IS×仮面ライダーW 〜二人で一人の探偵達+αが転生しました〜   作:prototype

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ちょっと短めです。


第八話

「フン!逃げずに来たようね!」

 

 

「逃げずにって…、そりゃ食堂には来るだろ。休み時間なんだし。」

 

 

授業が終わり、昼食がてら食堂に行くと、入り口で鈴が待ち伏せていた。

 

 

「鈴。話は取り敢えず中だ。邪魔になってんぞ。」

 

 

「わかったわ。」

 

 

そうして俺たちは、空いている食堂の席に座る。

 

 

「久しぶりねアンタ達!」

 

 

「鈴こそな。元気だったか?」

 

 

取り敢えず俺たちは、お互いの近況を話し合った。それにしても………

 

 

(狙いはやっぱり一夏か。)

 

 

そう、鈴は一夏に惚れている。俺やフィリップに何度か相談したこともある。こんな微妙な時期に来たのも納得って訳だ。

 

 

「オホン!私を忘れてもらっては困りますわ!凰鈴音さん!」

 

 

「一夏、誰?」

 

 

「セシリアはイギリスの代表候補生で俺たちのクラスメイトだ。」

 

 

「ふぅん、他の代表候補生に興味ないから知らなかった。」

 

 

「きょ、興味ないですって!?」

 

 

相変わらずバッサリ言う奴だな。

 

 

「セシリア、気にすんなよ。こういう奴なんだ。」

 

 

「翔太郎さん…。」

 

 

「あ、そうそう一夏!約束、忘れてないでしょうね!」

 

 

約束、ああ、あれか…。

 

 

「約束…、いや、俺は覚えてるはずなんだけどさ…。」

 

 

一夏がチラチラこちらを見てくる。約束ってのは鈴が中国に帰る時にしたやつだ。

一夏曰く、「鈴が料理出来るようになったら毎日酢豚奢ってくれる」らしい。鈴がそんな約束するとは思えない。加えてこいつは鈍感だ。だから、一夏に言ってやった。

 

 

『一夏、お前多分それ絶対意味違うぞ。』

 

 

『ええ!?意味違うぞって、じゃあどんな意味があるっていうのさ!』

 

 

『それは自分で考えな。』

 

 

ってなやりとりがあった。俺のこと見てるってことは、アイツまだ気づいてないのか?

 

 

「?まあいいわ。放課後に聞きに行くからね。」

 

 

「あ、ああ…わ、わかった。」

 

 

いや、わかるなよ。

 

 

「翔太郎、約束ってアレのことだよね。確か毎日…」

 

 

「ま、待ちなさい来人!今言う必要はないわ!というか言うな!」

 

 

「?どうしてだい?」

 

 

フィリップ………。お前もかよ………。

 

 

「翔太郎さん。約束とは何のことですの?」

 

 

「ああ…俺の予想だが、多分プロポーズみたいなもんだと思う。」

 

 

「プロポーズ!?」

 

 

「馬鹿!声が大きい!」

 

 

「も、申し訳ございませんわ。」

 

 

「翔太郎!アンタ余計なこと吹き込んだわね!」

 

 

「ええっと、これはだな、何て言うか、その、」

 

 

「言い訳なんか聞かないわよ!」

 

 

「なあ来人、なんで翔太郎はプロポーズの話なんかしてたんだ?」

 

 

「さぁね。セシリアさんと何かあるんじゃないかな。」

 

 

「翔太郎とセシリアかぁ。いいんじゃないか?」

 

 

「プロポーズ………いつか私も翔太郎さんに……」

 

 

そう言えば俺まだろくに飯食ってないんだった!畜生!どうして俺が追われる羽目になる!?

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

放課後。

 

 

 

「一夏のバカー!覚えてなんかないじゃない!」

 

 

「それは辛かったね鈴ちゃん。ほら、お茶だよ。」

 

 

「グスッ、ありがとう…。」

 

 

俺とフィリップは部屋で鈴を慰めていた。まあ、こうなるのはなんとなく読めた。

 

 

「でも、あの一夏が約束を忘れるとはね。鈴ちゃん、そう言えば何で毎日酢豚を作る約束なんかしたんだい?毎日は流石に飽きると思うんだけど。」

 

 

「来人!アンタもか!」

 

 

フィリップ………。

 

 

「翔太郎!」

 

 

「いや、大丈夫だ鈴。俺はちゃんとわかってるから。」

 

 

「味方は翔太郎だけなのね……。」

 

 

「で、鈴、これからどうすんだ?」

 

 

「一夏がちゃんとわかってくれるまで……!」

 

 

「あー鈴、多分それは無理だと思うぞ?付き合ってくれって言われて買い物に行くと思う様な奴だし。」

 

 

「………………」

 

 

自分で言っといてなんだが、いくら何でもあんまりだな。

 

 

「取り敢えず、一夏と会って来た方がいいんじゃないかい?」

 

 

「……わかった…。」

 

 

そう言って鈴は部屋から出て行った。

 

そしてーーーーーーー

 

 

 

「バカ一夏!ぜっっったいに許さないわ!」

 

体中に怒りと闘志をみなぎらせ帰って来たのだった。

 

一夏、一体何をしやがった!?

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

日は流れ、クラス対抗戦。

初戦のカードは一組対二組。つまりーー

 

 

「覚悟しなさいよ一夏!」

 

 

「ああもう!鈴!俺が勝ったら約束の意味、教えてもらうからな!」

 

 

絶賛喧嘩中のこいつらだ。どっちが勝っても面倒なことになりそうだ。

 

 

「翔太郎。」

 

 

「どうしたフィリップ。」

 

 

「君に言われて検索してみたんだ。しかし『毎日酢豚を作る』というプロポーズの言葉は検索できなかった。『毎日味噌汁を作る』という言葉はかなり出てきたんだけどね。彼女はなぜ酢豚をチョイスしたんだろう?翔太郎、わかるかい?」

 

 

「…………本人に聞けよこの検索バカ。」

 

 

「その言葉を聞くのは久しぶりだね。」

 

 

流石に鈴が可哀想になってきたな……。鍛えてやった手前アレだが、鈴を応援するか………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、一夏 対 鈴 です。
鈴みたいな親友が欲しい………。


12/12ちょっと台詞、行間修正

8/17 誤字修正

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