やはり比企谷八幡は捻くれている。   作:秋乃樹涼悟

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デート後半です。
前回同様いろはと八幡の視点が混ざっています。
混乱するかもしれません。

感想を下さったhさん、ありがとうございます。
感想をいただくとモチベーションが上がるのでこれからも感想お待ちしています。


そして一色いろはは比企谷八幡の唇を奪わんとする

自分で言っておいてなんだけど恥ずかしかった。

顔見られてなかったかな。

 

まあせんぱい、思いっきりむせたのでバレてないとは思うんですけどね。

 

やっぱりせんぱいとここへ来れて良かった。

せんぱいも渋ってた割に楽しそうですし。

私といるからというわけではないかもですけど。

 

「まあなんだ、今日はその、お前と遊べて、まあ割と楽しかったわ、いろは」

 

勝手にせんぱいの捻デレが頭の中で再生される。

そんなこと言われたらもう勢いで告白しちゃいます!

というか言われたい。言ってほしい。

 

 

 

一色あざとすぎだろ?

そりゃ大概の男子がやられるのもわかるわ。

 

危ねえ。持って行かれるとこだったわー。心を。

もう少しで一色いろはという真理の扉を開いちまうところだった。

右腕と左脚は持って行ってもいいけどさ、最悪。

 

可愛かったな。

 

やばいやっぱちょっと

持って行かれたー‼︎

 

ごめんなさいちょっと言いたくなっただけです。

あれ見た後よく使っちゃうんだよな。俺。

 

小町に漫画取られた時とか。

で、言うと蔑まれる。

もう別の扉が開きそう。

 

 

そのあとは一色とイヌたちが戯れていた。

一色とイヌは絵になる。

編集長、次のフリーペーパーの表紙は決まりですね。(ニヤリ)

 

「せんぱい、写真撮って下さい。せんぱいのでいいので」

「おう」

 

一色もイヌと同じようにイヌ耳を付けている。

やっぱイヌ耳いいな。萌えるね。

明るい茶色の毛並みをしたトイプードルを抱えるいぬはす。間違えた、いろはす。

 

数枚撮影し、一色に確認を取る。

違いが分からなかったが三枚目のものを後で送っておいてほしと言われた。

 

送った後に消しておこう。

保存してたらキモがられそうだし。

 

イヌカフェを堪能した一色は満足そうだった。

もう帰ってもいいんじゃね…

さてと、次どうしようか。

 

 

 

 

せんぱいイヌ耳とか好きかな。

さっき感想聞けば良かった。

せんぱいわかりやすいからなぁ。

 

「せんぱい、どこに連れて行ってくれるんですか?」

「まあ無難に最近できたイオンとかでいいか?割となんでもあると思うし」

「せんぱいにしては無難かもです」

 

また卓球とかもしたかったですけど。

それはまた次のデートでします。

次もあるといいけど。

 

電車にふたりで揺られていて時々当たるせんぱいの肩。

ドキドキが止まってくれません。

聞こえちゃうじゃないですか。

 

キキーッと悲鳴を上げる電車。

勢いよく振られて思わずせんぱいにしがみついた。

 

見上げるとせんぱいの顔がすぐそこにあって、微かにせんぱいの息が前髪にかかる。

 

そのまま見つめ合う。

あと少しでせんぱいと…

 

「ごめんなさい⁈」

 

恥ずかしくて密着していた体と目をはなす。

 

「…たぶんあれだな、動物でも、入り込んだんだろ」

 

途切れ途切れせんぱいが言葉を出す。

 

電車を降りるまでまともな会話は出来なかった。

 

 

 

電車を降りてイオンに着く頃には落ち着いて、せんぱいをからかっていた。

とりあえずゲームセンターで遊ぶことになり、そこへ向かう。

 

私とせんぱいもまだここへは来たことがなく、若干迷子になったりもしたけどなんとかついた。

 

せんぱいは

「人が多い…」

とげんなりしていた。せんぱい引きこもりですもんね。

せんぱいがわるいんですよ。ここに行こうって言ったから。

まあ私はせんぱいといられるならどこでもいいですけどね。

 

ゲームセンターに着き、卓球台を発見してしまった。

せんぱいも見たのか、ふたりで顔を見合わせ、勝負することになった。

 

次にと思っていましたけどここにあったが百年目!

せんぱいにお願いをするチャンス。フフフッ

 

「せんぱい、私が勝ったらまたお願い聞いて下さいね」

「ああ、勝ったら、な」

 

せんぱいは本気を出すのか着ていたジャケットの袖を捲る。

 

「俺が勝ってもお願いきいて…」

「行きますよ!」

「っておい!ずるいぞ」

 

せんぱい、既に闘いは始まっているんですよ。私の闘いが。

 

「せんぱいは今日負けるんですからお願い言う必要がありません。というかせんぱいはなしです。会長命令です」

「それ職権乱よってまたかよ!」

 

 

勝負は縺れマッチポイントを獲得した私。

僅差で今せんぱいに取られるとチャンスがなくなってしまう。

フフフッ仕方が無い。奥の手です。

 

私はせんぱいを真剣な顔で見つめ、

「せんぱい、好きですよ」

「へ?」

「スキあり‼︎」

「ああっ!今のはずるいぞ」

「せんぱい、まだまだだね」

「くっそ、はめられた」

 

せんぱいへのお願いをついに。

でも恥ずかしかった。

あんなの告白じゃないですか。

言うならちゃんと言いたかったなぁ

 

「ふふん。お願いはあとで言いますね」

「この間負けたからってそこまでするかね全く」

「せんぱい、プリクラ撮りましょ」

 

その目も多少はマシになりますよ。

 

 

 

帰りの電車、辺りはもう暗くて気付けば8時。

せんぱいも私ももうくたくたです。

この車両にはせんぱいと私だけで、あの時と同じです。

 

「疲れた…」

「せんぱい、デートで疲れたはないですよ。今日は楽しかったなくらい言ってくれないと」

「一色、ちょっと寝ててもいいか?」

「しょうがないですね。降りるまでですよ」

 

まあ今日は散々振り回しましたしね。

楽しかったなぁ。やっぱり好きな人とデートするのはたのしいですね。

 

せんぱいはもう既に寝息を立てている。

せんぱいと結婚とかしたら毎日寝顔見れるのか…

私気が早い。まだ付き合えてすらいないのに。

 

寝ているせんぱい、誰もいない車両。

これってチャンス?…

 

今なら…

 

せんぱいに顔を近づける。吸い寄せられそうになる。

あと少し。

 

っはダメだ恥ずかしい。やっぱり無理だ。こんなのずるいよ。

 

せんぱいの肩に寄りかかる。

せんぱいは暖かくて、落ち着くいい香り。もっと近づきたい。もっともっと。

 

お互いはこんなにも触れ合っているのに。

 

私はあと一駅で降りなければいけない。

お願い、まだしてないな…

 

 

 

 

 

薄れゆく意識、今日は心身共に疲れた。揺れる電車は心地よく、眠気に追い打ちをかける。

 

一色に了承を取り、ちょっと寝ることにした。

目を閉じているだけで気持ちがいい。

 

一瞬意識が消え、再起動する。視界は暗いまま。左肩には一色が持たれているのだろう。女の子の暖かみを感じる。

一色って暖かいな。

 

誰かが隣に居てくれるというのは嬉しい。

 

再び意識が消えそうになる。

 

何かが唇に当たった気がした。




八幡、デートの帰りに寝るってどうなんですかね。

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