第1話を投稿してから約4年…。こんなに長くなるとは思ってなかった…。
皆様、こんにちは。もう何も辛くないです。
『一条家双子のニセコイ(?)物語』をお読み下さり、ありがとうございました。
この話が完結したのは、本当に応援してくれた読者の皆様のお陰だと思ってます。本当にありがとうございました。
大体、この小説は『あれ?何か小野寺負けちゃいそう…。ざけんな!こうなったら俺の小説の中で幸せにしてやれぇ!』というノリで書き始めたのに、気付けば一年生編だけで50話使うわ二年生編終盤でとんでもないシリアス展開にしちゃうわで…。いやまあ主人公の設定考えてる時に終盤はちょっとシリアスにしてやろうとは思ってたんですけどね?起承転結は大事です。
この起承転結ですが、転については一条陸というキャラクターができた時点で考えてた展開でした。
やっぱり楽と違ってヤクザの世界に深く関わっているという設定でしたので、ちょっとそこの所で騒動を起こそうと。それじゃあ、どういう騒動が良いのか考えた時に、陸と似たキャラを見つけました。はい、お察しの通り、奏倉羽です。二人は表の世界で過ごしながらも、陸は殺しをしてたり羽は大組織の首領をやってたりと裏では結構えげつない事をしてます。
じゃあこの二人を中心にした騒動にしよう!そうだ!二つの組織のパイプになるための政略結婚騒動だ!
という所まではすぐに考えられたのですが、ならその騒動の詳細をとなると中々考え付きませんでした。
何故なら、原作で似たような騒動があったからです。はい、そうです。橘万里花の結婚騒動です。
一瞬、その展開を真似て二人の結婚式中に楽達が乗り込んで、結果集英と叉焼の本格戦争起こそうか、という考えも過りましたが即ボツ。だってそうなったら集英組滅んじゃう。いくら叉焼が弱体化してる設定でも歴史と規模が違い過ぎる。なら式を開く前、何なら婚約成立前に解決させなきゃ集英組詰みじゃん!と気付いた時には遅し。まあ書きながら展開考えていこう、と決めてすでに小説は投稿済み。そのままこの騒動をどう収拾付ければいいのか決断できないまま二年生編へ、修学旅行へ。ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!
…はい、皆さん。これが途中、一年もの間投稿が開いた理由です。完全な馬鹿な作者の力不足のせいです。本当に申し訳ありませんでした。申し訳ありませんでした。申し訳ありませんでした。何度謝っても足りないくらい本当に申し訳ありませんでした(意味不)。
それでも何とか完結までこぎ着けられてホッとしてます。
きっと、ここの展開おかしくね?と思ってしまう場面もあったでしょう。けどこれが自分の限界です。全力を尽くした結果です。ニセコイの二次小説で、書きたい事を全て書き尽くしました。批判は全部受け止めます。
まあそんな感じで長く続いたこの作品も完結しました。上記にもありますが、本当に皆様のお陰です。
しばらく小説を放棄してた時期がありますが、メッセージで『ニセコイ楽しみにしてます』や、『ニセコイ続けてほしいです』という声が聞けて本当に嬉しかったです。本当に励みになりました。
続編…というより、まだ万里花の騒動や三年生編残ってるよ?と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、多分書きません。少なくとも今は書く気はないです。
というのも、これ以上書くと完全な蛇足になってしまうと思ってます。陸と小野寺が結ばれてハッピーエンド。これでええやん。これは陸と小野寺のラブストーリーなんや。と、決断したのが本格的に投稿を再開し始めた時。そしてそれと同時にタイトル詐欺にも気付いてしまう。『一条
という事で、多分続きはないです。番外編としてちょくちょく当てのない話を書きたくなったら書きますが、続きはないです。多分。本当に多分。言い切る事が出来ない自分が情けない…。
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感想:199件
総合評価:2334pt
こんなにも多くの評価と感想をありがとうございました。現段階の数字なので、これから減ったりするんでしょうが…本当にありがとうございました。
これにてあとがきを締めさせてもらいます。しつこいようですが、最後に…
皆さん、ありがとうございました。
おまけ
冬。ここまで広い屋敷では全ての部屋に暖房を設置する事は出来ず、それは陸の部屋も例外ではない。今日は特別寒い中、震えながら寝間着を脱ぎ、制服へと手早く着替えてから急いで部屋から出る。
陸の部屋からリビングに行くためには一度玄関の前を通らなければいけない。陸が玄関の前に差し掛かった時、丁度リビングの方から楽が駆け足でやって来た。
「おう楽。もう出るのか?早くね?」
「あぁ。ちょっと動物の様子が気になってな」
すでに学校へ行く支度万端の様子の楽に理由を問えば、そんな答えが返って来た。楽は飼育係として多くの動物を世話している。こうして早くに家を出る事は珍しくないのだが、こんなにも寒い日でも関係なしの楽にちょっとした尊敬を覚えながら外へと出る楽の背中を見送る。
横開きの扉がぴしゃっと音を立てながら閉まったのを見届けてから、陸は回れ右をして改めてリビングへと向かう。すでに中では今日の朝食当番である楽が作った朝食をそれはもう美味しそうに頂いている男達の姿があった。そんな見慣れた光景からすぐに視線を流し、いつも陸が座っている椅子に腰掛け、楽が準備した朝食にしっかりと食事前の挨拶をしてから箸をつける。
10分程で食べ終えた陸はすぐに席を立ち、洗面所で歯を磨いてから、部屋へと戻る。部屋へ戻った陸はタンスの中から取り出したコートを着、勉強机の横に掛けてあるスクールバッグを持って部屋を出ようとして―――――――そこでふと何かが足りない事に気が付き足を止めた。
回れ右をした陸は再び勉強机へと向かい、そこから何かを取り、それを首に回して身に着けた。
それはネックレス。クリスマスイブの日、小咲と一緒に買ったペアのリングが付いたネックレスだ。
ネックレスを着けてから一度鏡を見ておかしな所がないかを確認してから、陸は部屋を出る。
スクールバッグを持ち、廊下を歩き、玄関で靴を履いてから行ってきます、と口にしてから扉を開けて外へ出る。
外へ出た陸を容赦なく冬特有の刺すような寒さが襲う。空は晴れ渡っているにも拘らず、そのアンバランスな寒さに小さく身震いしてから歩き出す。
玄関扉から20メートルほど先にある正面門から敷地を出て、左に曲がる。いつもの登校光景だ。
だが今日、陸はいつもとは少し違った気持ちでこの道を歩いている。
今日は冬休み明けの初めての学校の日。だから特別な気持ちでいる訳ではない。
ただ――――――――
「あ、おはよう。陸君」
「おはよう、小咲。待たせたか?」
「ううん。今来たばかりだから」
「…小咲は待ってたとしてもそう言いそうだからな」
「ほ、ホントだよ!?」
今日は初めて、彼女と二人で登校する日でもある。
ちょっぴり小咲を揶揄い、休み明けの学校の日特有の憂鬱さを吹き飛ばし、小咲と並んで歩き出す。
「それにしても、今日は寒いねー」
「あぁ。昨日までは結構温かかったんだけどなー」
そんな他愛もない会話は、まだ二人が付き合う前にしてた会話と何ら変わらない。それでも、二人の間で繋がった手が、二人の関係が前とは違うという事を示していた。
「それでね?陸君」
「ん?」
「その…、そろそろ離さないと、誰かに見られちゃいそうなんだけど…」
「…嫌か?」
「い、嫌じゃないけど!…は、恥ずかしい」
恥ずかしそうに俯く小咲。そんな仕草が陸を意地悪くさせるという事に彼女が気付くのは、一体何時になるのやら。
とはいえ、この光景を友人に見られ、どういう事だと聞かれたり小咲と恋人同士になったと周りに広まったりするのも面倒なため、仕方なく、本当に仕方なく陸は小咲の要望通りに手を離す。
「あ…」
「…離してほしい?離さないでほしいの?どっちだよ」
「…ど、どっちも」
「無茶言うなよ…」
小咲の無茶な要求に苦笑を浮かべる。
こんな何気ないやり取りで、こんなにも愛おしく思うようになるとは。
少し前の自分では考えられなかった。でも、決して不快ではない。むしろ――――――――
「小咲」
「ん?どうしたの?」
「好きだ」
「…もう、不意打ちは禁止って言ったのに!」
顔を赤くして陸の腕を、ぽこぽこと叩く小咲。そんな仕草がどうしようもなく可愛くて、愛おしくて、それでいて面白くて。堪らず陸は笑い出す。
「ど、どうして笑うの!?もう、陸君!」
「あっはははは!ごめん、ごめんて…ぷっはははは!」
笑うのを止めない陸に小咲は頬を膨らませ、遂にはそっぽを向いてしまった。
さすがに笑い過ぎたかと、陸は何とか込み上がる笑みを抑え、小咲に謝り倒す。
陸の方を向かない小咲と、それでもめげずに謝り続ける陸の姿は完全にカップルの痴話喧嘩である。
この光景が陸と小咲と同学年の生徒の目に入り、元々流れていた陸と小咲が付き合っているという噂の勢いを更に加速させるという事を、二人は知らない。
「もう…」
「ごめんて。もう言わないから、許してくれよ」
「…もう言わないのは、駄目」
「は?」
「た、たまになら…、言っても良いよ…」
「…」
あー、抱き締めたい。キスしたい。やってもいいですか?あ、駄目ですか。ですよね、解ってますよ。
心の中でいっそ押し倒しちまえと暴れる悪魔を必死に抑えながら深呼吸。いきなり深呼吸を始めた陸に疑問符を浮かべる小咲は無視。てかあなたのせいなんですが。解ってますか?解ってませんね。
こんな感じできっと、これから先も陸は小咲に悶え苦しめられるのだろう。だが、嫌じゃない。むしろどんと来いと構えるくらいだ。
何故なら、一条陸は小野寺小咲が、どうしようもなく好きなのだから。
だから、ちょっと抱き締めても良いですか?
「ダメ!」