ペルソナ4 正義のペルソナ使い    作:ユリヤ

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最近思った事は。あんま喋らないゲームの主人公が選択肢だけでよくコミュニケーションが取れるなって思った事…まぁゲームですし
それではどうぞ


第5話

 酒屋を去り、悠はイザナギを陽介はジライヤ、ペルソナの力を手に入れた。

 元のスタジオの場所に戻った陽介は再度クマに色々と尋ねてみた。

 

「なぁクマ、お前ここが現実だって言ったよな?さっきの商店街、それに前に見たあの妙な部屋、あれは死んだ2人がこっちに入った事で、2人にとっての現実になったっていう事なのか?」

 

「つまり、2人が入った事であんな場所が出来たのかな?」

 

 陽介や明日香の問いにクマは恐らくと頷いた。

 

「今まで無かったことだから断言できないけど、ここで消えた人達も恐らくヨースケみたいになったクマね」

 

「つまりだ、マヨナカテレビで小西先輩は小西先輩の影に殺された…これは確実だな」

 

 明日香が見たマヨナカテレビは、ただの映像ではなかった様だ。

 

「だけど本当に山野アナや小西先輩に同じ事が?」

 

 悠が再度聞いてみると、クマはこの世界の事を改めて教えてくれた。

 

「ここの霧は時々晴れるクマ。そうなるとシャドウ達はひどく暴れる。クマは怖くて何時も隠れているけど、最初の時とその次も人の気配は霧が晴れた時に消えたクマ」

 

「つまりだ…先輩や山野アナはこんな所に放り込まれて、出られずにさまよって…そのうち体からあのシャドウってのが出て、そいつが霧が晴れた時に暴れ出して、命を…」

 

 クソッと陽介は拳を握りしめて悔しそうに顔を歪めた。

 

「先輩たった一人でさまよって、なのに誰も先輩を…」

 

 陽介…と明日香は今の陽介の気持ちを理解は出来るだろう。

 もし千枝がテレビの中に放り込まれたらと考えてしまうと恐ろしい。

 悠は陽介の肩に手を乗せて何も言わずに頷いた。

 

「2人ともここの霧が晴れた時に襲われたけど、それまではシャドウに襲われなかったクマ。なのにボクら、さっきは襲われたクマ。シャドウ達すごく警戒してた。探索してたボクらを敵とみなしてるのかも」

 

「それは悠や陽介がペルソナの力を持っているから…そう考えるのが妥当じゃないか?」

 

 明日香の言う通り、悠がイザナギを出した瞬間にシャドウ達は一斉に警戒し始めた。

 

「おいだったらよ、俺らのペルソナを使えばこの先誰かが放り込まれても、その人を救えるって事だよな!?」

 

 陽介の言う事がそうなら、テレビの中に放り込まれても助け出す事は可能という事だ。

 

「そうに違いない。これ以上犠牲を出さないためにも」

 

 悠はこれ以上小西先輩の様な犠牲を出してはいけないとそう言った。

 悠の言った事に、明日香や陽介は頷いた。

 

「兎に角だ、ここに人を放り込んでいる人を捕まえて止めさせればいい」

 

「あぁ漸く少しは状況が掴めてきたぜ」

 

 明日香達は此れからの行動方針が決まったところだ。

 とクマがあのッあのさと手を上げながら

 

「逆に聞いてもいいクマか?シャドウは人から生まれるんだったら、クマは何から生まれたクマか?」

 

「いやお前自分の出生を知らねえのかよ!?」

 

 陽介はクマの出生に思わずツッコミで返してしまった。

 

「うーん、俺らはクマとは昨日今日知り合ったばっかだからなぁ…俺らも分からないよ」

 

 明日香がそう答えると、クマは落ち込みを見せた。

 

「この世界の事は知ってるのに、自分の事は分からんクマ。ちゅーか考えたことが無かったクマ」

 

 マジかよ…と陽介は驚きを隠さなかった。今まで自分が何者なのかと考えた事が無かったと言うのもどうかと思うが

 

「つかそれじゃ俺らが何聞いても無駄なはずだよな…」

 

 クマ自身が自分の事を知っていなきゃ意味が無いから。

 

「また…ここに来てくれるクマか?」

 

 クマは不安そうに此方を見ていた。

 あぁと明日香は笑いながら

 

「また来るさ。俺はクマとは友達だと思ってるからな」

 

「とも…だち?クマとアスカは友達クマか?」

 

「あぁ友達だ。悠だって友達だって言うはずさ」

 

「友達とは約束するものだ」

 

「と言っても約束を守らねえと此処から出さねえって言うんだろ?」

 

 陽介はそっぽを向いてそう言った。素直ではない陽介である。

 そッそうだったクマ!と自分でも言っていた事を忘れていたクマ。

 

「じゃあ出してあげるけど、その前にお願いクマ。僕はここで君たちが来るのを待っているクマ。だから君たちは必ず同じ場所から入るクマ」

 

「此処って言うのはジュネスのテレビに?」

 

 悠がそう訪ねると、そうクマと頷くクマ

 

「違うとこから入ると、違う場所に出ちゃうクマ。もしクマが行けない様な場所だったらどうしようもないクマ」

 

「確かに、テレビの中で遭難とか笑えないし、下手したら小西先輩や山野アナの二の舞になってしまうか…」

 

 明日香の言う通り、テレビの中で遭難は笑い話にもなりはしない。

 明日香達も大体は理解出来た。

 

「それじゃあクマ、出口を頼むよ」

 

 明日香が頼むと了解クマ!とクマは昨日と同じように足をトントンとさせ、テレビのタワーを出した。

 最初テレビが出てきて驚いた明日香・悠・陽介だが、シャドウやらペルソナやらもう一人の陽介やらを見てもう驚かなくなってしまった。

 

「さてと…店員たちが来ちゃってないか確認しないとな…」

 

 陽介はテレビに出るタイミングをうかがっていたが、クマがまた後ろに回って

 

「ハイハイー行って行って、ムギュウ!」

 

 と強引に明日香達を押し込んだ。

 

「うわ!?ちょ、クマ!」

 

 陽介は行き成り強引に押し込んできたクマに文句を言おうとしたが、文句を言う前に明日香達はテレビに吸い込まれてしまった。

 

 

 

 ドサリ!とクマに無理やり押し込まれたことで、元の世界にも投げ出される形で戻ってきた明日香達。

 

「あッ…」

 

 千枝は明日香達が戻ってきたのを見て、呆然としていたが

 

「かッ帰っでぎだぁ…!」

 

 明日香達の姿を見た瞬間大泣きをしてしまった。

 

「あ里中…うわ、如何したんだよその顔」

 

 見れば千枝の目元が赤く腫れていた。さっきまでどうすればいいのか分からずすすり泣いていたのだ。

 其れなのに陽介は普通に如何したんだと聞いてきたので、ムカついた千枝は命綱であったロープを陽介に投げ渡した。

 

「あがッ!」

 

 ロープが顔面に当たり情けない声を上げた陽介に対して千枝は怒りながら

 

「どうした、じゃないよ!ほんっとバカ!最悪!!もう信じられない!アンタらサイテー!!」

 

 千枝が大声で喚き散らすので、周りの客が集まって来た。痴話喧嘩だと思われたのか、主に主婦がヒソヒソと話していた。

 

「ロープきれちゃうし、如何していいか分かんなかったし…心配、したんだから…スッゲー心配したんだからね!あーッ!もう腹立つ!!」

 

 言いたい事を言うと、千枝は走り去ってしまった。

 

「あッおい千枝!待てよ!!」

 

 明日香は走り去った千枝を追いかけて行った。

 が何かを言い忘れたのか、振り返ると悠と陽介に

 

「俺、今日はあんま役に立たなかったけど、お疲れ様!これからだが頑張ろうな!」

 

 それだけ言うと、明日香は千枝を追いかけるために走り去ってしまった。残されたのは悠と陽介

 千枝が居なくなるのを見ると、周りの客たちもいなくなっていった。

 

「ちょっとだけ、悪い事したかもな。いやちょっとどころじゃないかもな」

 

「あぁそうだな」

 

 陽介の言った事に悠は頷いて同意した。

 

「まぁしゃあない。明日謝るか」

 

 陽介と悠は明日改めて、千枝に謝る事にした。

 

「今日はもうへとへとだ。帰って風呂入って寝るわ…今日は、眠れそうな気がする」

 

 そう言ってフッと小さく笑う陽介

 

「あぁよく休め」

 

 悠も陽介に微笑を浮かべながらそう言った。

 

「そうするわ…へへ、じゃあまた明日、学校でな!」

 

 あぁと陽介の言った事に悠は頷いた。

 

「しかし…明日香って里中と幼なじみで家もお隣だって話だけど、今、怒って帰った里中を相手すんのか…里中ただでさえ気が強いのに、怒ってる里中とか…明日明日香にも謝った方が良いかもな」

 

「青春だな」

 

「…悠、お前その言葉気に入ったのか?」

 

 

 

 

 雨が降る鮫川河川敷にて、走ってる千枝を明日香が追いかけていた。

 

「千枝!おい千枝ってば!待てよ!!」

 

「うっさい明日香!アンタなんか知らない!!」

 

 千枝と明日香の距離は縮まらなかった。

 明日香は痛む体に鞭打ってスピードを上げ、漸く千枝に追いついた。

 

「だから千枝、待てってば!」

 

 明日香は千枝の腕を掴み、止まるように言ったが次の瞬間、明日香の頬に痛みが走り、熱くなった。

 千枝に頬を叩かれたと直ぐに分かり、千枝はまだ泣いていた。ずっと泣きながら走り続けたのだろう。

 

「なんで…なんで明日香はそうやって何時も無茶すんのよ!」

 

 千枝は泣きながら明日香の胸倉を掴んだ。

 

「無茶はするさ!千枝を危ない目にあわせるわけにはいかないだろ!」

 

「明日香は何時もそうよ!自分で勝手に突っ走って、ボロボロになって…アタシが何時もどんだけ心配してるのか分かってるの!?」

 

 それを言われ、明日香は黙ってしまった。今だってそうよと千枝は

 

「走ってる時に足を引きずってた。あのテレビの世界で何かあったんでしょ!?アタシはそんなに頼りないの?明日香にとってアタシは何も出来ない女の子なの?アタシは…アタシは…」

 

 千枝はポスンと明日香の胸に顔を埋めて

 

「何にも出来ない事よりもアタシは…明日香に何かあったかと思うと…嫌なんだよ」

 

 千枝の悲痛な声を聞いて明日香は思わず抱きしめてしまった。ゴメン…と千枝に謝りながら

 

「ゴメン千枝、俺にとっては千枝が大切なんだ。だから千枝に何かあったら怖かったから。だから…」

 

「…明日香は自分を大切にしなさすぎだよ。もうちょっと自分を大切にして」

 

 千枝の言う通り、明日香は自分よりも他人を優先してしまう傾向がある。自分が傷つくと分かっていながらも誰かを助けようとするのだ。

 千枝はそんな明日香が心配であった。

 

「だから…明日香はもっとアタシを頼ってよ。何のためにアタシが修業してるのか分からないからさ」

 

「……分かったよ。何かあったら千枝、一緒に頑張ろうな?」

 

「うん!」

 

 明日香の答えに満足した千枝は漸く笑みを浮かべた。

 うーん!と大きく伸びをした千枝は

 

「なんか怒ったり走ったり、泣いたりしたらお腹が減っちゃった。ねぇ明日香、今から愛屋に行こうよ」

 

「今からか?俺、テレビの中に入って結構疲れてるんだけど」

 

「だって明日香、今度愛屋で肉丼奢ってあげるって言ったじゃん」

 

 むぅっと頬を膨らませる千枝に分かった分かったと思わず笑ってしまった明日香。

 

「今から行こうか。肉丼を好きなだけ奢ってやるよ。千枝を心配させたお詫びだ」

 

「いいの?だったら容赦しないわよ」

 

 明日香と千枝は笑いながら愛屋に向かう事にした。

 明日香と千枝が歩いてるのと同時刻、悠と雪子が色々と話していた事に2人は気づいていなかった。

 そして明日香は好きなだけ奢ってやると言う言葉を言った事を後悔した。千枝は本当に好きなだけ肉丼を食べ、明日香の財布からお札のお金が何枚か去って行った。

 出費は痛いが、千枝の嬉しそうな顔を見てまぁいっかと思ってしまった明日香であった。

 

 

 ――夜――

 

 夕食を食べ終わった明日香は何時も通りにニュースを見ていた。

 ニュースでは稲羽の事を話していたが、今度はなんと天城屋旅館…それも雪子の取材がされていた。

 何でも事件後、女将であり雪子の母親が一線を退き、今は雪子が代わりを務めているようだ。だから最近帰りが早かったのだろう。

 和服姿の雪子が映り、やはり雪子は和服が似合っており、自分の友人がテレビで報道されているのを見ると何か嬉しいし誇らしかった。

 だが現場リポーターの脱線したマシンガンインタビューに、雪子は戸惑っていた。

 余りに酷いインタビューに不快になった明日香は明野に頼みチャンネルを変えて貰った。明野もあんな困ってる雪子ちゃんを面白く見たくないと不快感を露わにした。

 がチャンネルを変えたバラエティー番組を見て大笑いをしていたが。

 しかし明日香は別の事を考えていた。山野アナ小西先輩と続き、今度は雪子だ。若しかしたらマヨナカテレビに映るのではないだろうか?とそう思ってしまった。

 今日も雨が降っている。確かめるならもってこいだ。明日香は早く風呂に入り、部屋に戻って行った。

 

 

 部屋に戻り、時間が刻々と迫っているのを見て、雨が降っているか確認する明日香。やがて12時となり、明日香は消したテレビを見続ける。

 そしてテレビは何時ものように砂嵐が起こった後に人の姿が見えてきた。

 だが顔はハッキリと見えなかったが和服姿の女性だと言うのは分かった。

 

「まさか…雪子?」

 

 見れば何処か雪子に面影が重なっているように思えた。だが何故雪子がマヨナカテレビに出ているのか…今のところは分からない。

明日、陽介と悠に聞いてみる事にして、今日はもう休むことにした。

 

 

 

 




千枝のようなお肉を美味しそうに食べるような女性とお付き合いしたいと言うのが
今の願望です……ってなんか変態っぽいなうん

と言うかこの作品のタイトル通り明日香君のペルソナを出したい。

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