大切にしていた一ヶ月は、最後になってしまった。
クラスのリア充達は夏休みだと浮かれつつ、見なければいけない現実に向き合わなければいけないと感じ始めている。
意識の高い連中は既に面接の練習を始め、夏休みで仕上げると意気込み、履歴書には何度も志望動機を書く。
鉛筆はシャーペンとは違うボールペンの感覚に、なぜか寂しさを感じる。
リア充でも意識が高いわけでもないやつは進路室で資料を漁り、教師達には急かされ嫌でも自分という人間と向き合わされる。
何がしたいかも何ができるかもわからない、そんな中で自分の決断をしないといけない。
きっとそれは何を選んだとしても後悔するのだろう。
俺は絶対に後悔なんてしたくない。だから足掻いて足掻いて、答えを出す。
「なんか、ほんとに終わりなんだね…」
修業式を終えて、校内どこか閑散としている。
グラウンドや体育館から響く声は最近小さくなっている。
奉仕部の部室からは、雪ノ下が持ち込んだ紅茶のセットとそれぞれのカップや湯呑みは無くなった。
たったそれだけなのに、酷く寂しい。
窓から差す夕陽は暖かく、その暖かさすらも惜しく感じる。
「…そうね」
雪ノ下も今日は本を読むことをしていない。
「ねぇ、そう言えば『千葉県横断お悩み相談メール』の確認、まだしてないよ」
「そう言えばそうね。もしかしたら、来ているかもしれないものね」
由比ヶ浜も雪ノ下も、なんとなくそれに縋っているように俺は見えた。
もしかしたらもう少しだけ、ここに居てもいい理由が見つかるかもしれない、そう思っているのだろうか。
「一件、来ているわ」
雪ノ下はぼつりとつぶやきマウスを進める。
由比ヶ浜は雪ノ下にくっ付き画面を見つめる。
「比企谷君もここに来てもらえるかしら…」
雪ノ下は優しく微笑んでいるが少しだけ、目が赤い気がする。
立ち上がり画面を見れる位置に立ち、最後のメールを見た。
相談メールの割には短く、相談メールの割には違う意味で重い。
『お疲れ様。』
それでいて、どうしようもなく暖かい。
夏休みになり、奉仕部はなくなってしまった。
生徒会室に籠もりっきりの私にはやはりそれはショックだった。
わかっていたけど、やっぱりどうしようもなく寂しい。
別にせんぱい達が卒業した訳でもないし、会えなくなった訳じゃないけど、無性にせんぱいに会いたくなる。
けれど、せんぱい達はもう受験生、迷惑をかけてはいけない。
たまたま進路室に行く機会があって進路室に行ったことがある。
気がつくとせんぱいを探してしまう。
そしてふと見つけたせんぱいは、パソコンを真剣に見ていた。目は全然腐っても死んでもいなくて、声をかけることをやめた。
そう言えば、せんぱいは結局どっちにしたのかな…
せんぱい、私が結婚してあげるって何度も言ったのに全く本気にしてなかったな。
鈍感過ぎじゃないですかね?
ちゃんと告白しないと伝わらないですかね?やっぱり。
あの捻くれぼっちに告白する勇気がないんですけど。
どんな顔をするんですかね?顔を真っ赤にするのかな?それともかっこつけようとするんですかね?もしくはキョドってそうですね。せんぱいキモいです。
そんなことを考えていても、ふと浮かんでくるのは困った顔をするせんぱい。
やっぱり、こわいな…
途中どう書いていいかわからなくなってしまいました。
とても疲れた。
感想・ご指摘・ご要望などありましたらお寄せください。
ありがとうございました。