IS×仮面ライダーW 〜二人で一人の探偵達+αが転生しました〜 作:prototype
「フン!逃げずに来たようね!」
「逃げずにって…、そりゃ食堂には来るだろ。休み時間なんだし。」
授業が終わり、昼食がてら食堂に行くと、入り口で鈴が待ち伏せていた。
「鈴。話は取り敢えず中だ。邪魔になってんぞ。」
「わかったわ。」
そうして俺たちは、空いている食堂の席に座る。
「久しぶりねアンタ達!」
「鈴こそな。元気だったか?」
取り敢えず俺たちは、お互いの近況を話し合った。それにしても………
(狙いはやっぱり一夏か。)
そう、鈴は一夏に惚れている。俺やフィリップに何度か相談したこともある。こんな微妙な時期に来たのも納得って訳だ。
「オホン!私を忘れてもらっては困りますわ!凰鈴音さん!」
「一夏、誰?」
「セシリアはイギリスの代表候補生で俺たちのクラスメイトだ。」
「ふぅん、他の代表候補生に興味ないから知らなかった。」
「きょ、興味ないですって!?」
相変わらずバッサリ言う奴だな。
「セシリア、気にすんなよ。こういう奴なんだ。」
「翔太郎さん…。」
「あ、そうそう一夏!約束、忘れてないでしょうね!」
約束、ああ、あれか…。
「約束…、いや、俺は覚えてるはずなんだけどさ…。」
一夏がチラチラこちらを見てくる。約束ってのは鈴が中国に帰る時にしたやつだ。
一夏曰く、「鈴が料理出来るようになったら毎日酢豚奢ってくれる」らしい。鈴がそんな約束するとは思えない。加えてこいつは鈍感だ。だから、一夏に言ってやった。
『一夏、お前多分それ絶対意味違うぞ。』
『ええ!?意味違うぞって、じゃあどんな意味があるっていうのさ!』
『それは自分で考えな。』
ってなやりとりがあった。俺のこと見てるってことは、アイツまだ気づいてないのか?
「?まあいいわ。放課後に聞きに行くからね。」
「あ、ああ…わ、わかった。」
いや、わかるなよ。
「翔太郎、約束ってアレのことだよね。確か毎日…」
「ま、待ちなさい来人!今言う必要はないわ!というか言うな!」
「?どうしてだい?」
フィリップ………。お前もかよ………。
「翔太郎さん。約束とは何のことですの?」
「ああ…俺の予想だが、多分プロポーズみたいなもんだと思う。」
「プロポーズ!?」
「馬鹿!声が大きい!」
「も、申し訳ございませんわ。」
「翔太郎!アンタ余計なこと吹き込んだわね!」
「ええっと、これはだな、何て言うか、その、」
「言い訳なんか聞かないわよ!」
「なあ来人、なんで翔太郎はプロポーズの話なんかしてたんだ?」
「さぁね。セシリアさんと何かあるんじゃないかな。」
「翔太郎とセシリアかぁ。いいんじゃないか?」
「プロポーズ………いつか私も翔太郎さんに……」
そう言えば俺まだろくに飯食ってないんだった!畜生!どうして俺が追われる羽目になる!?
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放課後。
「一夏のバカー!覚えてなんかないじゃない!」
「それは辛かったね鈴ちゃん。ほら、お茶だよ。」
「グスッ、ありがとう…。」
俺とフィリップは部屋で鈴を慰めていた。まあ、こうなるのはなんとなく読めた。
「でも、あの一夏が約束を忘れるとはね。鈴ちゃん、そう言えば何で毎日酢豚を作る約束なんかしたんだい?毎日は流石に飽きると思うんだけど。」
「来人!アンタもか!」
フィリップ………。
「翔太郎!」
「いや、大丈夫だ鈴。俺はちゃんとわかってるから。」
「味方は翔太郎だけなのね……。」
「で、鈴、これからどうすんだ?」
「一夏がちゃんとわかってくれるまで……!」
「あー鈴、多分それは無理だと思うぞ?付き合ってくれって言われて買い物に行くと思う様な奴だし。」
「………………」
自分で言っといてなんだが、いくら何でもあんまりだな。
「取り敢えず、一夏と会って来た方がいいんじゃないかい?」
「……わかった…。」
そう言って鈴は部屋から出て行った。
そしてーーーーーーー
「バカ一夏!ぜっっったいに許さないわ!」
体中に怒りと闘志をみなぎらせ帰って来たのだった。
一夏、一体何をしやがった!?
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日は流れ、クラス対抗戦。
初戦のカードは一組対二組。つまりーー
「覚悟しなさいよ一夏!」
「ああもう!鈴!俺が勝ったら約束の意味、教えてもらうからな!」
絶賛喧嘩中のこいつらだ。どっちが勝っても面倒なことになりそうだ。
「翔太郎。」
「どうしたフィリップ。」
「君に言われて検索してみたんだ。しかし『毎日酢豚を作る』というプロポーズの言葉は検索できなかった。『毎日味噌汁を作る』という言葉はかなり出てきたんだけどね。彼女はなぜ酢豚をチョイスしたんだろう?翔太郎、わかるかい?」
「…………本人に聞けよこの検索バカ。」
「その言葉を聞くのは久しぶりだね。」
流石に鈴が可哀想になってきたな……。鍛えてやった手前アレだが、鈴を応援するか………。
次回、一夏 対 鈴 です。
鈴みたいな親友が欲しい………。
12/12ちょっと台詞、行間修正
8/17 誤字修正