D-HEROと共に戦うデュエリスト   作:無言の短パン

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 お久しぶりです。まだ生きてました。



終わりなき脅威、復活する三幻魔。

「行くぞ、ドロォォーーーー!!!」

 

 さてと、何が来たかな。……あれ、おかしい。なんか幻覚が見えたな。

 ヤバい。三幻魔のあまりの圧倒的なプレッシャーに、頭がやられたのかな。よし、もう一度見てみよう。

 えーと、なになにー。……俺が引いたカードは……氷結界の儀式術見習い エリアル。

 見間違いじゃなかったかー。……何で!どうしてエリアルが俺のデッキに入っているんだよ!

 何がどうなってんだよ。……!まさか、三幻魔の仕業か!

 おのれ三幻魔め、ゆ゛る゛さ゛ん゛!!

 ……てつをごっこで現実逃避してる場合じゃなないだろ!!アホか俺は!!

 真面目に考えよう。えーと……そう言えば、此処まで来る最中にエリアルが疲れていたみたいだったから、1度モンスター回収でデッキに回収したな。

 えーと確かそれで…それで……そのままだったな。

 マジか。完全に忘れてた。えっ、嘘。どうする、マジでどうする!!

 

「どうした、今は貴様のターンだぞ。早くカードを発動するなりしろ!それとも、このターンはなにもせずにターンエンドか?」

 

「どうしたんだ、未来。今はデュエル中だ、デュエルに集中しろ!」

 

 そうだ!今は三幻魔とのデュエルの最中。そして状況は最悪。

 たデュエルに集中しないと、次のターンにヤられる。

 落ち着け俺。えーと、俺の他の手札のカードは時計塔、終わりの始まり、一時休戦、ディアボリックガイ。伏せカードは融合。

 まぁ取り敢えず、このカードを使うか。

 

「手札から、一時休戦を発動。この効果によりお互いにデッキからカードを1枚ドローして、次のあんたのターン終了時まで、お互いがは一切のダメージを受けなくなる」

 

「上手いノーね」

 

「えぇ。これなら、取り敢えずは次のターンまで安全ですね」

 

 俺たちは一時休戦の効果で、互いに1枚ずつカードをドローした。

 ……よし、大嵐のカードを引いた。

 こいつを発動してフィールド・バリアを除去した後、幽獄の時計塔を発動すれば失楽園は破壊できる。

 伏せてある融合が破壊されるのは勿体無いが、今はとにかく失楽園を破壊するのが優先事項だ。

 これ以上、コブラにドローされる訳にはいかない。

 よし早速発動してやる!……んっ、いや待てよ。

 エリアル…ディアボリックガイ…そして融合……。

 

 この状況で出せるHEROが……1体だけいるな。

 あのカードを出せばこの状況を覆す事が出来る。

 ……だが出すのか、あのカードを。あのカードはE・HEROだぞ。

 

 E・HEROには使い勝手がいいモンスターが多い。特にエアーマン、プリズマー、ブレイズマンの3体は優秀だ。

 かつては俺も便利だからって、エアーマンやオーシャンを入れてたけど、あいつにある事を言われて以来抜いた。

 そいつはこう言ったんだ。

「お前のデッキてさ……D-HERO入れてる意味あるの?……だってお前、デュエル内容がE・HEROとM・HERO任せの展開が多いし。明らかに何枚か抜いた方がいい奴らがいるよな」ってな。

 それを聞いた時は、相当なショックを受けたよ。俺はD-HEROメインで戦っていたつもりだったから。

 でも、そいつに指摘されて気づいた。俺はいつの間にか、勝ちたいがためにM・HEROとE・HEROを入れてデュエルしてたんだってな。

 大好きな、D-HEROを蔑ろにしてな。

 それ以来だ、デッキからE・HEROを抜いたのは。

 だが数枚だけ、超融合のカードを入れてるからって理由で、エクストラに残した奴らがいた。

 でも結局、超融合は口実に過ぎなくて、心の何処かでE・HEROを抜きたくないって気持ちがあったから、残したんだと思う。

 まぁ結局あれ以来、E・HEROを融合召喚した事は1度もないんだけどさ。

 

 俺は果たして、E・HEROを融合召喚出来るのか?

 ……いや、迷ってる余地なんてない。このまま迷いながらデュエルを続ければ、俺は確実に負ける。

 出来るかじゃない、やらなきゃいけないだろ!

 もしここで俺が負ければ、原作が大幅に最悪な方向で変わっちまう可能性もある。

 俺にとって遊戯王シリーズは、全てが等しく大切なものだ。

 漫画もアニメもゲームもカードも、俺にとっては大切なものなんだよ!

 それが俺のせいで最悪な風に変わっちまうなんて、絶対に許せねえ!

 大切なものを守るためにデュエルするって決めたんだ。GXの原作だって守ってみせる!!

 ……エリアル。悪いけど、少しだけお前の力を借りるぞ。

 

「俺は、伏せていた融合を発動。その効果により、手札のディアボリックガイと……氷結界の儀式術見習い エリアルを融合」

 

 

「エ…エリアルちゃん!? どうしてエリアルちゃんがおじさんのデッキに!」

 

「あっ、あの時だよ。ほら、モンスター回収の時に」

 

「そ、そうです。すっかり忘れていたです」

 

「な、何をするつもりなの?」

 

「ゆ…融合だと思うけど〜……(あははは〜。まさか〜、アルルンを融合素材にするとは思わなかったよ〜。本当に、ライライは面白い事をするね〜。一緒に居て飽きないな〜)」

 

 

「……来い!氷結の戦士、E・HERO アブソルートZero!!」

 

 俺のフィールドが氷で覆われていき、それが砕けた瞬間にアブソルート Zeroが現れた。

 Zeroはチラリと顔を俺の方に向けてきた。

 

「……アブソルートZero。俺に対して思う所は色々あると思うけど………今はお前の力を貸して欲しい。頼む」

 

 Zeroはしばらく俺の事をジーと見たのち、ゆっくりとだが頷いてくれた。

 ありがとう……助かる。

 

「馬鹿な!D-HEROと氷の小娘が融合し、E・HEROが誕生しただと!」

 

 

「アブソルートZero。ネオスとは違う、新しい可能性を持ったE・HERO。……へへへ、スゲー。未来の奴、こんなすげーモンスターを隠し持ってたのか!」

 

 

「だがこの瞬間、ラビエルの効果発動!相手がモンスターを召喚・特殊召喚した瞬間、幻魔トークンが私の場に召喚された数だけ特殊召喚される。現れろ、幻魔トークン!」

 

 コブラの場に幻魔トークンが守備表示(1000)で現れた。

 

「まだだ!俺はさらに、手札から大嵐を発動。その効果でフィールドの魔法・罠を全て破壊される!」

 

「失楽園はフィールド・バリアによって守られているため破壊はされない」

 

 コブラの言った通り、大嵐によって伏せカード、ウリアに装備されているエターナル・リバース、そしてフィールド・バリアは破壊されたが失楽園は場に残った。

 

「そんな事は知ってるさ!俺はさらにフィールド魔法、幽獄の時計塔を発動!」

 

「何、しまった!!」

 

「新しいフィールド魔法の出現で、失楽園は崩壊する」

 

 俺の宣言を皮切りに失楽園は崩壊していき、場に幽獄の時計塔がそびえ立った。

 

「そしてバトルだ!Zeroで幻魔トークンを攻撃!Zero、お前の力を見せつけてやれ!フリージング・アット・モーメント!」

 

 Zeroは大量の氷の礫を放ち、幻魔トークンを破壊した。

 

「俺はこれでターンエンド」

 

 

 

 未来

 E-HERO アブソルートZero 攻撃表示(2500)

 手札 1枚

 ライフ 800

 

 フィールド:幽獄の時計塔

 

 コブラ

 降雷皇 ハモン 攻撃表示(4000)

 神炎皇 ウリア 攻撃表示(4000)

 幻魔王 ラビエル 攻撃表示(4000)

 手札 1枚

 ライフ 1600

 

 

 

「私のターン、ドロー」

 

「この瞬間、時計塔の針は進む!」

 

 時計塔の針は3時を指した。

 

「……貴様、よくも失楽園を破壊してくれたな。……氷の戦士だかなんだか知らんが。氷程度……ウリアの灼熱によって、一瞬の内に溶かしてくれるわ!!バトルだ!」

 

 うわ、めっちゃ怒ってるよ。怖!

 

「やれ、ウリアよ!奴のモンスターを焼き尽くせ!ハイパー・ブレイズ!!」

 

 ウリアはその巨大な口の中から、巨大な火炎放射をZero目掛けて放ってきた。

 

「さっきのターンに使った一時休戦の効果で、俺はあらゆるダメージは受けない」

 

「だがモンスターは破壊される!」

 

 ウリアの火炎放射によって、Zeroは跡形もなく消滅した。

 そしてその勢いは止まらず。そのまま俺に直撃した。

 

「ぐぅぅーー!!」

 

 おいおい、ダメージは一切無いはずなのに……なんだよこの熱さは!?

 技の衝撃と余波だけでこれかよ。

 もしダイレクトアタックなんてくらったら……想像するだけでも怖いな。

 

「どうだ理解したか。三幻魔の前では貴様のモンスターなど、壁にすらならないとな」

 

「……確かに三幻魔は強い。……だが。俺のHERO達の事何も知らないくせに、勝手に馬鹿にしてんじゃねーよ!!この瞬間、Zeroの特殊効果が発動する!」

 

 俺が宣言した瞬間に、三幻魔が凍った。

 俺を苦しめてた三幻魔が一瞬の内にカチンコチンにな。

 

「なっ……一体何が起こった!?」

 

「Zeroの特殊効果。それはフィールドを離れた時に、相手モンスター全てを道連れに破壊するだ」

 

 それぞれの三幻魔の体の至る所からひびが入り、そして幻魔は粉々に砕け散っていった。

 ……Zero、助かった。本当に……本当にありがとう。

 お前はやっぱり強いな。ただ強いだけじゃない、お前を出すとどんな状態でも安心する。

 Zero、あの時からお前の事を全く使わなくて、本当にごめん!

 また必ずお前の力を借りる日が来ると思うからさ。その時はもしお前さえ良ければ、また力を貸して欲しいな。

 

「ば、馬鹿な。三幻魔が……一瞬のうちに、破壊されただと」

 

 Zeroだけじゃない。エリアル、お前にも助けられた。

 あの時の俺は、三幻魔のプレッシャーに呑まれてた。

 そんな時にお前が来てくれたおかげで、緊張が途切れて冷静になることが出来た。

 あのままの状況でデュエルを続けてたら、確実に負けてた。

 このデュエルが終わった後でちゃんと、礼をしないとな。

 まぁ、勝てたらの話なんだけどな。

 

 

「凄いです。あの状況からあっという間に形成逆転です」

 

「あのHERO、凄く強いね!私も欲しいな」

 

「(E・HERO無しでも融合召喚出来る、E・HERO アブソルートZeroか〜。……あははは〜、ライライにはいつも驚かされちゃうな〜)」

 

「す、素晴らしいノーね」

 

「……だが、ウリアには蘇生能力がある。まだ油断は出来ない」

 

 

「私は……ウリアの特殊効果発動。手札1枚を墓地へ送り、ウリアを復活させる。……さらにカードを1枚伏せる。これでターンエンドだ」

 

 ウリアは復活したとはいえ、三幻魔が破壊されてかなり面食らってるな。

 今が攻めるチャンスだな。

 

 

 

 未来

 手札 1枚

 ライフ 800

 

 フィールド:幽獄の時計塔

 

 コブラ

 神炎皇 ウリア 攻撃表示(4000)

 伏せカード 1枚

 ライフ 1600

 

 

「俺のターン、ドロー。……手札から死者蘇生発動。その効果で、俺の墓地に存在するディスクガイを守備表示で特殊召喚する。ディスクガイが墓地から蘇ったことで、カードを2枚ドローする。カードを1枚伏せる、これでターンエンド」

 

 まぁ、簡単に思い通りにはならないか。

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

「この瞬間、ディスクガイを対象にハーフ・シャットを発動!その効果でディスクガイはこのターン、攻撃力は半減するが戦闘では破壊されなくなる。さらに、時計塔の針が進む!」

 

「小癪な。……ふっはっはっはー!!」

 

 なんだ?コブラの奴ドローしたカードを見た途端、バカ笑いし始めたぞ。

 一体何のカードを引いたんだ?

 

「私はウリアを生贄に……暗黒の召喚神を召喚する」

 

 暗黒の召喚神?確か、ユベルが使ったモンスターだったと思うけど。

 うーん。どんなモンスターだか、全然覚えてないな。

 

 

「幻魔を生贄に召喚って、いくらウリアに蘇生能力があるからって、何を考えてるの」

 

「攻守は0だし、何か特殊効果を持ってると思うけど」

 

「暗黒の召喚神。まずい、あのカードは!!」

 

 

「暗黒の召喚神の特殊効果発動!暗黒の召喚神を生贄にする事で、墓地に存在する神炎皇ウリア、降雷皇ハモン、幻魔皇ラビエルの3体を召喚条件を無視して私のフィールドに特殊召喚する!さぁ、私の闇を糧として……蘇れ三幻魔よ!」

 

 コブラのデュエルディスクの墓地ゾーンから赤、黄色、青の3色の光が溢れ出してた。

 そして3色の光が収まると。コブラの場に神炎皇ウリア、降雷皇ハモン、幻魔皇ラビエルが復活していた。

 

「さて、このまま総攻撃と行きたいところだが。暗黒の召喚神の効果を発動したターン、私はバトルを行う事が出来ない。よってこれでターンエンドだ」

 

 

「マ……マンマミーア。まさか、一瞬で……形成を逆転するとは」

 

「こ、このターンは凌げても……」

 

「えぇ、次のターンに攻撃力4000の化け物達の攻撃を、3回も防がないといけなくなったわね」

 

「甘いよ。そもそも、ハモンがモンスターを戦闘で破壊すれば、特殊効果で1000のダメージを受ける事になるのを忘れたの。それでライライのライフは800。もうレインボー・ライフのカードも使っちゃったから、ライライは相当追い詰められてる状態だよ」

 

「そんな。……おじさん」

 

 

 くそ、やっぱり三幻魔は強いな。

 だが。このデュエルだけは、このデュエルだけは絶対に負ける訳にはいかない!!

 俺がここで負けたら、確実に大好きなGXの世界が滅茶苦茶になっちまう!

 何かないか、何かこの状況を逆転できるカード……何か!

 ……まぁ、あのカードしかないよな。あのカードの力なら一発逆転が可能だ。

 あのカードを完全な状態で使うには、大量の手札が必要だ。

 だが、それには次のターンのドローで強力な手札増強カードを引かなければいけない。

 頼むぞ……俺のデッキ。

 

 

 未来

 D-HERO ディスクガイ 守備表示(300)

 手札 1枚

 ライフ 800

 

 フィールド:幽獄の時計塔

 

 コブラ

 神炎皇 ウリア 攻撃表示(4000)

 降雷皇 ハモン 攻撃表示(4000)

 幻魔王 ラビエル 攻撃表示(4000)

 伏せカード 1枚

 ライフ 1600

 

 

「お、俺のターン……ドロー!……カードを1枚伏せて、手札から天よりの宝札を発動!その効果によりお互いに手札が6枚になるように、デッキからカードをドローする」

 

 お互いの手札は0。つまり互いに6枚ドロー。

 頼む、来てくれ……ブルーディー!

 

「「カード、ドロー!!」」

 

 俺とコブラは同時に、6枚のカードをドローした。

 ……来てくれたか。いつもありがとう、俺のデッキ。

 

「俺は墓地のディアボリックガイの効果発動!墓地のディアボリックガイを除外する事で、デッキからディアボリックガイを特殊召喚する。さらにデビルガイを召喚」

 

「貴様が2体のモンスターを召喚した事により、私のフィールドに2体の幻魔トークンが特殊召喚される」

 

「俺の場に存在するディスクガイ、ディアボリックガイ、デビルガイの3体を生贄に……現れろ、D-HERO……ブルーディー!!

 

 3体のモンスターは薄黒い血となって地面に吸収された。

 そしてそこから、大量の黒い血が空に向かって吹き出した。

 そしてその血の中から、ブルーディーが現れた。

 ブルーディー。久しぶりの出番だからなのか、随分と張り切ってるな。

 えっと、ブルーディーを最後に召喚したのはいつだったかな?

  確か……バルバロスの時だったかな? いや、違ったかな?

 あれれ?

 

 

「ブルーディー。……噂で聞いたことがある。エドの父親が殺される間際に創作した、究極のDと呼ばれているカード。まさか究極のDと言われたカードまで持っていたとは」

 

「お、お、お姉ちゃん。……あ、あのカードは」

 

「落ち着いきなさいピケル!」

 

「2人共、どうかしたの? 」

 

「そうだったわね。貴方…あの時は……別に何でもないわよ。ねぇ、ピケル」

 

「で……です」

 

「??……変なのー」

 

 

 まぁ、ブルーディーをいつ召喚したかなんて、今はどうでも良いか。

 

「さぁブルーディー、お前の力を存分に見せてやれ!ブルーディーの特殊効果発動、標的はハモンだ!やれ、グラプティー・ブラッド!」

 

 ブルーディーはその効果で、自身の何倍もの大きさのハモンを跡形もなく吸収した。

 

「なっ、馬鹿な!ハモンを吸収しただと!一体何が起こった」

 

「グラプティー・ブラッドは相手フィールド上のモンスターを装備カード扱いとしてブルーディーに装備する効果だ。そしてブルーディーは装備したモンスターの攻撃力の半分とモンスター効果を得る。……よって今、ブルーディーの攻撃力は3900になり、ハモンの特殊効果を得ている」

 

「そういう事か。……ハモンを取り込んだ時は驚いたが。その攻撃力では、ラビエルとウリアの攻撃力4000には及ばないぞ」

 

「それはどうかな。……俺はさらに、手札からD-フォースを発動!その効果により、俺のデッキの上に表側表示で置く。このカードがデッキの上に存在する限り俺は通常ドローは出来なくなる。だが、このカードがデッキの上に表側表示で存在する時、ブルーディーの隠された2つの効果が発動される」

 

「隠された効果だと」

 

「ブルーディーの隠された効果。それは相手フィールドのモンスター効果を全て無効にする効果、さらに相手が発動した俺のカードを対象にする魔法・トラップカードの効果を無効にして破壊する2つの効果だ。……さぁ、ここで質問だ。モンスター効果を失ったウリアの攻撃力は幾つになるんだろうなー」

 

 

「ウリアは自身の効果で攻撃力が決まるモンスターだったわね」

 

「その元々の攻撃力は……えーと、幾つだっけ?」

 

「ゼロだよ」

 

 

「こ、こんな事が……何というモンスターだ」

 

「さぁ、これで終わりだ!ブルーディー、ウリアに攻撃しろ!ブラッティー・フィアーズ!!」

 

 ブルーディーは翼から大量の針のような形をした血の塊を、ウリアに向けて打ち出した。

 よし、これで俺の勝ちだ!!

 

「まだだ!私は伏せていたデルタ・バリアを発動!このカードが発動した時、墓地にある同名カードを発動する事が出来る。よって私は墓地に存在する2枚のデルタ・バリアを発動。そしてデルタ・バリア3枚が私の場に存在する時、1ターンに1度私の場のモンスター1体の戦闘ダメージを0にする事が出来る。私はウリアのダメージを0にする」

 

 ブラッティー・フィアーズは巨大な三角形のバリアーに全て防がれてしまった。

 そうか、デルタ・バリアの同じカードを持って来る効果は墓地限定だったのか。

 くそ、相手モンスターを対象にした効果はブルーディーの効果じゃ防げない。

 

「俺は手札全てを伏せる、これでターンエンド」

 

 

「このターンで決めきれなかったのは、相当痛いな」

 

「あんな強いモンスターでも倒せないなんて……あいつ本当に強いね」

 

 

 

 未来

 D-HERO ブルーディー 攻撃表示(3900) ハモン装備

 伏せカード 4枚

 ライフ 800

 

 フィールド:幽獄の時計塔

 

 コブラ

 神炎皇 ウリア 攻撃表示(0)

 幻魔王 ラビエル 攻撃表示(4000)

 幻魔トークン 守備表示(1000) ×2

 デルタ・バリア (永続罠) ×3

 手札 6枚

 ライフ 1600

 

 

「私のターンドロー」

 

「この瞬間、時計塔の針は進む!」

 

 時計塔は9時を刺した。

 

「それがどうした!何をしようと、貴様はこのターンで終わりだ!さぁ、バトルだ。……ラビエルよ、ブルーディーを破壊しろ!天界蹂躙拳!」

 

 ラビエルは巨大な鉤爪を勢い良く、ブルーディーに振り下ろして来た。

 

「させるかよ!伏せカード、聖なるバリア ミラー・フォースを発動!その効果で攻撃表示のラビエルとウリアは破壊される!」

 

「無駄だ!私は手札1枚を捨てることで、手札から速攻魔法、トラップ・ブースターを発動する!その効果により、私はこのターン1度だけ、手札から罠カードを選び発動する事が出来る」

 

 トラップ・ブースター。確かカイザーがエドとデュエルした時に使ったカードだったな。

 実質、手札から罠を速攻魔法として発動出来るって事かよ。強力なカードだな。

 

「私が発動するのは永続罠、王宮のお触れだ!このカードの効果により、場の罠カードの効果は無効化される!これによりミラー・フォースの効果は無効化される。……攻撃を続行しろ、ラビエル!」

 

 ラビエルの攻撃を防ぐすべはなく、ブルーディーはラビエルの鉤爪に引き裂かれて消滅した。

 そして俺は攻撃力の差の数値、100ポイントのダメージを受けた。

 

「さて、ブルーディーが消えた事で幻魔達の効果が復活する。……ウリアの攻撃力は墓地の永続罠が減った事により2000ポイントに減少したが、今の貴様を倒すには十分だ。 ウリア、奴にトドメを刺せ!ハイパー・ブレイズ!!」

 

 ウリアは俺目掛けて、巨大な火炎放射を放ってきた。

 

「お触れの効果により、罠カードが無効となる今、貴様にウリアの攻撃を防ぐ術は無い!今度こそ、終わりだ!!」

 

 ハイパー・ブレイズが轟音を立てて俺に迫って来た。

 

「まだだ!ウリアを対象に速攻魔法、禁じられた聖杯を発動!その効果により、ウリアはエンドフェイズまで攻撃力が400ポイントアップする代わりに効果が無効化される!これで俺が受けるダメージは400だ!……ぐがぁぁあーー!!」

 

 ダメージが400ポイントなのに、凄まじい熱さだ!

 あと一桁でも数値が多かったらヤバかったかもな。

 

 

「本当に未来は……どんな奴が相手でも、何処までもしぶといわね」

 

「うん。どんな状況でも、絶対に最後まで諦めない。それがおじさんだから」

 

 

「またしても……倒せないだと」

 

「さぁ、まだまだ俺との楽しいデュエルに付き合って貰うぞ。コブラ!」

 

「図に乗るな!このターンは凌げたかもしれないが、貴様の不利に変わりはない!!私は手札からサイクロンを発動!その効果により、貴様の場の幽獄の時計塔を破壊する。さらにウリアのトラップ・デストラクションにより、右の伏せカードを破壊する」

 

 サイクロンによって時計塔は破壊され、さらにウリアによって伏せていたD-シールドが焼滅した。

 終わりの始まりが破壊されていたら、D-フォースの効果でドローが出来なくなってるから、確実に負けてた。

 まだ、俺の運は尽きてないみたいだ。

 

「さらに私の場の永続罠全てを墓地へ送り、手札から非常食を発動!その効果により私のライフポイントは4000ポイント回復する!」

 

 

「そんな、角刈りマッチョのライフポイントがあっという間に5600になっちゃったよ」

 

「未来の場にあったカードのほとんどを破壊して、その後自身の回復までするなんて。抜かりがないわね」

 

「で、でも厄介なカードはなくなったんだよ。もしかしたかそこから反撃が出来るかも」

 

「甘いよ、ラウくん。そんなミスをあいつがすると思ってるの〜。それに、永続罠が大量に墓地へ送られた事でウリアの攻撃力が上昇したよ」

 

 

「カードを2枚伏せ、これでターンエンドだ」

 

 

 

 

 

 未来

 伏せカード 1枚

 ライフ 300

 

 

 

 コブラ

 神炎皇 ウリア 攻撃表示(6000)

 幻魔王 ラビエル 攻撃表示(4000)

 降雷皇 ハモン 攻撃表示(4000)

 伏せカード 1枚

 手札 0枚

 ライフ 5600

 

 

「俺のターン」

 

「貴様は貴様自身のカード効果によりドローが出来ない!……そして私はスタンバイフェイズ時に、不滅階級を発動!このカードは私の場のモンスター2体を生け贄に捧げる事で、私の墓地に存在するレベル7以上のモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する効果を持っている。私の場に存在する幻魔トークン2体を生贄に……蘇れハモンよ!!」

 

 落雷を轟かせながら、ハモンが復活した。

 

 

「これで再びプロフェッサーコブラの場に三幻魔が。……クソ!!宝玉獣達が居れば、すぐにでも助太刀に行けるのに!」

 

「もう見ていられないノーね」

 

「手札は0、モンスターもなし。絶望的な状況だね〜」

 

「唯一の頼みの綱は、未来の場に伏せてある1枚のカードだけね」

 

「未来さん」

 

 

「さぁどうした?まだまだ私たちのデュエルを楽しもうじゃないか!はっはっはーーー!!!」

 

 くそ、ここぞとばかりに大笑いしやがって。性格悪いな。

 ……あれ、何だろう。何か違和感を感じる。何か……。

 

 

「みんな、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。おじさんならこの状況でも、絶対に逆転できるよ」

 

「絶対にかぁ〜……。ベルベルはライライの事を、と〜〜ても信頼してるんだね〜」

 

「うん。だっておじさんは凄いから」

 

「まぁ、そうよね。どんな状況でも最後まで諦めないのが未来よね」

 

「そうです……それが私の知っている未来さんです。未来さんはまだ諦めてないです」

 

「(凄いな、こんな状況でも諦めてないなんて。僕もいつかは……あんな風になりたいな)」

 

 

「コブラ。そこにいる子供達が言ったように、俺はまだまだ諦めてない!さぁ、行くぞ!!」

 

 

「ルビビィー」

 

「ルビー……そうか。……十代、レインボードラゴン……やったな。絶対に勝ってくれよ」

 

「シニョール十代」

 

 




今日の最強カードは暗黒の召喚神。
 闇属性で悪魔族、レベル5、攻撃力・守備力、共に0。
 このカードを生贄にする事で、墓地に存在する3幻魔を召喚条件を無視して、即座に蘇らせることができる。
ただし、この効果を使ったターンはバトルを行う事が出来なくなる。
このカードを扱うには相当な心の闇が必要だ、生半可な闇では決して扱うことは出来ないぞ。

三幻魔を相手に遂に追い詰められた未来さん。
だけど自身の運命力を、何よりもデッキのカード達を信じて戦う。
しぶとく守り続ける未来さんに苛立ち、コブラは三幻魔を融合して混沌幻魔で勝負に出る。
コブラと未来さん果たして勝つのはどちらなのか。

次回!! 絆と運命力の差、D-HERO VS 混沌幻魔。



正直に言って様々な事情でエタってました。
次の投稿はいつになるかは不明です。



※ここから先はいつもの駄文です。興味のある方だけ見てください。


さて、今回は思いつきで現時点での未来達のデュエリストとしての強さを表したいと思います。
表す方法は自分がデュエルにおいて重要だと考えている、知識、デッキ構成、戦術、カードとの繋がり、勝負強さ、メンタル、体力の7つを最高がS、最低がGの8段階で評価します。


未来。 知識:A。デッキ構成:F。戦術A:。カードとの繋がり:S。勝負強さ:S。メンタル:C。体力:S。総合:B。

セームベル。 知識:G。デッキ構成:F。戦術:E。カードとの繋がり:D。勝負強さ:F。メンタル:D。体力:E。総合:E。

プノ。 知識:A。デッキ構成:A。戦術:S。カードとの繋がり:B。勝負強さ:S。メンタル:A。体力:B。総合:A。

ピケル。 知識:E。デッキ構成:D。戦術:E。カードとの繋がり:A。勝負強さ:D。メンタル:F。体力:F。総合:E。

クラン。 知識:C。デッキ構成:C。戦術:D。カードとの繋がり:A。勝負強さ:D。メンタル:D。体力:F。総合:D。

ランドスター。 知識:F。デッキ構成:B。戦術:E。カードとの繋がり:E。勝負強さ:E。メンタル:E。体力:D。総合:E。

エリアル。 知識:G。デッキ構成:B。戦術:D。カードとの繋がり:D。勝負強さ:G。メンタル:G。体力:D。総合:F。




大体こんな感じです。因みに平均はDです。
そして説明を入れると、まず知識とはカードやデュエルの戦術、デュエルのルールなどをどれだけ知っているかを指します。
次に勝負強さとは、ここぞという時の駆け引きや、ドローの強さなどを指し、運とはまた違います。


「え、えーと。未来さんの総合がBですか?ちょっと評価が厳しくないですか?デッキ構成がセームベルと同じだなんて。あと僕の」

だってそれはさほら、未来のデッキ60枚越えだから。正直Gでもおかしくないぐらいだからさ。
それに実際にはこんなのは大してあてにはならないから。

「それならどうしてこんなことをしたんですか?あと僕の」

最初に行っただろ、思い付きだって。いつもの気まぐれだ。
それでは今回はここまで、次回もお楽しみに。

「僕の評価は!?」

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