今回もよろしくお願いいたします!
誕生日。
それはリア充(笑)にとって、友達にとって祝ってもらい、更に家族にも祝ってもらい、恋人にまで祝ってもらえるという、とても印象に残る日である。
一方で、ぼっちである俺はどうだろう。誕生日を祝ってくれる仲間はいない。恋人なんているはずもない。更に家族は小町が朝一言「お兄ちゃん!誕生日おめでとう!あ、これ小町的にポイント高い!」と言われ、親からは現金10000円を手渡しされて終わりだ。まあ、可愛い妹からおめでとうと言ってもらい、親から金を貰えるだけ良いと思った方が良いのだろうか。それともリア充(笑)のように友達に祝ってもらい、恋人に祝ってもらえない俺は不幸なのだろうかと思った方が良いのだろうか。
まあ、俺の場合誕生日が8月8日で学校が夏期休暇で無いため、学校の友達に祝ってもらった事なんて無い。まあ、多分夏期休暇とかじゃなくても友達なんていないから学校の友達に祝ってもらうなんてことはないんだろうけどな。
だが待ってほしい。
もし友達に祝ってもらえたとする。会場が自分の家だったとしよう。その場合、料理を出すのも、ケーキを買うのも自分だ。なんで祝われる側の人が、金出したりしなくてはいけないのだろうか。会場がカラオケなどの場合、まずカラオケに入るのに金がかかる。
よって友達に祝ってもらう誕生日とは、金を捨てると言う事だ。
うん。家族とか一人で誕生日過ごす俺、超経済的。
恋人なんてもっと自分の経済面を危うくさせるものだ。
恋人がいる場合、大抵の事は男が自分の甲斐性を良く見せるために、彼女にものを奢ったりする。もし、彼女に誕生日プレゼントをもらったとしよう。その場合お返し物は価値が彼女にもらった物以上の物をプレゼントしなくてはならない。
学生時代の恋人なんて、大抵の場合結婚まではたどり着かず1年やそこらで別れる物だ。たったそれだけの時間の思い出に、多額の出費など、専業主夫志望の俺からしてみると、絶対にありえない出費だ。
やはり俺は思う。リア充なんて、金と時間を無駄にする、唯の無駄の塊だ。
そんな無駄の塊なんて、砕け散ってしまえ。
「お兄ちゃん!今日はお兄ちゃんの誕生日です!小町はそのお祝いがしたいのです!だからお昼ご飯はどこかに食べに行きましょう!」
小町がいきなり部屋に入ってきて、大声でそんなことを言ってきた。
ノックもせずにいきなり入ってくるなんて、もし俺が自家発電の真っ最中だったらどうしたんだよ。もしくは、女の子でも連れ込んでたら。
うん。後者の場合警察が俺の家に来て、しばらく俺が帰れなくなるだけだな。
「はあ。どこかに食べに行くって言ってもどこに行くんだよ。」
「小町はお兄ちゃんと一緒にどこかに行ってご飯を食べれればそれでいいのです!あ、今の小町的にポイント高い!」
「俺は小町が作ってくれたもの食った方が幸せなんだがな。あ、今の八幡的ポイント高い。」
「お兄ちゃん。いつからそんな女心くすぐるような言えるようになったの。将来の道が本当にヒモ一本に絞られちゃうよ。まあ、そんなことよりとりあえずお兄ちゃん。どこに行く?」
「もうどっか行くならサイゼでいいだろ。サイゼで。」
「わかったよお兄ちゃん!今が10時だから、13時までに出かけられるようにしておいてね!」
「了解。俺なんか眠くなってきたから、12時になったら起こしてくれ。」
「ん。わかったよ。」
そして俺は眠りについた。
小町side
さて、お兄ちゃんも寝たし結衣さんと雪乃さんに連絡でもしておきますか。
つい先日誕生日の話になって、お兄ちゃんの誕生日が8月8日だと教えたら誕生日パーティーをしようと言う話になった。でも、誕生日パーティーの事を言ってしまうと、お兄ちゃんは絶対に行きたがらないだろうから、小町と2人きりでご飯を食べに行くという事にしてある。
さて、メールも送ったし。後は小町の仕事はないかな。
その後、カーくんと少し遊んで、宿題をやっていたら12時になったのでお兄ちゃんを起こしに行く。
「お兄ちゃん。お兄ちゃん。12時だよ。起きて。」
「ん。なんだよ小町。そんなに急いで……。このあと何か用事でもあるのか?」
「今日はお兄ちゃんの誕生日でしょうが。だからお昼ご飯にサイゼに行こうって話したでしょ。」
「ん。あ…。そうか。もうこんな時間か。起こしてくれてありがとな小町。」
そう言ってお兄ちゃんは小町の頭を撫でてリビングへと行った。
小町は玄関で靴に履き替えて待ちながら鼻歌を歌っていた。
「今日はお兄ちゃんの誕生日!今日はお兄ちゃんの誕生日!」
「おまえ、本当元気だな。そんなに俺の誕生日って嬉しいものなのか?」
「うん!あ、今の小町的にポイント高い!」
「最後の一言がなきゃもっと高かったのにな。で、小町。どこのサイゼ行くの?」
「稲毛海岸だよ!」
「幕張のでいいじゃねえか。」
「小町が稲毛海岸に行きたいだけだよ。」
「夏休みになるまでいつも行ってたじゃねえか。まあいいか。ほれ早くいくぞ。」
「あいあいさー」
八幡side
で、サイゼに来たのはいいのだが。なんで由比ヶ浜と雪ノ下が?
しかも小町はにやけているし。はい、これもう小町の仕業ですね。
「ねえ小町ちゃん?いったいどういう事かな?」
「え、いや。」
なにその宿題忘れたの先生に言いに行ったはいいが、言い訳考えてなくて必死に言い訳考えているような顔は。
「比企谷君。私たちが居ては困るのかしら。」
「いや、そういうことじゃなくてだな、なんで前もって俺に言っておかなかったのかってことを聞いているんだよ。」
「だってヒッキー絶対に嫌がるじゃん。誕生日会なんてしなくていいって。去年も、いい。いらん。やめろ。って言ってたし。」
「ぐ…。はあ、まあいい。二人ともこんな暑いのに来てもらって悪いな。」
「別に大したことではないわ。私も由比ヶ浜さんも誕生日プレゼントをもらったのだし、誕生日に行くのくらい当たり前だわ。」
「うんうん。ヒッキーにはいつもお世話になってるしね!」
「お世話してあげるの間違いではないのかしら?」
「ゆきのんも素直じゃないなー。プレゼント選んでるときめっちゃ真剣だったのに。」
「由比ヶ浜さん。余計なことを言わないでもらえるかしら。その男に勘違いされるのなんて御免なのだけれど。」
「大丈夫だ。俺は勘違いなんてしないからな。」
「あ、いた。はちまーん!」
ん!?この声は…
戸塚だ!!!
「さいちゃんやっはろー!」
「やっはろー」
やっぱり戸塚はかわいいな。由比ヶ浜のアホなテンションに合わせてあげてるよ。
「比企谷君。普段に増して腐った目で由比ヶ浜さんと、戸塚君を見ないでもらえるかしら。」
「雪乃さん。それってずっと私を見てろと言いたいんですか!」
「小町さん。私でも怒ることはあるのよ…?」
「おい雪ノ下。小町を怖がらせるな。泣いちゃうことになるよ。俺が。」
「あなたなのね。」
そりゃそうだろ。小町が俺に助けを求めたとする。そうしたら俺は雪ノ下と対決することになる。俺が雪ノ下に完敗して泣くことになる。
「小町さん次はないわよ。」
「は、はい。じゃあ全員揃ったし好きなもの頼んで行きますか!」
小町立ち直り速っ!
俺達は夏休みにあったことなどを話しながら来た料理を食べた。
そして、食べ終わって少し経ったとき、小町が急に立ち上がり始めた。
「さあ、皆さん。サイゼはここまでにして、今からカラオケに行きましょう。予約は小町がちゃんととってあります!」
「ありがとね。小町ちゃん。全部やってもらっちゃって。」
「手間をかけてしまってごめんなさいね。」
「ごめんね。小町ちゃん。」
「いやいや皆さんが兄の誕生日を祝ってくれてるんですからこれくらい全く問題ないです。」
なんだか俺の知らない内にいろいろとことが進んでくんですけど。
そして、カラオケに着いた俺たちは部屋に行き、飲み物を持って乾杯をしていた。
いや、なんでいきなり乾杯なんだよ。
「ヒッキーってこうやってみんなで誕生日会するのって初めて?」
「ああ。初めてだよ。」
「へえ。じゃあ僕達が八幡の初めてなんだ。」
グハッ!やばい。戸塚の破壊力やばい。
「八幡。大丈夫?」
「ああ。大丈夫だ。」
「ねえねえゆきのん。あたしの誕生日の時ってカラオケでどんな話したんだっけ?」
「由比ヶ浜さんの誕生日には、たしか血液型占いの話をしたわね。全てを比企谷くんが否定してくれたのだけれど。」
「うっせ。お前のはピッタリ過ぎたろ。自由でマイペースで傍若無人とか。戸塚と由比ヶ浜と小町と雪ノ下の4人は血液型占い合ってただろ!」
「やっぱりあなたは仲間はずれなのね。それが一番似合うわよ。はみ出し谷君。」
「いや、俺はイレギュラーな存在なだけだ。スペシャルな人間なんだよ。てか、お前のその全くゴロの合ってない名前の悪口どうにかならないの?」
「名前の悪口で思い出したのだけど由比ヶ浜さんのあだ名を考えたわね。」
「そういやそうだったな。」
「あたしのあだ名ってどんなのが出たんだっけ?」
「あなたの友達が訳のわからない名前を言っていたわよね。」
「誰のことだ?」
「あー。中二さんですね!」
「あ、材木座か。あいつは友達じゃねえよ。」
そういえばそうだったな。
雪ノ下がセンスの欠片もないあだ名言ってたな。
そうそう。たしかゆいのん。
あれは酷かった。
材木座の言ってたのは思いっきり二つ名だったな。なんだよ。千葉の黒い白虎って。黒なのか白なのかわかんねえよ。
そう考えると俺の考えたゆいゆいと、ガハマさんはマシだったな。
今考えると、いや、今じゃなくてもだろうけど雪ノ下の誕生日って大変だったなあ。由比ヶ浜とプレゼント選びしてたら大魔王の雪ノ下さんにあってしまったんだからな。あれは不幸だった。
なんで俺と由比ヶ浜が2人でどこかに行くと大抵の場所に現れるんだよ。
花火大会にしろ雪ノ下の誕生日プレゼント買いに行ったときにしろ。
はあ。考えるのは辞めておこう。何か裏があるような気がしてきた。
「あ、ヒッキー!これ誕プレ!あげる!」
「お、おう。ありがとな。由比ヶ浜。開けてもいいか?」
「うん!」
あけてみるとそれはPCメガネだった。
おい。これって前に、雪ノ下の誕生日プレゼント買いに行ったときに見て、似合わなーいって、言ったやつじゃねえか。
まあ、もらった立場の人間だ。文句なんて絶対に言わない。
「あ、あの比企谷くん。これ。誕生日プレゼント。」
「ん。ありがとな。雪ノ下。」
なぜだろう。普段強気の雪ノ下とのギャップありすぎて可愛く見える。これがギャップ萌えというものなのだろうか。
雪ノ下にもらった物を見てみると、それはパンさんのブックカバーだった。
「え、いいの?パンさんのブックカバーなんてもらって。」
「いいのよ。私も同じのを持っているから。」
え、何?ペア?
めちゃくちゃ恥ずかしいじゃねえかよ。
これは家専用にした方がいいのか、それとも部室で使った方がいいのか。
「八幡!これあげる!」
ウオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーッッッッッッッッッッッッッッ!!
戸塚からプレゼントを貰えた!!!!
「は、八幡、なんで泣いてるの?いや、だった?」
「そんなわけ無いだろ!戸塚のプレゼント一生大事にするからな。」
「うん。ありがと!開けてみて!」
あけてみると、保湿クリームだった。
「今は必要ないけど、あと4ヶ月位したら必要になるでしょ?」
「ありがとう。これは使わないで机の引き出しにしまっておくよ。」
「八幡!ちゃんと使ってね!使ってるかどうか、手の匂い嗅いでチェックするよ。」
なにそれ!?ご褒美ではないですか!
なんだが冬が楽しみになってきた。
「お、おう。」
多分今年の誕生日は今までで一番楽しかったかもしれない。俺は誕生日を友達に祝ってもらうということを嫌っていたが、それは食わず嫌いだったんだな。
あれ、でもこいつらって友達だったかな?
まあ、俺にとって大切なものだ。
訂正する。大切な人達に祝ってもらう誕生日はいいものだな。
「みんな。今日は本当にありがとな。」