やはり比企谷八幡は捻くれている。   作:秋乃樹涼悟

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今回はいろは視点で進めたいと思います。


一色いろははふと気づく

せんぱいは私のことをどう思っているのかなぁ。

 

最近はよくそのことを考えている。というか考えてしまっている。

 

もしかして私はせんぱいのことが好きなのかな。

生徒会長になる前の私は特定の誰かのことを想うことがなかったと思う。

 

せんぱいには葉山先輩がうんぬん言ってデートの参考というデートをしたし。

 

私は「葉山先輩を好きな私」が好きだっただけで、そして今もそれを利用している。

 

それでもせんぱいは振り向かない。

 

せんぱいは振り向こうとはしない。

 

どうでもいいものはすぐに手に入るのに。

 

欲しいものが手に入らない。

 

結衣先輩だってせんぱいのことが好きなのだろうし、雪ノ下先輩も好きか、それに近い感情があるはずなのだ。

 

せんぱいたちを見ていて辛くなる。あの3人の中に入っていけない。

 

手を伸ばせば届くはすなのに。

 

ティーカップをもらったときは嬉しかった。

私もあの3人の中に入れてくれたような気がしたから。

 

せんぱいが私のことをちゃんと考えて悩んでくれたことを聞いたときは内心、ドキッとした。

 

照れ隠しでせんぱいをからかったときの顔が可愛いかったな。それでいてやっぱり捻くれているし。

 

やっぱり。

 

私はせんぱいが好きなんだな。

自覚すると余計に恥ずかしい。

 

ベッドで悶えていると危うく落ちそうになった。

 

 

「こんにちは、一色さん」

「やっはろーいろはちゃん」

「おう、今日は生徒会ないのか?」

「こんにちはです。今日はないので遊びに来ました」

 

本当はまだ残ってるんですけどね。家ですぐに終わりそうなんで持って帰ってるんですよね。

 

せんぱいに会いたかったですし。

 

せんぱいをこき使わないといけないような量ではないですし。

毎回せんぱいを使うとふたりから嫉妬されちゃうかもですし。

 

「紅茶、入れるわね」

「ありがとうございます。雪ノ下先輩」

 

雪ノ下先輩の淹れる紅茶は美味しい。

 

優しくて甘くて、暖かくて、ほんのり苦い。

奉仕部の味がする。

 

「そういえば結衣先輩、最近駅前にイヌカフェができたらしいですよ」

「あーあそこか!気にはなっていたけど」

「今度一緒に行きません?雪ノ下先輩も」

「ごめんなさい。私…」

「ゆきのんはね、犬が苦手なんだよ」

「あなただって、猫、苦手でしょう。……あんなに可愛いのに」

 

雪ノ下先輩の猫デレしているときの顔が可愛すぎる。ギャップ萌えというものなんでしょうか。

 

「私は犬も猫もどっちも好きですけどね」

 

将来どっちを飼うかと聞かれると迷うな。究極の二択。

でも1番はせんぱいを飼いたい。

 

「せんぱいはどっち派ですか?」

 

今後の参考に知りたい。せんぱいの好きなものなら何でもいいから。

 

「ああ、そういえば前にもそんな話になったな。確か文化祭の打ち上げか」

「なんか懐かしいね」

「確か比企谷君はうさぎにしたのよね」

 

なんでそこでうさぎが出てくるのでしょうかね。

しかもまだ私がせんぱいを知らないときの話。 気になる。

 

「ああ。やっぱりあれだな、天使には叶わないな」

 

戸塚先輩のことか。納得。

でも戸塚先輩にちょっと嫉妬しちゃうな。

 

「葉山先輩はどっちが好きなんですかね?」

「んなこと知らねーよ。気になるなら聞いてみたら?いつもみたいにあざとく」

「せんぱい酷くないですか?私全然あざとくないですし。むしろせんぱいがあざといです」

「由比ヶ浜、俺ってあざといのか?」

「どうなんだろうね」

 

せんぱいはあざとくて鈍感で優しい。

そしてその優しさが辛い。その優しさに甘えたくなる。

 

でもそれではだめなんだろうな。

 


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