貧弱! 貧弱ゥ!
ディオ・ブランドー
~ディオ(錠助)side~
どーもー、ディオ・ブランドーこと西城錠助でーす。
なんか悲鳴が聞こえたんで来てみたら、人が襲われそうになってるじゃあないか!て言うか、究極生物ハンパないな!すぐ着いちゃったよ。まあ、能力も使ったけどね。
飛んできたはいいがとても間に合いそうになかったから、つい、スタンド使っちゃったよ。お陰で間に合ったし、ザ・ワールド格好いいから良いけど。むしろグッド!
怪物に襲われそうになっている女性を抱き抱えて、すぐにその場から離れた。そして馬車の荷台にそっと下ろしてあげた。その時彼女の手を見て少し興奮したのは秘密である。
彼女を下ろした時、ふとあることに気付いた。
「何秒間止められるんだ?」
思った疑問を口に出したら、自分の隣から声が聞こえた。その声が聞こえた方を見た。
ザ・ワールドがいた。
周りを見ても、自分以外に動いている生物はいない。どういうことかと首を傾げていると、また声が聞こえた。
『ディオ様』
今度ははっきり聞こえた。どことなく片言のようにも聞こえる凛々しい声。だが、見ても誰もいない。いるのはザ・ワールドのみ。
まさかと思いながらも、俺は自身のスタンドに声を掛けてみた。
「まさかと思うけど、しゃべったのお前か? なんてあるわけ『私デス。』.......は?」
あれー? 可笑しいなー。スタンドがしゃべるはずないのに。アハハハハ。
『イエ、シャベリマス。』
.................エェェエエェェェ!?!? ナンデナンデ!?スタンドってしゃべれるの!?マジで!?
ハッ! 落ち着け! 落ち着くんだ俺ェ! そうだ、こういう時は素数を数えるんだ!2、3、5、7、11、13、15.......あれ? 15って素数だっけ?
どうにか落ち着いた俺は、とりあえずザ・ワールドと会話してみることにした。
「い、良い天気ですね?」
『ソウデスネ。』
「な、なんか良いことありそうだなー。」
『イエ、現在進行形デ災難デスガ。』
....自分のスタンドにツッこまれる。これいかに。
『チナミニ、私ノ能力ハ時止メデハナク速度操作ノ為幾ラデモ時間ヲ止メルコトガデキマス。』
....チート乙。
そんなやり取りを自分のスタンドさん(なんとなくさん付けのほうが良いような...)としていると、指輪からまたあの音が聞こえてきた。俺はすぐに指輪に触れ、ゼウスの声が聞こえたとたんに質問責めにした。
「おいゼウス! どういうことだ! 何でスタンドが、ザ・ワールドがしゃべるんだ!?」
俺の質問を聞いて、さも意外そうにゼウスは答えた。
『あれ、言ってなかったか? 能力付けた時に一緒に自我も与えたんだよ。ちょいちょいってな。』
「はぁ!?」
ザ・ワールドに自我がある...だと...。それって....
「ゼウス...」
『ん?』
「グッジョブ!!」
最高じゃあないか!!
『そうか。お前が良いと言うなら良かったぜ。じゃあ、なんかあったら連絡しろよ。指輪を3回叩けば俺に繋がるから。』
少し嬉しそうにしながら、ゼウスは通信を切った。
「良し。じゃあよろしくな。」
『ヨロコンデ。』
この敬語な所も良いんだよな。っと、そろそろ能力解除しないと。えーと...
「そして時は動き出す。」
この後、助けた女性に言ったセリフでその女性の顔が赤くなったのを見られ、少年に呆れられた目で見られた。解せぬ....
■ ■ ■
さて、ディオ(錠助)は今、助けた女性達と別れ、少年と二人で帝都へ向けて歩を進めていた。
歩いている最中、ディオは少年の名を聞いていないことを思いだし、早速聞いてみることにした。
「少年、名を聞いていなかったな。」
「あ、そういえば。」
声を掛けられた少年は、ディオの言葉に頷き、自己紹介を始めた。
「じゃあ改めて。俺はタツミ、辺境出身だ。」
少年の口から出た名前に、ディオは目を見開いて驚いた。何故なら...
「(おいおい...まさかの主人公かよ...。何で気づかなかったんだ、俺...。)」
そう、この少年、タツミは、この『アカメが斬る!』の世界の主人公なのである。だがディオは、タツミが主人公であること以外にも、あることに気が付いてしまっていた。
「(タツミがここにいるということは、今は原作一巻の第一話...。サヨとイエヤスはもう...)」
ディオ、錠助は原作を知っている。だからこそ、タツミの仲間である二人の状況も知っている。ディオは、二人に今起こっているであろう悲劇を思い出すと、顔を歪ませた。
「どうしたんだ?」
タツミは、そんなディオの様子を見て不思議そうに尋ねた。ディオは表情を戻すと、タツミに言った。
「いや、何でもない。 私はディオ・ブランドー。ただのしがない旅人だ。こちらこそよろしく頼む。」
タツミはディオの名を聞いて、明るく笑うと、また帝都への道を歩き始めた。
だがタツミは知るよしもない。ディオが考えていた事が自分の仲間の事であること、その悲劇を近い内に知ることになってしまうことを。
少し短いです。