生まれた世界でも、そしてファンタジー溢れるリィンバウムでも見たことがない途方も無い風景にナツミは茫然としていた。
浮遊大陸アルビオン。
空中へその身を浮かす、雄大かつ壮大なる大陸が今、ナツミの瞳に映りこんでいた。
「浮遊大陸アルビオン。国土はトリステインくらいあるのよ。通称、白の国」
「白の国?」
「大陸の下を見れば分かるわよ」
「下?」
ルイズの言う通りにナツミが視線を移すと、アルビオンから流れる川から溢れた水が、空に落ち込んで大陸の霧となり、霧は白雲となって大陸の下半分を覆っている。
「うわあ……。なるほど、だから白の国なのね」
「分かった?」
「うん。すっごく綺麗ね」
ナツミは怪我の痛みも忘れ、すっかりその美しい光景に目を奪われていた。ルイズはそんなナツミの横顔を見て、違和感なく会話できたことにほっと一息つく。
二人はしばし、言葉も忘れまったりと過ごしていたが、遠くで大きな破裂音がしたかと思うと、船内が慌ただしくなり、ばたばたと船員が走り周っているのが二人の耳にも届き、船が動きを止めた。
「うっさいな~」
その音でようやく忍者娘のアカネが目を覚ました。こんな光景を師匠に見られていたらお仕置きものだろう。
「なに?なんなの?」
アカネは起きたばかりで機嫌が悪いのか、糸目をこれ以上ないほど細めて辺りを睥睨する。ときおり頭をかくその姿は花も恥じらう乙女には見えなかった。
「とりあえず、甲板に行こっか?」
「そうね」
ナツミは花が恥じらうというより、見てるこっちがアレ過ぎるアカネを放っておくことに決め、ルイズを甲板へと誘う。アカネは使い物になるのはもう少しかかるだろう。これで奇襲とかには即座に反応できるのだから、切り替えの良さなら師匠たるシオンにも匹敵しているのだろう。
ルイズと並んで、ナツミが甲板に出ると、彼女たちが乗っている船マリー・ガラント号の隣に、いつの間にか黒船が止まっており、甲板はこの船の船員とは明らかに違う武器を持った男達に占拠されていた。
ナツミは明らかな異常をすぐさま感じ取ったが、男たちの正確な人数が分からない為、迂闊な行動をとることはしなかった。これが一年近く前だったら即座に突っ込んでいただろう事を考えると、少しはナツミにも思慮というのが身に付いてきたのだろう。
「誰だ!?」
不審な男たちの一人が、様子を見ていたナツミ達二人に気づき大声を上げる。それに気づきぼさぼさの黒い髪で左目に眼帯の男がこちらに目を向け近づいてくる。周りの荒くれどもが、何も言わずに道を開けるのを見るとどうやらこの男が荒くれどもをまとめている頭目であるのが分かった。
「貴族の客まで乗せてやがるのか」
空賊の頭は、ルイズに近づきその顎を持ち上げようとした。だが、その手はルイズと頭の間に割り込んだナツミよって遮られた。
「あたしの主人に触らないで」
「――っ!」
頭は突然、目の前に現れたナツミに驚いた顔をするが、ナツミの凛とした強い瞳を見て、にやりとその頬を緩ませる。
「くっくく。貴族の娘も別嬪だと思ったが、その従者……か?その嬢ちゃんもなかなかの別嬪じゃねぇか!しかも主を守ろうとし、賊にも臆せぬその態度。面白れぇ、おめぇら俺の船で皿洗いでもしねぇか?」
「い・や・だ」
わざわざ区切るように拒絶を意をナツミは示す。そこには虚勢は一ミリも無い。空賊の頭程度の恫喝など、ナツミからすればガゼルのカツアゲと大して変わりは無い。
むしろ今のこの光景は力の差を考えればネズミがライオン、どころかドラゴンに対峙すると動議の状況だった。無知とは恐ろしいとはまさにこのことである。
「一言かよ。がははは、面白れぇ!!」
そんな力の差を知る由も無い頭はナツミの賊である自分にも怯まない態度に気を良くしたのか、頭は面白そうにげらげら笑っている。ナツミはそんな頭にも警戒心を緩めず、その背でルイズを庇っていた。
そしてルイズは昨晩から見ていなかったナツミの背を見て絶句していた。
本当なら傷の具合を確かめたくて、すぐにでも確認したかったが、ナツミがあまりにも恥ずかしがった拒絶したため、昨晩は見る事が叶わなかったのだ。その背は電撃による火傷か、赤く腫れ上がり、所々に水泡が浮かび、しかもその幾つかは破裂までしており、痛々しさを増大させていた。
ルイズは傷口のあまりの凄惨さに言葉も忘れ、ギュッとナツミの服の袖を握り、俯く。
それを見てナツミはなにを勘違いしたのか、ルイズがこの後の展開を恐れていると思ったのか。
「大丈夫よルイズ。必ずなんとかするわ」
などと見当違いの慰めの言葉をかけた。
あの後一行はワルドとルイズは杖を、ナツミとアカネは武器をそれぞれ奪われ、船倉にぶち込まれていた。とは言っても、もともとルイズは魔法が使えないし、ワルドは風石の代わりに魔法を使いすぎて打ち止めで杖を奪っても意味はないし、ナツミとアカネは武器が無くてもある程度、戦闘が可能だしサモナイト石もそのままなのでこちらも別の意味で武器を奪っても痛手は無かった。
船倉は酒樽や火薬樽などは乱雑に積まれ、お世辞にも整っているとは言えない。だが我儘を言っても始まらないのでナツミはその隅っこに移動し、壁へ背を預ける。その時、傷口に触れたのか、痛みに顔を顰めた。そんなナツミの様子を見て、ルイズがナツミに詰め寄った。
「なんで怪我したこと言わないのよ!」
「ふぇ?」
いきなり怒鳴られ、ナツミは目を真ん丸にして驚く、その剣幕はナツミがルイズに会って以来、最大級のものであった。
「見せないさい!」
「うわっとと」
体格でナツミに劣るルイズであったが、怒鳴って勢いのついたルイズは、ナツミを乱暴に後ろに向けさせ、その傷口を覗きこむ。そこにあった傷口は先ほどと変わらぬ酷い有様であり、普段は溢れんばかりであろう少女特有の滑らかさは、すっかり失せていた。
「ひどい火傷じゃない!……あの時ね。急に転ぶからおかしいと思ったのよ。ワルドもナツミの背中を見てたし、あんた私をあの時、庇ってくれたんでしょ!」
「え、まぁ結果的に見ればそうかも」
「どうして、ナツミなら避けようと思えば避けられたでしょ?」
「いや、あたしが避けたらルイズに当たるし……」
その言葉にルイズは口を噤む、俯いた。心なしか瞳が潤んでいるように見える。ナツミが宥めようと、口を開きかけるが、その言葉はルイズによって阻まれた。ルイズは突然、立ち上がると扉を両手で叩き始める。
「ちょっと誰か!誰か来て!」
ルイズの叫び声に外に控えていた見張りの男がむくりと立ち上がる。
「なんでぃ!うるせぇな」
「水を!あと水のメイジを呼んで!怪我人がいるの!」
「いねえよ。そんなもん」
「嘘!いるんでしょ!」
ルイズは何故か突然、取り乱しそれをワルドは呆気に取られた様子で眺めている。ナツミは更に見張りに言い縋ろうとするルイズの肩を掴み止めさせた。
「ルイズ。大人しくして、あたし達捕まったんだよ?」
「で、でもナツミの怪我が……」
「あたしはこのくらい平気よ」
「う、ふぇえええ」
なおもナツミを心配しようとするルイズを安心させようとするがルイズは逆に嗚咽を漏らした。その様子はまるで、叱られた子供のような取り繕うことを知らないものの泣き方であった。
「ちょっとルイズ……」
「あらら、泣かせちゃった」
「アカネ~。どうしよ?」
「はぁ、あたしに頼らないでよ」
「むむむ」
困り果てたナツミはアカネへと援軍を頼むがあっさりと断られる。そのあいだルイズは俯いてぐすぐすと泣いている。
援軍も見込めぬ以上、どうこうすることも出来ないナツミが、手持ち無沙汰にルイズの頭を撫でようとすると、船倉の扉が急に開き、痩せ気味の空賊が入ってきた。
「てめえらに聞きたいことがある」
「……なんだ」
痩せ気味の空賊の言葉に一同を代表してワルドが答えた。
「てめえらはアルビオンの貴族派か?」
「……」
「おいおい、だんまりじゃわからねぇぜ?まぁ貴族派だとしたら失礼したなと思ってよ。俺たちは貴族派の皆さんのおかげで商売できてるからな」
「どういう意味だ」
「いやいや、いまだに王党派に協力する酔狂な連中もいてよ。俺たちは空賊の仕事を大目に見て貰う代わりに、そういう連中を捕まえるって密命を帯びてるのよ」
「じゃあ、この船は貴族派の軍艦ということか」
「軍艦って言うほど大したもんじゃねぇよ。あくまで協力者って位置だな。で、おめぇらは結局、貴族派か?もしそうなら近くの港まで送るぜ」
その言葉にナツミは内心、やったと思った。この場だけでも貴族派と言えば、このまま解放され任務に復帰できるからだ。だが、その期待も主人であるルイズにあっさりとぶち壊された。
「誰が薄汚い貴族派なもんですか。私は王党派へと使い。トリステインを代表してアルビオン王室へ向かう途中の大使、だからあんたたちにも大使としての扱いを要求するわ」
「「え!?」」
ナツミとアカネはルイズのあまりの馬鹿正直さに同時に驚きの声をあげる。そして即座にその意味を理解した。
「ル、ルイズ!?」
「あんたバカ!?」
「いや、バカじゃないわよアカネ。大体バカはそこの怪我を放っておいたナツミでしょ!」
「いや、バカって言った方がバカって……そうじゃなくて!正直なのはすっごく良いけど今は嘘でもいいから貴族派って言うべきじゃ」
「黙って。貴族派の恥知らず共に嘘を吐くなんて誇り高き貴族のすることじゃないわ!」
そんなルイズ達に先ほどまでにやにやしていた空賊の男は、笑うのを辞め鋭い目線で彼女たちを睨む。
「正直なのは良い事だが、ただじゃすまねぇぞ」
「うるさい!ただでさえ空賊となんか会話したくないのに、その上貴族派?そんなやつらに嘘を吐いて頭下げるくらいなら死んだほうがましよ」
「いや、その言葉に四人分の命がかかってるんですけど……」
アカネの悲壮な突っ込みは華麗にスルーされた。
「頭に報告してくる。その間に覚悟を決めるんだな」
空賊が去って、一行を閉じ込めた船倉は沈黙で支配されていた。
「……」
「……」
「ごめんなさい……みんなの事考えてなかったわ」
「はぁ謝るくらいなら嘘ついてよルイズ」
俯くながら皆に謝るルイズにナツミは苦笑しながら、文句を言う。その言葉には非難の色は無かった。
「でも、ルイズらしいわ」
「……ありがと」
優しげにルイズを褒めるナツミ。ルイズは頬を軽く染め、照れた。
「いや、のんきに和まないでよ……」
場違いに和んだ空気はアカネによって、吹き飛ばされた。
「あ、ごめん」
「ごめんじゃないわよナツミ。はぁ……めんどくさいけど脱出するわよこのままじゃ、殺されるしね」
しょうがないわねぇとアカネはごきごきと両肩の骨を鳴らし、意識を先頭へと切り替えていく。
「しかし、どうやって脱出するのかね?僕も杖は無いし、ナツミ君も杖代わりの剣を取られた。魔法を使えない現状で、船倉の扉を破るのは難しいぞ」
ワルドが現状を分析し、この状況を打開する方法が無いことを告げる。どうやらワルドはナツミが杖では剣と契約を交わして特殊なメイジだと勘違いしているようであった。
「大丈夫!ナツミはこう見ても怪力なんです!」
「アカネ……。どういうことよ」
突然話題の中心になったナツミ本人は首を傾げている。
(ジンガからストラを習ったんでしょ?)
(ああ、でも極初歩よ。なんの役にも立たないわよ)
ストラ。気とも言われる身体強化法の一種である。特殊な呼吸法で身体能力を強化する技法で、熟練者になれば細腕で大岩も砕くことも可能である。また、使い方によっては自分、もしくは他者の怪我も治療可能な万能技術である。
フラットのメンバーではジンガがその使い手であった。
ナツミも暇を持て余していたため、ジンガから多少その技術を学んでいた。が、適性が無かったため、少々身体能力をあげる程度しか使えない。
(ん~だったら憑依召喚でもしたら?あれなら召喚獣は見えないからワルドがいても問題ないでしょ?)
(ああ!その手があった)
「なにか揉めてるが大丈夫か?」
「任せて下さい」
ナツミはやる気満々で扉へと近づく。
「……力を貸してナックルキティ」
―ファイトだニャー―
幻獣界に住まうボクシング猫、ナックルキティを自らに乗り移らせ、攻撃力を跳ね上げる召喚術。中級に属する召喚術でありながら、その攻撃力上昇具合は全召喚術の中でも指折りである。
憑依召喚を終え、手のひらを握ったり、開いたりして具合を確かめ、ナツミは扉の前で歩みを止めた。
「うらぁあああああ!!」
怒鳴り声とともに離れたその一撃は、扉を砲弾のようにふっ飛ばし、向かいの壁まで破壊する。
「あらら、やり過ぎた」
自らが起こした惨状に、軽く頭を傾げナツミとその一行は廊下へと脱出する。
「……女性にこんなことをやらせて文句を言いたくはないが……もっと穏便にできなかったのか?」
「ワルドさん、穏便って言葉はナツミと無縁の言葉です」
頭を抱えて文句をワルドは言うが、その言葉は、なははと笑うアカネに流される。
「なんだ!」
その時、廊下の突き当たりから先程の痩せた空賊が、慌てた様子で顔をだす。
「おやすみ~」
「ぐあ」
瞬時にアカネはサルトビの術を使い、男の背後を取ると当身を食らわして、男の意識を刈り取る。
反撃の始まりであった。
ルイズ一行……(と言ってもナツミとアカネだが)の反撃は一方的なものであった。
ナツミが強化された腕力で次から次へと扉をぶち抜き、詰め寄る空賊を叩きのめし、距離が離れた空賊はアカネがサルトビの術で瞬時に距離を詰め当身を叩き込む。
死角は無かった。
「……なんと言うか。彼女達は常識というものが通用しないようだね」
「うん」
ワルドも自分よりも遥かに体躯が劣る少女達の猛撃に開いた口が塞がらないようであった。なにせ、自身よりも一回りは大きな体躯を誇る男共を素手で蹂躙しているのだから、その反応は当然だった。
「ナツミ!こいつらのボスの部屋が分かったわよ」
アカネが尋問を終えた空賊の男を放りだし、ナツミへと報告する。
空賊は意外にも高い忠誠心を抱いていたようで、アカネの忍者流の尋問にも口を割らず、アカネは師匠譲りの自白剤を用いて、ボスの場所を聞き出していた。
「アカネ……最初から薬使えばよかったんじゃないの?」
「うーん。この薬は副作用が激しいからね。あまり酷いことはしたくないからさ、最後の手段って決めてんの」
「そうなんだ……」
そう言って引き攣るナツミの視線の先には、白目を剥いて泡を吹く男の姿があった。
「こわっ……」
「……彼女達は良識というものが通用しないようだね」
「……うん」
アカネの行動に皆が引いていた。
一行は甲板へと上がり、船の後方へと突き進む。船の後方、後甲板の上に設けられた部屋、そこがこの船の船長室―つまり空賊の頭がいる場所だ。空賊達は未だに、船倉にぶち込んだ捕虜の脱出に気付いていないのか、甲板は静かなものだった。
ナツミとアカネは音も無く船長室の扉まで近づく、アカネとナツミは互いに視線を交わし合図をし合う。
「せえぇぇぇの!」
扉はまたもや砲弾のように打ち出され、豪華なディナーテーブルに上座に座る頭へと襲い掛かる。
「「なっ!?」」
「「えっ!?」」
頭を始め、数人の貴族が驚きの声をあげる。ほとんどの男達は反応らしい反応が出来ない中、杖をいじくっていた頭だけは咄嗟に風の魔法を唱え、扉を防ぐが彼らに出来た抵抗はそこまでだった。
「動かないで」
「――っ!?」
頭は後ろから響く冷徹な声と首筋から感じる冷たい感触に息を呑む。
「……降参だ」
頭の背後には、途中で空賊から奪ったと思われるナイフを頭の首筋に押し付けるアカネの姿があった。
そして、入口近くにいた数人の空賊はナツミの強化パンチを貰って壁にめり込んでいた。
扉をぶち破られ、電光石火の勢いで頭を人質に取られた空賊も一瞬後には事態を飲み込めたのか、一様に得物を取り出した。なぜかその武装は空賊とは思えぬ杖ばかりであったが。
「くっ貴様ら!」
「動かないで……後は言わなくても分かるでしょ?」
戦闘態勢を整えた空賊に対して、アカネはいつもの漂々《ひょうひょう》とした態度とは打って変わって氷の様な冷たい気配を滲ませ牽制の言葉を言い放つ。
「……」
「くっ……」
アカネの冷たい殺気に本気の殺意を感じた空賊は杖を下ろし、アカネを睨みつけた。
「さて、このまま王党派がいるニューカッスル城まで運んでくれる?」
一同を代表し、腕を組んで空賊を一瞥し、命令するナツミ。
「待ってくれ!その君たちは貴族派ではないのか?」
頭はナツミの言葉に反応し、何故か貴族派かどうかを聞いてくる。その態度は先ほどまでの空賊の頭としての粗暴な様子は鳴りを潜めていた。
「だからさっきルイズが王党派の大使だって言ったでしょ?何回言えば分かるのよ」
「本当に貴族派ではないのか?」
「……アカネ」
なおも言い縋る頭に、背中傷口からの痛みで、ストレスが頂点のナツミはアカネに頭を静かにさせる意思を込めて、名前を呼ぶ。その意図を汲んだアカネは首筋に押し付けていたナイフをさらに押し付ける。
「ぐっ!」
「おう、じゃなくて頭!」
「動かないで!三度目は言わせないで」
空賊達は自分達の頭に危機に、一様に汗を流し焦燥していた。その忠誠心はただの賊にしてはもったいない程であった。
「もう抵抗はしないよ。勇敢なお嬢様方。あと皆も杖をしまってくれないか?」
自らの手下の様子にこれ以上の抵抗は出来ないと頭は諦めたのか、手下にも抵抗を止めるように促した。いつの間にか、その口調は気品に溢れたものになっていた。
「……?」
アカネは予想した結果とは違う様子に警戒こそ解かなかったが、ナイフはそのままに器用に首を傾げていた。
「そのままでいい。聞いてくれ」
空気が頭の言葉に厳かなものに変わっていくような錯覚に皆は感じる。そして頭の次の言葉に、ナツミ達一行は今日一番の驚きの声をあげた。
「わたしはアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官。そしてアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。今までの無礼な態度は許してほしい」
「「え」」
「「ん?」」
ワルドとルイズは今の頭の言葉を頭の中で、よ〜おく咀嚼し消化する。
そして
「「ええええええええええええええ!!?」」
「「何?」」
ワルドとルイズがあまりの事態に絶叫する中、ハルケギニア人ではないナツミとアカネは致命的なまでにその場の流れというやつに取り残されていた。
……ただでさえ不定期更新なのにパソコンがフリーズ連発中で絶不調です。
今日はネットに繋がったので出来上がった分を投稿しました。