IS×仮面ライダーW 〜二人で一人の探偵達+αが転生しました〜   作:prototype

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転校生!は次回です。


第十二話

「おかえりなさい!わたしにする?わたしする?それともわ・た・し?」

 

 

「は?」

 

 

大説明会から数日後、普段の学校生活に戻って来たってところで、俺の前に裸エプロンの女がいる。部屋まちがえたか?

 

 

「あら?もう一人はいないのね。ちょっと残念。」

 

 

「…………どうやら部屋を間違えたらしい。悪かったな。後、若い女の子が、無闇に肌を出すモンじゃねえぞ。」

 

 

正直非常に眼福だったが、そこに反応するのはハードボイルドじゃねえ。このままクールに去るぜ。

 

 

「ちょっ、待って!貴方の部屋はここよ!」

 

 

「はあ?じゃあ何で俺たちの部屋に居る?」

 

 

ん?まてよ…………この青髪、どっかで……

 

 

「思い出した!お前アリーナの時の!」

 

 

「えーっと、それは多分私の妹で…。とにかく!貴方に話があるのよ!」

 

 

何なんだコイツ?話するだけなのに何でこんなことを?

 

 

「……………取り敢えず、服を着ようぜ。」

 

 

「あら?お気に召さなかった?」

 

 

「いやそんなことな……あるね!さっさと服着ろ!」

 

 

本当に何なんだコイツ?勝手に部屋に入ってるし、裸エプロンだし。

 

 

「因みに、水着は着てるわ!」

 

 

「…………早くしろ。」

 

 

疲れる奴だな。

 

 

 

 

 

 

「それで、まずアンタは誰だ?」

 

 

「私の名前は更識 楯無、この学園の…………」

 

 

楯無と名乗ったそいつは、立ち上がり、扇を取り出す。そして扇を開くと、そこには大きく、『生徒会長』と書かれていた。

 

 

「生徒会長よ!」

 

 

「そうですか。先輩ってことですね。で、何の用でここに?」

 

 

「別にタメ口で構わないわ。さっきも言った通り、話があるのよ。貴方達のベルトとメモリについてね。」

 

 

「!」

 

 

コイツ……。妹から聞いたってことか?

 

 

「何が聞きたい?悪いが内容によっちゃあ話せねぇ。」

 

 

「構わないわ。着いてきて。」

 

 

そういった生徒会長に着いて行くと、案の定というか、生徒会室に案内された。

 

 

「虚、帰ったわ。」

 

 

「おかえりなさいませ。会長。彼がそうなので?」

 

 

「まだこれからね。左翔太郎君、こっちよ。」

 

 

さらに生徒会室の奥へ行くと、思わせぶりな金庫があった。会長は慣れた手つきで金庫を開け、中のものを取り出した。

 

 

「コレ、見覚えあるわよね?」

 

 

「それは……!」

 

 

差し出されたのはつい最近見たもの。俺自身も何度も使ったものだった。

 

 

「ロストドライバー…………!」

 

 

「へぇー、コレってそんな名前なのね。」

 

 

「それを何処で?」

 

 

ロストドライバーは、俺たちは向こうの世界であいつらに託してきた。だからあるのは大道が持っているものだけのはずだ。まさかまだ俺たちの世界から来たやつがいるのか?

 

 

「何処でっていうより、これは昔から家にあるものよ。私の家にはそれなりに長い歴史があるのだけれど、何代も前の当主が、友人から貰ったものと伝えられているわ。」

 

 

てことは、俺たちよりも過去に来ていた奴がいたのか。大道も千冬さんの話どうりなら、ここに来たのは俺たちよりも過去だからな。何か法則でもあるのか?ま、今はいいか。それより……

 

 

「生徒会長、ドライバーの他にUSBメモリみたいなものはなかったか?」

 

 

「あるわよ?でもコレ、壊れてるみたいよ?」

 

 

そういって会長は金庫の中から黒いメモリを取り出した。

 

 

「!……そのメモリは!」

 

 

「これも見覚えがあるのね。ますます貴方達に興味が湧くわね。」

 

 

「スカルのメモリ………」

 

 

差し出されたのは、おやっさんが使っていたスカルのメモリだった。壊れてるのはエターナルのせいだろうがな。まさか何代も前の友人ってのはおやっさんなのか?

 

 

「貴方、これが使える?」

 

 

「ああ、一応使えるはずだ。」

 

 

「じゃあ、それは貴方にあげるわ。」

 

 

「いいのか?先祖のものなんだろ?」

 

 

「いいわよ。私達が持っていても仕方ないし、何より貴方達には簪ちゃんを助けてくれた恩があるもの。」

 

 

簪?もしかして妹の名前か?おいおい、どういうネーミングセンスだ。

 

 

「本当はもっといろいろ聞きたいところなんだけどね。学園に味方してくれる貴方達を無闇に敵に回したくはないしね。またの機会にするわ。」

 

 

「それはありがたい。正直説明すんのも疲れてたとこだ。」

 

 

「ただ、もし学園の敵になるなら、私は容赦しない。これだけは覚えておいて。」

 

 

楯無は扇を開く。そこには睨みつけるような目の模様が描いてあった。

 

 

「ああ、覚えておく。」

 

 

「それじゃあね、翔太郎君。もし良かったら生徒会にも歓迎するわよ?」

 

 

「考えておきます。それじゃ。」

 

そういって俺は、生徒会室を後にした。

まさかこんな収穫があるとは思わなかったな。フィリップに報告だな。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「会長。よろしかったのですか?彼にアレを渡して。」

 

 

翔太郎が去った後の生徒会室。副会長の布仏 虚は会長である楯無に言った。

 

 

「今さら不満?」

 

 

「隠しカメラから映像は見ました。確かに強大な力を彼らは持っている。しかし、敵か味方かもわからないあの白いのとも面識があるようです。信頼できるのですか?」

 

 

「やあね虚、私にだって人を見る目はあるわよ。なんか彼ならやってくれる気がするのよ。それに彼、私の水着エプロン見て、鼻の下伸ばしてたもの。とても悪い人間に思えなくてね。」

 

 

「あれを本当にやったんですね………更識家の家宝を渡したのですから、もっと責任を感じてください!」

 

 

「はいはい、わかったわ。彼らのことは、いずれちゃんと調べなきゃねぇ。」

 

 

「そう言えばもう一人の、確か園咲来人でしたっけ?は何処にいるのですか?」

 

 

「?整備室に居るって言ってたわ。何でも、彼、ISをいじるのが好きらしいわ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「私を弟子にして下さい!お願いします!」

 

 

どうしてこうなったんだろう。

 

僕は翔太郎と別れ、整備室でラファールを弄っていた。これは僕の習慣みたいなものだ。大道克己と会ってからは、ISの、ひいては篠ノ之束の情報を集めなきゃならないしね。

 

そうして何時ものように、様々な状況下での実験を行っていると、何やら背後から視線を感じた。

 

 

「そこにいるのは誰かな?」

 

 

そう言うと、観念したかのように、その子は出てきた。青い髪が特徴的な子だ。アリーナで僕の体を預けた子だと記憶している。

 

 

「君は確かアリーナの時の。あの時はありがとう。」

 

 

「え、いや、その、こ、こちらこそあ、ありがとうございます…………。」

 

 

「僕に何か用かい?」

 

 

「いや、えっと、なんていうか、その、だから、」

 

 

「フフ、少し落ち着きたまえ。」

 

 

「スゥーーハァーー。わ、私を!」

 

 

「?」

 

 

「私を弟子にして下さい!お願いします!」

 

 

こうして冒頭の流れに戻る訳だ。

 

 

「一応聞いておくけど、どうしてかな?」

 

 

「わ、私、ヒーローとか、そういうのに憧れてて、だ、だから、貴方達みたいになれたらなって………」

 

 

こういう人がいなかった訳じゃない。思い出すな。翔太郎が弟子入りを突っぱねたら、一人で危険なことして死にかけていた彼を。

 

 

「君は、僕達みたいになれたら、何がしたいのかな?」

 

 

「私、お姉ちゃんと何時も比べられてて、貴方達みたいに強かったら、変われるかなって……。」

 

 

なるほど、実の姉に対する劣等感か。

 

 

「残念ながら、僕に手伝えることは、君の専用機を完成させるくらいしかないよ?更識簪。」

 

 

「!?ど、どうして名前……」

 

 

「同年代の代表候補生は一応調べてあるのさ。君の専用機が、一夏の白式の開発の影響で、完成していないのも知っている。」

 

 

「…………………」

 

 

「生憎僕は、理論や知識ならともかく、体術や精神論を教えるのは苦手でね。翔太郎は得意なんだけど。」

 

 

「……あれは、打鉄弐式は、私一人で完成させなきゃいけないんです。」

 

 

「どうして?」

 

 

「お姉ちゃんは一人でISを、組み立てたんです!なら私も………」

 

 

「なら、どうして僕に弟子になりたいと志願したんだい?その理論だと、君のお姉さんの師匠の弟子になるか、あるいは何処にもつかないか出ないと、君はお姉さんに追いつけない。違うかい?」

 

 

「そ、それは…………………」

 

 

「Nobody's perfect」

 

 

「……え…?」

 

 

「僕の師とも言える人の言葉さ、誰も完璧じゃない。僕も、君も、君のお姉さんも。支え合うことで初めて生きていける。」

 

 

「…………………」

 

 

「君のお姉さんは、ISを一人で組んだのかい?」

 

 

「そう、聞いてます………」

 

 

「では、その設備を用意したのは?材料は?まさか彼女が自分で作ったり、原料を取ってきた訳じゃないだろう?」

 

 

「!」

 

 

「いいかい。君のお姉さんは確かにすごいんだろう。だけど、それ以上に、彼女はたくさんの人に支えられているのさ。今の君はどうかな?」

 

 

「!………私、は!」

 

 

「もう一度聞くよ?君はどうして僕の弟子になりたいのかな?」

 

 

「………私はお姉ちゃんを超えたい!無能じゃないって証明したい!………私に協力してくれますか……?

 

「元から僕は、君に何らかの手伝いが出来ればと思っていた。非がないとはいえ、身内のせいでこうなっているからね。君が僕に依頼してくれるなら、喜んで協力するよ。」

 

 

「ありがとう、ございます……!」

 

 

「さて、それを踏まえた上で、君は僕の、いや、僕達の弟子になる気はあるかい?」

 

 

「…………………お願いします!」

 

 

「わかった。それじゃ、今日はもうすぐ夕飯だからね、詳しいことは明日からになるね。翔太郎にも報告しなきゃいけないし。」

 

 

その時、整備室の入り口の方から、元気な声が聞こえた。

 

 

「おーい!来人!夕飯行こうぜー!」

 

 

「ああ、一夏、すぐ行くよ。」

 

 

「?来人、その子は?」

 

 

「君の妹弟子になる子だよ。」

 

 

「へぇ!俺、織斑一夏って言うんだ!よろしくな!」

 

 

「…………更識簪。よ、よろしく。」

 

 

この二人が打ち解けるのは、まだ先のようだね。

 

 

 




一応言っておくと、フィリップ×簪ではありません。
よほど熱望でもされない限りは、このまま行こうと思います。

12/12ちょっと台詞、行間修正

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