やっぱりいろはす可愛いですね。
いろはと八幡の視点が混ざっています。
混乱させてしまったらごめんなさい。
どうしよう。
せんぱいとデートする夢を見てしまった。
せんぱいは夢の中でも相変わらず捻くれているんですね。
ああ、もうちょっとでせんぱいにキスしてもらえたのに。
夢でもいいからキスしたかった。
私、何気にキスしたことないんですよね。
なんか恥ずかしいな。
せんぱいとデートしたい。
あわよくばキス。
時間を見ると朝の9時。
ダメ元でせんぱいをデートに誘おう。
やはり土曜日はいい。
休みが始まり明日も休み。
そして次の日は、仕事じゃねぇ学校。
学生にして社畜脳になっている俺って…
こんな日にはMAXコーヒーをちびちび飲みながら、ご注文はMAXコーヒーですか?を見るのが1番だ。
やっぱ ココアがいいよね。1番可愛いと思う。
声も可愛いしね。あやねる最高。
俺があやねるを堪能していると通話機能付き目覚まし時計が震えた。
画面には一色いろは。
一瞬、声を聞きたい衝動に駆られたがやっぱり面倒な事になるのだろうから出ない。
その後も何度か震えたが無視した。
そしてメールを一件受信。またしても一色いろは。
メールはこっちが見ても気づかないから楽である。
ラインとかだと既読だとかでやたらと面倒だっていうしね。
メールを開くと2文字、
本物、
一色のニヤつく顔が脳裏に浮かんだ。
嫌々ながら一色に電話をかける。
『せんぱい、可愛い後輩からの電話を無視とか酷くないですか?』
第一声が既にあざとい。
やっぱりいろはすよりココアがいいな…
「で、用件はなんだ?ないなら切るぞ」
『切らないでくださいよ。せ、せんぱいは私の事嫌いですか?うるうる』
「泣きそうな声でうるうるとか言ってもあざといだけだから。で、なんなの?」
たぶん電話じゃなかったらやばかったな。
対妹スキル発動してるとこだったぜ。
泣き落としとか可愛すぎるぜまったく。
『せんぱい、デートしましょう』
「また葉山とのデートの参考か。ていうか一色、お前結局葉山とデートしてるのか?前にも参考とか言って俺を連れ回してたろ?」
まあなんだかんだ楽しかったけどさ。
『いいじゃないですか。こんなに可愛い後輩とデートできるんですから。素直に喜んでくださいよ、せんぱい』
「ほんとあざといな」
『ほ・ん・も・の』
「どこへでも行きます。なんだったらどこでもドア出してやりますよはい」
の・ぞ・き・みみたいに言いやがって。
『じゃあ学校近くの駅前に来て下さい。行きたいところがあるので。そこ行ったら後はせんぱい、エスコートお願いしますね」
「時間はどうする?」
『11時くらいでいいですか?お昼もそこで食べたいですし。……せんぱいと一緒に』
「じゃあメシは食わずに行けばいいんだな、わかった切るぞ」
一色がなんか言ってたがそのまま切った。
はぁ、早く帰って続き見たいな。
せんぱいはちょっとおど…呪文を唱えると簡単にお願いとか聞いてくれるので楽です。
せんぱいとデート。
今絶対顔が緩んでる。
とりあえず支度しなきゃ。
さっとシャワー浴びてメイク。
ナチュラルメイクとあどけなさが出るような服をチョイス。
妹系で攻める。せんぱいシスコンですからね。
目的地に着いたのは約束の20分を過ぎたくらい。
せんぱい怒ってるかな…
一応メールしてはいるけど。
せんぱいはすぐに見つかった。
「せんぱ〜いお待たせしました」
「おう。んじゃぼちぼち行きますかね」
「せんぱい、怒ってます?」
「ん?なんでだ?」
「いや、その、遅れちゃいましたし…」
自分から誘っておいて遅れたのだし、怒っても当然かもしれない。
「いや別に。電車とかの都合もあるだろうし、女子って支度とか結構かかるしな。っていうかむしろ、ちゃんと来てくれたからな。これでドタキャンとかされたら流石にキツいけどな」
これが噂の捻デレ。
せんぱい、やっぱりあざといです。ドキッときました。
ちゃんと来てくれた、とか優し過ぎです。
せんぱいのばか。また好きになっちゃったじゃないですか。
「やっぱりせんぱいあざといです…」
「いや、全然あざとくないだろ。で、どこ行きたいんだ?サイゼ?」
「最近できたイヌカフェです。一度行ってみたかったんですよね」
「イヌカフェなら由比ヶ浜と行けば良かったんじゃ…」
「行きますよ」
せんぱいの手を掴んてそのまま手を繋いだ。
せんぱいの手は暖かくて優しくて、ずっと私を握っていてほしい。
強引に俺の手を引っ張る一色。
握られた手は柔らかくて小さくて。
手を握ったのは小町以外では初めてなんじゃないか俺。
しばらくして目的の場所へ着いたイヌカフェはオサレで、とても俺独りでは入る気になれないところだ。
「やっぱりワンちゃん可愛いですね。はぁ、もふもふしたい」
「もふもふしたいのは構わないが先にメシにしないか?お腹空いたんだが」
「そうですね。フフフッ待っててねワンちゃんたち」
本当にイヌが好きなのか、あざとさが感じられない。
猫といるときの雪ノ下みたいで可愛いと思ってしまう。
雪ノ下は猫と会話するからな。
一色もイヌと会話したりするんじゃないか。
とりあえず席に付き、メニューを注文。
一色はイヌイヌオムライスで俺はイヌイヌパスタ。
一色は両方食べたいと言い出し、俺にパスタを頼ませたのだ。小町もよく自分の食べたい物をさりげなく勧めてくる。女子ってのは欲張りだな。全く。まあ可愛いから許すけど。
飲み物は2人ともカプチーノ。
ラテアートでイヌを描いてくれるらしく、一色に限ってはそれ目当てのようだった。
互いの頼んだ料理が届き、食べ始める。
何やらチラチラと視線を感じる。
いっしきがたべたそうにこちらをみている。
「…食べるか?」
「はい!」
どんだけこれ食べたかったんだよ。
骨つき肉とかあげたら仲間になる勢いだったぞ。
「せんぱい、食べさせてください」
「いや、しないだろ普通。付き合ってるわけでもないし」
「いいじゃないですかー」
小さく頬を膨らませ、文句を言う一色。あざといなぁ。
するとぼつりと、
「本物…」
「わかったよわかりましたよ」
一色はニヤつきながら早く早くと急かす。
駄々こねるんじゃありません。
籠からもう一本フォークを取り出し、パスタを一色の口へと運ぶ。
美味しそうに食べる一色。
まあ、なんだ、わるくはない。
すると一色も自分のオムライスをスプーンですくい俺の方へ差し出す。
「せんぱいも、はい。あ〜ん」
恥ずかしい。可愛い。恥ずか死ぬ。
「食べづらい…」
「ほらほら」
羞恥に耐えながら一色のオムライスを口へ入れる。
一色はにっこにっこにーしている。
味はよくわからなかった。
「せんぱい…間接キス、ですね」
思いっきりむせた。
次回はデート後半を書く予定です。
間接キス…ですねとか言われたらたまんないですよね。