ペルソナ4 正義のペルソナ使い    作:ユリヤ

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第13話

 4月19日(火) 朝

 

 雪子を無事に助け、雪子や明日香もペルソナの力を手に入れた。そして明日香は千枝と恋人同士になったのだ。

 その翌日の朝

 

「え?何で赤飯?」

 

 朝食が白米でなく、赤飯となっていた。

 明野がふふ~んと上機嫌で笑いながら

 

「何でって昨日言ったでしょ?お祝いだから赤飯炊こうって」

 

「いやだからって、朝から赤飯って……」

 

「まぁまぁ、朝から赤飯って言うのも悪くないよ」

 

 未來は笑いながら赤飯を頬張っていた。

 明日香も文句があると言う訳ではないので、まぁいっかと明日香も赤飯を食べることにした。

 朝食を食べ終えると明野は、何時ものようにお弁当を明日香に手渡した。手渡したのだが……

 

「母さん、何か今日の弁当は何時もより重い感じなんだけど」

 

「うふふ、今日は何時もより多めに作ったの。よかったら千枝ちゃんと一緒に食べてね」

 

「千枝と?……まぁいいけど」

 

 明日香は別段気にせずに、弁当を持って外へと出て行った。

 明日香は気づかなかった。雪弁当を渡した明野がにんまりと笑っているのを。

 外へ出た明日香は、千枝を待っていると直ぐに千枝が玄関から出て来た。

 

「あッお待たせ明日香」

 

「お早う千枝、それじゃあ行こうか」

 

 千枝が来たので学校に行くことにした。

 

「あのね、雪子からさっき連絡があったんだけど、雪子元気にはなったけど当分の間は学校は休むそうだよ」

 

「そうか……でも雪子が直ぐに元気になって良かったよ」

 

 明日香と千枝が雪子の事を話し終えると、他愛のない話をする。

 ふと千枝と目が合った明日香はフフと笑ってしまった。明日香の笑いにつられて千枝も笑みを零した。

 明日香は実感する。あぁ漸く千枝と俺は結ばれたんだな……と

 

「如何したの明日香?なんだかとっても嬉しそう」

 

「まぁね。恋人同士になった千枝と一緒に登校するのは、何か一味違う感じがしてね」

 

「アハハハ、確かにアタシと明日香ってお隣同士だから何時も一緒に学校行ってたからね。でも彼氏一緒に学校を登校するって、結構憧れがあったんだよね」

 

「よかったな憧れが叶って、俺も千枝の恋人になりたいって言うのが叶ったし」

 

 明日香と千枝はアハハと笑いながら登校していた。周りの登校してる生徒なんか見向きもせず。

 明日香と千枝の周りにいた生徒達は、2人の仲を見て若干引きながらその光景を見ていた。

 学校に着いた明日香と千枝は自分達の教室に入ると、もう悠と陽介は教室にいた。

 

「お早う~」

 

「お早う」

 

「おうおはようさん」

 

「お早う」

 

 千枝と明日香が陽介と悠に挨拶をし、陽介と悠も挨拶を返した。

 明日香と千枝が自分達の席に座ると前日ことを話す。

 

「しっかし昨日は色々と疲れたねぇ。おかげで肩がバッキバキだぜ」

 

 陽介が肩を回しながらそう言った。

 

「ゴメン陽介、俺の影が色々と迷惑をかけて」

 

 明日香は自身から出た影の暴走に申し訳なさそうにしていたが、気にすんなよと陽介は笑いながら

 

「俺だって自分のシャドウとか出たんだし、おあいこだって」

 

「誰にだって、言いたくない事はあるさ」

 

 陽介と悠のフォローにありがとうと礼を言う明日香

 

「そう言えば天城は如何なんだ?」

 

「当分は学校は休むって。体はもういいそうだけど念のためにって」

 

 陽介は雪子は如何してるかと尋ねて、千枝が今のところは旅館で休養中だと教えた。

 

「そっか……でも俺らで天城を助けたんだよな。やっぱすごい事だよな」

 

「確かに、テレビの中に入ったりペルソナなんて不思議な力とかも持ってるしな。俺はまだペルソナの力を使った事無いけど」

 

 陽介の言った事に、明日香も同意した。

 

「これ以上テレビに誰かを放り込まれたくないけど、何かあったら俺らで対処しよう」

 

 悠がやろうと言って、明日香達3人が頷く。

 4人が意気込んでいると教室にモロキンが入ってきたので、HRが始まった。

 

 ――昼休み――

 

 明日香は一段と重かった弁当箱を机に置いた。明野は千枝と一緒に食べてほしいと言っていたが、どういう意味なのか

 明日香が色々と考えていると、千枝が申し訳なさそうに明日香を呼び

 

「ねぇ明日香、悪いんだけどさお弁当分けてもらってもいいかな?」

 

「あれ?弁当はないのか?」

 

 明日香が尋ねると

 

「それがさ、お母さんお弁当作るの忘れたらしいんだよ」

 

「忘れたと……千枝のお母さんにしては珍しいな」

 

 千枝の母親はしっかり者であり、千枝を此処まで育てたのだ。

 そんな母親が弁当を作り忘れるのは珍しい。

 

「お母さん、弁当作り忘れたのに悪びれた様子も無かったし、何か変にニヤニヤしてたと言うか嬉しそうと言うか……なんか絶対隠してたよ」

 

「ふぅん……まぁいいや母さん今日はいっぱい作り過ぎたって言ってたし、千枝が食べれる分ぐらいはあると思うぞ。屋上で食べようぜ」

 

「本当?ありがとう明日香」

 

 明日香は何時もより重い弁当を千枝と一緒に屋上で食べることになった。

 明日香はこの後、誰も居ない屋上で弁当を食べた事をよかったと思うようになる。

 屋上に着いて、袋を開いて見ると何時もの弁当箱ではなく、2段重ねの重箱である。何で重箱?と思いながらも重箱を開けてみた。

 上の2段目は千枝が大好きな肉料理やら、サラダや卵焼きと色々とおかずが入っていた。

 此処までは普通だ。しかし1段目の方を見て、千枝と明日香は固まった。

 

「えっと明日香これ……」

 

 千枝が指を差した1段目の重箱には御飯が入っており、ご飯の上には明日香と千枝とのりで名前が書かれており、その周りをさくらでんぶがハート形で囲っていた。

 明日香と千枝が正直言って痛い弁当を見ていると、重箱の底に手紙が入っていた。何の手紙かと明日香は開いて見てみると

 

『お弁当どうだった?千枝ちゃんと仲良く食べてね♡ お母さんより』

 

「母さんんんんッ!?」

 

 明日香は手紙を握りしめて思わず叫んでしまった。

 

「明日香これは如何いう事なの?」

 

 千枝が如何いう事なのかと尋ねた。明日香は誤魔化しても意味は無いと思い、正直に全部話した。

 

「ゴメン千枝、昨日の夜に父さんと母さんに千枝に告白したことを話したんだ。大切な事だしちゃんと話しておかなきゃって」

 

「だからお母さん、今日機嫌が良かったんだ。若しかしてお弁当作り忘れたのもこの事かな?」

 

 明野と千枝の母親はとても仲が良い。明日香の家と千枝の家の関係はとても良好と言える。

 恐らく明野が事前に千枝の母親に連絡をしたのだろう。

 息子に文字通り春が来たという事で張り切りすぎじゃないのかと明日香はそう思ってしまった。

 

「ごめん千枝、恥ずかしい思いをさせて」

 

「ううん全然気にしてないよ。いつかはお母さんとかに話そうと思ってたんだし、少し早くなっただけだよ」

 

 明日香が謝っても、千枝は別段気にしてはいないようだった。

 千枝が食べようと言ったので、明日香も気にしないで食べることにした。

 恥ずかしい弁当ではあったが、味は文句も無く美味しかったので明日香と千枝は2人で大量にあった弁当を平らげたのである。

 

 

 ――放課後――

 

 行き成りだが、高校生の間での学生生活で欠かせないのは部活ではないだろうか。

 運動部で青春の汗を流すのもよし、文化系部に入って皆とのコミュニケーションの輪を広げるのもよいだろう。

 と言っても高校生の部活は義務制でもないので、帰宅部でアルバイトなどをするのもよいだろう。

 モロキンも夜遊びをする位なら、部活で青春の汗を流せと口酸っぱく言っているのだ。

 何故行き成り部活の事を話したのか……それは今日を含めた数日間、転校生の悠が色々とトラブルに巻き込まれるからである。

 

 

 明日香と千枝が談笑しながら昇降口に向かっていると、学校掲示板を見ている悠を見た。

 

「あれ鳴神君じゃん。何見てんの?」

 

「里中、明日香……いやこれを見ていたんだ」

 

 悠が見ていたのもの、それはバスケ部の部員勧誘のポスターであった。

 

「何だバスケ部の勧誘かぁ。悠はバスケやったことあるのか?」

 

「いややった事はないけど、興味はある」

 

「だったら見学に行ってみるか?バスケ部に知り合いがいるから。千枝も一緒に来てもらってもいいか?」

 

「うんいいよ」

 

 千枝もついて行くという事で、明日香達はさっそくバスケ部の活動場所である体育館へと向かった。

 

 

 

 体育館に到着した3人は、バスケ部が活動をしているか確認してみると、一応活動はしていた。

 殆どの部員は気怠そうにパス練習をしていたが、一人だけ張り切って練習をしている者が一人、あと何故かサッカーのユニフォームを着ている者が1人混じっている。

 

「おーい!」

 

「じゃまするけど、今大丈夫か?」

 

 千枝と明日香が体育館に入ると、張り切って練習をしていた男子が振り返った。

 

「さッ里中さん!日比野も!悪いちょっと休憩!」

 

 張り切っていた男子はメンバーの一人にボールを渡すと、明日香達の元へやって来た。

 

「やッやぁ里中さんそれに日比野も。何の用だい?」

 

「あぁ一条、転校生は知ってるよな?バスケ部に興味があったらしくてな、連れてきた」

 

 明日香は何の用かと尋ねてきた一条に簡潔に教えた。

 一条はマジで!?と喜びながら悠の方を見て

 

「最近来た転校生だよな?バスケに興味あるの?」

 

「興味があって仮入部を……」

 

 悠が話している間に、一条が悠の手を取って

 

「俺、一条康。入部大歓迎だから!」

 

 と爽やかな笑みを浮かべながら自己紹介をしたが、この流れはバスケ部に入部する流れだと

 一条が自己紹介していると、サッカーのユニフォームを着た男子生徒も近づいてきた。

 

「サッカー部の長瀬だ。よろしく」

 

 サッカーのユニフォームを着た男子はやはりサッカー部のようだった。しかしサッカー部の長瀬が何故バスケ部の練習に付き合っているのか?

 

「サッカー部が何故?」

 

「あぁ練習抜けてバスケ部に遊びに来てんだ。一条とは腐れ縁でな」

 

 悠が尋ねると、長瀬は簡潔に教えてくれた。

 

「バスケ部はあんまり人がいないから」

 

「挙句には幽霊部員の方が活動してる人よりも多いと来たもんだ。だから長瀬が偶に来てサッカー部の手伝いに来てるんだと」

 

 千枝と明日香の説明に成程と頷く悠。

 

「ウチの部、幽霊部員が多くて潰れかけてて、だから入部大歓迎!」

 

 一条は悠の手をブンブンと振って、悠をバスケ部に勧誘しようとした。

 

「あの……俺は仮入部を」

 

 悠は少々戸惑っていると、一条は頼む!と懇願してきて

 

「期間限定でもいいから、頼む!」

 

「……まぁ試しにやってみたらどうだ悠?」

 

 一条の必死の頼みに、明日香が悠にやってみないかと聞いてみると

 

「えっと……分かった。期間限定なら」

 

 期間限定の仮入部という事で話が付いた。

 一応の仮入部という事で、新たなメンバーが出来た事に喜ぶ一条。

 

「ありがとう!短い間かもしれないけど、よろしく!」

 

 一条の爽やかな笑みを見て、悠は苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 悠がバスケ部に仮入部が決まり、最初のやる事は練習ではなく練習後の後片付けであった。

 一条が悠の紹介をした後、練習を再開しようとした。が、他のメンバーはヤル気は失せておりほとんどが帰っており、数名しか残っていなかった。

 しかもバスケ部のマネージャーである女子生徒、名前を海老原あいと言うが、彼女は後片付けもせずにさっさと帰ってしまった。

 海老原に続くように他のメンバーも合コンなどの理由で後片付けもしないでさっさと帰ってしまった。

 残ったのは明日香に悠と千枝、そして一条と長瀬である。彼らで後片付けをすることになった。

 

「全く、何もしないで先に帰るなんて、勝手すぎるよ」

 

 千枝は勝手に帰った海老原や他のメンバーに文句を言っていた。

 

「ごめん里中さん。日比野も……鳴上なんて今日仮入部してくれたばっかだって言うのに」

 

 ボールを磨いていた一条が申し訳なさそうに謝った。

 

「いいさ此れ位」

 

「困った時はお互い様だ」

 

 悠と明日香が別段気にしてないと言った感じでそう答えた。

 

「ほんとアイツ等、あんまりやる気が無いからなぁ……なぁ日比野、バスケ部に入ってアイツ等を少しでもいいからヤル気を出す様に指導してくれないか?」

 

「冗談、俺が指導なんかしたらもっと幽霊部員が増えるぞ」

 

 一条は明日香もバスケ部に勧誘したが、明日香は勧誘を断った。断ったのにはわけがある。

 実は明日香は高1のころは剣道部に所属していた。実力も中々といった所で、3年が引退したのちはその強さを衰えない様にと明日香は張り切っていた。

 が他の部員たちは先程のバスケ部と同じほどにやる気を出しておらず、明日香の指導について行けずに部員たちが退部、遂には剣道部は廃部となってしまった。

 

「まぁそういう事だ。俺のせいでバスケ部を廃部にするのは居た堪れないからな」

 

「そっか、分かった。でも偶には助っ人として力を貸してほしい」

 

 一条の頼みに分かったと頷く明日香。

 今日の活動はここまでで、バスケ部は解散した。

 

 

 

 




ヤバい何かやる気が起きないでグダグダになってしまった
次回はこの話の後半となります

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