英雄になるのを望むのは間違っているだろうか   作:シルヴィ

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……タイトル入れ忘れてた。


素直になれない想い

 迷宮都市(オラリオ)の中心に燦爛と存在する摩天楼(バベル)、その最上階。

 恐らく世界でもっとも太陽に近いそこは、しかしその事実と相反して薄暗い。この部屋唯一の光源である魔石が照らす輝きだけが、この部屋の明かりだった。

 パラ、パラ、と乾いた紙をめくる音だけが部屋に響く。

 本をめくるのは、この世あらざる美女。

 口元に薄い笑みを貼り付かせ、文字を追っているはずなのにその目に映っているのは全く別の光景だ。

 「フレイヤ様」

 そこに、重苦しくも優しい声がかけられる。

 フレイヤと呼ばれた神はその美貌を上げ、己を呼んだ者を見る。

 声に違わぬ男が立っていた。二Mを超える巨躯と、服の下に隠された筋肉の鎧。その体の分厚さはよく知っている。その四肢があらゆるものを打ち砕くことも。

 錆色の短髪を失礼にならない程度に無造作に整えている。そこから生えた猪の耳が、彼の男が獰猛で知られる猪人(ボアズ)だと証明していた。

 髪と同じ錆色の瞳をどこか嬉しそうに細め、武人は小さなカップに入った紅茶をフレイヤの横にあるテーブルの上へ置く。

 「何か、嬉しいことでもあるのですか?」

 唐突に問われた言葉は、確信に満ちていた。彼がこの一月何も聞かなかったのは、フレイヤの気分を害さないためだろう。しかし己が主神が一体何を楽しんでいるのか、気にならないと言えば嘘になる。

 もし仮にフレイヤが危険な事に興味を示していても、止める事はできないし、しない。

 だが危険を呼び込む種を『掃除』する程度の事は、してもいいはず。

 そんな思いから聞いてみたのだが、フレイヤはそんな彼の心情を理解していたらしい。ふふっと上品に、楽しそうに笑っていた。

 「そんなに心配しなくても、今回は危険なんて無いわよ。久しぶりに、ちょっと()()()()()()をいくつか見つけただけだもの」

 「それは……新しく迎え入れると?」

 「その可能性は低そうね。少し厄介な相手の子だから」

 フレイヤ達神々は下界に降りたとき、神々を全知全能たらしめる『神の力(アルカナム)』を封じ込めた。しかしそれはあくまで超常的な力を一時失うというだけにすぎず、彼らが元々培っていた物。

 ロキであれば悪辣な知恵と、その狡猾な口車。

 仮に武の神であれば、力に頼らぬ武術。

 美の神であるフレイヤは他の神を置き去りにする美貌。

 そういった、彼らが生じた時から備わっていた、いわば先天的な能力は『神の力』を封じてもそのまま残っている。

 そしてフレイヤには、その美貌の他に下界の者の最も深奥に潜む、魂。もっと言えば、その人物の本質(いろ)を見抜く『洞察眼』を持ち合わせていた。

 天界にいた頃は死後空へ向かった英雄の魂を逸早く識別し、己の懐へ回収するのに使っていたこの瞳。

 ロキからチートとまで称されたこの力を使って、その子供の、当人さえ気づかぬ才能――輝きを見抜き、その中でも特に優れた魂を【ファミリア】に加える。

 そうして彼女は、オラリオの中で探索系最上位【ファミリア】として名を馳せるまでに至った。

 彼女が微笑めば、例え他の【ファミリア】に所属していようと、彼女の元へ鞍替えする。

 拒む者はいなかったし、拒める者もいなかった。

 今日もまた、彼女はバベルの頂上からオラリオ(そと)を見下ろし、魂の選別を行う。

 そして丁度一ヶ月前に、とても、とても面白い(いろ)を見つけた。

 普通なら気付かなかった。普段なら気付けなかった。

 その子供は、とても小さく綺麗な黄金の輝きを放っていた者の近くにいた。逆に言えば、その黄金の魂を持った人物がいなければ、気が付けない魂の持ち主。

 とても白い魂だった。天使のような、と形容しても文句のない魂。恐らくかなり純粋で、優しい子供。更にその子供は、後からいくつかの色を付け足したかのように淡い色を秘めていた。

 だが、言ってしまえばそれだけ。あまりに白すぎてフレイヤさえ見落とした程だが、何とはなしにその子供を見つめていると。

 白い魂が、()()()()魂に変色した。

 驚いた。とてもとても驚いた。

 確かに生きていればその経験から本質が、魂に宿る色は形を変える。しかしそれは本来とてもゆっくりな物であり、しかも元来の色から大きく外れる事は難しい。

 それが、一瞬で正反対の色へと変わった。魂が、堕ちたかのように。

 けれど瞬きをする間に、その子供の魂はまた真っ白になっていた。

 黄金に照らされる、白い魂に。

 そうしてふとした瞬間に眺めていれば、本当に、時折魂の色が変わっているのに気づく。フレイヤが見れるのはあくまで魂の色のみ。この距離では一般の人間とそう変わらぬ視力しか持たない彼女は、どんな事が原因で魂が反転するのか、未だにわかっていない。

 ただ仮に、彼の魂に定義をつけるのなら。

 白が、全てを包む天使なら。

 黒は、全てを破壊する悪魔だろうか。

 「……ふふっ」

 久しぶりに、退屈しないで済みそうだ、と彼女は笑う。

 今日も今日とてその特異な魂の持ち主を見つめていると、近くにいたはずの黄金の魂が、フレイヤのいるここ――バベルへ向かっているのに気づく。

 何かトラブルでも起こったのだろうか、と少し考えたが、思考を放棄。

 ついで、『面白いこと』を考えついた声音で、フレイヤは言う。

 「ねぇ、オッタル。少し頼み事をしてもいいかしら」

 「何なりと」

 背後で畏まった口調で軽く頭を下げる武人に、女神は笑う。

 「どこでもいいの。ダンジョンのどこかで、適当に待ち伏せていて? それでもし、この資料の少年があなたのところに来たら」

 ――その子の力、測ってあげて。

 投げ渡された資料の一番上に描かれた似顔絵をチラと一瞥する。

 「……程度を見誤れば、殺してしまうかもしれませんが」

 「それならそこまでの子供だった、ということね。どこまでやるかは任せるから、【猛者(おうじゃ)】の力を存分に、見せてあげてちょうだい」

 Lv.6冒険者【猛者】オッタル。

 その名を知らぬ者は、オラリオにおいてまずいない。

 何故なら彼の名は、オラリオ『最強の冒険者』の名なのだから。

 そして、そんな彼の標的になったのは。

 「御意に」

 白銀の瞳でオッタルを見る、少女のような少年だった。

 

 

 

 

 

 陽が頂点に上り下界を照らす時間。

 ホームを飛び出し、北のメインストリートをひた走る少女がいた。

 陽差しを浴びてキラキラと輝く黄金の髪をなびかせる姿は、一つの絵のように美しい。しかしそれに反して少女の顔は険しく、何かを警戒しているようでもあった。

 ――追いかけて、来ない?

 シオンが本気を出せば、今頃捕まえられてもおかしくはない。それだけシオンとアイズには隔絶した差があった。

 剣の技術では足元に届いたとしても、それ以外で負けている、絶対的な壁が。

 ふと、内心で落胆している事実に気づく。

 それはシオンが追いかけてくると、無意識で期待していたからか? こうしてホームから飛び出してダンジョンに行こうとすれば、本心を話してくれると、そう思ったからか?

 ――関係ない。シオンはもう、関係ないっ!

 嘘つきで、アイズの邪魔ばかりしてくるシオンなど、知ったことか。私は1人でも強くなってみせる、そう思い直して、オラリオの象徴、バベルを目指す。

 そうして頭上を見上げていたから、気づかないのは必然だった。

 「いたっ!」

 ドン、と思い切り人にぶつかる。ぶつかった衝撃から考えて、相手は普通に歩いていた。どう見ても前を見ずに全力疾走していたアイズが悪い。

 しかし、多少とはいえ【ステイタス】の影響を受けているアイズを受け止めているという事は、相手も冒険者か。

 「む、大丈夫か? ここは一通りが多い、前を見ずに歩くのは危険だぞ」

 「ご、ごめんなさい……」

 ポンポンと頭の上に乗せられた手は固く、しかしどこか柔らかさがあった。

 おずおずと見上げると、快活な笑みを浮かべた美しい少女がいた。どちらかというと可愛いよりも『格好いい』と表現すべき少女で、極東の服である『袴』を身に纏っている。

 肌色が褐色だからアマゾネスかと思ったが、そうでもなさそうだ。身の丈一七〇に届くかどうかという高身長の彼女はそれに相応しく手足もスラリと長い。

 けれど何よりアイズの目をひいたのは、左目を覆う漆黒の眼帯。

 どうしてそんなものをつけているのだろう、そう思っていたが、彼女はアイズの視線を気にすることなく少し離れた。

 「わかればいいのだ。手前と同じくもう帰るために逆に向かう者もいる。走るのは構わないが、前を見るべきだ。私のように優しく注意する冒険者は少ないぞ?」

 「はい。その、忠告ありがとうございます」

 「うむ」

 一つ頷いた彼女は横にズレる。

 大きなタイムロスをしたアイズは、頭を一度下げるとまた駆け出す。

 「無茶をすれば折れるのは人も武器も変わらない。覚えておけ」

 「――?」

 パッと振り向いた時には、既に姿は消えていた。

 ほんの一瞬の交差。

 アイズはその忠告を忘れ、前を見て走り出す。

 やっとたどり着いたバベルからダンジョンへ降りるとき、周囲の冒険者から妙な顔で妙な視線を向けられた。

 その原因がシオン達なのは、大体想像できる。自分もシオン達と同じ子供なのだから。しかし奇妙な事に彼らは手を出そうとはしない。それならそれで好都合、と拳を握り直して階段を下りる。地上から地下へ繋がる最初の通路を見上げ、ほんの少しの感慨もそこそこに歩き出す。ここから先は余計な体力の消耗をしたくない。

 バックパックもない、防具もない、回復薬すら持っていない。せめて体力くらいは、まともにしておきたかった。

 最初の通路は最も人が行き交う場所だ。とはいえいつまでも流れに乗っている訳にもいかない。十分程歩いて、脇道に逸れていった。

 ダンジョンには結構な光源がある。これなら暗くて敵が見えない、なんて事は無さそうだ。アイズは視線を何度も動かし、服で手の汗を拭って、そこで気づいた。

 ――緊張、してる?

 思えば、今、アイズの傍には誰もいない。自分を守れるのは自分だけ。そんな状況、今まで一度もなかった。知らず体が震えだす。

 心細いと、思ってしまった。

 ――大丈夫っ! 私はやれる。戦える! そうしなきゃ。

 シオンに認めてもらえない、そう考えて、愕然とした。

 関係無いと、そう思っていたのに。ふとした拍子にシオンの影が脳裏にチラつく。それは、本当はシオンがどう思っているのか知りたいからで。

 ――私はきっと……。

 「……っ、そんな事考えてる場合じゃない」

 ぶんぶんと頭を振って、目の前に集中する。

 モンスターだ。とにかく剣を振って敵を倒せば、その間だけでもシオンの事を忘れられるはず。そう思って視界を回すと、見えた。

 ――コボルト、かな。

 二匹のコボルトが、キョロキョロと辺りを見渡していた。咄嗟に通路の端に飛びつき、姿勢を低くして気取られないようにする。

 ――お願い、気づかないで。

 そのまま数秒か、数十秒か。

 ほんの一瞬、コボルトの視線が完全にアイズのいる方から外れた。

 ――今っ!

 トンッ、と軽く、だが確かな重みで地面を叩く。放たれた矢のように疾走するアイズは、気合の声さえあげずに一体のコボルトを両断した。

 『グ、ギャ……!?』

 断末魔の悲鳴は、そんな呆気ない物。けれど相方が事切れたのを察知したコボルトは、その鋭い爪をアイズに向ける。

 けれどその速度は、アイズにとって欠伸が出るほど遅かった。

 フィンよりも、ガレスよりも。

 何よりシオンの剣速に比べれば、呆れるくらい遅いし軽すぎる――!

 冷静に爪の間合いから外れ、手首を軽く曲げて相手の腕を切り落とす。痛みに怯んだ隙を逃さず一歩踏み込み、コボルトの喉に剣を突き込んだ。

 『……っ!』

 今度は断末魔さえ許されないまま、痛みにもがいたコボルトは、あっさりと死んだ。

 ドシャリ、と力の抜けた体が横に倒れる。アイズはフラフラと剣を抜いて、後ろに下がった。

 初めて、生きて、動いている物を殺した。肉を貫いた感触が気持ち悪い。生気の抜けたコボルトの目が不気味だ。

 カタカタと震える手を押さえ、それでもアイズは無理矢理感情を切り替え、思う。

 ――ほら、私だって戦える。シオンに心配される必要なんて、やっぱり無かったんだっ!

 今はまだ二体だけを相手にした。もう何度か数の多い状態で戦って、2層へ向かおう。そう決めてアイズは倒れたコボルトに見向きもせず歩き出す。魔石を回収しても持てないのだから仕方が無かった。

 2層へ下り、そして3層へ。どんどん下へと向かっていくアイズは、気付かなかった。

 かつてフィンがシオンに向かっていった、ある言葉。

 『調子に乗って、帰ってこなかった冒険者』

 それに自分が当て嵌っている事に、彼女は気づけない。

 もし、このまま誰も助けに来なければ。

 彼女は『帰ってこれなかった』冒険者の、1人になるだろう――。

 

 

 

 

 

 ――少し時間は遡る。

 今日一日暇、という事で時間を持て余していたティオナは、姉であるティオネを連れて体を動かしてみるつもりだった。ここ一ヶ月、シオンがとある女の子――ティオナ達は誰一人名前を聞いていない――に付きっきりだそうで、ダンジョンに行く頻度が減っているから、体が鈍らないようにするためだ。

 まぁ、当のティオネは愚痴を言っていたが、どの道今日フィンはどこかの【ファミリア】と交渉があるようで、ホームにいないから別にいいだろう。

 とはいえホームにある修練場はそう多くない。他の誰かが使っていたら諦めるのが普通だ。けれど今日シオンがその子の相手をすると聞いていたティオナは、どうせだからその子の自己紹介も済ませつつシオンと一緒に体を動かす事に決めていた。

 なので今は、シオン達がどこにいるのかを探しにホームを歩いていた。

 「うーん、中々見つからないなぁ」

 「ま、後一ヶ所だけだし、そこにいるでしょ。いなかったら普通にやるからね」

 言外に、外まで一緒に探すつもりはないと言うティオネに苦笑しつつ、ティオナが周囲に意識を向けたその瞬間。

 前から、金の風が吹いてきた。

 「――……?」

 誰だろう、と思った。

 少なくともティオナの記憶では、あそこまで鮮やかな金の髪を持った人物はいない。正確には話をした事がない。

 だが、妙に嫌な予感がした。

 ――あの子、もしかして……でも何があったんだろう……?

 怒っているような、悲しんでいるような。自分自身感情の行き場がわからないでいたような、そんな表情。ほんの一瞬の交錯ではそれしかわからなかった。

 けれど、絶対に何かトラブルが起こっている。

 それだけは、確実だった。

 「ティオネ、ちょっとお願いがあるんだけど」

 「ん?」

 「ちょっとシオンの部屋に行って、装備を持ってきて。最低限でいいから」

 ティオネの目を見据えて言う。意味がわからないと眉根を寄せていたティオネは、一度ティオナの目を見返して、

 「……鍵はどうするのよ」

 「壊してでも入って。弁償は私がするから」

 ふう、と溜め息を吐く。ティオナが本気なのを理解したティオネは、無言で背を向けた。呆れられたかと思ったティオナは俯くが、

 「シオンに怒られたら、あんたも一緒に怒られなさい」

 「ッ……うん、わかった!」

 苦笑を浮かべる横顔に笑みを返して、ティオナは走り出す。

 ――急がないと。

 何かが、狂ってしまう。

 そんな気がした。

 衝動に突き動かされるままティオナは廊下を走る。数人から走るなと注意されたが、ティオナにとってはそれどころじゃない。

 杞憂ならいい。単なる笑い話だ。

 でも、そうじゃなかったら。

 もし何かが起きていたら。

 そう思うと、ティオナはいても立ってもいられなくなる。

 ――シオン……。

 ああ見えて、弱いところがあるのだと知った。

 全然強くない姿を、見せてくれた。それはきっと、信じられてるからだと思う。泣いてはいなかったけれど、アレで結構強情なのだから、シオンは。

 だから、誰かが支えていないと、いつか破綻して壊れてしまう。

 あるいは――誰かが欠ければ、それだけで。

 『取り繕っている仮面が削ぎ落とされる』、そんな気がする。

 閉ざされた扉を開けて、中に入る。

 キョロキョロと辺りを見渡し、シオンを見つける。ティオナが入ったことにも気づかず、シオンは壁に背を預け、虚空を見つめていた。

 ピクリとも動かず腕を組んだままのシオンに近づく。ある程度近づいて、気づいた。

 ――シオン、何も見てない?

 深く考え込んでいるせいで、いつもならすぐに気づくはずの距離まで行っても反応しない。遂に目の前にまで行き、眼前でヒラヒラと手を振っても反応がなかった。

 「……シオン?」

 か細い声で、言う。

 ともすればこのまま消えて行きそうな雰囲気を漂わせるシオンに声をかけるのが怖くて、でも聞かなければどうしようもならなくて。

 そんな中途半端な想いが、ティオナの声を小さくした。

 小さくシオンの肩が跳ねる。それから目に光が戻り、横目でティオナを確認する。そんなシオンに何と声をかければいいのかわからず、まずはジャブ。

 「えっと、さっき女の子が走っていったけど、シオンは知ってる?」

 ピクリと指先が動く。だが緩々とまた腕を組み直し、天井を見上げた。

 「……さあ? ダンジョンにでも行ったんじゃないか」

 「え、ダンジョン!? 待って、あの子が来たのって、私の勘違いじゃなかったら一ヶ月くらい前だったよね? そんな、死んじゃうよっ、今すぐ助けに行かないと!」

 ティオナは知っている。ダンジョンはそんな優しい場所じゃない事を。シオンだってわかっているはずなのに、どうして動こうとしないのか。

 そんな風に思っていたからか、シオンはここにいない誰かを嘲るように笑った。

 「勝手にさせればいいだろ」

 「な……」

 「ダンジョンにいきたいと言ったのはアイズだ。それを止める権利なんて、そもそも無かったんだよ。自己責任だろ」

 「そんなっ、どうしてそう言うの? シオンはあの子の事放っておいていいの?」

 何かがおかしい、そう思った。

 「別に。アイズが心配ならリヴェリアにでも言えばいい。あの人なら何か手を打ってくれるだろうから」

 いつものシオンなら、ここまで意固地にならない。

 そもそもティオナが説得する前に自分で動いている。こんな事をする必要さえ無い。なのに今のシオンは動こうとさえしない。

 「……あの子がいなくなっても、いいの?」

 「っ」

 遂にティオナは、シオンが一番気にすることを持ち出した。

 シオンはとてもあの子の事を気にしていた。一度も話題に出たことはないし、そもそも名前を聞いたのだって今が初めてだ。

 だけどそれでも、シオンがアイズという少女のことを考えていたのは、知っている。

 「自業自得だ。……おれは、何度も今行けば死ぬって言った。それをわかろうとしないなら、一度くらい痛い目を見ないとダメだろう」

 ――やっと聞けた。

 シオンはきっと、本当に何度も言ったのだろう。一日に何度も、同じことを。だけどそれは、あくまで『シオンからの視点』にすぎない。

 ティオナには、わかった。

 全く異なるが似たような事を思った経験があるからこそ、わかる。

 「……死んじゃうよ?」

 だからティオナは、まずシオンを『爆発』させることにした。

 「たった1人で、初めてダンジョンに行って。生きて帰って来れると、本当に思う?」

 「知らないって、何度も言ってるだろっ、しつっこいな!」

 ティオナを見ず、ずっと上を向いていたシオンが、振り向いた。

 「何度も言った! 何度も……危険だって、言い続けた!」

 顔は、怒りに彩られていて。

 「おれ達は子供なんだよ! 『神の恩恵(ファルナ)』があったって、体は軽い! 歩幅は小さくて、腕の長さも短いから全然攻撃が届かない! 大人に比べてどれだけのハンデがあると思う!」

 なのに、どうしてかとても悲しそうで。

 「だから、慎重にならないといけないんだ。誰よりも臆病になって、状況を見極めて、無茶をする回数を少なくして。そこまでやったって、インファント・ドラゴン(あのとき)みたいな理不尽が降って掛かってくるんだ! どうして一ヶ月でダンジョンに行っていいなんて言える!?」

 息も荒く言うシオンに、ティオナはどうしてか優しい目を向けていた。

 全てを聞き終えて、彼女は言った。

 「それを、あの子に伝えたの?」

 シオンの動きが、止まる。

 「何度も死ぬって言ったみたいだけど……それ以外の事は、言ってあげたの?」

 瞳が揺れて、視線が何度も行ったり来たりを繰り返す。

 「私だったら、どうしてそんな事を言うのかって思うよ。教えてほしいって思う。そう思っているのをわかってほしいって」

 ティオナはいつも、シオンに振り回されていた。

 冗談で言われた言葉に反応して、その意味を問いたくて。でも聞けないから、どうしてそう言ったのか、言ってほしい。

 それをわかってほしいと、何度思ったか。

 「シオンはあの子のこと、わかってあげようとした? どうしてそんなに焦るのかって、一度でも聞いてあげた?」

 ティオナが問い詰めるたびに、シオンの顔に自分を責める色が浮かび上がる。

 そしてティオナの気迫に押され、胸元を握り締め、無意識に一歩下がっていた。けれど、ティオナは逃がさない。

 この、こんな時に限って意固地になる、どうしようもない『男の子』の横顔に、思い切り手のひらを叩きつけてやるのだ。

 そうでもしないと……きっとシオンは、後悔するから。

 「言ってないなら、言いに行かなきゃ。今ならきっと、間に合うよ」

 「でも、おれは……邪魔、だって。いらないって、言われたんだ。だったら、もう、何かをする必要なんて」

 ――ギリッ。

 「うじうじするな!」

 視線を逸らしていたシオンの服を持ち上げて、無理矢理目線を合わせる。『力』ならシオンよりも優っているのだ、逃がさない。

 「シオンは男でしょ!? だったら悩んでないで行動しなさい! 誰かが死ぬのを、ただ見てるだけなんてもうイヤなんでしょう?」

 ドクン、と心臓が跳ねた。

 「やれ! 今やんなきゃ――アイズを助けなきゃいけないの。死んだら、どれだけ泣いても叫んでも戻ってこないんだから!」

 襟を手放し、シオンの体を押して扉へ向かわせる。困惑するシオンに、まだ躊躇しているのかと思ったティオナは、容赦なくその背を叩いた。

 ドンと押されてよろめくシオンに、ティオナは叫ぶ。

 「行ってこい! それで、仲直りしてくるの! それまでホームに戻ってくるの禁止!」

 ……今までシオンはこうしてティオナに叱咤された事は、一度も無かった。

 戯れ合うように喧嘩した事はあった。慰め合う事もあった。けれどこうして、背中を叩かれて叱咤激励されたのは、初めてだった。

 背中が熱い。叩かれた痛みだけじゃない、他の熱さも一緒に叩き込まれたようだ。

 ――悩んでたって意味無い、か。

 「ティオナ」

 「何!」

 「ありがとう」

 吹っ切れたシオンは部屋を出る。その寸前、横合いから差し出された物があった。

 「ティオネ?」

 「ダンジョン、行くんでしょ? 最低限だけど持ってきたわ。ティオナに感謝なさい、あの子のお陰だから」

 ティオネが持っていたのは、いつもの剣と、短剣二本。それから左手用の篭手に、プロテクター、そのプロテクターにもう一本の短剣が装着されている。本当に、最低限の装備だった。

 「ティオナには、敵わないなぁ」

 そうポツリと呟いて、シオンは自身の【ステイタス】を全開にして走り出す。

 その背を見送ったティオネは、部屋の中で妙にスッキリした表情のティオナの元へ行く。そして聞いた。

 「いいの? シオンを行かせて」

 「何が?」

 「もしその子が危ない状況になってて、そこをシオンが助けたら、その……ライバルが増える、とか。そう考えないの?」

 自分勝手だとは思うが、そういう打算はしなかったのか。

 そう問いたティオネに、ティオナは困ったように眉尻を下げた。

 「まぁ、考えはしたよ。でも正直、どうでもいいかなって」

 それからティオナは、逆に聞き返す。

 「もし、仮の話なんだけどさ。ティオネは、フィンが悲しい顔をしてたらどうする?」

 「その原因を全力で何とかする」

 「それとおんなじ」

 即答された答えに苦笑を漏らし、ティオナは思う。

 シオンに泣いてほしくない、笑っていてほしい――と。

 「どうでもいいの。私がシオンを好きなのと、他の子がシオンを好きなのは、関係ない」

 だって、

 「シオンが私を好きになってくれれば、そんなの関係ないもん」

 「……!」

 「もしシオンが他の子を好きになったとして。それでもいい」

 何故ならば、

 「迷宮都市(ここ)は、ハーレム合法だし」

 そう、最終的にお互いがお互いに好きになれればそれでいい。

 「つ、強いのね、ティオナは……」

 「そう、なのかな? そもそも私、シオンを独占できる気しないし」

 フィンを見てればわかる。

 力があって、性格が良くて、そして何より顔が良ければ。

 とにかく『モテる』という事実。

 そして良いのか悪いのか、シオンはその全てに当て嵌る。将来どんな女泣かせになるのか、わかったもんじゃない。

 だけど、それら全てを一度横に投げ捨てて思うのは。

 「シオンが幸せなら、私はそれでいいんだよ」

 その時浮かべた微苦笑に、ティオネは思った。

 ――なぁにが『初恋』よ。もう『愛』でしょ、これ。

 見当違いな二つ名もいいところだ。フィンに近寄る女に当り散らす自分の方が小さく見えてしまう。

 いつの間にか成長している妹に、姉はちょっと複雑だった。

 

 

 

 

 

 ホームを飛び出して、シオンは走る。

 後先なんて考えない。歯を食いしばって、必死の形相で走り続けるだけ。ものの数分で北のメインストリートに出て、人波に気をつけながら右に左に揺れて全速力を維持。

 ――これなら、すぐにバベルまで……っ!?

 一瞬思考に意識を落とした、その瞬間。

 ゾクリとシオンの体が泡立ち、反射的に左腕を頭のよこに掲げる。

 ガァン!! と硬いもの同士が衝突する音が響く。あまりの衝撃に腕が痺れ、無茶苦茶な体勢で受けたせいで膝をついてしまう。それでも倒れ込むのだけは必死で堪えて、二撃目に備えて周囲の警戒に入る。

 何らかのトラブルが起こったと察した人々がシオンから離れる。当然だ、冒険者同士の戦いに巻き込まれるなんてたまったものではない。下手な怪我をする前に逃げるのは、普通の事。

 「ふむ、すまんの。何やら探し物――いや、探し人か? もしかしたら、いい情報を渡せるかもしれんぞ」

 ガクッ、と気の抜けるような声と快活な笑い声に、シオンの体が脱力する。そして、シオンに投げたらしい鞘と思しき物を拾うと、剥き出しの刀身を納めた。

 「……急いでるんだ。どいてくれ」

 ――勝てない、最初の一撃でそう悟った。

 恐らくLv.3以上。今のシオンではどう足掻いても地力で負ける。最悪多少の怪我を覚悟で走り抜けるしかないが……それも、あまり意味はなさそうだ。

 無意識に警戒を強めるシオンに、慌てたのは女のほうだ。

 「ああ待て待て、待つのだ! 本当に手前は戦うつもりは無い!」

 「だったら」

 「性急な奴だの。……探しているのは、金髪の女子か?」

 シオンは自制するのに、多大な精神力を必要とした。

 どこにいるのか、どうして知っているのか――聞きたいことは山程あったが、その焦りを突かれては本末転倒。

 今はただ、情報を引き出す。

 そんなシオンの反応の何が面白かったのか、女はまたカラカラと笑い出す。

 「面白い小僧だ。金髪の女子はダンジョンへ向かったぞ。それ以降は知らん。それだけ伝えたかったのだ」

 その情報が合っているのか、間違っているのかの裏付けは取れない。

 「……ありがとう」

 けれど、今はこの女の言葉しか、アテがないのも事実だった。礼もそこそこに、女の横を通り過ぎてバベルを目指す。

 「いやいや、手前も、随分懐かしい物を見せてもらったのでな。その礼だ。まさか、()()()()()()()()()()()()を見る事になるとは……」

 その一節に、シオンは足が止まりかけた。

 ――まさか、この人が。

 けれど無理矢理頭を振って、その先の思考を追い落とす。

 ――今は、アイズの事だけを!

 そんなシオンに、『椿・コルブランド』は小さな笑みを浮かべ、

 「本当に、面白いの。ふむ、機会があれば主神様に頼んでみるか――」

 その意味を問う者もなく。

 女は、雑踏に紛れて姿を消した。

 人を追い越し、バベルにたどり着いたシオンは、歩いて階段を下りる事すら厭い、そのまま『飛び降りた』。

 衆目を集めているのを理解しながらシオンは何度か足で壁を叩いて速度を調整し、全ての階段を無視(ショートカット)してダンジョンの入口へ。

 話しかけれらる時間すら惜しいと、そこへ入る。まばらな人影を邪魔だと理不尽な文句を垂れつつ駆け続け、思った。

 ――アイズは、何層目にいるんだ?

 たった1層でも、その広さはかなりの物。一々見て回るだけでもかなりの時間がかかる上に、何よりあっちも移動している。

 1人でダンジョンにいる目的の人間を探すなど、無謀もいいところだった。

 ――どう、すれば? どうやってアイズを見つける!?

 今更気づいた事実に冷や汗が流れ出たシオンを、風が撫でた。

 とても、とても久しぶりに感じる物。これを感じたのは、かつて一度のみ。インファント・ドラゴンという脅威を前にしたきりだった。

 だが、今シオンは何ともない。ならば、可能性は一つ。

 ――アイズに、何か、あった?

 顔を上げ、通路の奥を睨む。風は下を示している。アイズは1層にいないのだ。その事実に、体が震えた。

 ――最短ルートで行けばいい。そうすれば、間に合うはず。

 頭の中に刻み込んである地図(マップ)を叩き起して、ダンジョンを走る。

 途中、どうしてもモンスターを引っ掛けてしまう。シオンの【ステイタス】なら大半は無視できるが、相手がシオンを見失う前に他の冒険者にぶつかる時はあるだろう。

 「くそっ!」

 そして、実際にそうなってしまった。数匹のコボルトと戦う冒険者を見て苦渋に顔を歪めながらシオンは思う。

 ――立ち止まっている暇なんて……!

 仕方ない、とシオンは冒険者の横を走り抜ける。その後ろから新たなコボルトが現れた瞬間、冒険者は『擦り付けられた』と怒りと絶望に叫んだ。

 そして、合計十を超えるコボルトに襲いかかられた、その寸前。

 「一閃」

 全てのコボルトを、通りざまの一撃で斬り殺す。恐怖で尻餅をついていた冒険者は礼を言おうとするも、擦り付けたのがシオンだとわかったのだろう、文句を言おうとして、

 「その死体全部あげる。囮にして悪かった、時間が無いんだ」

 魔石と、もしかしたらあるかもしれないドロップアイテムを貰えると言った瞬間、笑顔になっていた。現金すぎる、と思うが、巻き込んだのは自分だ。

 冷静になって怒られる前にさっさと逃げるに限る。

 モンスターを引っ張っ(トレインし)て、その途中冒険者と鉢合わせしたら彼ら彼女らを囮に、全て刈り取って死体は渡す。大半は何かを思いつつも何とか下がってくれたが、数人は文句を言ってきたのでそいつらには死体の魔石を壊しておいた。流石に最初から相手取っていたのは残しておいたが。

 2層、3層、4層。いつもの数倍の速度で進んでいるはずなのに、一向にアイズの姿が見えない。風はまだ下にいると告げるだけだ。

 ――アイズとおれがホームを出た時間にあんまり差がないのに、どうして……!?

 何かが、おかしい。

 まるで誰かが『お膳立て』したかのように、一向にアイズとの距離が縮まらない。それに焦燥感を覚えながら踏み入れた、5層。

 ――まだ、下にいる!?

 ありえない。5層と6層では、一気に難易度が跳ね上がるのだ。そんなこと、冒険者になってすぐに教わること。

 だが、アイズは厳密には()()()()()()()

 ロキから『恩恵』を受けただけの一般人、それがアイズの括りだ。ダンジョンの難易度の上がり方を知らなくても無理はない。

 我知らずシオンの体が震える。

 ――危ない。

 思い出すのは本当に最初の頃の記憶。

 ――アイズが、危ない!

 二十体に迫るウォーシャドウに囲まれて、ボロボロになりながらも突破して生きて帰った、苦い記憶が蘇る。

 恐怖すら感じながら、後先考えずに全力で6層を目指す。バクバクと鳴る心臓の鼓動を感じながらモンスターを無視していく。

 ――また、冒険者。こんな時に!

 最早一分一秒も無駄にはできないのに。奥歯を噛み締めてまた囮にする、そう決めてその横を通り過ぎようとした。

 そして――死んだ、そう錯覚した。

 ――え……?

 強烈なまでの『死』のイメージにシオンの意識が飛びかける。それを無理矢理引き摺り戻して現実に意識を向け、その発生源に目を向ける。

 ――この男が?

 鎧などいらぬと服以外何も身につけず、あるのは巨大な剣一本。それを、いつの間に握っていたのかシオン目掛けて振るっていた。

 死んだ、と錯覚したのはこの剣から迸る圧力のせい。

 こんな事を考えていられるのは、走馬灯を見ているせいだ。

 ――避けられないっ。

 速度を出すために前傾姿勢になりすぎて、後ろに下がれない。前や横に跳んでもそのまま切り捨てられるだろう。

 一瞬の間。

 たったそれだけの時間で、シオンは『今』を選択した。

 ――武器を……盾にっ!

 スローモーションになった世界で、相手の剣を防ぐために、手首だけで剣を眼前に置く。なのに全く安心できないのは、どうしてなのだろう。

 相手の剣が、シオンの剣にぶつかる。

 衝撃は、しない。

 ――剣、が、斬られ……!?

 バターのように、刀身が斬られている。このままでいれば、剣は真っ二つ、その勢いのままシオンさえ両断するだろう。

 プロテクターで防御するのも間に合わない。防御したとしても意味が無い。腕ごと持ってかれるのがオチだ。

 なら――!

 「ふっ!」

 シオンの腕が、複雑に動き出す。

 それに引っ張られるように剣が蠢き、相手の一撃、そこで生まれる衝撃を余すことなく『受け止める』。

 「ぁ、がっ!?」

 衝撃が伝わり、軽いシオンの体を吹き飛ばす。壁に叩きつけられたシオンは、粉々に粉砕された剣を見た。

 ――ガレスの、剣……壊れちゃった……。

 最早修復さえ無理だ。できて精々、破片を鉄に戻して作り直すくらい。狙ってやった事とは言えども、申し訳なかった。

 ――とにかく、立ち上がらないと。

 このまま隙を晒していれば、殺される。腕を支えに立ち上がろうとして、()()()()

 「……?」

 動かない。

 どれだけ力をこめても、体が動いてくれない。

 ――あ、れ?

 一拍遅れて、体が現実を認識し始める。

 「ィ、ア……ッ……!??」

 衝撃が、腕だけに留まっていなかった。

 腕を伝い、全身に広がってシオンの体を苛んでいる。あらゆる内蔵が悲鳴をあげ、感じたことのない苦痛を前にシオンができたのは、悲鳴を堪える事だけ。

 少しずつ、足音が迫ってくる。

 自分を殺す、死の足跡。

 それを前にして思ったのは、一人の少女の名前。

 ――アイ、ズ……助けに――。




ご都合主義をなるだけ無くそうとすると長くなるジレンマ。

最強(オッタル)』をシオンにぶつけようとしたかったがために前々回フレイヤさんご登場。
ちなみにシオンとアイズの鍛錬が終わったのは三時くらい、フレイヤさんが神会に来たのは三時過ぎと書いたので、この展開気づいた人いるかな?

読んだ方はわかるでしょうけど、アイズを6層に行かせるためにせっせとモンスターを退治して回るオッタルさんの姿を想像して笑ってしまったのは内緒。

そしてご都合主義で椿とぶつかるアイズ。おい、最初の悩みはどうした(棒)
ま、まぁ椿さんの仕事場って北東にあるとか原作にあった(気がする)ので、別に不自然じゃないよねと自己弁護。


感想にて今回のシオンの行動を予想して書いてくれた方がいましたが、答えは
『ショックを受けて動けなかった』
です。

前回シオンの弱気な姿を書いたのは布石。シオンだって人間! 色々頑張って教えていた相手にああ言われたら呆然とするんだという事を書きたかった。

ティオナの叱咤激励もね。彼女は支えて寄り添うだけではなく、背中を押して前に進ませてあげられるヒロインなんですよ!。
(ヒロインっていうか女房じゃねとか思った人、言うな)

↓ここから先は長いので飛ばしても構いません↓

それで、見た人はわかると思いますがタグ追加しました。本当は一区切りつくまでは追加する気なかったんですが、一応。

で、これまた感想にあった
『あ、ヒロインはティオナ固定になったのね』
という物に対する返答なのですが、そうとは決まってません。

そもそもここまで書いといてぶっちゃけると。

最初、『ティオナはヒロインじゃなかった』んです。
もっと言うと、ヒロイン別でした。その人だけでした。

プロットすら練っていない、私が書くならどういう方針にしようかなーって時の初期構想段階ではそんな感じでして。

ただ書いている内になんでか、ほんっとーになんでかティオナがヒロインになっていたんです。
ただそれでも最初はヒロインどうしよって悩んで、あんな曖昧な状態にしてました。インファント・ドラゴン戦で完全に恋心持っちゃいましたけど。

長くなりましたが結論を言うと。
『その時の私の気分次第』

そもそも私が最初タグ2つだけだったのは一つの持論がありまして。
タグってある程度どんな作品なのかって目処を教えてくれるじゃないですか。でもそれ逆に言うとネタバレになりかねないんですよね。
後小説書いてる内に最初考えていた内容と乖離し出すとか。結果的にタグが嘘になってしまうとか。

だから私がタグを追加する条件は決まっています。

・現在投稿されている話までのタグ。
これが絶対の指針です。

だからまだ出ていないヒロインはタグに入れません。投稿どころか話すらできていないので。
まぁ今回の後書きでヒロインは最低1人追加確定なのがわかってしまいましたが。

とはいえダンまちの魅力的な女の子はまだまだいます。誰をどういう風に表現するのかは謎なので、ヒロイン誰かなーって想像しててくださいな。



さてダラダラと後書き書いてしまいましたが、次回でやっと(多分恐らくメイビー)一つの区切りがつきます!

シオンの【ステイタス】公開もその話のすぐ後を予定しているので、待っていてくださいな。
(問題点。ちょっと描きたい話があるからそれ勘定に入れるとまたズレ込む。いっそお気に入り1000件突破とか理由つけて2話投稿……ゲフンゲフン)

次回の更新もなんとも言えません。前回は狂ったテンションに促されるまま投稿したのでちょっと余裕がない。
まぁ、あんまり間は開けない、とだけ……。

あ、そんな状況で2話投稿とか無理だろとか言わないで! だって書きたいんだもん!
だって――

『1話丸々シオンとティオナの甘酸っぱい青春ラブコメ書きたいんだもの!』

……つーわけでノシ

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