彼女の出会いと別れ   作:大和 天

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初めまして大和 天 です!
由比ヶ浜の過去を書いてみたくなって書いてみました!
処女作なので読みにくかったりキャラが崩壊していたりするかもしれませんが読んでいただけると嬉しいです(*^^*)


彼女の出会いと別れ

「それでも、俺は……」

目に涙をうっすら浮かべ、嗚咽をかすかに漏らしながら目の前の彼はこう言った。

「俺は、本物が欲しい…」

 

その言葉は私の胸の中に深く深く突き刺さった。

彼との出会いを話すには中学3年生まで戻らなくちゃならない。

これはそんな彼と私のおはなし……

 

 

 

 

 

 

 

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中学生の時の私のいたグループは学年でもトップのグループで私もたぶんそれなりに可愛かったし告白も何回かされたことはある。

周りの子には「付き合っちゃいなよ〜」とか言われたけどなんだか付き合う気にはなれなかった。

そんな私は周りの目ばかり気にしていて友達の頼みやお願いを断ることすらできなかった。

放課後みんなでマックでダラダラしていたら高校受験の話になった。

「まじうちら今年受験じゃーん?ヤバいよねぇ〜」「まじそれねー!」「まじ勉強とかやる意味ないでしょー(笑)」「てかさー、もう夏休みだよ?遊ぶ計画たてよ〜」「それそれ〜!どこ行く〜?」

などと受験の話はどこにいったのか夏休みの遊ぶ話で盛り上がっていると不意に横に座っていた友達の知香がこっそり

 

「結衣は塾とか行かないの〜?」

 

と聞いてきた。

 

知香は他のイケイケみたいな友達と違って大人しめで頭が良くてお団子頭のよく似合う女の子で実は1番仲が良くて信用していたりする。

 

「え?なんで〜?」

 

と聞き返すと

 

「だって結衣勉強全然できないじゃん。そんなんじゃどこも高校行けないよ?(笑)」

 

と呆れ顔で返されてしまった。

 

えぇー!本当に!?私そんなに勉強できなかったっけ?などとブツブツ独り言のように言っていると知香がはぁ〜、とため息をついて言った。

 

「私の通ってる塾無料で夏期講習あるから来てみたら?そしたら私も終わった後結衣に勉強教えれるしさ!」

 

正直ホントに勉強やばかった私は知香のいる塾に通うことになったのである……

 

 

 

 

 

 

 

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最初は夏休みまで勉強をさせられるし、知香は頭がいいから上のクラスだしで正直全く楽しくなかった。

その上さっぱり勉強も分からないので毎日夜遅くまで居残りをさせられて苦痛で苦痛で仕方がなかった。

大体あんな難しい宿題わかるわけないし!

 

それでも自分から誘った事による罪悪感からなのか知香は毎日居残りが終わるまで待ってくれていて一緒に帰ってくれた。

今日はあの問題が難しかったー、だの、あの先生の授業さっぱりわかんないよねー、だの話題は尽きることがなく帰りにおしゃべりすることが毎日の楽しみになっていた。

 

 

夏期講習の最終日、珍しく私は居残りがなかったのに知香は風邪を引いたらしく塾に来ていなかったためトボトボと1人で帰っていた。

 

今日は居残りも無かったので電車がラッシュ時らしく、満員電車だった。嫌だなー、と思っていると不意に私のお尻に何かが当たった。

満員電車だし誰かのカバンでも当たったんだろーなー、なんて考えているともう1度何かが当たった。

しかし今回は撫で回されている。

これが痴漢だとわかった瞬間体が動かなくなった。

 

泣きそうになり、全く声が出せないままただただ震えていると目の前の男の子と目があった。

その子の目はなぜだかどんよりしていて一緒に電車に乗っているサラリーマンみたいな目をしていた。

 

泣きそうになりながら震えていると突然男の子が小さい声で話しかけてきた。

「動くなよ」

私は意味がわからないままいると突然男の子が私の背後に手を伸ばし痴漢していた男の手を掴むと

 

「痴漢してんじゃねーよおっさん!」

 

と突然大きな声をあげた。

 

すると電車の中の人は一斉にその男の人をみた。

そして周りにいた男の人たちがその男の人を取り押さえた。

「ちょっ…ちが…俺は何も…」などと男が言っている間に次の駅に着き駅員さん達にズルズル引きずられていった。

あっけにとられていた私ははっと周りを見渡すとその男の子の姿はもうなかった……

 

 

 

 

 

 

 

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学校が始まった9月1日の休み時間、私はこのことを知香に話した。

すると知香は

 

「ふーん、目の腐った男の子ねぇ〜」

 

「腐ったとまでは言ってないし!」

 

「あはは、それたぶん比企谷くんだよー」

 

「えぇ⁉︎その人のこと知ってるの?」

 

「だって同じ塾だよ?私と同じクラスだし」

 

と彼のことを教えてくれた。

 

「比企谷くんか〜、じゃあヒッキーだね!」

 

「ちょっと結衣ヒッキーって(笑)引きこもりみたいじゃん(笑)」

 

「えー、いいじゃんヒッキーで!」

 

「じゃあそうしよ!実際ヒッキーだし(笑)」

 

「え?……そうなの?……」

 

「だって比企谷くん友達いないし。他の人と話してるところみたことないもん」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「え?結衣比企谷くんに助けられて好きになっちゃった?」

 

「ち、違うし!そ、そんな事ないし!///」

 

「またまた〜、照れちゃって〜」

 

「もぉ〜!違うって〜!」

 

「あはははは」

 

 

私は不思議に思った。

普通の人じゃできないことをあんなにあっさりできる人に友だちが居ないなんて。

それからだと思う、ヒッキーのことを気になり始めたのは……

 

 

 

 

 

 

 

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私はそれからお母さんにお願いして塾に通うことにした。

理由はもう1度ちゃんとヒッキーに会ってお礼を言うため。

それとヒッキーのことを考えている時の心のモヤモヤを確かめたかったから。

夏休みが明けて最初の塾が終わりヒッキーにお礼を言おうと知香のクラスに行くと知香に「ヒッキーくんどうやら夏期講習だけだったみたい」と言われた。

緊張していた私は体の力が抜けるとともに心の力も抜けてしまったようだ。

 

帰り道で知香が

「ヒッキーくんのこと先生に聞いてみたら総武高校に行くらしいよ。」

と教えてくれた。

総武高校はここらでも有数の進学校で偏差値も高い。

 

「ヒッキー頭良かったんだ…」

 

「そりゃまぁ私と同じクラスだしね!」

 

「そりゃそうか〜」

 

などと少しガッカリしている私に知香がとんでも無いことを言った。

 

「結衣も総武高受ければ?」

 

「えぇぇ⁉︎ムリムリムリムリ!何言ってんの!私頭良くないし行けるわけないし!」

 

と言いながら顔の前でブンブンと腕を振る。

 

「まぁ確かに結衣は勉強全然だけどそれはちゃんとやってないだけだからきっとしっかり勉強すればできるようになると思うよ?」

 

「でも周りの子は全然勉強してないし……」

 

「私も総武高受けようと思ってたしさ、一緒に受けようよ!ね?」

 

「でも私そーゆーの似合わないし………」

 

などとどっちつかずの事を言っていると急に知香が見たこともないような真面目な顔をして私に言った。

 

「結衣、結衣は優しいし色んな子に合わせられるとってもいい子だよ?でもね、合わせてるだけで自分の思ってることを言えないのはダメだよ?私にはそれでもいいけどきっといつかこの先結衣のそういうところがダメだって気付いてくれる人がいるから。その人のことは大切にしなよ?」

 

そう言い終わると知香は元の笑顔に戻った。

 

「もう一回聞くよ?結衣が本当に行きたくないならそれでいいし、まだ目指すかどうかだけだから頑張るだけ頑張って無理そうだったら志望校は変えれるよ?だから結衣の本当の気持ちを教えて………」

 

そしてその日私は決心した。

 

 

 

 

 

 

 

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それからの私は今までの人生の中で1番一生懸命勉強した。

最初はまったくわかんなかったけど知香の教え方がいいからか少しずつ点数は上がっていった。

 

滑り止めはなんとか受かり残すは総武高校の受験だけになった。

 

受験の前日は知香と二人っきりで帰った。

 

「あ、明日だね〜。緊張する〜!」

 

「塾の先生にはあともうちょっと伸びたら確実だって言われたけど結衣なら絶対受かるよー!ヒッキーくんへのラブラブパワーでね!」

 

「ちょっ、知香!そんなんじゃないってば!」

 

「あはは、本当かなぁー?」

 

「もぉー!」

 

そんなことを話しているうちに家に着いた。

なんだかもう緊張で勉強する気にならなかったのでまとめたノートを見直しその日は早めに寝た。

だってほら、もしヒッキーに会った時目の下にくまとかあったら最悪だし?

 

 

 

 

 

 

 

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結果は今までの中では最高点だったけど合格まで後1点で補欠合格だった。

本当に泣いてしまった。

家に帰ってしばらくの間なんにもやる気が出なくて放心状態だった。

知香は受かったし、たぶんヒッキーも受かっただろう。

もうヒッキーにお礼が言えない。

 

 

そんな気持ちでいた合格発表の3日後

 

学校から電話が来た。

 

どうやら1人合格を取り消したらしく繰り上げで合格になった。

 

思わず泣いちゃった

 

 

その後すぐに知香に電話したら泣いて喜んでくれた。

 

「結衣がんばったもんね…ぐすっ…おめでとう……」

 

 

 

 

制服の採寸の時は知香は風邪をひいたらしく居なかった。

まぁヒッキー探すので忙しかったんだけどね(笑)

 

 

 

 

 

 

 

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入学式の朝、私は遠足の朝みたいにワクワクし過ぎて早起きしすぎちゃってペットのサブレを散歩させていた。

たっぷり時間があったので1回学校の前まで行ってみた。

「今日からココに通えるんだ」と思うと自然とニヤニヤしちゃって通りすがりの人に変な目でみられちゃった(笑)

 

そんな感じで家に帰っていると車道の反対側を総武高校の制服を着た人が自転車に乗って走ってきた。

最初は先輩かなー?なんて思ってたけど近づいてくるにつれてそれが知っている人だということに気づく。

 

 

「ヒッキーだっ!!!」

 

 

やばいこんな格好みられたらどうしようなんて慌てているとついサブレのリードを離してしまった。

するとサブレはヒッキーの方に向かって走っていく。

するとそこに真っ黒な高級車が走ってきた。

 

「サブレ!!!」

 

あぁ!サブレが!ショックで体が動かなかった。

もうだめだと思ったその時にはもう彼は車の前に飛び出していた……

 

 

 

 

 

 

 

サブレはヒッキーのおかげで助かったけどヒッキーは左足を折ったみたいで救急車で運ばれていった。

頭が真っ白になった。

警察の人は私は悪くないということですぐかえしてくれた。

本当はもう学校なんて行きたくなかったけど入学式だし知香も来るから泣きそうなまま入学式に行った…

 

 

 

 

 

 

 

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入学式に知香は来なかった。というかどこのクラスにも知香の名前はなかった。

訳がわからなかった。

だって知香は受かったのに。

毎日お弁当食べようねと約束したのに。

一緒に毎日帰ろうねと言ったのに。

 

なんで………

 

 

訳を聞こうと知香の家まで行きチャイムを鳴らした。

 

すると知香のお母さんが出てきた。

 

「あら?結衣ちゃん!どーしたのー?」

 

「あの……知香ちゃんは…?」

 

「あら…聞いてないの?」

 

「何をですか……?」

 

「そっかー……取りあえず上がってちょうだい」

 

そう言うと知香のお母さんは私を家の中に招き入れた。

 

 

 

 

 

 

 

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知香の家の中はほとんど空っぽだった。

知香のお母さんはジュースの入ったコップを渡すと私の前に座った。

少しの沈黙の後知香のお母さんが話し始めた。

 

「あのね、私達転勤するとこになったの」

 

「え……どういうこと……ですか………」

 

「高校の合格発表の次の日にね、主人の転勤が決まったの。せっかく受験したし知香はここに残ってもいいのよって言ったんだけどあの子は「私も行く」って言って聞かないものだから。最初は無理して言ってると思ってたんだけど全然そんな風には見えないから知香がいいのならいいのかなと思って……」

 

 

私は声が出なかった。

知香には分かってたんだ。

自分が合格を辞退すれば1点差で落ちた私が繰り上げ合格するってことに。

 

しばらくしてやっとの事で声が出た。

 

「で、でも…知香はなんにも………」

 

すると知香のお母さんは悲しそうな顔になった。

 

「知香はもう結衣ちゃんに言ったって言ってたから……」

 

そこで私は大事なことに気づく。

 

「あ、あの!知香はどこに…?」

 

「知香は…今日入学式なの……だからもうここには帰ってこないわ………」

 

「…じゃあ……じゃあもう知香には会えないってことですか?」

 

「そう…なるわね……」

 

そんな、そんなことってあるの?

あんまりだよ!

ショックで涙も出ない。

 

 

 

 

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

 

 

 

その後のことをあんまり覚えていない。

知香の家を後にしてどうやって帰ったか分からないけど気づいたら私の家の前だった。

家に入るとお母さんから手紙が来てたわよ、と手紙を渡されたがそんなもとても読む気にはなれず机の上に投げ捨てベットに倒れこんだ。

 

 

 

 

 

 

どのくらいたっただろう。気づくと夜中になっていた。

明日も学校だしもう1度寝ようかと思ったがふと机の上の手紙に気づく。

裏側を見ても差出人は無く端っこをビリビリ破り中の手紙を出す。

 

読み出すと涙が出てきた…

 

 

 

 

 

 

 

 

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結衣へ

 

やっはろー!知香だよ!先に謝っておくね。ごめんなさい。合格発表の次の日に親が転勤するって話を聞いちゃってさ。ホントは絶対嫌だ、行きたくないって言わなきゃなんないんだろうけどなんでか最初に思ったのは「私が高校やめたら結衣がヒッキーくんと一緒の高校に行けるじゃん!」ってことだったんだよね(笑)。なんだかそしたら嬉しくなっちゃってさ。結衣最初はあんなに勉強できなかったのにヒッキーヒッキー言いながら毎日勉強頑張ってたもんね。きっと神様が味方してくれたんだよ!だからヒッキーくんの彼女くらいにはなりなよ?結衣は優しいからヒッキーくんくらいならイチコロだよ!

 

 

 

 

じゃあ…またね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は2年生になった。

ヒッキーと一緒のクラスになれて超嬉しかったけど未だに話しかけれない。

多分きっとヒッキーは電車の中のことも入学式の日の時の事もあれが私だったなんてことたぶん覚えてないんだと思う。

やっと知香のことに自分の中でケジメがつけれたしあの時のお礼をヒッキーにしたかったからクッキーでも焼いて私の気持ちを伝えようと思ったけど私の今の友達は手作りなんて重いっていいそうでこんな事相談できない。

そこで現国の平塚先生に相談してみた。

困ったら先生に相談しろって言ってたしね!

すると先生は私が顧問をしている奉仕部という部活があるからそこに頼むといい、と言い部室まで案内してくれた。

先生は私の方をちらりとも見ずにガラガラと扉を開けると教室の中に入っていった。

心の準備くらいさせてよ〜!

 

私は頭のお団子を少し触ると教室に足を踏み入れた。

 

そしてそこで私は『彼女』と『彼』に出会ったの……

 

 

 

 

 

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

 

 

 

 

私は泣きながら手紙を読み終わると手紙を封筒に直そうと思った。

一生大事に取っておこうとおもったから。

その時ふと封筒の中にまだ何かが入っている事に気づく。

そこには少し小さい紙と綺麗なヘアゴムが入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このヘアゴムは高校の合格祝いだよ。私は結衣に許してもらえないかも知れないけれど、もし、もし良ければ、このヘアゴムで私と一緒のお団子頭にしてくれたら嬉しいな。それでもししてくれるなら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たまには私を思い出してね。




どうだったでしょうか?
評価や感想をいただけたらありがたいです(>_<)
でも豆腐メンタルなのであまりひどい事は書かないでくださると嬉しいです(。-_-。)
ありがとうございました(。-_-。)

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