デス・ア・ライブ   作:月牙虚閃

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かなり投稿が遅くなってしまって申し訳ありません。

今回の内容は前回からの続きで、ついに一護は力の一端を見せつけます。

では、どうぞお楽しみください。


Existence

上空からミサイルがこちらに目がけて飛んできている。一護と少女はともかくこれが直撃しなくとも爆風だけで士道に深刻なダメージを食らうのは必至だ。

 

 

「こちとら一般人がいんのにそんなもん打ち込むなんて正気かよ。」

 

 

一護はどんな理由でミサイルを打ち込んできたことに悪態をつきながらも、士道と少女を護るために行動を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうこと…」

 

 

鳶一折紙は精霊が出現しこれを殲滅するために出撃をした。今回現れる精霊は識別名『プリンセス』――――――紫色の鎧を着た闇色の長髪の少女の精霊のことだ。その場にいるのは空間震警報で一般の人々は今地上にいないはずでこの地上にいるのは精霊しかいないはずなのだが、そこにはプリンセスの他に一護と士道がいた。

 

 

「待ちなさい!」

 

 

折紙の所属している部隊の隊長である日下部燎子が叫んだ。他の隊員が早まってミサイルを発射してしまったのだ。プリンセス、士道そして一護のいる場所に向けて。それに気づいた折紙はCR-ユニットを頭で命令して高速でミサイルの着弾地点に先回りしようとした。だが、ミサイルの速度はそんな生半可なものではない。折紙が動き出して間もなくミサイルは士道と一護のいた場所に着弾し爆発した。

 

 

「嘘…」

 

 

爆発により着弾地点は粉塵が巻き上げられ一護達の姿を閉じ込めるかのように立ち上った。だが、隊員が発射したミサイルは確実に命中した。やっと逢えたと思っていたのにこんな形で終わりを迎えてしまった。今まで自分のやってきたことは間違っていたのかと折紙は自分を責めた。だが、舞い上がった粉塵が晴れていくとそこには全く何も存在していなかった。もし、直撃していれば体がバラバラになることもあるかもしれないが、全く何も痕跡が無いということは無いのだ。これは、どういうことだろうか。

 

 

「まだ精霊の反応は消失(ロスト)してないわ。可能性は高くは無いけど精霊に襲われていた一般人がまだ生きている可能性もある。ここは私と作戦成功率の高い折紙で一般人の保護を優先にして精霊の捜索をするから、他は私の合図があるまで待機。」

 

 

燎子が今起きた出来事による隊員達の動揺を取り除くべくすぐさま新たな指示をした。折紙もなんとか心を持ち直し、燎子の指示に従い精霊の捜索にあたった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に何してくれたんだよ!AST(あいつら)は…」

 

 

一護と士道と精霊の少女はミサイルの着弾地点から死神の歩法―――――――――瞬歩で少し離れた瓦礫で影になる場所へと移動していた。士道と少女はいつの間にか移動してしまったので訳も分からず混乱している様子だった。

 

 

「何だ今のは!?ギューーンとしたらと思ったらいつの間にかここにいたぞ。なんという恐ろしいやつだ。」

 

 

少女は自分の存在よりも圧倒的な力を持つと予測される一護の力の一端に戦き、もしも裏切られた時を考えると死という現実に直面することは想像に難くなかった。

 

 

「もうなんなんだよ!いきなり攻撃されるし、それで兄貴はなんかすげえ超人だし。」

 

 

先ほどまで起こっていたことが本当に平和な日本で起こっている出来事なのか、もしこれが夢ならば早く覚めてほしい士道だが生憎これは現実だ。少女みたいに特殊な存在でもないし、一護みたいに力を持っていて特殊な状況に適応できる力を持っているわけではない士道のこのような反応は当然だ。

 

 

そんな中一護はASTの様子を確認していた。どうやら隊長と思しき人が隊員を1人引き連れて精霊を探してるような様子だった。少女にこれ以上人間の世界に絶望してほしくないので、どうやらここは一護自身が表へ出るしかなかった。

 

 

「2人はそこで隠れて適当に話でもしてくれ。」

 

 

「適当に話って…というより、兄貴は何をすんだよ?」

 

 

「ちょっとあいつらを追い返してくる。どうやら俺は士道と違って力でしか他の人に解ってもらえないのかもな。」

 

 

一護は自らの()()()()に自嘲しながらも誰も傷つかないように願い戦場へと繰り出した。

 

 

影から飛び出した一護はすぐに空飛ぶ人影に接近された。どうやらこちらを攻撃するつもりは無いというような様子だ。こちらに来た人影は2人だったのだがその内の1人はあの鳶一折紙だった。

 

 

「鳶一…お前ASTだったのか。」

 

 

一護の質問に折紙はこくりと頷いた。その様子に折紙の上司と思しき人物が折紙に尋ねた。

 

 

「なに?折紙、あんたこの人知り合いなの?」

 

 

「五河一護は私のクラスメート。」

 

 

折紙の話を聞いて上司の女性は一護に目線を向け正式な言葉で尋ねた。一護に向けた目線は先ほどまで違い警戒の色を帯びていた。

 

 

「私は陸上自衛隊のAST部隊をしている日下部燎子よ。早速質問だけど五河…一護だったかしら、あなたは今何をしていた?」

 

 

一護は別に嘘をつくつもりなんて毛頭無いので、ただ空間震でシェルターに逃げ遅れた妹を探しているということを素直に伝えた。それを燎子は聞いていたが、妹の捜索は自分たちに任せて近くのシェルターに避難してほしいと士道と一緒に避難してほしいと一護に要請した。だが…

 

 

「それはできねえよ。俺には護らなければならない人がいるんだよ。」

 

 

「あなたが護らなければならない人っていうのは精霊のことよね。」

 

 

燎子の言い出したことに折紙は衝撃を受けた。もし燎子の言うことが本当ならば一護は折紙の仇敵である精霊を守ろうとしているのだ。これは精霊によって全てを失った折紙にとってこれ以上苦しいことは無かった。

 

 

「ああ、そうだぜ。」

 

 

燎子は何かの確認を取った。それは今までの精霊の認定史上異例な事態であった。

 

 

「あなたの霊力の計測をしました。少々他の精霊のものと違うようですがあなたを精霊と見なします。」

 

 

これには折紙だけでなく一護も衝撃を受けた。いや、一護は少なからず自分がそういう認定を受けるかもしれないと頭の片隅にはあった。なぜなら、一護には精霊の霊力と同じのように霊力とこちらの世界にはない霊圧があるからだ。

 

 

燎子はまたどこかと通信を取るとすぐに少し離れているところにいた同じような装置を身に着けた十数人の人間がこちらへと飛んできた。

 

 

「俺には戦うつもりはねえけど、やるなら受けて立つぜ。」

 

 

「これより『デスサイズ』の殲滅を開始する。総員攻撃。」

 

 

折紙は動けなかった。もし燎子の言葉を聞いていなければ一護の正面に立って、攻撃をしないように燎子に働きかけたのであろう。しかし、精霊に認定されたと聞いて動けなかった。

 

 

死神の大鎌(デスサイズ)か…確かに俺は死神だけどそっちの死神じゃないんだけどな…)

 

 

折紙は一護の周囲から重圧のようなものが外へと広がっていき押しつぶされるような感覚を覚えた途端、AST全員が地面に這いつくばされた。しかも、隊の半数以上が気を失っていた。

 

 

「あなた、何したの?」

 

 

「こいつは俺の霊力を重圧として発せられるもので、霊圧と俺らは言ってる。その霊圧っていうの使ってお前らに当ててるんだけど、これで退いてくれないか。」

 

 

一護はこれで帰ってくれればありがたいと思っているのだが、精霊の脅威から国民を守るのが使命のASTが退いてくれるわけがなかった。

 

 

「こっちには全世界の命が掛かってんのよ!こんなことで帰還するわけにはいかないのよ。」

 

 

燎子を始め、一護の霊圧による威嚇に耐えた隊員が顕現装置(リアライザ)で自分の絶対防衛領域である随意領域(テリトリー)の面積を狭めて密度を濃くして何とか立ち上がった。折紙も燎子の言葉で自分が何でASTに入ったのか思い出し立ち上がり覚悟を決めた。

 

 

燎子たちが向かってくるのを確認して一護は自然体のままでASTを迎え撃った。先に攻撃したのは燎子だった。他の隊員は滅多に使わない超近接武器のグローブを一護に目がけて振りかぶった。しかし、その動きは一護にとっては緩慢過ぎた。僅かな動きで燎子の拳を避けて続いて寸前に迫ってきた他の隊員の剣――――――『レイザーブレイド(ノーペイン)』を素手で掴み地面に叩き落とした。あまりの力の大きさに追撃をすることができなかった。

 

 

「ハア…ハア…、化け物ね。」

 

 

燎子は思わずそのような感想もらした。これには一護も我慢できなかった。これまで精霊たちがこんな憎悪の刃を向けられていたのかと思うと余計に嫌だった。

 

 

「化け物だと…ふざけんな!精霊たちにも力があるだけなのにそんな風に判断しやがって。精霊と話し合えば本当に精霊がこの世界から締め出される存在じゃないとわかるはずだ。なんでそれをしねえんだ。」

 

 

「それは力を持っているために我々は日本国民からその脅威から守るためよ。」

 

 

これは国民を防衛する立場にある自衛隊ひいては国の当然な方針。彼らにしてみれば世界の中に居るだけで世界を壊してしまう精霊と救うと言っている一護の方がおかしいと思われるが普通だ。だが、一護は精霊がこの世界に暮らせるような鍵を知っている。そのようなことを知っていなくとも理不尽な暴力に曝されている精霊を一護は救うはずだ。

 

 

「力を持っているから殺していいという言い訳にはなんねえ。力を持っているということは、それを使う目的がある。あんたらだって国民を守るという目的がある。俺だって誰もが苦しまないように全員護るっていう目的があるんだ。俺はあんたらの目的はわかるけどやり方は納得できねえ。だから俺は精霊をあんたらに殺させねえ。」

 

 

「子供みたいな論理ね…」

 

 

燎子が一護の思いを子供だと斬り捨てて、今度は剣を出現させて一護に突っ込んでくる。それを一護は迎え撃つ一護だが何かがおかしいと思った。なぜならば力の差があるのに集団ではなく1人で挑んできているのだ。不審に思うのだがまずは突っ込んできた燎子の剣を素手で掴み遠くに投げ飛ばした。ただそのときに燎子は不敵な笑みを浮かべた。

 

 

「何が可笑しい…」

 

 

何を企んでいるのか解らなかった一護だったが、燎子が答えずともその笑みの理由はすぐ知れた。燎子の後ろにいた隊員たちの姿を消えていた。それを確認したと同時に空を飛ぶ人影がもう既に士道と少女の隠れている場所へと真っ直ぐ向かっていた。その中には折紙の姿も交じっていた。

 

 

「ッ…、させるかよ!」

 

 

一護は中指を軽く曲げると、手に取れる範囲にない地点の地面に刺さっている斬月が空中に浮き一護の手の元に手繰り寄せられた。そして。そのまま振りぬこうとしたが…

 

 

「こいつは…虚閃(セロ)。」

 

 

一護は今起きていることを受容出来なかった。なぜならば、一護の見たものはかつていた世界で見慣れていた技―――――――――虚閃(セロ)そのものだったのだ。しかも、その虚閃(セロ)は通常の(ホロウ)のものとは比較にならないほどの巨大で、青かった空を全て緑に染めてしまうほどのものだった。それによって折紙以外の隊員は全て落とされた。

 

 

「一体何が起きているの!?」

 

 

燎子は今まで見たことのない威力の光線――――――虚閃(セロ)を目の当たりにして咄嗟の反応で逃げようとしたが、体が動けなかった。一護はこれがこちらの世界には無いはずの虚閃(セロ)だと分かっただけでも驚くに値するのだが、それ以上に今放たれたもの自体に1番の衝撃を受けた。

 

 

「ありえねえ…何で俺が殺した筈のあいつがいるんだよ!?」

 

 

虚閃(セロ)を放った人物は嘗ての姿から若干の変化が生じていたが、死に追いやった人物を見誤る筈がない。その体は人間とは思えないほど白く痩身で(ホロウ)の特徴である仮面は消えた為黒髪が晒されているのだが、瞳の色は緑で先ほどの虚閃(セロ)と同じだった。そう、この場に現れた人物は…

 

 

「黒崎一護か…」

 

 

「ウルキオラ…何で…ここに」

 

 

そう、一護の前に現れたのはかつての敵であるウルキオラだった。未だに一護が目の前にいるウルキオラが本当にこの世界にいるのか信じていない様子に構わず、ウルキオラは何かが書かれたカードを一護に投げ渡した。そのカードには『喫茶店 十刃(エスパーダ)』と書かれていた。

 

 

「一度そこに来い。お前の聞きたいことを答えてやる。」

 

 

そう言うと、ウルキオラは何処かに歩き出してしまった。どうやらウルキオラの用事はこれだけだったらしいが、一護はまだ急転直下の状況に理解が追いついていない。

 

 

「お、おい、待てよ。」

 

 

そのまま本当にウルキオラはこの場から姿を消してしまった。だが、一護は今どんな状況に置かれているのかすぐに思い出した。精霊の少女の危機はASTが撤退していない以上残っているのだ。気を取り直して、一瞬で精霊の少女とそれを殲滅しようとしていた折紙の間に立った。

 

 

「五河一護…何で精霊を庇うように立っているの?」

 

 

燎子の口から一護が精霊だと認定されたという情報をもたらされてから少し時間が経ち、なんとか心を落ち着かせた折紙だが再び一護が現れたことで何もかもをかき乱されて、唯一この質問だけを一護に言うことが出来た。

 

 

「それは鳶一にこいつに殺させたくないに決まってるだろ。」

 

 

「それは精霊、この世界に災厄をもたらす存在。私が絶対に殺さなければならない存在。」

 

 

一護は折紙の言ったことに何か引っ掛かりを覚えた。それはまるで地獄の地下深くに封印された兄のように言葉では表せないほどの恨みのようなものだった。

 

 

「前に鳶一に何が起きたか知らねえけど、お前にこんなことをさせたくねえ。こいつは俺の単なる我儘かもおしれないけど、誰も傷ついてほしくないんだ。俺は何度も仲間を失ったし、敵だった奴も倒してきた。俺は仲間を護る為なら戦える。だけど、本当は誰も殺したくはなかった。殺すっていうのは、相手の何もかもを奪ってしまう罪を一生かけて償わなければいけねえんだ。そんな思いを鳶一に味わせたくない。」

 

 

自分の全ての思いを鳶一にぶつけた一護。これを聞いて帰ってくれればそれで良し、もしこちらに突っ込もうとするにしても精霊の消失(ロスト)まで持ちこたえられればそれでも良し、と一護は思っていた。そして、運命を揺るがしかねない選択で折紙が選択したのは…

 

 

「それでも私はッ!」

 

 

折紙は自分に架した義務を優先させた。それを見た一護は迎え撃つ態勢をもう整えていた。その際に折紙の持つ剣が微かに震えていたのを一護は見逃さなかった。そして折紙が攻め込もうとしたそのとき、もう一つの殺気を感じてそちらの方の処理へシフトさせた。次の瞬間、一護の右側から燎子が迫り、残りは拳を放つだけという状態まで来ていた。

 

 

折紙は一護の盾になろうとした。しかし、自らに課した義務が足枷となって体は動かなかった。このときから折紙は自分に無力感を感じ始めた。

 

 

折紙の葛藤を知る由もない一護は冷静に燎子の動きを見ていた。戦いの場数でいえば短い期間にも関わらず一護の方が圧倒的に多い。つまり、戦いの中の時間の濃さの違いによって一護は的確に態と急所を外した蹴りを拳が届くよりも早く叩き込んだ。その蹴りは随意領域(テリトリー)を展開しているにも拘らず、燎子の肺の中にあった空気は吐き出され、さらには体の至るところの感覚が痺れていた。

 

 

「あなたは何者?いくらなんでも精霊でもここまでの力は無かったはず。」

 

 

燎子は今の一撃で倒れることはないにしても一発はいれられると思っていたのだ。それが防がれ逆に追い込まれてしまった。

 

 

「そういえばまだ言ってなかったな。さっき俺が精霊だと言われたけど、俺は精霊じゃねえ。お前らが精霊を脅威と呼ぶんだったら、俺は何て呼ばれるんだろうな。」

 

 

一護にしてみれば、元いた世界とこちらの世界とを比べてみれば断然こちらの世界が安全といえる。そう思った一護は素直に自分の力の出鱈目さに苦笑してしまった。そして一護はこちらの世界に来て以来初めて本当の自分の存在を世に知らしめる時が来た。

 

 

「俺の名は五河一護じゃねえし、死神の大鎌(デスサイズ)でもねえ。俺の本当の名前は黒崎一護だ。職業は高校生兼死神代行。」

 

 

「死神…物騒な職業ね。まあ、いいわ。デスサイズもとい黒崎一護君が名乗ったわけだし、私も名乗らなきゃ不平等よね。わたしは陸自のASTの部隊長をしている日下部燎子よ。あなたには沢山聞きたいことがある、だから抵抗はお勧めしないわ。」

 

 

だが、一護は強い眼で燎子を見返した。その瞳には様々な思いが折り重なっており色々なものを背負っているが燎子と折紙にも分かった。精霊との実戦でもこんな強い覚悟の籠った瞳は見たことは無かった。

 

 

「わりいけど、そいつに俺は従うことはできねえ。だから、一瞬で終わらせてやる。もうこれ以上戦わせないように…」

 

 

一護は斬月を軽くテイクバックした。その動きで何か来ると折紙と燎子は察知してこれから来るであろう攻撃に備えた。そして、一護は斬月を真横に振り抜いた。

 

 

「くッ、何なのこの力!力が違い――――」

 

 

一護は斬月を振り抜いたことによって生じた剣圧は世界にあらゆるものに牙を剥いた。それは折紙と燎子も例外ではない。2人は剣圧に飲み込まれこの場から遥か彼方へと飛ばされた。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

一護は後ろに振り返り士道と精霊の少女に向けて言った。

 

 

「ああ、俺は大丈夫。…って、あれ?あの子消えちゃったんだけど。」

 

 

消失(ロスト)か…」

 

 

消失(ロスト)?」

 

 

士道は単語の意味は分かるが、なぜこのタイミングで言ったのか分からなかった。その様子を見た一護は単語の説明をした。

 

 

「そうだな…消失(ロスト)っていうのはさっきの女の子のような精霊がこちらの世界から消えて隣の世界に戻ることだ。」

 

 

ここで一護は一息ついて戦闘中に考えていたことを士道に精霊の少女について尋ねてみた。そうすると、士道から期待通りの答えが返ってきた。

 

 

「あの女の子はあんなにも強いのに、俺が見つけた時からずっと悲しそう眼をしてた。あの子があんな顔をさせるのは無性にやだった。出来ることなら、俺はあの子を助け出したい。」

 

 

「なら、俺たちで助け出そうぜ。」

 

 

「え?」

 

 

突然の一護の宣言に士道はただただ戸惑っていた。一護はそれを無視して言った。

 

 

「俺たちがあいつを助けるんだよ。俺だけじゃダメなんだ。俺と士道の2人じゃねえとあいつを助けることができねえ。お願いだ、あの子を助けるために俺に力を貸してくれ。」

 

 

一護は深々と頭を下げた。それには士道に多大な命の危険がつきまとうかもしれないという意味が込められているということが士道にも分かった。それに士道が答えようとしたところで2人の体が浮遊感に包まれその場から消えた。




ここでミニコーナーをやってみたいと思う今日この頃…

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