D-HEROと共に戦うデュエリスト   作:無言の短パン

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「……ユベントス……バイエルンに負けちまったな。……はぁー」

「お前なー、いつまでもしけたツラしてんじゃねーよ!」

「……」

「そんな落ち込むなよ。いい事だってあっただろ。例えばサル禁止とか、ディアボリックガイ準制限解除とかさ!」

「そうだなー……」

「今は何言ってもダメだな。いつもは使わない「」使ってるし。……仕方ない。本編を始めるか」



我が名は、覇王……この世界を支配する者 by十代?

「えっと……ねぇセームベルちゃん一つ聞きたいんだけど……良いかな?」

 

「ん、なーに?」

 

「……ここは何処…かな?」

 

「さー、私はよく分かんなーい。ラウ君は分かる?」

 

「え! えーと……ごめん。僕も正確には知らないんだ」

 

「わ、分からないって……例えば……ナチュルの森の近くとか、Xセイバーが住む土地の近くとか……」

 

「なちゅらるの森?えっくすさいばー? 何それー」

 

 ナチュル、Xセイバー……どっちらもDTで収録されたシリーズだ。

 それを知ってるって事はやっぱり、エリアルはDTの世界から来たのか?

 ……だとしたら、どの辺りから来たんだ?

 エリアルの姿は俺が知ってるカード、リチュア・エリアルの姿と同じだ。

 だがその頃のエリアルは、リチュアの儀水鏡を使ってイビリチュア・マインドオーガスになって……ミストバレーの湿地帯に住むガスタを……その後の生死は不明つまり……。

 

「えっ…その辺りじゃないの。だとしたら……ミストバレーの近く?……それとも溶岩地帯辺り?」

 

「みずとばれー? 溶岩地帯?エリアルちゃん、さっきから何の事を言ってるの?」

 

 ミストバレー、溶岩地帯……ミストバレーにはミストバレーとガスタが、溶岩地帯にはラヴァルが住んでる。

 そしてガスタとラヴァルは、リチュアによって……いや、悪かったのは全部ノエリアに取り付いていたヴェルズの思念体だ。

 リチュアも被害者だ。とくにエミリアとアバンス。

 

「……まさか!……ここは別の世界!?」

 

「……う〜ん…多分そうだと思うよ〜……(ナチュルやミストバレー……12次元の中にそんな地名あったかな〜)」

 

「そ……そんな…………」

 

 エリアルはどんどんと顔が真っ青になっていき、すすり泣き出した。

 えー、メンタル弱! ど、どーしよー。

 俺たちが慌ててると……

 

「おーい、帰ったぞー!……んっ、なんだこの空気は?」

 

 グレファーが帰って来た。

 

「おや、誰だいその子は?」

 

 グレファーはエリアルを見つけて、そう言ってきた。

 因みに、エリアルはグレファーに気づいてない。

 

「グレファー、実は……」

 

 俺はグレファーにこれまでの事を大雑把に話した。

 

「ふむ、そうだったのか。…それは可哀想に。…ここは君と同じような人々が集結して出来た町だ。君の気の済むまでここに居るといい」

 

「…………」

 

 グレファーはエリアルに話しかけた。しかし反応が無い。

 

「むぅ、どうやらかなり参ってるみたいだな。……おっと、もう寝る時間だな。では未来くん、ランドスター、私たちは別の場所で寝るぞ」

 

 グレファー、お前……エリアルを気遣って……いい奴だな。

 まぁ、男女が同じ場所で寝るのは不健全だからってのもあるんだろうけどさ。

 

「……おぅ、今はそうした方がいいな。行くぞ、ランドスター」

 

「は、はい!」

 

 おっと、ここから出る前に……

 

「なぁセームベル、プノ……少しでもエリアルのことを慰めて、そして落ち着くまでそばに居てやってくれないか」

 

「……うん、任せて。私、エリアルちゃんの今の気持ち……なんとなくだけど分かるから」

 

「私も頑張ってみるよ〜」

 

「任せた。……じゃ、2人とも。おやすみ」

 

 そう言って俺たち3人は違う建物に移動した。……まぁ、すぐ隣だったんだけどな。

 

「エリアルさん……大丈夫でしょうか……かなり絶望してましたよ」

 

「うーむ……いざとなったらハイ・プリーステスに何とかして貰おう」

 

「そうですね! プリーステスさんなら……」

 

 ……正直エリアルには聞きたい事が山ほどある。

 でも今のままだときっと、まともに答えてくれないと思う。まぁ、

 ハァー。……明日は少しでも、エリアルが元気になってくなれるといいなー。

 

 

 

 

 真夜中……

 

「……あっ、ライさん。 私だよ……うんそう。最後の1人だと思う存在を見つけたよ〜。だから…………」

 

「うん、2日後ね〜。うん、……と……をちゃんと準備しておいてね〜」

 

「でも…………は殺しちゃダメだよ。……え〜、もし殺したなら〜……あははは〜……」

 

「……ふーん、この世界が変なのは、全部ユベルって奴の仕業なんだ〜。……なんとなく、そうじゃないかって思ってたよ〜……少し見ただけだったけど、途轍もない闇を持ってたからね〜」

 

「……あっ、そうだ〜! ねぇライさん、ナチュルの森かミストバレーって聞いた事ある〜?……う〜ん、やっぱりないか〜。……うん、チーさんならもしかしたら知ってるかもしれないから、聞いてみてね〜」

 

「……うん、ありがと。じゃあ、よろしくね〜、ライさん。…………私は無理なんてしてないよ……これが本当の私だから……」

 

 

 

 

 その頃、十代は……

 

 

「……この瞬間、邪神経典に怒りの文字が……綴られる!」

 

 

「万丈目ーー!大丈夫かーー!すぐ、助けてやるからなぁ―――!!」

 

「あいつ……デュエルをしてるのか!?…………十代のバカヤローー!!……お前、俺達と一緒にヨハンを助けるんじゃなかったのかよ!!……勝手に一人だけ燃え上って。お前!!最初から俺達の事なんか、考えちゃいなかったんだろ!!」

 

「ち、違う!それは!」

 

「お前はそういう奴だ!!お前の王国には、最初から自分しかいないんだよ!そんなお前に。、友情なんぞ感じて、一緒にやる気になっちまった俺達の方が……バカだったんだ!!」

 

 

「うぁ!?……ああぁ……うぁああ、ああ」

 

「何!?何なの!?何が起こってるの!?」

 

「万丈目ーーー!!!!」

 

 

「万丈目が……」

 

「ハッハッハッハ……攻撃して来い!もっと攻撃するのだ!我へのダメージは邪心教典を描く血文字の代償……そして綴られるページはあいつらそのものなのだぁ!!」

 

「十代君が攻撃したら、次に消えるのは……」

 

「そんなの嫌よ!何で私達が…デュエルのアイテムにされなければいけないの!」

 

「そうザウルス!アニキのせいザウルス!アニキが勝手に、突っ走るからだドン!」

 

「み……みんな……」

 

「(そうだ。もっと苦しめ!悲しめ!憎め!いがみ合うがいい!貴様らのマイナス感情のエネルギーが、邪心教典を通してあのカードへ注がれる!お前らは超融合のカードを目覚めさせる生贄なのだからなぁ!)ウェーッハッハッハッハッハ……ハッハッハッハ!!」

 

「そんな……そんなぁぁ……おれは……」

 

 

「ゴメン……ハネクリボー…ゴメン、スパークマン……もう…だめだよ……もう…戦えないよ!」

 

 

「アニキ、俺達を見捨てるつもりザウルス!!そいつをやっつけて助けてくれなきゃ、化石になっても憎むドン!!」

 

「……どうすれば……このままだと、俺は命を削られ、死んでしまうだろう……しかし、奴の命を削れば、仲間達が死ぬ!……そんな事をするくらいなら…俺は俺自身の死を……」

 

「ハッハッハッハ!もう打つ手が無いと見えるなぁ。しかしお前には、安らかな死などという甘い結末は待っていない!お前は仲間を苦しめ!仲間を悲しませ!そして憎まれ!仲間の不信の中まだ生きていかなければならないのだぁ!!」

 

「どういうことだ!?」

 

「ハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」

 

 

 

 

「どうした?さあ、お前のターンだ!それともサレンダーしてさっさと地獄へ直行するか」

 

 

「…………ドロ―!(E・HERO ネオス)」

 

「(十代。既に賽は投げられた。こうなったら…勝利を得る為に全力を尽くすのが、決闘者たる者の運命めだ)」

 

「……だめだ!……俺はもう…攻撃なんて……誰も犠牲には出来ないんだ」

 

「はっはっは、腑抜けの貴様に代わって、我が踏ん切りをつけさせてやろう!永続トラップ、ダークネス・ハーフ発動!!」

 

「ダークネス・ハーフは自分のモンスターの攻撃力を半分にし、貴様のフィールド上にダーク・トークン2体を特殊召喚させる」

 

「何のつもりだ!こんなことしても俺は…………攻撃を仕掛ける気はないと、言ったはずだ……」

 

「だがそうはいかない。貴様の意思とは関係なく、モンスターたちは戦い始めるのだ!トラップカード、暗黒武踏会発動!!」

 

「フェザーマン!?」

 

「暗黒武踏会が発動した今、モンスターは全て戦わねばならない」

 

「やめるドン!!」

 

「助けて!!」

 

「十代君!!」

 

「止めろ…止めてくれ…フェザーマン……よせ!!」

 

 

「ハッハッハッハ。十代……お前の攻撃に連動して、永続魔法の効果が発動するのだぁ!」

 

 

「うぁぁーー!アニキ!なぜ俺達を犠牲にしてまでフリードの仲間を助けたかったドン!」

 

「違う……そうじゃないんだ剣山!」

 

「苦しい……肉体の痛みだけじゃない……友に裏切られ、魂が引き裂かれる痛みだ!」

 

「吹雪さん」

 

「貴方に裏切られ、葬られる…こんな悲しみを抱く事になるなんて……」

 

「明日香」

 

 

「わぁぁぁあああーーー!!!!」

 

「違う……違うんだ」

 

「そんな……そんな…アニキが言ったどんな犠牲でも払うって……こういう意味だったンすか!?」

 

 

「……おお、いよいよだ…いよいよ時が満ちた……あのカードが蘇る時が来た!あと一人、疑の玉を持つものが間に合わなくとも!!……邪神経典よその力を解き放つのだ!……現れよ、超融合よ!!」

 

「……超……融合……」

 

「おお!遂に我が手に超融合のカードが!あっ!?……何!なぜだ、クソ、やはり四人では生贄が足りなかったか!」

 

「何だって!そのカードの為に、みんなの命を!!」

 

「ああそうだ!超融合のカードを完全に復活させるには、五人分の邪悪なエネルギーが必要だったのさ!」

 

「……そんな……そんなことの為に……」

 

「まあいい。超融合を手にすることは出来なかったが、邪心経典の力は発動出来る!超融合を可能にするための供物となるモンスターでも、お前を倒すのには十分すぎる。邪心経典と墓地の邪心教義をすべて除外……これにより、我が呼べるのは、レベル8までの供物モンスター。……暗黒界の混沌王カラレスが供物、暗黒界の魔神レイン!!」

 

「レベル12のカラレスは呼べなかったが、レベル8の魔神レインでも…腑抜けとなったお前には勿体ないわぁ!」

 

 

 

「ここまでか。さっさと負けて、あの世の友の所へ行けぇ!」

 

「……ドロ―」

 

「ほぅ、友を失い、己が魂すら失ったと思っていたが……まだデュエルを続ける気力は残っていたか」

 

「この命尽きるのなら……お前は俺の仲間の魂をもてあそんだ……お前だけは道連れにしてやる!!……ううぅぅぅーー!!」

 

「ふっふっふ、そうこなくてはなぁ!……怒りと苦しみが工作するフィールドの上で、本能のままに傷つけ合う……それがデュエルの醍醐味だぁ!!」

 

 

 

「まだやる気力があるというのかぁ……」

 

「万丈目……剣山……吹雪さん……明日香……みんなの受けた苦しみはこんなもんじゃなかった。みんなの魂を犠牲にして生まれた魔物など……生かしておくかぁぁああーー!!!!」

 

 

「魔神レイン。お前のために俺の仲間は…友たちは!!絶対、許さなねぇぇ!!」

 

 

「(今のお前は、怒りと憎しみの虜になっている。これで次のターン、我の勝利は確定した。)速攻魔法、暗黒界に続く結界通路。墓地のレインを復活!!」

 

「こいつは倒す!絶対に倒す!ネオス!!」

 

 

「(我の手札には、暗黒界の発掘師コバルがいる。ネオスとレインが相打ちした今、奴のフィールドはがら空きだぁ!次のターン、コバルの攻撃で効果が発動し、墓地の暗黒界に続く結界を手札に戻し、レインを特殊召喚すれば……レインのダイレクトアタックでぇ)」

 

「速攻魔法発動!!鎮魂の決闘!!バトルフェイズ中に破壊されたモンスターを、お互い特殊召喚出来る!!俺はネオスだ!!お前もレインを召還しろ!!」

 

「レイン!!暗黒界の魔神レインは何度倒しても俺の怒りは収まらない!!ブッ倒しても!!ブッ倒しても!!ブっ倒しても!!!……俺の仲間達はもう……蘇らないんだ!………どうした!!早くしろぉ!!」

 

「無理だぁ!!暗黒界に続く結界通路を使用したターン、モンスターの召喚は出来ない」

 

「召喚しないのなら……いくぞ!!ダイレクトアタックだぁ!!!!」

 

 

「いい表情だぞ!怒りと憎しみ、苦しみと悲しみ、まだやり足りないと言うお前の心の中で、それらの負の感情が渦を巻いている!」

 

「黙れブロン!ヨハンは、フリードの仲間達ははどこに居るんだ!!!」

 

「ハッハッハッハッハ……だから言ったはずだぁ!ヤツらの血は、この闘技場の砂に吸いこまれたとなぁ。ヨハンとか言う少年は死んだよ!」

 

「嘘だ……嘘だぁ-!嘘をつくなぁぁああーー!!」

 

「ウェッハッハッハ……アッハッハッハッハ!!」

 

 

「アニキ……」

 

「翔……お前無事だったのか!」

 

「ヨハンも…みんなも、死んでしまったんだね」

 

「ああ……だけど、せめてもの敵は撃った………翔、お前が生きていて本当に良かった」

 

「そんな…そんな口先だけの言葉……アニキ、アニキは勝手すぎる……今までアニキは仲間を元気にしてくれる、不可能を可能に出来る、太陽みたいな存在だと思って……でも、それは思い違いだった……アニキは自分が良ければそれでいいんだ。誰が犠牲になろうが、目的の為ならどうだっていいんだ!敵なんか討って貰っても、犠牲になったみんなは戻らない!!アニキは、自分が満足する為だけにデュエルしてるんだ!!」

 

「翔……」

 

「気安く呼ぶな!!アニキなんか!!アニキなんか!!」

 

「待て!ジャストモーメント!!」

 

「オブライエン」

 

「……俺は、待っていろと言ったはずだ」

 

「俺は…間違っていたというのか」

 

「……自分で考えるんだな」

 

 

「何故だ!…俺の何が悪いっていうんだ!…俺は、俺は成すべき事をした…なのに、何もかもみんな、俺の側からいなくなってしまった。……くそぉぉ!!くそぉぉぉ!!くそぉぉぉ!!!……俺の……俺の何が悪いっていうんだぁぁああーー!!!!」

 

 

「……超融合の…カード……」

 

 

 

「遊城十代。……悪を倒す為なら悪にでもなり……この弱肉強食の世界を力により支配しなければならない」

 

「力?…そんな力、俺には」

 

「その手にあるのは超融合のカード……抗う精霊達を倒し、その命を吹き込んで、カードを完成させるのだ」

 

「……お前……お前は何者だ!?」

 

「……我が名は、覇王……この世界を支配する者」

 

「……覇王……」

 




今日の最強カードは鎮魂の決闘。
速攻魔法で、このターンのバトルフェイズ中に破壊されたモンスターを、お互いに特殊召喚出来るんだ。


「おいおい!今日の最強カード、手抜きすぎだろ!」

「あぁー」

「しかもなんだよ今日の話。ほとんど十代がメインじゃねーか!」

「そうだなー。今日、ユベントスが負けたら……」

「誰もユベントスの事なんて言ってねーよ!……はぁー、今日はダメだなコイツ」

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