やはり比企谷八幡は捻くれている。   作:秋乃樹涼悟

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今回は奉仕部のおしゃべり会です。
八幡が可愛い女子たちにいじめられる会です。

いいですね八幡。


でわでわどうぞ。


梅雨もなんだかんだ悪くない。

六月にもなると夏の暑さを時々感じるようになる。

そしてこの時期、梅雨である。

 

一般のアホな男子高校生は女子の制服が透けてラッキーとか思っているが、俺のような読書家からすれば不愉快である。

 

紙がふにゃふにゃになるし、たまにページがくっつくし、由比ヶ浜や一色の制服が透けて目のやり場に困るし。

 

雪ノ下は絶壁だからまだなんとかなるが。

 

ていうか俺もその辺のアホな男子高校生だな…

 

 

 

 

 

「うす」

「やっはろーゆきのん!」

「こんにちは、比企谷君、由比ヶ浜さん」

 

やはりこの部屋も少し湿っている。

いつもは雪ノ下の淹れた紅茶の香りが漂っているのに。

 

「紅茶、いかがかしら?」

「ありがと。ゆきのん」

「ありがとな」

 

雪ノ下の淹れる紅茶はなんだかんだ飲んでしまうのだ。

暑い日でも飲んでしまう。

 

べ、別に雪ノ下の淹れる紅茶が好きとか、そんなんじゃないんだからな。

 

「お疲れ様でーす」

「失礼しまーす」

「こんにちは、一色さん、小町さん」

「やっはろーいろはちゃん、小町ちゃん」

「おう」

 

今日は生徒会もないのか一色と小町が奉仕部に来た。

しかし一色の「お疲れ様でーす」ってなんか社畜って感じがする。

 

多分あれだな、生徒会の仕事し過ぎてこうなったんだろうな。

一色も社畜だなぁ。可哀想。

誰だ?一色を会長に押したやつ?

 

 

俺。

 

「紅茶、淹れるわね。…それにしても雨が続くわね。比企谷君のせいかしら?」

「いや、俺は関係ないだろ。別に俺は雨降らす能力とかないんですけど」

 

なに?俺ってカイオーガなの?まあそれはそれでいいけどさ。強いし。

 

「せんぱい、目の整形をオススメします」

「ヒッキーの目が死んでるせいなんだ…」

「昔はこうじゃなかったんですけどね…」

「そうだ。俺の目は悪くない」

 

時の流れとは残酷ですね。いやほんとに。

 

「比企谷君の目が死んでいなかったから…通報しない自信がないわ」

「俺はどっちみち通報されるのかよ」

「私が警察官ならせんぱいを職務質問しちゃいますよ」

 

俺は変質者じゃないんですけどね。

 

「そうだ、今度昔のお兄ちゃんの目が死んでない写真持って来ましょうか?多分探せばありますし」

「やめろ小町」

「昔のヒッキー見てみたいかも」

「確かに興味ありますね」

「想像もつかないわ」

 

なんでみんなこういうの好きなんですかね?

卒アルとかもやたら見たがったりするんだよね、たぶん。

やめて、恥ずかしいわ八幡。

 

「比企谷君はいつからそんなに捻くれてダメな人になったのかしらね」

「そのちょっといい笑顔やめろ」

「確かにせんぱいはダメでぼっちでキモくてダメですよね」

「おい、なんでダメが2回も入ってるんだよ、繰り返さなくいいから」

 

みんなして俺をいじめすぎでしよ。

まあ可愛いから許してやることにしよう。

それでいいのか俺…

 

「でも、ヒッキーもいいところはあるよね?」

 

流石由比ヶ浜。こんなダメでぼっちでキモくてダメな俺をフォローしてくれるんだから。

 

優しくしないで。泣きそうになるから。

まあ泣かないけど。

 

「そうね。…なにかあったかしら?」

「せんぱいのいいところはあれですよ、便利…優しいところですよ」

「おい、今便利って言ったよな?明らかに都合のいい人じゃんかよ」

 

どうぜ俺は(都合の)いい人ですよ。

にしても一色ひどいな。相変わらずだけど。

 

「俺のいいところと言ったらあれだろ、妹想いのいいお兄ちゃん的な」

「シスコン…」

「お兄ちゃん、そういうことはやめてくれない?せめて家だけにしてよ」

「家ではいいんだね小町ちゃん」

 

なんでそんな視線を向けられないといけないんだ?

全く理解出来ない。

 

てかこんなやりとりクリスマスのときもしなかったか?

 

「ところで一色、この間やったフリーペーパーってどうなったんだ?」

「つまんねーこと聞くなよ!」

 

どこのぶらっていまりーさんだよ。

てかキャラ間違えてるだろ。

あやねる?今はじょしらくじゃないんですけど?

 

「すいませんなんとなく言ってみたかっただけです。ていうか結構前ですね」

「あの時は比企谷君、本当に目が死んでいたわね」

「ヒッキー頑張ってたもんね」

「辛かったなぁ…」

 

今なら渡航の気持ちがわかる気がする。

雪ノ下が来たときなんて一瞬編集に見えたまである。

作家は辛いな。

売れても売れなくても。

 

社畜とどっちがマシなんだろうな。

 

「せんぱい、また今度お願いしますね。てへぺろ☆」

「もういやだ。辛い。まず急過ぎだったし」

「私たちよくあのスケジュールでこなせたわね」

 

一色、可愛くしても無駄だ。

どんだけ辛かったと思ってるんだ。

 

…まあもうちょっと準備期間があれば考えてもいいが。

 

意外と一色のてへぺろ☆が効いてる。

 

「今度は小町も参加したいです〜」

「次があれば、な」

 

ないことを祈る。

 

「せんぱい、お願いしたいことがあるんですけど…」

「断る。また脅しのネタにされでもしたらたまったもんじゃない」

「っち。ばれたか」

「ちょっと一色さん?今一瞬黒いところ見えたよ」

「え?なんのことですか?」

 

とぼけやがった。一色怖い。

最近の女子高生は怖いわね。怖いわぁ全く。

 

「ヒッキーやっぱりあの時脅されてたんだ…」

「まあ比企谷君を脅すことくらい簡単だものね。捏造すれば早いことだもの」

「もうどうしようもないじゃねーかよ俺」

「まあせんぱいは私の下僕…頼れるせんぱいですからね」

「そのいい感じにぽろっと出すのやめてくれない?なんか余計に辛いんだけど」

 

やっぱり一色怖い。

ダメージの与え方ががえぐい。

雪ノ下はばっさり切ってくるからまだ清々しいんですけどね。

 

「一色さん、残念だけど比企谷君はあなたの下僕ではないわ。…奉仕部の下僕よ」

「雪ノ下、それフォローのつもり?」

 

 

 

 

 

 

 

「今日はもう終わりにしましょうか」

 

雪ノ下が分厚い本を閉じ、活動終了を告げる。

みんないそいそと帰り支度を始める。

 

外はまだ雨が降り続けていて、止む気配はない。

ただ降り続ける雨はそれはそれで落ち着きもするが。

 

 

 

最近の奉仕部は賑やかで楽しい。

この空間を楽しんでいる自分は変わったのだろうか。

 

まあ変えてくれたのはこいつらなんだけどな。

ここにいられる間は大切にしようと思う。

 

「お兄ちゃん、帰りにスーパー寄ってこ。夕飯のお買い物したいし」

「ああ、そうだな。MAXコーヒーも買いたいしな」

 

帰ってMAXコーヒーでも飲みながらぼちぼち勉強しますかね。

 

 

 




やっぱり5人いると書きづらいです。
どうしても会話文が増えてしまいます。
僕の文章力の無さも原因ですが。


ご意見ご感想等お待ちしております。
でわでわ〜

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