ペルソナ4 正義のペルソナ使い    作:ユリヤ

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久しぶり投稿出来ました。

近々ペルソナ5が発売されますが
わたくしユリヤめはPS4を持っていません。
ペルソナ5が出来る皆さまが羨ましいです……


第17話

 5月6日(金)放課後

 

 

「……あぁどうして連休が終わっちゃうんだろう」

 

 千枝がぐったりとした形でぶーたれていた。この連休と言う連休、ずっと遊び通しだった千枝。遊んでいたせいかあっという間に終わってしまったのだ。

 

「まぁ何事も、平和が一番だろ?ジュネスのパートのおばさんたちの噂話聞いてたけど、誰かが失踪なんて事も起きてないみたいだし、事件も天城の件で終わりじゃないのか?」

 

 陽介が問題なしと言う。陽介の言う通りこれで事件は解決したのであろうか……

 

「いや、そうとは限らない」

「悠の言う通りだな。まだすべてが終わったとも言えない。犯人がハッキリしていないんだからな。警戒はしておいた方がいい」

 

 悠と明日香がそう言い、陽介たちも改めて気を付けようと思った。

 

「事件も大事だが、俺たち学生には大切なものがある。試験がな」

 

 明日香が言った瞬間、千枝と陽介が分かるように沈んだ。

 

「あぁ何でそんな事言うのかねぇ明日香君は……俺その事考えないようにしてたのによぉ~」

 

 陽介は試験の事を考えないようにしていたようだ。

 

「はぁアタシ自信無い……明日香ぁ助けてぇ~」

 

「まったく、しょうがないな千枝は」

 

 早速明日香に助けを求めた千枝。この後に勉強会は目に見えている。

 

「いいよなぁ里中は、頼りになる明日香君が居てよぉ。明日香も学年じゃトップだからな」

 

「まぁ授業をしっかり聞いて、予習復習をしとけばまぁ普通に点は取れるだろうさ」

 

「ははぁ~その台詞、一度は言ってみたいもんだぜ」

 

 脱力した感じで言う陽介に千枝が

 

「だったら雪子に頼んでみたら?雪子も頭いいし」

 

「そう言えばそうだな。だったら個人レッスンでも頼んでみようかね」

 

「こっ個人レッスン!?」

 

 何も考えてないで軽い感じで個人レッスンと言った陽介に対して、過剰に反応する雪子。

 

「ん?どしたん天城?」

 

 パンと行き成り雪子が陽介の頬を叩いた。

 

「ぶべらっ!?なっ何すんの!?」

 

「あっゴメン。つい……ギャグだと思って」

 

「ギャグだと思ったならなおさら流せよ!」

 

 陽介のツッコミを見ながら、所でと明日香は悠に向き直る。

 

「所で悠って前の学校じゃテストの出来ってどれくらいだったんだ?」

 

「まぁそれなりに」

 

「ほほぉその『それなり』って台詞、出来るが謙虚に言っていると見た。今度の試験どっちが上か勝負しないか?負けたら1週間ジュースおごりで」

 

「乗った」

 

 明日香と悠がテストで勝負する事になった。

 

「テストで勝負とか、俺には考えられない事で、俺はギリギリ赤点回避できればそれでいいや」

 

 なんて後ろ向きな考え方の陽介であった。

 

 

 

 

 

 

 5月7日(土)放課後

 

 

 今日も何時も通りの学生生活を送った明日香達。午前中の現代文の細井先生の自分そっくりのパペットを使いながらの授業、そのパペットは自作なんだろうかと思いながらも授業を聞いていた明日香である。

 外の天気は雲行きが怪しく、雷も鳴っている。

 

「嫌な天気だなぁ。今にも落ちそうって感じ」

 

 雷が苦手な千枝は嫌そうに呟いている。

 

「うーす里中、この前割っちまった『成龍伝説』新しいの買って来たぜ」

 

 弁償として新しいのを買ってきた陽介だが、雷が近づいている事で千枝はそれどころじゃなかった。

 

「何だよ里中、お前雷怖いのか?格闘映画好きなんだから、雷が落ちてる中で新技が出来たなんて事しないのか?」

 

 からかっている陽介にカチンと来た千枝。

 

「ムカつく……人の気持ちも知らないで。落ちるんだったらコイツに落ちろ!」

 

 と言った瞬間、光と音が同時に来た。学校の電気が消えた、どうやら学校に落ちたようだ。

 

「里中が落ちろなんか言ったからだぞ」

 

「アタシのせいにしないでよ!ねぇ雪子明日香ぁ早くかえろ?」

 

「ねぇ千枝こんな話知ってる?真っ暗な校舎に忘れ物をした女の子が、急にトイレに行きたくなったの。トイレは不気味でふと鏡をみたら女の子の後ろに……」

 

「て何で急に怪談なんか話すの!?」

 

 急に怪談を話し始めた雪子にツッコミを入れる千枝。

 

「え?千枝怪談好きじゃなかった?」

「何故に今!?もうやだ。早く帰ろうよぉ」

 

 完全にビビっている千枝。明日香は安心させようと、千枝の肩にそっと手を置いた。だが何も言わずに手を置いたのが間違いであった。

 

「っいやぁ!」

 

 ガタっ!と席から立った千枝が、本気の回し蹴りが明日香の顔面を捕らえた。

 

「ぶべらぁっ!!」

 

 直撃した明日香は錐揉み回転をしながら、教室の後ろのロッカーへと直撃した。

 電気がついて、明日香がロッカーで伸びているのを見て千枝が大慌てになる。

 

「きゃあああっ!ゴメン明日香ぁっ!!」

 

 千枝は完全に気を失っている明日香の元へ急ぐ。

 

「完全に入ってたよな里中の蹴り。明日香、大丈夫だろうか」

 

「いい蹴りだった。全国は狙える」

 

「いや何のだよ」

 

 サムズアップをする悠をツッコむ陽介のコントを誰も見てはいなかった。

 

 

 

 

 

 5月8日(日)夜

 

 

 

 5月の第2日曜日、今日は母の日だ。お隣通しのよしみと言う事で、日比野家と里中家では『母の日会』と言った食事会を開催している。

 明野と千枝の母がごちそうを作り、他の家事は未來や千枝の父が手伝ったり、明日香と千枝はありきたりだが、カーネーションの花束をプレゼントであった。

 今回はこの母の日会の他にも、両父母にはめでたいことがある。

 

「さて、今日この日まで僕達のお母さんが健康で会った事と、僕の明日香とそちらの娘さんである千枝ちゃんが無事付き合う事になった事を祝して、乾杯!」

 

「ちょ!父さん!?」

 

 明日香が噴き出している間に、未來に乾杯の音頭を取られてしまった明日香である。

 明野と千枝の母は漸く明日香と千枝が付き合った事に華を咲かせ、千枝の父はめでたい事だと酒をたらふく飲んで、完全に出来上がってしまった。

 

「所で明日香君、うちの千枝のどこが好きになったんだい?」

「ちょっとお父さん止めてよ!」

 

 酔って絡んでくる千枝の父を止めようとする千枝であるが、明日香はここで誤魔化すのも駄目だと思い正直に答える。

 

「笑顔が素敵な所と、何処までも真っ直ぐな所ですお義父さん」

 

「はっはっは!もうお義父さんだなんて。千枝、素敵な明日香君と結ばれて良かったなぁ」

 

「もうお父さん、明日香まで……」

 

 恥ずかしくなって顔を赤くなる千枝に対して、酔っている未來が更なる事を言った。

 

「ふふ、これなら孫の顔を見るのも早くなりそうだね。でも子供はちゃんと大学を卒業して、仕事に着いてからじゃないと駄目だよ」

 

「ぶはっ!父さんも何言ってるのさ!?」

 

 といったどんちゃん騒ぎは、夜の10時まで続いたのであった。

 

 

 

 

「もぉ。お父さんもおじさんも、気が早いよもぉ」

 

 テストが近いと言う事で泊まり込みで勉強する事になった明日香と千枝。互いの両親は了承済みで、今は明日香の部屋で勉強中である。

 

「まぁおじさんもおばさんも、千枝が付き合えることになって嬉しいんだと思うよ」

 

 千枝に数学の公式を教えながら、にこやかに笑う。と急にペンを止める千枝。

 

「ねぇ明日香、行き成りで変な事聞くかもしれないけど……アタシって可愛い?」

 

「……うん可愛いさ。雪子よりもずっと」

 

「そのああアタシなんかで、そのっむっムラムラしたり、ええエッチな気持ちになったりとかしちゃったり、その……」

 

「こーら、女の子がそんな事言っちゃダメだろ?」

 

 顔を赤くしながら言う千枝に対して、割と強めにでこピンをする明日香。

 

「父さんの言う通り、そう言ったのは計画を持ってしないと、後々大変な事になるんだから。まったく……そういう事を言う子にはお仕置きが必要だな」

 

 くいっと千枝の顎を上げなら顔を近づける明日香。千枝は思わず目をギュッと閉じた。キスされる……千枝はそう思った。だがキスの場所が唇じゃなく、でこであった。

 

「……今は此れ位で我慢な?」

 

 一気に顔が赤くなった千枝は机に顔を突っ伏した。

 

「さて勉強を再開するぞ」

「……ごめん。ドキドキしちゃって集中出来ない」

「……だったら今回の試験、順位が2桁ならご褒美としてほっぺにキスを……」

「頑張る」

 

 一瞬で気持ちを切り替えた千枝に、やれやれと言った明日香であるが、ご褒美と言った明日香本人の方が顔を真っ赤にしていたのであった。

 

 

 

 5月9日(月)朝

 

 

 何時もの雰囲気の教室の中で、異様にヤル気に満ちている千枝が居た。

 

「里中、今日は何時もよりも張り切ってるけど、何かあったのか?」

 

「いやこの件については、俺と千枝の名誉のために黙っておくわ」

 

「青春だな」

 

「その一言で何かを察した悠さんがコワイワー」

 

 男子3人の遣り取りも終わり、中間試験がスタートした。

 

 

 5月9日~12日(木) 放課後

 

 

 無事に中間試験が終わった。明日香は勉強していたおかげで、回答を全て埋める事が出来た。後は結果を待つのみだ。

 一方千枝と雪子が試験の答え合わせをしていたが、千枝が何回か珍解答をしていたようだ。

 

「あぁ~これ順位2桁入ってるか心配だなぁ」

「順位2桁以内だと、何かあるの?」

「……ごめん。雪子でもこれは言えない」

 

 顔を赤くして、顔を逸らす千枝。

 

「何だよ里中、2桁以内だったら明日香にチューでもしてもらうのかよ?」

 

「「……」」

 

「マジかよオイ。頼むからモロキンや俺らが居ない所でしてくれよ?」

 

「教室の中で言わないでよ!」

 

 などと話していると、教室の男子生徒の何人かが、最近この町で暴走族が騒いでいると言う事を話している。

 

「ほんと迷惑だよね?雪子の所は大丈夫?」

 

「うん大丈夫。でも夜は出歩かない方がいいってお客さんに注意はしてる」

 

「でもこの町で、中学で族を潰したって伝説を作った奴がここの1年だって聞いた事あるな」

 

 それを聞いて、明日香はこの前会った完二だと思った。明日香よりも大きいあの体格なら一人で暴走族と相手をするのもわけないかもしれない。

 

「用心しておいた方がいいかもしれないな……」

 

「ん?どうしたんだ明日香?」

 

「ん?いや、千枝が2桁以内に入ってるといいなぁ~って思っただけさ」

 

 呟きを誤魔化す様に言った明日香の肩を、軽めに叩く千枝であった。

 

 

 

 

 5月13日(金) 夜

 

 

 中間試験が終わり、のんびりしている明日香と千枝。今日は明日香の家でゲームをしている明日香と千枝。

 家に帰ってきた未來がテレビをニュースにして欲しいと言ったので、ニュース番組にすると、丁度巷で騒がれていた暴走族の特番になっていた。

 

『てめーら、何しに来やがった!見せもんじゃねーぞコラァっ!』

 

 長身で金髪で体格のいい男、と言うより完二がカメラを向けているカメラマンたちに向かって怒鳴り散らしていた。

 完二を見て苦笑いを浮かべる未來。

 

「あはは、彼は変わらないなぁ」

 

「おじさんも知ってるんですか?」

 

「あぁ僕達警官で彼を知らない方が少ないかもね」

 

 

 未來は完二の事を軽く説明した。

 しかし完二が暴れているのは、夜中に暴走行為をして、眠れない母親の事を想って中三の時に暴走族を全員潰してしまったらしい。その時走っていたバイクと並ぶようにチャリをこいでいたとか。

 

「でもお母さんの事を想っていたんだったら、いい子っぽいですけどね」

「そうなんだけどね。でも彼やり過ぎちゃう所があるから、逆にお母さんが頭を下げちゃうことになるんだけどね」

 

 千枝と未來の遣り取りの中で、ぼかされている完二の事をジッと見続ける明日香。

 

「明日香?どうしたの?」

 

「千枝、大事な話がある。俺の部屋に来てくれないか?」

 

「へ?うん分かった」

 

 明日香は千枝を自分の部屋に入れ、誰も入って来ないように鍵を閉めた。

 

「それで、どうしたの明日香?大事な話って」

 

「あぁ。次のマヨナカテレビなんだが、次に映るのは完二だと俺は思う」

 

「え?でもマヨナカテレビに映るのは山野アナの事件にかかわった人間だけが映るんじゃないの?」

 

「俺も最初はそう思った。山野アナに関わった人そして女性が襲われる。けどそれだけじゃ可笑しいと思ったんだよ」


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