IS×仮面ライダーW 〜二人で一人の探偵達+αが転生しました〜 作:prototype
「おかえりなさい!わたしにする?わたしする?それともわ・た・し?」
「は?」
大説明会から数日後、普段の学校生活に戻って来たってところで、俺の前に裸エプロンの女がいる。部屋まちがえたか?
「あら?もう一人はいないのね。ちょっと残念。」
「…………どうやら部屋を間違えたらしい。悪かったな。後、若い女の子が、無闇に肌を出すモンじゃねえぞ。」
正直非常に眼福だったが、そこに反応するのはハードボイルドじゃねえ。このままクールに去るぜ。
「ちょっ、待って!貴方の部屋はここよ!」
「はあ?じゃあ何で俺たちの部屋に居る?」
ん?まてよ…………この青髪、どっかで……
「思い出した!お前アリーナの時の!」
「えーっと、それは多分私の妹で…。とにかく!貴方に話があるのよ!」
何なんだコイツ?話するだけなのに何でこんなことを?
「……………取り敢えず、服を着ようぜ。」
「あら?お気に召さなかった?」
「いやそんなことな……あるね!さっさと服着ろ!」
本当に何なんだコイツ?勝手に部屋に入ってるし、裸エプロンだし。
「因みに、水着は着てるわ!」
「…………早くしろ。」
疲れる奴だな。
「それで、まずアンタは誰だ?」
「私の名前は更識 楯無、この学園の…………」
楯無と名乗ったそいつは、立ち上がり、扇を取り出す。そして扇を開くと、そこには大きく、『生徒会長』と書かれていた。
「生徒会長よ!」
「そうですか。先輩ってことですね。で、何の用でここに?」
「別にタメ口で構わないわ。さっきも言った通り、話があるのよ。貴方達のベルトとメモリについてね。」
「!」
コイツ……。妹から聞いたってことか?
「何が聞きたい?悪いが内容によっちゃあ話せねぇ。」
「構わないわ。着いてきて。」
そういった生徒会長に着いて行くと、案の定というか、生徒会室に案内された。
「虚、帰ったわ。」
「おかえりなさいませ。会長。彼がそうなので?」
「まだこれからね。左翔太郎君、こっちよ。」
さらに生徒会室の奥へ行くと、思わせぶりな金庫があった。会長は慣れた手つきで金庫を開け、中のものを取り出した。
「コレ、見覚えあるわよね?」
「それは……!」
差し出されたのはつい最近見たもの。俺自身も何度も使ったものだった。
「ロストドライバー…………!」
「へぇー、コレってそんな名前なのね。」
「それを何処で?」
ロストドライバーは、俺たちは向こうの世界であいつらに託してきた。だからあるのは大道が持っているものだけのはずだ。まさかまだ俺たちの世界から来たやつがいるのか?
「何処でっていうより、これは昔から家にあるものよ。私の家にはそれなりに長い歴史があるのだけれど、何代も前の当主が、友人から貰ったものと伝えられているわ。」
てことは、俺たちよりも過去に来ていた奴がいたのか。大道も千冬さんの話どうりなら、ここに来たのは俺たちよりも過去だからな。何か法則でもあるのか?ま、今はいいか。それより……
「生徒会長、ドライバーの他にUSBメモリみたいなものはなかったか?」
「あるわよ?でもコレ、壊れてるみたいよ?」
そういって会長は金庫の中から黒いメモリを取り出した。
「!……そのメモリは!」
「これも見覚えがあるのね。ますます貴方達に興味が湧くわね。」
「スカルのメモリ………」
差し出されたのは、おやっさんが使っていたスカルのメモリだった。壊れてるのはエターナルのせいだろうがな。まさか何代も前の友人ってのはおやっさんなのか?
「貴方、これが使える?」
「ああ、一応使えるはずだ。」
「じゃあ、それは貴方にあげるわ。」
「いいのか?先祖のものなんだろ?」
「いいわよ。私達が持っていても仕方ないし、何より貴方達には簪ちゃんを助けてくれた恩があるもの。」
簪?もしかして妹の名前か?おいおい、どういうネーミングセンスだ。
「本当はもっといろいろ聞きたいところなんだけどね。学園に味方してくれる貴方達を無闇に敵に回したくはないしね。またの機会にするわ。」
「それはありがたい。正直説明すんのも疲れてたとこだ。」
「ただ、もし学園の敵になるなら、私は容赦しない。これだけは覚えておいて。」
楯無は扇を開く。そこには睨みつけるような目の模様が描いてあった。
「ああ、覚えておく。」
「それじゃあね、翔太郎君。もし良かったら生徒会にも歓迎するわよ?」
「考えておきます。それじゃ。」
そういって俺は、生徒会室を後にした。
まさかこんな収穫があるとは思わなかったな。フィリップに報告だな。
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「会長。よろしかったのですか?彼にアレを渡して。」
翔太郎が去った後の生徒会室。副会長の布仏 虚は会長である楯無に言った。
「今さら不満?」
「隠しカメラから映像は見ました。確かに強大な力を彼らは持っている。しかし、敵か味方かもわからないあの白いのとも面識があるようです。信頼できるのですか?」
「やあね虚、私にだって人を見る目はあるわよ。なんか彼ならやってくれる気がするのよ。それに彼、私の水着エプロン見て、鼻の下伸ばしてたもの。とても悪い人間に思えなくてね。」
「あれを本当にやったんですね………更識家の家宝を渡したのですから、もっと責任を感じてください!」
「はいはい、わかったわ。彼らのことは、いずれちゃんと調べなきゃねぇ。」
「そう言えばもう一人の、確か園咲来人でしたっけ?は何処にいるのですか?」
「?整備室に居るって言ってたわ。何でも、彼、ISをいじるのが好きらしいわ。」
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「私を弟子にして下さい!お願いします!」
どうしてこうなったんだろう。
僕は翔太郎と別れ、整備室でラファールを弄っていた。これは僕の習慣みたいなものだ。大道克己と会ってからは、ISの、ひいては篠ノ之束の情報を集めなきゃならないしね。
そうして何時ものように、様々な状況下での実験を行っていると、何やら背後から視線を感じた。
「そこにいるのは誰かな?」
そう言うと、観念したかのように、その子は出てきた。青い髪が特徴的な子だ。アリーナで僕の体を預けた子だと記憶している。
「君は確かアリーナの時の。あの時はありがとう。」
「え、いや、その、こ、こちらこそあ、ありがとうございます…………。」
「僕に何か用かい?」
「いや、えっと、なんていうか、その、だから、」
「フフ、少し落ち着きたまえ。」
「スゥーーハァーー。わ、私を!」
「?」
「私を弟子にして下さい!お願いします!」
こうして冒頭の流れに戻る訳だ。
「一応聞いておくけど、どうしてかな?」
「わ、私、ヒーローとか、そういうのに憧れてて、だ、だから、貴方達みたいになれたらなって………」
こういう人がいなかった訳じゃない。思い出すな。翔太郎が弟子入りを突っぱねたら、一人で危険なことして死にかけていた彼を。
「君は、僕達みたいになれたら、何がしたいのかな?」
「私、お姉ちゃんと何時も比べられてて、貴方達みたいに強かったら、変われるかなって……。」
なるほど、実の姉に対する劣等感か。
「残念ながら、僕に手伝えることは、君の専用機を完成させるくらいしかないよ?更識簪。」
「!?ど、どうして名前……」
「同年代の代表候補生は一応調べてあるのさ。君の専用機が、一夏の白式の開発の影響で、完成していないのも知っている。」
「…………………」
「生憎僕は、理論や知識ならともかく、体術や精神論を教えるのは苦手でね。翔太郎は得意なんだけど。」
「……あれは、打鉄弐式は、私一人で完成させなきゃいけないんです。」
「どうして?」
「お姉ちゃんは一人でISを、組み立てたんです!なら私も………」
「なら、どうして僕に弟子になりたいと志願したんだい?その理論だと、君のお姉さんの師匠の弟子になるか、あるいは何処にもつかないか出ないと、君はお姉さんに追いつけない。違うかい?」
「そ、それは…………………」
「Nobody's perfect」
「……え…?」
「僕の師とも言える人の言葉さ、誰も完璧じゃない。僕も、君も、君のお姉さんも。支え合うことで初めて生きていける。」
「…………………」
「君のお姉さんは、ISを一人で組んだのかい?」
「そう、聞いてます………」
「では、その設備を用意したのは?材料は?まさか彼女が自分で作ったり、原料を取ってきた訳じゃないだろう?」
「!」
「いいかい。君のお姉さんは確かにすごいんだろう。だけど、それ以上に、彼女はたくさんの人に支えられているのさ。今の君はどうかな?」
「!………私、は!」
「もう一度聞くよ?君はどうして僕の弟子になりたいのかな?」
「………私はお姉ちゃんを超えたい!無能じゃないって証明したい!………私に協力してくれますか……?
」
「元から僕は、君に何らかの手伝いが出来ればと思っていた。非がないとはいえ、身内のせいでこうなっているからね。君が僕に依頼してくれるなら、喜んで協力するよ。」
「ありがとう、ございます……!」
「さて、それを踏まえた上で、君は僕の、いや、僕達の弟子になる気はあるかい?」
「…………………お願いします!」
「わかった。それじゃ、今日はもうすぐ夕飯だからね、詳しいことは明日からになるね。翔太郎にも報告しなきゃいけないし。」
その時、整備室の入り口の方から、元気な声が聞こえた。
「おーい!来人!夕飯行こうぜー!」
「ああ、一夏、すぐ行くよ。」
「?来人、その子は?」
「君の妹弟子になる子だよ。」
「へぇ!俺、織斑一夏って言うんだ!よろしくな!」
「…………更識簪。よ、よろしく。」
この二人が打ち解けるのは、まだ先のようだね。
一応言っておくと、フィリップ×簪ではありません。
よほど熱望でもされない限りは、このまま行こうと思います。
12/12ちょっと台詞、行間修正