英雄になるのを望むのは間違っているだろうか   作:シルヴィ

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『Change up Girl's!!』

 その場から逃げ去るも同然に消えたシオンは、気づけば宴の中心近くにいた。アホな事を言ったと思考が堂々巡りしていたせいだ。

 「あ、いたいた。全く、どこ行ってたのよあんた。探すの苦労したわ」

 「ティオネか。探してたって、おれに用でも?」

 「私じゃないけどね、一応」

 そんなシオンに、ティオネが疲れ果てたと言わんばかりの溜め息をしつつ声をかけてくる。彼女の不可解な対応に若干訝しんだシオンは、ふとティオネの動作に違和感を覚えた。

 「……何を隠してるんだ?」

 「え? いきなり何よ?」

 「いや、気のせいならいいんだけどさ。なんか、おれの視線を遮る、いや逸らす? そんな風に見えたから」

 思った事を口にすると、ティオネは何故かシオンの顔を数度見て、先程とはまた別の、感嘆の息を吐いた。

 「う~ん、ポーカーフェイスには少し自信あったんだけど。ま、それならいいわ。ちょっとここで待っててくれる?」

 「それはいいけど。どうせ暇だしな」

 「オッケー。どっか行ってたら承知しないわよ?」

 人差し指をシオンに突き付けると、ティオネはさっさと走ってどこかに行ってしまう。一体何がやりたいんだと思いながら待つ事数分。女のちょっとは長いなぁと、当たり前の事実になんだか溜め息を吐きたくなりながら、それでも待つ。

 今の気分はデートをすっぽかされた彼氏、が適当だろうか。

 待って待って待ち続けて、ようやっとシオンを呼ぶティオネの声が聞こえてきた。約束は守るシオンでもそろそろ飲み物くらいは、と思っていた時なので、ちょうど良かったのだろうか。

 「待たせてごめんなさい。あの子が嫌だ見せたくないってダダをこねちゃって……」

 両手を合わせて謝るティオネ。遅れたのは彼女のせいではなく、用事があったはずの誰かのせいらしい。何でこんなに待たされたんだろうと考えていたら、ベートに背中を押されながら、件の人物が現れた。

 「や、やっぱりちょっと待って! まだ心の準備ができてないのに……」

 「そう言って何分経った。いくらアイツでもそろそろ呆れちまう頃だぞ」

 今にも逃げ出そうとしているのにベートに無理矢理連れてこられる。けれど、本当はその気になれば逃げられるはずだと、シオンはすぐに気づいた。

 なのに逃げないのは、それが本心じゃないから。

 会いに、見せに行きたいのが、本音だから。

 その人はシオンの前に来ると、ベートの代わりに横から伸びてきたティオネの両腕が肩を押さえつけられて逃げれなくされる。

 彼女はシオンの前に立つと、遂に観念したのかその場に留まる。しかし落ち着く事はできなさそうで、所在無さげに両手の指を絡め、視線はふらふらと動き、体の揺れは収まらない。

 「え、えっと……これ、どう、かな? 私は全然似合わないと思うんだけど、ティオネが『絶対着なきゃダメ!』って言うから、その、着てみたんだけど」

 それでも意を決して、勇気を出した。

 その目はシオンを見きれていないし、真っ赤になった顔は気恥ずかしさを隠せていない。震える体は恐怖故か。

 そのような少女を前に、シオンはただ呆然とさせられていた。

 目の前にいる女の子の名を知っているはずなのに、知らない子だと思わせられる。勘違いなんてあるわけないのに。

 何故か、確信が持てないのだ。

 今の彼女は、顔の両脇で纏めていた髪を解いている。だからか、肩を越える辺りで整えられた黒髪は、普段の彼女にない『女性らしさ』を感じさせた。しかも、どうやら彼女は薄化粧をしているらしく、常の幼さが咲きかけの蕾のような、大輪の花を予期させるような――そんな可能性溢れる容貌をしている。

 ドレスは、敢えての黒。肩付近やスカートにレースの付いたワンピース型のドレスだ。レース越しに見える両肩、微かに覗く両足が艶かしい。両腕には金のブレスレットと、雰囲気を損なわない程度にアクセサリーで装飾を作り、華やかさを忘れていない。

 ただ、一点。

 今の彼女に似合わぬ、頭部に付けられた、向日葵の髪留め。

 それはもうずっと前に、彼女に送ったプレゼントで。

 その事に気づいてしまうと、何故か体の奥底が熱くなってきた。

 しばし見蕩れていると、彼女の震えはどんどん大きくなっていく。それを見かねたティオネがさりげなく、本当に一瞬だけ、シオンの脇腹に拳を叩き込んだ。その痛みによって現実に戻ってきたシオンは、

 「あ、ああいや、その、な。に、似合ってるよ! うん!」

 テンパりすぎて、言い訳がましい上に嘘くさい褒め言葉を言ってしまった。そのせいだろう、本心なのに、少女の顔が一気に暗くなる。

 「そ、そんな風に慌てないんでいいんだよ? 自分でも全然似合ってないって、最初からわかってた事だし。変にフォローされる方が、むしろ辛いから……」

 「おれは!」

 いつもの彼女は、明るい子だ。励まし支えてくれる、パーティのムードメーカー。

 だから、こんな暗い顔なんて見たくなくて、シオンは言葉を重ねた。

 「おれは、嘘を言わない。似合ってるって言ったらそれは紛う事なきおれの本心だ。変なフォローなんかじゃない」

 「でも、なら何ですぐに言ってくれないの?」

 「それはその……き、綺麗、だったから、だ」

 「え?」

 「み、見蕩れてたって事だよっ。それにその、髪留め……おれが贈った奴だろ? それ付けてる方がその服装にアンバランスだ。なのに、な」

 一瞬間を空けて、それでも、

 「その髪留めを選んでくれてた事が、嬉しくて……ありがとう、ティオナ!」

 「……っ!!」

 最後はぶっきらぼうになってしまったけれど、言い切った。フレイヤに感じたのとは全然違う、もっと別の気恥ずかしさに限界を迎え、それ以上何も言えず黙ってしまう。

 そして言われた側であるティオナは、この服装を着て褒められた事よりも、『気づいてくれた』のに嬉しくなった。ダメだ、似合わない、そう姉やリヴェリアに言われて、それでも付けると押し通したシオンがくれたプレゼント。

 ――嬉しい……嬉しいっ!

 自然と口元が緩んでしまうのを抑えられない。そんな妹に、結局ティオナが正しかったか、と安堵の息を吐き出す。でも、まだだ。ティオナの用事はもう一個ある。

 「ほら、まだあるでしょ。お願いしないと」

 「え、あ、そうだったね」

 ティオナの認識から完全に忘れ去られていたみたい、とティオネは察したが、恋する乙女には良くある事だと割り切り、もう一度彼女の背中を押す。

 シオンの前に立ち直したティオネが、おずおずと彼を仰ぎ見る。当然のように向けられた上目遣いに知らずシオンが一歩後退るのに気づかないまま、ティオナは、

 「あの、あのね? できたらこの後、私と」

 そこまで言って、ティオナは私、私と……と同じ言葉を繰り返す機械になってしまう。余りの変貌に驚いたシオンが今度は歩み寄ると、ティオナはいきなり顔を上げて、

 「む、無理! 頭の中がグルグル回転してて……言えないよおおぉぉぉぉっ!!」

 「あ、こらティオナ、待ちさない! ああもう、ここまでやったのに……! ベート、あんたも追うの手伝いなさいっ!」

 「面倒くせぇ仕事増やすんじゃねぇよ!?」

 脱兎の如く逃げてしまった三人に、残されたシオンは伸ばされた手を所在無さげに下ろすしかできなかった。

 「やーやーシオン! 今暇みたいだね? ちょっとこっち来てくれないかな!?」

 あんぐりと小さく口を開けていたら、今度はユリがシオンに抱きついてくる。しかも聞いてきたのに拒否権は無いらしく、シオンの体をグイグイ引っ張っていった。

 「ユリお前、タイミング見てただろ」

 「いやー、あの子が頑張ってたのを邪魔するのも悪いし? 馬に蹴られたくないから、仕方なくこうして待っていた訳さ!」

 「……?」

 「おっと、余計な事言ったかな。ま、いーじゃん。一人でいるよりは、皆でワイワイ騒いでる方が楽しいよ?」

 最後のトーンは、ガチだった。そのせいか硬直したシオンをここぞとばかりに拉致……いや連れて行くと、そこには呆れ顔のプレシスが。

 「ユリ、連れてくるのと無理矢理拉致するのは全く意味が違うのですが」

 「同意してれば問題ないって」

 「……その同意が取れてない気が……」

 もう何も言えないとばかりに頭を抱えているプレシスをユリに抱えられながら見ていると、ふいに彼女の後ろに誰かがいるのが見えた。

 見覚えのある金に煌く髪。それをジーッと凝視していると、バレたのがわかったのか、そっとプレシスの横から出てくる。

 その少女もまた、ティオナと同じく普段のイメージからはかけ離れた姿をしていた。

 「いつもと違う感じにしてみたんだけど……シオン、どうかな?」

 頭の横についたシュシュに違和感があるように触れるアイズ。

 いつもはストレートに流した髪を、即頭部に纏めてサイドテールにしている。しかし髪というのは中々に重い。それを右側に持っていったせいか、アイズの体が若干傾いていた。何故か彼女も化粧をしているようで、ティオナは『綺麗』だったのに対しアイズは『可愛い』感じだ。

 髪型ともあいまって、活発的な可愛い女の子、という印象を受けるが、違和感は少ない。もしかしたら、母がいなくなる前のアイズはこっちだったのかもしれない。

 ドレスは白。膝上までのスカートのようで、リボンを結んだパンプスを履いた足を惜しげもなく晒している。ドレスでありながら動きやすく見えるためか、今のアイズの印象を更に強く、深くしていた。

 先程のティオナもそうだが、何故女の子とはこうも印象を変えられるのだろう。男の身であるシオンからすれば、これはまさしく『変身』としか思えない。

 とはいえ先程の失態もある。

 落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせておく。

 「普段のアイズはどっちかっていうと『綺麗』って印象だけど、今は『可愛い』だな。高嶺の華って感じじゃないけど、でも親しみが持てる」

 「……褒められてるのはわかるけど、意味がわからない」

 「親しみやすいってのは大事だよ。話しかけやすい、一緒にいたいと思わせられるような雰囲気が今のアイズにはあるからね」

 シオンの一言に、アイズの肩がピクリと跳ねる。それは一瞬に過ぎず、シオンも気づけない程度の変化だった。

 「おれ達で一番わかりやすい例だとティオナだね。話しかけやすいだろ?」

 「うん、まぁ」

 しかし流石というべきか、シオンはここでそう言ってきた。傍で聞いていたユリがつい、他の女の子の名前出しちゃダメだよ~とボヤいてしまう。

 どこか不機嫌そうになっているアイズに気づかないシオン。どことなく不穏な空気に入りかけていたその時、マイクのスイッチがプツッと入る音がした。

 『さぁて、宴もたけなわになって来た頃や。皆も仲のいい奴、初めて会う人と話して盛り上がって来てるやろ? だからな、ここらで一つ!』

 ロキが声を張り上げる。シオンには何となく、ロキが腕を振り上げている姿が想像できて、つい笑ってしまった。

 『同好を深めるって意味でも、ダンスと行こうやないか! まぁこれで深まるのは男女の情かもしれへんけどな~』

 ケラケラ笑いながら提案するロキ。それに嫌な予感――自分には関係無さそうだが――を感じていたら、

 『あ、ちなみにフィンにダンスの申し込みしてもオッケーやで。今日は無礼講や!』

 「うわ……」

 瞬間、ギラリ、と周囲にいた女性陣の目が光る。そんな目をする大多数は普通の人間で、神は面白がっているだけだったが、幾神はちょっと本気の目をしていた。

 フィンはオラリオでも一、二を争う程の人気を持つ男性冒険者、という話はシオンもよく聞いていたのだが――これはちょっと、羨ましいを通り越して恐ろしい。

 しかもロキは『男女の情が深まる』なんて煽り文句を言っていた。もしここに本気でフィンに恋慕の情を抱いている者がいたらと考えると、ティオネは大変そうだという感想に至る。

 とはいえシオンにダンスを申し込む奇特な人間などいないだろうと思っていたので、このイベントでは自分は蚊帳の外になるだろう。邪魔にならないよう隅っこにでもいるか、と考えた時だ。

 「あ、あの、シオン……」

 「ん? どうしたアイズ」

 おずおずと、シオンの様子を伺うようにアイズが声をかけてくる。所在無さげに揺れる手は髪に触れ、クルクルと弄ばれていた。

 どこか落ち着きなく見えるアイズに首を傾げていると、意を決したのか、

 「シオンは、誰かと踊る予定は、ある?」

 そんな事を聞いてきた。普通なら、ここまで言われればわかるだろう。

 「……? いや、特に無いが。それがどうかしたのか?」

 が、生憎シオンは普通じゃない。横で不安そうにしているプレシスと、逆にニヤニヤ笑っているユリがガクンと脱力してしまうくらい、察しが悪いシオンだった。

 ある意味純真な瞳を向けられたアイズが少し怯む。言え、言わなきゃダメ、と叫ぶ心とは裏腹に体は金縛りにあったように動かない。

 ――今の私は積極的な女の子。だから行ける。言える、はず。

 いつもの自分なら絶対に言わないような言葉を、今の姿ならば言える。そう無理矢理な鼓舞をすると、アイズはシオンに手を差し出した。

 「誰とも踊る予定がないなら、私でそれを埋めてみる?」

 半ば挑発とも取れる言葉だ。本当は普通に誘いたかったのに、断られるのが怖くて、断られても冗談だと言えるような保険が欲しくて、そうなってしまった。

 言われた方のシオンはアイズなら絶対に言わない言葉に固まってしまっている。しかし脳がその発言を認識しだすと、意識しない内にその手を取っていた。

 「誘うのはいいけど、踊れるのか? 転けて笑われるのだけは勘弁してくれよ」

 「なら、逆にこう言わせて。――シオンは、私についてこれる?」

 今の自分は『変身』している。だからきっと、できない事もできるはず。プレシスとユリがアイズにかけた『おまじない』のお陰か、アイズは不敵に笑えていた。

 ダンスのパートナーが決まった。シオンとアイズはお互いの手を握り合うと、肩を並べて中庭の中心へと移動していく。

 周囲では続々と踊る相手を決める中で、ユリとプレシスは誘われてもにべもなく断っていた。

 「ユリ、あなたは踊らないんですか?」

 「生憎御眼鏡に適う相手がいなくってさー。シオンが同年代ならむしろこっちから誘ってたんだろうけどね」

 いいなぁ、とユリがアイズを見て呟く。

 ユリとて別に好きな相手がいなかった訳じゃない。ただ、縁が無かった。恋敗れたが故に、結ばれなかったのだ。

 「ま、だからこその余計なお節介なんだろうけど。プレシスはどうしてあの子の手伝いをしようと思ったの?」

 「あのまま放っておけば、二人共不幸になっていたでしょうから。友達として、それは避けたかったんですよ。後はまぁ、誰かが恋をしているのを見るのが、好きですから」

 「ふ~ん」

 プレシスの表情が切ない色を浮かべたのを察したユリだが、その真意まではわからない。

 「あ、始まるみたいだよ! アイズはちゃんと踊れるかな~」

 だからユリは、親友とも呼べる彼女がこれ以上悲しい思いをし続けないように、わざと明るく振舞っていた。

 

 

 

 

 

 ダンスが始まると、各々が思い思いに踊りだす。ただ左右に揺れるだけの男女もいれば、本格的なものを踊って見る者を魅了するペアもいた。

 そんな中でシオンとアイズは、

 「……っ!」

 「まだ、まだだよ……!」

 ある意味本格的で、しかし型破りな踊りをしていた。

 シオンが右足をアイズの横へ踏み込ませると、アイズは逆に滑り込むようにシオンの体へと身を寄せる。ぶつからないようシオンが半身になれば、今度はアイズがシオンの手を引っ張ってクルリと回転させた。

 そこからアイズがシオンの腰から手を離すと、次の動きを察したシオンも同じくアイズの腰から手を離す。そして繋いだままの手を真上にピンと伸ばし、背中合わせになりながらもう一回転。向かい合わせに戻ったら即座にダンスの基本的な体勢に移る。

 オーバーな表現方法。誰かにぶつかりかねないが、しかし服が掠れる事さえ一度もない。

 アイズが足を引く。当然ついていくしかないシオンは、そのまま上半身を後ろへ倒したアイズの背中を支えるように手を置いた。柔軟な体をしているからこそできる事だ。体を支えるために自身も上半身を折り曲げていたシオンを見ると、アイズは小さく笑う。

 「ガレス。一つ聞きたいんだが、あの二人は踊れたか……?」

 「む? いや、フィンが教えたのでなければ踊れないはずだが」

 金と銀の演舞。それはとても目立っていて、何気なく目を向けるだけで勝手に視界の中へと入ってくるほどだ。

 当然、今回は見るに徹していた二人の目にもその光景は飛び込んでくる。だが、それは二人にとって驚くべき事でしかない。

 ダンスとは、一朝一夕覚えられる物ではないのだ。にもかかわらず、まるでそれが当然のように舞っている二人の姿には驚かされる。

 「……? ふむ、なるほどな。わかったぞ、何故あの二人が踊れるのかが」

 「なんだと。私には何もわからないのだが」

 「理詰めで考えようとするのが間違っているからの。全く、面白い考え方じゃよ」

 ガレスが愉快愉快と笑っている間に、アイズが動き出す。

 まるで押し込められたバネが戻るかのように体を起こすと、驚くシオンの頬に軽く唇を触れさせる。内心ではかなり恥ずかしかったが、それを押し隠すように、笑みを深める。

 まさしく今の姿に似合う快活で、人を翻弄してくる女の子。記憶にない程『弄ばれている』感がしてならないシオンだが、焦りだけはしなかった。

 「いくらなんでもお転婆すぎ」

 「無礼講って、ロキも言ってた」

 余裕そうに見えても内心では、というのがシオンにはわかる。だからシオンは薄い笑みを広げると、グイとアイズを腕の中へと引き寄せる。

 「だったらもっと、派手にやろうぜ?」

 それこそキスでもできるな距離でニヤリと笑えば、アイズはちょっと顔を赤くして距離を取ろうとした。可愛いなぁとか思っていると、視界の端にフィンとティオネの姿が見えた。

 どうやらフィンのお相手はティオネが奪い取ったらしい。いや、フィンが選んだ、の方が正しいだろうか。

 予測となるが、恐らくフィン争奪戦はかなり過激になったのだろう。フィンの顔に浮かんでいる微かな疲労感がそう思わせる。

 そしてさてお相手は、となった時にティオネが選ばれたのは偶然じゃなく必然だ。何故なら誰を選んでも角が立つから。ならば身内であり且つ小人族と同じくらいの身長を持つ者、つまり()()を相手にすれば不満は少なくなる。

 ――言える訳無い、か。あんなに幸せそうなのに。

 まだティオネはフィンから女性扱いされてない。情愛深い彼女には報われて欲しいが、シオンの考えが正しければ、彼女は……。

 「シオン? どうしたの?」

 「え? ああいや、ちょっと考え事」

 意識が思考の海に没頭しかけたところで、アイズに声をかけられ引き上げられる。ダンス途中でパートナーを放っておくなと内心自分を叱咤しつつ、それを表に出さないよう、彼女に笑いかけると小声で一つ提案した。

 「それ、ちょっと派手すぎると思う。それに二人の仲を邪魔するなんて」

 「いいのいいの。フィンとティオネならわかってくれるから」

 最悪ティオネに怒られるのは自分だけにすればいいし、という言葉は呑み込んだ。怒られるのが目に見えているからだ。

 アイズは踊りを継続しながら乗るか反るかを悩んでいたが、結局はシオンの提案を受け入れてくれた。

 「……しょうがない」

 苦笑を一つこぼすと、それを合図として二人はフィンとティオネの元へ近づく。それに真っ先に気づいたのがフィン。しかし流石にぶつからないだろと、そうたかを括っていたら。

 「――え?」

 「――は?」

 何の手品か、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 シオンの相手はティオネに、アイズの相手はフィンに。一瞬の交差の内に入れ替わったせいで認識の遅れた二人の顔が、驚きに目を見開いた。

 「フィン、ちょっと私に合わせて」

 「ティオネ、少し遠くに離れるぞ」

 それぞれが相手にお願いをする。驚いていた二人だが、何となく事情を察し、フィンは同情、ティオネは呆れの色を相手に向けた。

 「普段の私なら怒ってたわよ。邪魔するなって」

 と不満を口にしつつ、なんだかんだで付き合ってくれるティオネである。フィンとアイズから少しずつ距離を取るようにして動いていくと、やがて不思議とあの二人の周囲に人がいなくなっていった。

 ほんの少し、数M程度。だがそれで十分。

 「【目覚めよ(テンペスト)】」

 フィンの腕が、真上へと伸びていく。その手を掴んだままのアイズは地面を蹴り、飛び上がった瞬間、

 「【エアリアル】!」

 先の決闘で使われた風が、アイズの体を包み込む。

 その後アイズは未だ上へと伸ばされたままのフィンの手のひらへと降りる。フィンの『力』が高いからこそできる芸当。ほぼ片足立ちだが、その状態を維持するためのバランス感覚は持ち前の才覚と風の補助で何とかした。

 フィンとアイズの身長は子供のそれ。だがしかし、フィンが真っ直ぐ手を伸ばし、そこにアイズが立てば、今ここにいる全ての者よりも高くなる。

 つまり――今アイズは、全ての存在から、注目を集めていた。

 「【エアリアル】」

 もう一度、アイズは己を鼓舞するために魔法の言葉を唱える。そして彼女は、どこからか飛んできた剣を受け取ると、その場で()()()()()

 少しでも感覚がズレれば足を踏み外して転び、みっともない姿を晒すだろう。それを覚悟していながら、しかし少女は誰もが見惚れる動きで舞い続ける。

 金の髪、白い肌と、それに合わせた白い服が、夕闇に照らされる。風が揺光を反射させ、一人の少女を、女神かと錯覚させるだけの神秘さを生み出す。

 片足で立っているなどとは思えない動作。時には片足でジャンプし空中で数回回転するなどという技さえ見せた。

 一分か、二分かあるいはもっとか。

 ほんの少しだけの舞踏は終わりを告げる。女神を宿した少女は、舞台となっていたフィンの手のひらからフワリと飛び上がると、どこかへと舞い降りていく。風を纏い、緩やかに飛び降りていった先に立つ少年が、役目を終えた少女の体を横にして抱き留める。

 少女はそれに感極まったかのように少年を抱きしめた。

 まるで演劇。その一幕を切り取ったかのような光景に、割れんばかりの拍手が響いた。

 お姫様抱っこをしている銀の少年と、されている金の少女。まだまだ子供だが、共に美男美女になるとわかるとてもお似合いの二人にからかいの口笛で持て囃された。

 オラリオの冒険者だからこそできること――そう考えて、シオンはこれを提案した。『恩恵』によって増強された身体能力と、アイズの『魔法』による劇。単なる劇団員にはできない圧倒的な利点があったからできたことだ。

 一歩間違えれば演出(パフォーマンス)ではなく曲芸(サーカス)扱いされかねなかったが――うまくいったと、シオンがアイズに笑いかける。

 「一つ貸し。ちゃんと返してね」

 そう言って笑うアイズも、シオンに負けず劣らず楽しそうだった。

 

 

 

 

 

 ――そんな光景を、遠くから見ていた少女がいた。

 輪となっている人の海から更に離れた場所。彼等がいる場所よりも一段高いところにいたが故に見えてしまった、二人の姿。

 「……誘えなかったなぁ」

 誰とも踊らず、どころか誘えないまま時間を向けた彼女は手持ち無沙汰になっていた。本当は同じ【ファミリア】の子から誘われていたが、断った。彼等が顔を赤くしていた理由を何となく察していたというのもあるが、何よりも。

 「シオンと一緒に、踊りたかったのに」

 誰より好きな少年と、手を取り合ってダンスをしたかった。その為に似合わないだろうと思いつつもドレスを着て、化粧を施したのだ。

 いつもと違う大人っぽさを出す――そう言われて。でも結局、中身は変わらなかった。ティオナという少女は、演技ができる人間ではなかったからだ。

 だからこうして――一人惨めに、舞台にすら上がれないまま蹲っている。

 「何、やってんだろ。私」

 頑張ったのに。皆も手伝ってくれたのに。無駄にしてしまった。フィンに頼んで何とか姉と踊れるように仕向ける事ができたのだけが、救いだろうか。

 「……別のところ、行こうかな」

 見ているだけは、辛すぎる。蚊帳の外に立ち続けるのは、孤独さだけを感じさせられるから。思い立った少女は、喧騒から離れたところへ行ってしまう。

 そこは、何も無い場所だった。かつては色々と置いてあったが、たった一人の墓を作るためだけに全てを撤去させられた。

 名しか知らぬ、シオンの義姉の遺体が納められた墓。

 ――リヴィア・エルステイン。

 会った事さえ無いその女性の墓の前に立つと、そこにスカートが汚れないように気をつけながら膝をついた。

 言葉は出ない。何故ここに来たのか、自分でもわからないから。

 「……シオンは元気にしています」

 やがて口をついて出たのは、そんな言葉。

 「本人はいつもいつも無茶してばかりだけど、それは誰かの為で……だから、リヴィアさんもきっと心配してると思います。私も、同じですから」

 ――体はここにある。けれど魂はここにはない。

 そうロキから聞いた事がある。だからこれは、ただの自己満足。

 届いていないとわかっていても、言わずにはいられないから。

 「でも、そんな彼だから、皆惹かれるんだと思います。惹かれて、集まって、ついていく。そしてついてきた人を、シオンは守る」

 でも、という続きの言葉が、口から漏れてしまう。

 「シオンを守ってくれる人は、どれだけいるんでしょうか」

 自分と、姉と、ベートと、アイズ。そしてフィン、リヴェリア、ガレス、ロキ。この八人は絶対味方だと言い切れる。

 だけど、それ以外の人は?

 「心配で心配で、仕方がないんです。いつの間にかどこかに消えてなくなりそうで、私達の前からどこかに行っちゃいそうで。引き止めるだけでも全力を出さないとダメで」

 壊れてしまいそうなくらいに頑張りそうな人なのに、守ってくれる人が多いとは思えない。むしろ敵対してる人の方が多い。

 「リヴィアさんが、死んじゃったから。リヴィアさんが原因で、なのに一番の支えがあなたである事実が、悔しいです」

 ティオナ・ヒリュテという少女は、シオンの心の中心にはいない。近しいところにはいられるかもしれないが、決して中心には立ててないのだ。

 「でも、それで構いません」

 悔しさはある。けれど。

 「だって私は、シオンを――」

 「――やっと見つけた。何話してるんだよ、ティオナ」

 「……へ?」

 決定的な一言。

 それを告げようとした瞬間届いた声に、ティオナの脳が、次いで体が停止する。理解したくないと叫ぶ心をねじ伏せて、ギリギリで放たれてないから大丈夫と無理矢理体を振り向かせた。

 シオンが、そこにいた。

 アイズと踊っていたはずなのに、何故か、そこに。

 「シ、シオン? アイズと踊ってたんじゃないの?」

 「一区切りついたから、そこで終わった。ティオネに引っ張られてったっていうのもあるんだけどね」

 で、

 「義姉さんと何話してたんだ? 変な事言ってたら流石に怒るぞ……?」

 「へ、変な事は言ってない!? 大丈夫大丈夫、ちょっと私の思ってる事を一方的に言っただけだから」

 「ふぅ、ん……? まぁ、いいけどさ」

 妙に焦っているティオナの反応に訝しんだシオンだが、本筋から外れていると思ったのか、真面目な顔をする。

 その顔にドギマギしていると、シオンの顔が痙攣しだし、そして吹いた。

 「ぷ、くく……何だ、結局いつものティオナか」

 「結局って何!? いつもの私でいるのが悪いのかな!?」

 「いやいや、悪くないって。単に、思い直されただけだから」

 知らない子だとさえ思わされた、変身だったが。

 ティオナはティオナ。姿が多少変わったくらいで、何かが劇的に変わるはずがない。そう思い直された。

 だからシオンは、気負わずこう言えた。

 「それで、踊らないのか?」

 「え?」

 「いや、さっきおれを誘おうとしてくれただろ。ティオネの言ってたお願いって、その事なんじゃないのか」

 あの後ユリに連れ去られ、そのままアイズに誘われたから忘れていたが、あのタイミングでのお願いなど、心当たりは一つしかない。

 だがティオナは、少し寂しそうな顔をすると、俯いてしまう。

 「い、いいよ……私、踊れないし。シオンに迷惑かけちゃうから」

 本当は踊りたいけれど、ティオナは本当に、踊れない。アイズとあんなに上手に踊れていたシオンからすれば、きっと呆れてしまうくらいに。

 先のあの光景が、少女が踏み出すのを恐れさせていた。

 だがシオンは、そんな彼女の想像を砕いてしまう。

 「うーん、別におれだって踊れる訳じゃないんだけどな」

 「え……? 嘘――じゃ、ないよね」

 「ま、嘘ではないな。だっておれが踊れるのはアイズと……後は、フィンだけだし」

 へ、と妙な声がティオナの口から漏れる。けれどシオンは真顔で、変な冗談か何かではないのだと言っていた。

 「ど、どういう意味?」

 「おれとアイズがやってたのは()()だよ」

 「戦闘!? ダンスしてたんだよね?」

 「見た目的にはね。でもおれとアイズが考えていたのは戦闘だよ」

 だからこそあんな見た目激しく動いていたのだ。あらかじめ両手がどこに置かれるかを決めた状態にし、そこからどうやって相手を『組み落とす』かを争っていた。途中途中ふざけてもしたが、それはそれとして。

 「うまく相手を騙して、自分のやりたい事を押し通す。型も何も無いから、お互いの思考が噛み合わないと一瞬で転ぶぞ?」

 「……えぇ……あ、だからフィンとも踊れるのか」

 一対一での戦闘経験。それがこの二人とだけ段違いに積んであるからこそできること。そのせいでシオンがある意味まともに踊れるのは、この二人だけだ。

 ガレスが見抜けたのは、理詰めではなく何となくの直感故。

 まともに考えれば、アレが戦闘なんてわかるはずがないだろう。あの幻想的な光景が、そんな原始的な戦闘行為によって成り立っていた等と。

 「ま、そういう事だからさ。おれに迷惑とか、考える必要ないぞ」

 笑いかけるシオンだが、やっぱりティオナの反応は薄い。地面に膝をついた体勢のまま、立ち上がろうともしなかった。

 普通に誘うだけでは、ダメだ。

 頭の中からこういう時の作法は無いかと引っ張り出すが、参考にできる物があまり無い。

 しばし悩み、ふぅ、と息を吐き出す。ティオナの肩がビクリと揺れたのを目にしながら彼女に近づいていくと、その目前で膝をつき、手を差し出した。

 「美しいお嬢さん。私と一曲、踊って頂けませんか?」

 「……? シオ、ン?」

 一体何をしているのか、と目を瞬かせるが、シオンは手を差し出したまま動かない。その目はこの手を取るか取らないのか、と聞いていた。

 取れば、シオンはきっと踊ってくれる。

 取らなければ、どこかへ行ってしまうだろう。

 何となく、わかった。

 ティオナは少しだけ考える。自分とシオンが踊った場合と、シオンがどこかへ去ってしまった場合とで。

 どちらがいいのか。

 シオンが去っていくそれは、嫌だった。

 ならば答えなんて、元から一つだけしか存在しない。

 それに、問われて気づいた。ティオナは、アイズに劣等感と悔しさを感じていたのだと。それを見たくなくて、それを誤魔化すために、ここに来たのだということを、今気づいた。

 だけど、それだけを感じた訳でもない。

 きっと――羨ましかった。

 だから自分とも、踊って欲しい。

 答えはとても単純で、ならば言う言葉も、とても単純。

 「――はい。喜んで」

 笑顔で手を取り、受け入れよう。

 

 

 

 

 

 ティオナは踊り方がわからない。

 その言葉通り、彼女は組み方さえ知らなかった。とはいえシオンもよく知っている訳じゃない。そこまで本格的でないのだからと『それっぽい』形にできればそれでいい。

 形ができると、今度は左右に動き出す。しかし、

 「……っ」

 「ご、ごめんなさい」

 ティオナの足が、シオンの足を踏んづけてしまう。時間が足りないせいで大剣を扱う技術、いわゆる型に沿った動きを覚えられてない彼女は、技術の応用なんてできなかった。

 しばらく痛みに呻いていたシオンだが、何とか落ち着いてから言った。

 「リズムに乗った方がやりやすいかな」

 「それ、どうするの?」

 「そうだな……。それじゃ、(アン)(ドゥ)(トロワ)で」

 「わ、わかった」

 自信無さげに頷きながら、ティオナはもう一度、シオンにその身を寄せる。

 「行くぞ。――一、二、三」

 「ア、一、二、三」

 最初はとてもぎこちない動きだった。

 とにかくシオンの足を踏まないように気をつけて、そのせいで定まらない体のバランスをシオンにフォローしてもらって。みっともなく、自分でさえ誰かに見られたら恥ずかしいと思うような出来の悪さ。

 だけど、それでも。

 「一、二、三。一、二、三」

 「一、二、三。一、二、三」

 楽しかった。

 誰にも見られていない、誰もいない、たった二人だけの舞台だけど。

 「シオン」

 「一、二……なんだ?」

 「楽しいね」

 いつの間にか不安は消え、内から湧き出るように、自然と笑みが零れていた。

 「そうだな」

 ティオナ・ヒリュテは幸せだと、自信を持って言える。

 だってこんなにも、嬉しいんだから――。

 そうして二人は、小さく踊り続ける。

 今宵の宴が、終わるまで。




今回もいただいた感想からお話を考えました。構想一日なんでやっぱり粗いかもしれませんが許してくださいだって予定になかったんだものこのお話。

ちなみにいただいた感想
『何故かこの話を読んで、『自分には似合わないと思いつつもティオネやリヴェリアに強引に着せられたドレスを身に纏い頬を染めモジモジしながら自信なさげにシオンに感想を伺い「可愛いよ」の言葉を聞いた途端顔がにやけるのを止められなくなったティオナ』の図を閃いた私です。彼らは今回はホスト側なので、そんなことはないのですが。宴、という単語が引っ掛かったのでしょうか』
こんな感じだったんですけど、ご要望、応えられたでしょうか? ちょっと不安です。色々改造しまくったんで。

まぁそれはそれとして、こんな感じに宴は終わりです。メインがシオン、ティオナ、アイズになってしまったのは仕方がないよね。

解説入りマース
変身する少女達(Change up Girl's)!!』
今回は主題通り、二人の少女に大変身してもらいました。ただ私の表現力が足りてないかと絶賛不安に駆られている私です。
普段は可愛いティオナを美しく、綺麗なアイズを可憐にさせてみましたが、本当、女の子はいきなり変身してくるから恐ろしいよねって伝えたかった。シオン君も作中たじたじでしたね。
それに伴いアイズを内心はともかく活発的な感じにしてみた。ティオナは当初『落ち着きある大人っぽい女の子』にしようかと思ったんですけど、彼女の性格的に演技は無理かなと感じて諦めました。

ダンスについて
門外漢もいいところなんで、だったらいっそと型破りにしてみた。特にフィンの手の上でアイズがソロで踊るなんて現実じゃ絶対無理ですからね。
よっぽど看過できない致命的なミスがあったら修正しますが、無ければこのまま押し通そうかな、なんて。

ティオナとアイズの対比
実は今回のお話、外見だけでなく話の中身も対比にさせてます。気づいたでしょうか?
シオンとアイズペアの時は皆が見てる真っ只中、更にとても派手に踊っています。逆にシオンとティオナペアの時は誰も見てない場所、静かに踊りました。
皆さんは、どちらが羨ましいと思ったでしょう? 私的には後者です。

で、何故こうなったのかにはちょっと理由がありまして……。
この『Change up Girl's!!』、元々クリスマスに投稿する予定だったんで、それに因んでちょっと工夫してたんです。
羨ましいと思った云々もそれに起因してます。
あくまで例えばなんですが、
前者のアイズは己の恋を周囲に喧伝したいタイプ
後者のティオネは恋人と静かに恋を育みたいタイプ
こんな感じを想定して書きました。
どっちが良いとは言いませんが、共感しやすければいいかな。


――ま、この考えもクリスマス投稿できなくて無駄になりましたけどね!!


なんて自虐は置いといて、次回タイトルをば。
『変幻する魔法』
想定してた文字数超えるとタイトル変わるかもしれませんけど、一応。

さて最後に。
投稿してから約半年近く。早いものですが今年も残りわずか。今年の最後、そして来年へ向けて皆さん頑張りましょう。
次回もお楽しみに!

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