどこだっけ」
「都洛…私もそこ分からなかった」
「字から京都の事だと思ったんだけどなー。白雲ちゃん分かる?」
吹雪は反対を振り向いた。そこには5枚のテストが並べられ、遠い目をしている白雲がいた。
「あっ…(察し)」
「そ、そうだ。東雲ちゃんは分かった?」
磯波が慌てて東雲に聞いた。
「はい。都洛とはトラックの事です」
「貨物自動車の事?」
「違います!南洋統治領のトラック環礁です」
「周りを海に囲まれてるので泊地として使えるのでミクロネシアで一番栄えています。南洋庁があるのもトラックです」
「すごい。よく覚えてたね」
「でもなんで出たんだろう」
「それは仮想敵国がアメリカだからだよー」
薄雲が話に加わる。
「トラック諸島はフィリピンとハワイの間にあるでしょー。だからここを抑えれば米領フィリピンが孤立するんだよ」
「なるほど」
「二人共すごいね」
吹雪が賞賛するが二人は顔を見合わせて苦笑いした。
「私達理系が苦手で…」
「計算面倒だもん」
吹雪は航海術とかどうするんだろうと考えたが行く場所を知らない自分よりマシかと思い言わなかった。
「でもまだ一度も落としてません!白雲さん、みんなで頑張りましょう!」
「…はい」
こうして忙しく一週間が過ぎた。土曜の昼、カレーが出る。
「おっカレーじゃん。じゃあ今週も終わりだな」
白雲が喜びの声を上げる。まだ来たばかりの吹雪にはピンと来ない。
「そうなの?」
「毎週土曜日の昼はカレーなんだよ。土曜は昼までだからね」
「長かったね」
第一士官室はいつもより騒々しい。皆午後に何をするかと話し合っている。
艦娘特有の早食いを終えて部屋に戻る途中、吹雪がふと気になって皆に聞いた。
「そういえば、みんな週末には何してるの?」
「図書館で本を読んでます」
「部屋で
「寝てるよー」
「部屋でじっとしてます」
「え…」
呆然とする吹雪と当たり前のように言う四人。
「呉の街に遊びに行ったりは」
「ないです」
「どうして?」
「他の駆逐隊に絡まれるから」
なんと全員が週末を引きこもって過ごしているようだ。
「せっかくだから行こうよ」
「外出許可出すの面倒」
「出たら負けだと思ってる」
彼女らは一体何と戦ってるのだろうか。
他の駆逐艦からのいじめが原因だろうか。だが特型なら樅型より馬力もあるし大きい。一対一でならまず負けない。だが駆逐艦は集団行動するものである。
「一人が嫌ならこっちも集団で行動しようよ」
「でも私は駆逐隊に所属してないし…」
「特型全員でまとまればいいよ。今、日本中の造船所で妹達が量産されてる。私の艦長が言うには呉や横須賀は半分が特型に置き換わるみたい。今後来た子のためにも居やすい環境にしないと」
「語るねー」
「自由吹雪党かな?」
「特型協賛会じゃないですか?」
「もう。真剣に考えてるのに」
「私はいいと思います」
「磯波ちゃんありがとう。じゃあ今日は売店に行こうよ」
「酒保?」
「うん。羊羹奢る約束だったでしょう?」
「羊羹か」
満更でもない顔をする一同。甘味の誘惑には勝てないようだ。
さっそく酒保へ向かう五人。
「酒保ってどんな感じなの?」
「普通のお店だよ」
鎮守府の庁舎に向かって歩いていく途中、数個駆逐隊とすれ違ったが特に絡まれることはなかった。
いつもピリピリしてる訳ではないのだなとホッとする吹雪。
庁舎前にさしかかったとき、軽巡那珂と出会った。
「やっほー。特型が外出とは珍しいね」
那珂がニコニコしながら手を振る。常に明るくて接しやすい艦娘だが駆逐艦にとって上司である。
全員が立ち止まり挙手敬礼をする。
「かしこまらなくていいよ。今はオフだからね☆」
那珂は雑誌のモデルのようにポーズを決めた。
「ありがとうございます」
「みんな揃ってどこに行くの?」
「酒保に行こうかと思いまして」
「今日は間宮さんが帰還してるよ」
吹雪以外の四人が目を輝かさせる。
「本当ですか?じゃあそっちに寄ります」
「那珂ちゃんがご馳走するよ」
「え?本当…でも悪いですし…」
「まあまあ。お姉さんに任せなさい!」
「じゃあお言葉に甘えて…」
那珂は笑顔を絶やさずに桟橋へ向かった。
桟橋に貨物船が接岸されている。まだ一本煙突から煙を出しているが、前後の油圧クレーンが物資の積み下ろしを始めている。
那珂は忙しく働く軍属の間で指揮をしている割烹着姿の女性へ近づく。
「間宮さーん」
「あら。那珂さんじゃないですか」
間宮と呼ばれた女性が振り向く。
「吹雪型連れて来たよー」
「あら。いらっしゃい」
「こんにちは」
「初めまして、吹雪です。間宮さんって普通の女性なんですか」
吹雪が驚いて尋ねる。
「私も艦娘よ」
「でも…」
貨物船には"やみま"と書かれていた。
「私は特別なの。軍艦じゃないし、戦闘艦でもないから。妖精さんの代わりに普通の人が働いているだけよ」
「どうして妖精さんじゃないんですか」
「私は給糧艦だから艦娘だけじゃなくて普通の人にも補給しないといけないの。全員が妖精さんが作った料理を食べたいとは思ってないでしょう?」
「それは…」
「それに全国から集められたプロの料理人がいるから妖精さんよりおいしい料理が作れるの」
「間宮さん。今日は間宮羊羹ある?」
「あるわよ」
「じゃあ私と特型のみんなに羊羹出してくれない?」
「分かったわ。じゃあ上がって」
七人はタラップを上がって艦内に上がった。
「初めて軍艦に乗った」
「特型のみんなはそうだったわね」
吹雪は船のはずだがまだ海に出たことも船に乗ったこともない。波が穏やかな瀬戸内海なので揺れはほとんどなかった。
六人は食堂へ案内される。
程なくして羊羹とお茶が出された。
「訓練は慣れた?」
「まだ座学ばかりで…」
「そうだった。でもすぐだよ」
「転覆したりしませんか?」
吹雪が心配そうに聞くと那珂は腕組みして考える。
「設計者は平賀さんだっけ」
「いえ、藤本さんです」
「うーん。重心は高めだね。でも
「本当ですか」
「やってみないと分からないけどね。そいうえば磯波ちゃんは相模湾で試験航行してなかった?」
突然話を振られた磯波は驚いて肩をびくりとさせた。
「はい。でも必死だったのであまり覚えてないです」
「お偉いさんが関心してたから良かったんじゃないかな。いいなー新型は」
「那珂さんも最新ですよね?」
「完成したのはね。でも設計は球磨型とほとんど変わらないからね」
那珂は少し残念そうに言った。東雲が話を続ける。
「夕張さんが新型みたいですね」
「そうそう。天龍型と同じくらいなのに私たちと同じくらいの火力があるみたい」
「すごいですね」
「でもそんな上手いこと行くんですかね。あたしたちだって峯風級よりかなり大きくなりましたし」
白雲は不信そうに言う。だが那珂は態度を変えない。
「うん。そういう噂も聞くね。でも私達三姉妹は実力で勝つって決めてるの。
「かっこいいです!」
「もし私の水雷戦隊になったら那珂ちゃんの親衛隊になってもらうからねー」
軽巡那珂と話しているうちに日が傾いてきた。那珂が会計を済ませて帰宅する。
間宮と那珂のお陰もあり初めての特型駆逐艦の会は上手くいったのだった。
吹雪の奢り?何のことですかね...。byとある一番艦
今は週休二日制なので金曜がカレーですが、戦後のちょっと後までは土曜も午前中仕事でした。なので海軍カレーは土曜昼に出たらしいです。調理担当の手間がかからないのもポイントらしい。海軍カレーと自衛隊カレーは違うんですね。
「特型駆逐艦の会」の元ネタはは公式4コマの「吹雪、がんばります!」です。特型が叢雲とかをいじってて北上が巻き込まれるやつです。見たことない人は買いましょう(ダイレクトマーケティング)
間宮をどうするかでかなり悩みました。史実に違和感ないように登場させたかったのですが、"何もない海上で料理=間宮の体内で製造"という変な感じになりそうだったので変更しました。逆に特務艦は全部普通に船にしようかとも思いましたが給油艦「速吸」は完全に艦娘。という訳で間宮はアルペジオ方式に近い感じになりました。
普通の艦これなら気にする必要ないのですがこだわりたいです(知らんがな)
間宮の諸元:
14cm単装砲×2基
(8cm単装高角砲×2基)←戦時のみ
食糧 いっぱい
16ノット
役割分担は
艦娘(間宮) 操縦・機関管理・通信(+個人的に料理もする)
士官 指令・指揮
水兵 砲撃など
軍属(シェフ)食糧管理・料理
というイメージです。下の二つは妖精の代わりですかね。