その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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今回はライダー分が少ない話です。
ですから思い付き嘘予告、後書きに描きました。


相談

学園襲撃事件から翌日。

 

ソーサラー率いる仮面ライダーの組織、BABELの宣戦布告の日から一日が経った今、世界は未曽有の混乱に陥ってた。

 

 

 

ある者はBABELの持つ戦力に世界の終わりを予期し、または大きなドッキリと危機に直面して居ないのも居れば、またある者は阻止せんと立ち向かうべく持てる限りの戦力を集め抗う者も続出してる。

 

 

 

そんな中、唯一対抗出来る仮面ライダー、悠達は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───さてと、取りあえずミーティング始めんぞ。」

 

襲撃によって休校となった午前の時間帯に、悠達はラボにて緊急の作戦会議を開いてた。議題はもちろん昨日のBABELの宣戦布告に対しての今後の敵の予想と対策行動である。

 

「まず話す事は、昨日の宣戦布告についてだ。この中にはまだ奴等について知らないのも居るから、おさらいを含めてだ。」

 

今ラボに居るのは悠、秋、ハルナ。そして艦娘勢からも各艦の代表者として二名が今回のミーティングに参加している。

 

 

戦艦組代表。 長門・陸奥

 

空母組代表。 赤城・加賀

 

軽巡組代表。 大淀・龍田

 

重巡組代表。 妙高・那智

 

駆逐艦代表。 吹雪・叢雲

 

潜水組代表。 伊58・伊8

 

 

それと傍らで黙々と作業してる明石、夕張を含めて全員が用意された椅子に座って前に居る悠に視線を集めた。

 

 

 

「まず昨日の学園襲撃についてだが…誰か気が付いたやつはいるか?あれにはどういう意味があって行ったのか。」

 

「意味?…それってどういう事だよ悠兄さん。」

 

「あぁいうのには何かしら相手の素性や目的なんかのヒントが隠されてる。

言動にしろ、今回の効率にしろ、俺達やその他に向けてのメッセージとかな。」

 

「そうねぇ……私は、持ってる戦力のアピールってとこかしら~。」

 

「イタズラなんかでは無いと言う意味を込めてあれだけの戦力を回したのなら、アレだけでいい宣伝材料になるわね。」

 

「はいはーい!ゴーヤはアイツ等絶対派手好きだと思うでち!じゃなきゃ皆ゴールドなんて派手な色絶対しないでち!」

 

「…それは無いと思うけど…。」

 

上から順に龍田、加賀、58、8と意見を述べるなか、これ以上の意見が出て来ない所で悠が独自の意見を述べて来た。

 

「皆が色々意見を出した所で俺の見解で出た意見を言わせて貰うが…。

まず襲撃してきた怪人共だが、……ありゃぶっちゃけ数だけ揃えた只の雑魚だ。俺等以外には、だがな。」

 

「?言ってる意味が分からないんだけど?アンタ達以外には歯が立たない相手なら別に何も可笑しい所なんて無いでしょう?」

 

「そうだな、戦力を見せ付ける為なら可笑しくない。…でも歯が立たないなら尚更あそこまでの数をバカみたいに送りつけて来るか?

俺の見立てだったら、学園居る腕利きが大勢いたとしても下級のロイミュード十体だけでも十分なアピールが出来たと思う。」

 

「確かに言われれば、圧倒的な数で攻めるよりも少数で大勢の手練れを相手に蹂躙した方が恐怖を植え付けやすい…。」

 

「ならあそこまでの数を出して来たのには何か意味が…!もしかして…!」

 

「…うん。多分桜井の考えてる事が狙いだと思う。」

 

「何なのよ!?もったいぶらないで早く教えてよ!」

 

「落ち着いて叢雲ちゃん…。」

 

叢雲の疑問に答える悠の説明に納得する那智の傍らで何かに気付いたハルナ。その証拠に悠と秋へ首を交互に向ける。痺れを切らした叢雲を抑える吹雪を余所に説明を再開する。

 

「ならまだ気付いて無い奴に簡単な質問。アイツ等が流した生放送で、宣戦布告の次に注目度が高かったのは?」

 

「それは…。」

 

「…あ!」

 

「え?オレ?」

 

全員が悠の言いたいことが分かったのか、秋を除く全員が先程のハルナのように悠と秋を交互に見る。

 

「そう、奴等が雑魚の敵をこれでもかと送り込んだ理由。…俺達に全部、尚且つ大胆に、全滅する様を世界に見せつける為だった。」

 

気付いなかった秋もこの言葉にようやく敵の狙いを察して、顔を歪めた。

 

もし噂でしか聞いた事の無い怪物や機械の兵士が突然大群で襲い掛かってきたら?一体相手に歯が立たない怪物によって窮地に追い込まれたら?

 

そして、都合良く現れて手も足も出なかった怪物の群れをいとも容易く葬る存在を目の前で見せ付けられたらどうなる?

 

これがもし物語なら怪物を倒した英雄談として後に語られる美談になったであろうが現実ではそうはいかない。

圧倒的な力を前に魅入られる者もいれば恐れる者は当然のように現れるのが空想の物語とは違う人間の本質とも言える。

 

「ネット上じゃあ俺達をヒーローだ最後の希望だの言っているヤツは居るが、アンチ言ってるヤツと比べたらごく僅か。

危険な存在、世界の厄介者、挙句の果てには俺等と奴等が本当は繋がってるだのと非ッッ常に不愉快な書き込みしてるのも多数だ。

……俺達は奴等と同じ舞台に無理矢理上げられた。奴等がこれから起こすであろうゲームにね。」

 

「ゲーム?」

 

「そう。覚えてる?アイツ等世界を壊すだなんだ言ってた時こう言ってたの。

”ある目的の為に通過点として”って台詞。これどう思う?」

 

「……世界を壊すのが通過点なら、本当の目的は別にある?」

 

「はい吹雪さん正解。流石優等生。ハナマルあげる。

…奴等にとってはこれは単なるゲーム。遊びだよ。如何に派手に、楽しくやるか。本番の前余興だよ。だから自分等と俺達を態々世間に曝したんだよ。

簡単に言えばこうなるか?

”この世界の住人では敵にならない。だからお前達との勝負を少しでも盛り上げる為に舞台を作ってやった。”

……舞台の役者にとって観客のリアクションは一番欲しいからな。」

 

「アイツ等…!遊び感覚でどれだけの人達が傷ついたと思ってんだ!」

 

「許せんな…こんな奴等を野放しに等してはおけん!」

 

「えぇ。久しぶりに頭にきました。」

 

「…連中に対して怒るのは後にして、今は俺の提案聞いてもらってイイ?」

 

周りが次第に熱くなるのを抑えると、悠は態々艦娘達を呼び出した本当の理由を言う。

 

「奴等にとってはゲームだが、これは実質戦争だ。何時何処で何が起こるか分からない。

──だからお前の力を借りたい。」

 

「!。悠さん、それって…。」

 

「あぁ。お前達には前線に出てもらう。」

 

突然の宣告に全員が衝撃を受ける。だがそれは決して悪い意味では無く、待ちに望んだ言葉を受けた歓喜のようなものだった。

 

「これから連中の襲撃は今より相当増える。そのとき必ずも俺や秋が間に合うとは限らない。それを補う為にお前等の力を貸して欲しい訳だが…お前達の意見は?」

 

悠がこの場に居る艦娘全員に目をやる。

全員が悠の問いかけに何を言わんばかりにと表情を浮かべた後、一斉に立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

「そのような事を聞かれずとも答えは決まっている…。

戦艦組全員、前線での動員を志望!もちろん我々長門型もだ!」

 

「お姉さんの活躍、たんと見せてあげるわよ♪」

 

「空母組も同じく前線への動員を志望します!一抗戦の誇り、黒星のまま終わらせません!」

 

「えぇ。あの時の雪辱、晴らして見せるわ。」

 

「軽巡組の全員からは戦闘への介入を強く志望しているのは確認済みです。問題無く行けます。」

 

「うふふ~。天龍ちゃんの喜ぶ顔が楽しみね~。」

 

「重巡組も異議はありません。何時でも出撃できる準備を整えてます。」

 

「フフ、ようやくこの時が来たか。足柄ではないが、漲って来た!」

 

「く、駆逐組!悠さんのご命令とあらば何時でも出撃します!」

 

「遂に実戦か…いいわ、やってやろうじゃない!」

 

「潜水組も異議は無いでち!連中のケツに魚雷をぶち込んでやるでち!」

 

「…ゴーヤ、下品…。」

 

「…そうか…………ありがとう。」

 

「何を言っている?むしろここまで前線に参加させてくれなかった事に文句を言いたい位だ!」

 

「こら那智。そんな事を言わないの。もう。……でも正直アナタが礼を言う必要は本当に無いんですよ?」

 

「元々私達は国を守る為に生まれた船です。世界を守る為に戦うのなら、誰も文句は言いません。」

 

「そうでち!少なくともユウは前のクソ野郎と比べたら全然マシでち。だからゴーヤ達は喜んで手を貸すでちよ。」

 

「これも恩返し。だから気にせず皆を頼って?」

 

「………。」

 

正直の所。悠はこの考えに至るのにかなりの反発はあった。

 

本当は自分の手でこの事態を抑えるつもりだった。だが最早それも実現するのが難しい今、此方に必要なのは数だ。

戦力はあっても圧倒的に数が足りて無いのが此方の弱点とも言える。戦闘なら一人でも多少の大群なら処理できる。だが戦争は違う。戦争は兵士を動かして相手を追いつめる、いわば将棋やチェス等の盤上の戦い。

 

そうなると最早取るべき行動は一つしかなかった。苦渋の決断を前に何故こうなる前に敵を討ち取れなかったのかと自分を大いに責めるしかなかった。

 

そしていざ戦線への加入を口にした時、悠は私情を頭から切り捨て、感情を押し殺した。

灰原 悠ではなく、転生者を抹消する者として許されない敗北を防ぐ為に合理的な思考を持って。

 

だから尚更何の不満も無く喜んで手を貸す彼女等を前に出る言葉が遮られた。本当はそんな事を言われる人間では無い自分に対して。

 

「?…悠兄さん?」

 

「ッ!…何でも無い。

…さて!取りあえずお前達のこれからの行動について説明するぞ!」

 

心情を悟られないように振る舞いながら揺らぎめいた心を落ち着かせる。今はまだ感情的になるべきではないと自分に言い聞かせて。

 

「お前等には戦闘に備えて引き続き天界の方でレベル上げと戦術、艦隊の組み合わせ、武器の手入れを準備しておけ。

それと大淀。」

 

「はい。」

 

「明日から連絡係として一日おきに何人かこっちに寄越してくれ。そうだなぁ……最低でも三人か。

昨日の襲撃から探知システムを街の外まで広げて設置し直した。ソイツ等にはココで探知した反応を常に上の奴等に伝える様に言っとけ。」

 

「了解しました。なら明日から早速手配します。」

 

「ちょっと灰原君。ラ・フォリアさんはどうするのよ?

毎日変わりばんこで来ちゃったら、流石のラ・フォリアさんでも疑っちゃうんじゃない?」

 

「王女には俺が伝えておくよ。幸い此方の事情を知っている身だ、天界の事情は伏せてコイツ等の事を話すよ。

王女の性格なら、難無く受け入れてくれるさ。」

 

「ふ~ん…。」

 

「あらら~…。」

 

「……何だよ。」

 

ラ・フォリアについて語る悠に対し、ニヤニヤと意味有り気な笑みを向ける陸奥と龍田。

 

「いいえ、ただようやく悠君も女の子について知り出して来たねぇって、お姉さん感心しただけよ。」

 

「同じく~。何だか成長した姿を見て感動した気持ちになっただけ。」

 

「……話は以上!解散!!」

 

半ば締まらないといった感じで明石、夕張を除いた艦娘達は席から立って去った。

ラボに残されたのが三人になって暫く無言の状態が続いた時、特に口を出さずに聞きに徹してた秋が立ち上がって背を伸ばしながら口を開いた。

 

「……さて!これからみーんなもみてぇだし、オレも負けないよう頑張らなくっちゃな!」

 

「オイ秋。今日は休みに徹しろ。最近体力が付いたとはいえ、昨日は…。」

 

「だーいじょぶだって!心配性だなぁ悠兄さんは。…なら軽めに走るだけにするよ。最近最低でもこの位動かさなくっちゃ落ち着かなくなっちゃったんでね。」

 

昨日の戦闘を思い返して休息を取るように悠は言うが、当の本人は軽く受け流すだけで軽めの運動を約束をしラボを後にした。

 

いつも通りの後姿を見て悠はつくづく思った。秋の成長速度が異常な程に早い、いや、”早すぎる”、と。

 

その証拠に昨日の暴走状態のデッドヒートを使いこなした挙句その反動で得た体の負担がたったの一日で回復したなど普通なら有り得ないのだ。昨日家に帰って真っ先に秋の容体をハルナや明石、マッドドクターやクリムにも事細かく診て貰ったが、これといって大した障害など無く一日休めばある程度回復すると聞いた時は流石に言葉が出なかった。

 

成長速度を総合的に見れば、悠が修行で習得したペースと比べると圧倒的に上をいっている。あの異常なほどの成長速度が秋が選ばれた存在としての大きな才能だと悠は認めるしかなかった。

 

(ま、だからといってそう易々と追い抜かれる気は無いけど…。)

 

「…話も終わったみたいだし、私もそろそろ…。」

 

「あぁ待て桜井。お前にも今後の事について話す事がある。」

 

「え?…何よ?」

 

物思いに耽っていた所をハルナが去ろうとした際に用件を言い忘れた悠はハルナを呼び止めて彼女に伝えるべき要件を話す。

 

「いやそこまで長い話じゃない。

お前に任せてたオカ研のスパイ活動、アレもうやらなくていいぞ。」

 

「え?…。」

 

「連中があそこまでデカく啖呵切ったって事はコソコソ動く必要はもうなくなったって事だ。元々三大勢力なんてアイツ等や俺から見たら何時でも潰せる程度だし、動くにしても魔力集めに悪魔共にちょっかい掛けるくらいのレベルだろう。」

 

「つまり、オカ研に居ても大した情報はもう得られないって事?」

 

「得るも何も、お前を置いてからというものこれまで大した情報は得られなかったし、ぶっちゃけ、人外共の情報網じゃこれからも得られねえのが目に見えてるし。やるだけ無駄になった。」

 

「言われればそうね、襲撃の時を除けばこれといった役立つ報せは来なかったし…。

そうなると私はもうあそこに行かなくても良いってコト?」

 

「それはお前の判断に任せる。あそこに居たいか、ここで見切りをつけるか、どっちにするか。

あのまっかっか悪魔とゆかいな下僕連中がまた余計な事しないように見とくって手もあるわな。」

 

「……少し考えさせて。近い内には答えを出すわ。」

 

「分かった。……あぁそれと、お前に渡すモノが一つ…。」

 

「何よ?…。」

 

悠は少し戸惑うような素振りを見せた後、懐からあるモノを取り出してハルナに差し出す。

ハルナはそれを見た瞬間に目を見開いた、何故な自分に差し出されたのは目の前に居る悠と弟が持っているモノと同じモノを突きつけているのだから。

 

一枚のカードとベルトのバックルのようなアイテムを。

 

「灰原君、コレ…。」

 

「コレをお前に渡すのを今この時までずっと悩んでた。だが合理的に考えて、お前の治癒能力は俺達にとってこれからも必要になって来る。ここで失う訳にはいかない。

だからコイツは護身用に持っておけ。そこらの銃より役に立つ。」

 

「…コレは……私が使いこなせられる代物だと思ってる?」

 

「俺と秋を見ていたお前なら、出来ると判断した。」

 

「………。」

 

暫し沈黙の間が続くと、ハルナは思いつめるような表情から一変して差し出されたカードとバックルを手に取った。両手で手にしたハルナは見た目よりも重圧な思いが込められたバックルとカードに唾を飲み込むも、意を決してそれを懐に仕舞った。

 

「これは本当に必要な時に使わせて貰うわ。私はアナタ達みたいに戦いたいとは思ってないもの。」

 

「あぁ、それが一番正しいと思う。」

 

「…じゃ、また何かあったら呼んで頂戴。」

 

そうしてハルナもラボから出て行った。

 

残された悠は何処かやるせない気持ちになりながらも隅っこで作業してる明石に目をやり、声を掛けた。

 

「明石!…ちょっとコッチに。」

 

「ハイハイ、何ですかー?今ようやく新兵器の起動に取りかかろうと…。」

 

「俺に何か隠してる事、なぁーい?」

 

呼ばれた事に若干不満になっていた明石だったが、悠が放った一言に大きく反応するように一変してイタズラがバレた子供のような反応を示していた。

 

「な、何の事でしょうか?」

 

「お前、いや正確にはそこで聞き耳立ててる夕張もか。ずっと前から何か企んでる事はもう知ってるんだよ。」

 

「た、企むだなんて人聞きの悪い…。」

 

「秋に口裏合わせてマッハドライバーとシグナルバイクのデータを取ったり?」

 

「……。」

 

「俺が修理に頼んだブレイクガンナーからチェイサーのデータも取ったり?」

 

「……………。」

 

「仕舞いにはクリム…ドライブドライバーのデータも俺に何も言わないで取った事も、みーんな知ってるんですけど?」

 

「…えと……これはですね、その…。」

 

「実用化は可能か?」

 

「………え?」

 

思い掛けない悠の一言に今度は惚けた表情を浮かべだす明石。

 

「隠れてコソコソ造ってるモノはこの戦争で実用可能かと聞いているんだよ。どうなの?」

 

「えっと…大まかな計算なら、あと少しで…。」

 

「オーケー、なら頼んだ。今は少しでも有利に事運ぶモノが欲しい。人材も情報も、武器も。

なるべく急いでくれ。」

 

「あの……怒らないんですか?悠さんの事だからそれなりに覚悟してたんですけど…。」

 

「怒る?俺が?……まぁ確かに隠し事されるって気分は悪くないと言えば嘘になるが、俺自身隠し事しまくりだし?それに…。」

 

「それに?」

 

「…純粋な機械オタクに悪いのは居ない。これ、俺の持論。」

 

「悠さん…。」

 

「じゃ、そっちは任せた。」

 

呆然と立ち尽くす明石を残して悠もラボを後にして去った。

立ち尽くす明石の傍に聞き耳を立ててた夕張が近づき冷や汗を拭きながら話し掛けてきた。

 

「あーびっくりした。まさか私達のしてる事がバレバレだったとは…。」

 

「多分早霜ちゃんね。あの子悠さんですら気づかない程の神出鬼没だから…。」

 

「でもこれでこれから堂々と隠さずにやれますね!流石に全部隠し通せるとは思っては無かったし、悠さんもそれなりに私達を信頼してくれてる事が分かったし!」

 

「…そうね。その信頼にちゃんと応えなきゃいけないわね。その為にまずは…。」

 

「えぇ!まずはあの子をバッチリ仕上げて、アレの製作に取り掛かりましょう!」

 

何時にも無くやる気を出した明石と夕張。

 

悠の期待に応えるべくまずは与えられた役目を果たす為に再び作業を開始しだしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして外に出た悠はメモを片手にある場所へと向かっていた。

 

もう片方の手には近場の果物屋で買った詰め合わせのフルーツが入った籠。道中、建前として持っていた方が良いと思い目に留まった果物屋で適当な詰め合わせを買ったのだ。

 

そうして立ち止まった先は一軒のアパート。再度手のメモに目をやって目的の部屋を目指す為に階段を上る。

そうしてドアの前に立ちノックを軽く三回。中から”はーい!”と女性の声が聞こえる。

 

「宅配便でーす。」

 

「はーい!あ、すいませんハンコまだ作って無いので、サインでも…。」

 

ドアから出て来たのはジャージ姿のロスヴァイセ。普段のシャキっとした雰囲気とは違い完璧にオフ状態といった服装。悠の姿を見た途端、いっきに顔を赤くしだした。

 

「あ…あああッ!!!」

 

「差し入れのお届け物でーす。取りあえず中に入れて?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞いてませんよッ!!!

何で私のアパートの住所知ってるんですか!?おまけに何も言わずに来るなんてッ!?」

 

「休みの日に親戚のお姉さんの様子見に来るのに変な理由は無いだろう?……でもまぁ…。」

 

急に来た事に不満を言い散らすロスヴァイセの小言を聞き流す悠。

小言を聞き流しながら部屋の惨状を見ると散らかった洗濯物や片付いてないゴミ袋等、おまけにゴミ袋の中には特売品と書かれたスーパーの惣菜パックなど健全な生活感が微塵も感じられない程の酷さに、絶句してた。

 

「…こりゃ建前とか抜きに定期的に見た方が良いかもなぁ…。」

 

「余計なお世話ですッ!どうせ私は碌に料理も出来ない駄目戦乙女ですよォ~~~!!!」

 

「あー、ハイハイ。愚痴なら空いた時間気が済むまで聞いてやるから、今は…コレ。」

 

「ふぇ?」

 

見られたくない光景を見られて鳴き出すロスヴァイセを前に悠は一枚の紙を眼前に見せた。

紙に描かれてるのは似顔絵で、それは悠が二度遭遇したキング、小金井 竜二の顔だった。

 

「ぐすッ…誰ですかこの人?カッコいいけど如何にも不良そうで、私のタイプじゃ…。」

 

「敵仮面ライダーの一人、名前は小金井 竜二。ほら、テレビで映ってた盾持ってたヤツ。ソイツの素顔がソレ。」

 

「へぇーそうなんですかぁ………え?……えぇぇええぇえッッッ!?!?!?

こ、この人がですかぁあぁああぁッッ!?!?!?」

 

「相変わらずうるさいねぇ、アンタ。近所迷惑だっつうの。」

 

「だって!こんな重要な情報がいきなり目の前で見せられて落ちつけられる訳無いでしょう!?!?!?

ましてや顔どころか名前まで知ってて何で探さないんですか!?私の部屋に来るよりこっちを優先すべきでしょう!?」

 

「探してるよ、数カ月も前から、ずっっっっっと!」

 

買って来たフルーツの盛り合わせからリンゴを一つ手に取り、惣菜パックだらけのテーブルの空いたスペースに腰を掛けリンゴを齧りながら悠は半ば吐き捨てる様に喋り出す。

 

「最初にあった時からずぅーーーっと探してるのさソイツを。シフトカーに隈なく探させたり、街の監視カメラハッキングしたり、それとなく聞き込みしたり!

それなのに全っ然効果ナシ!これどう思う?」

 

「え、いや、どう思うって…。」

 

「多分喫茶店で会った時は本当に奇跡中の奇跡だったんだろうなぁ。あの様子からすると普段も外に出てるって感じだったから身を潜めてる訳じゃないって事があの時分かったし。」

 

「喫茶店?…あの、話の筋がちょっと見えなくなっているんですけど…。」

 

「そんで俺はやがて一つの仮説に思い立った。」

 

ロスヴァイセの所々出て来る疑問に答えず一方的に話す悠はリンゴを食べながらロスヴァイセの顔前にズイっと近ずき、ロスヴァイゼは思わず心拍が上がった。

 

「アンタ北欧じゃそれなりに優秀だって言ってたよねえ?

そのアンタに聞くけど、魔法で人の目や機械なんかの探知を誤魔化す魔法ってある?」

 

「え…え、えぇ。

その人を認識出来なくする魔法なら存在しますけど、機械を対象にした魔法なんて言うのはあまり聞いた事がありません。そもそも魔法と科学の領域で出来た機械では全く異なります。」

 

「ならその辺は番堂のヤツが手を加えてるってトコかな。そこにソーサラーが魔法で誤魔化して、奴は自由に外に出てる、と。

機械関係は兎も角、魔法関連はからっきしなのが大きい短所だよなぁ…。」

 

「へぇー、意外でした。全くそういう風には見えませんでしたけど。」

 

「オカルトやメルヘンチックな部門とは馬が合わないんだよ。俺。

──そこで、アンタの出番ってワケ。」

 

「…あ、何かこれからの展開が読めたんですけど…。」

 

「察しが良くて助かるよ。

アンタには魔法で自由に行き来してるであろうコイツを探して欲しいんだよ。認識を誤魔化すのが出来るなら、当然それを見破る手もあるんだろう?」

 

「確かに魔術に長けてる人ならできますけど、そう簡単に出来るものじゃありませんよ。

やるにしても時間が掛かるし、魔術にも色々種類があってそれを理解するのに…。」

 

「あぁその辺は大丈夫。今ソーサラーが使ってる魔法関連の資料頼んでるから、それ読んである程度のメカニズムを頭に叩き込んでおいて。多分アンタなら理解するのにそう時間掛からないだろうから。」

 

芯の状態になったリンゴをゴミ箱に捨てながら説明する悠。

そんな悠の姿をロスヴァイセは女子座りのまま呆然と見るしかなかった。

 

(この子本当に何者?どうみても私より年下の男の子には見えない…。私とんでもない人の下に就いちゃった気がする…。)

 

「で?当然やってくれるよね?成果次第じゃ報酬も弾むけど?」

 

背中を見せた状態で此方に振り向く悠が、ロスヴァイセの目には報酬どころじゃ無くその掴み所のない実態に不安を感じるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロスヴァイセの部屋を後にした悠は公園の中を歩いていた。

 

ちなみに小金井の捜索の件は悠が細かな報酬金額を提示して直ぐに承諾してもらった。意外とゲンキンな女と思いつつ歩く先にある屋台に近づく。

 

赤い暖簾には白文字でたこ焼きと書かれており、鉄板で焼く音と匂いが次第に強くなるのを感じながら屋台の主人であろう人物、少女の前に立った。

 

「いらっしゃーい!…て、なんや自分かいな。」

 

「たこ焼き一つ…数は三個ほどで。」

 

普通ならこういう屋台にはガタイの良い中年の男がやってる様なイメージが強いが前に立っている少女は明らかに小柄で、台でも使わなければ鉄板に届かない程の身長の持ち主、龍驤だった。

 

「はいよー、ってか、なんや三個って?食べ盛りの男ならどんと十個程食って行けや!」

 

「さっきリンゴ食べてお腹一杯なのよねぇ…。」

 

「たかがリンゴ一個やないか!もうええ、ドンと盛ったるわ!」

 

「いやいいって、マジで…。」

 

そう言いつつも龍驤は止まらず、結局パックには十個ほど盛られたたこ焼きを渡された。

今日の夕食はイイかと思いつつ、傍にあったベンチに座って楊枝を手に取りつつ龍驤に話し掛ける。

 

「で。首尾の方はどうよ?」

 

「どうと言われてもなぁ、正直こっからじゃ大した動きは掴めへんわ。」

 

「…だろうね。まさか俺の出した資金で屋台出すとは流石に思わなんだ…。」

 

楊枝に刺したたこ焼きを口に入れつつ横目で公園近くに建っている巨大なビルに目をやる。

 

九鬼本社ビル。未だ陰で仮面ライダーの実態を知ろうとしてる巨大企業。これからの戦いに向けて下手な横槍が入る前にはどうにかしてその真意を突き止める為にこうして調べさせてはいるが、中々尻尾を掴めない状態だった。

 

「やっぱ人外共同様、多少強引な手で行くしかないかなぁ…。」

 

「せっかちやなぁ。もう少しウチら信用してくれてもええんちゃうか?」

 

「そうは言って無い。ただ手早く済ませる手としての考えだ。

…青葉はどうしてる?」

 

「あぁあのパパラッチなら、あのビルのセキュリティーってヤツ調べとるでぇ。なんでも、盗聴器仕込む為の前調べとか。」

 

「こりゃまた大きく出たなぁ…。でも大丈夫かそれ?下手に捕まって面倒事増やされるのは流石にゴメンなんだが。」

 

「あーその辺は大丈夫ちゃう?なんせ…。」

 

「この私が忍び込むもんね!」

 

「あ?」

 

龍驤のセリフを遮る様に聞こえた声は悠達からして頭上から聞こえた。

傍に立つ木の枝にオレンジの背服を纏い、仁王立ちで見慣れたツーサイドアップの髪型。

 

「隠密行動ならこの夜戦忍者の川内にお任せ!やっと来た忍者の見せ場、たんとその活躍見せてあげよう!!」

 

「…うん。自身持って宣言するのはいいんだけど、その立ち位置とポーズじゃ、スカートの中丸見えよ?」

 

「見せてるんだよ♪どう?ムラムラした?なんなら今夜夜戦する?」

 

「良いから降りて来なさい。変な奴の知り合いと思われたくないから。」

 

「ちぇ、つまんないの…。」

 

スカートの裾をヒラヒラと見せつけるがあっさりと切り捨てる悠の態度に不貞腐れながらも降りた川内は悠の隣に座った。

黙々とたこ焼きを口に運ぶ悠を見て、龍驤は深い理由は無くただ思いつきの疑問を悠に問い掛けた。

 

「なぁウチちょっと気になったんやけど、悠ってアレか?とっくに童貞捨ててるんか?」

 

「え!?」

 

「………。」

 

ちょっとした爆弾発言に川内は驚愕の顔を見せるが、対して悠は食べる手が止まって目線が下がった程度の反応だった。

 

「だって普通ならウチ等みたいな若い女に囲まれたら男としては色々キツイんちゃう?それにウチ等以外にもぎょうさん女子に囲まれても何とも無い風に振る舞うし。最早そっち方面に関して枯れてるとしか思えへんわ。

──でも実は、既に女の味を知ったからそんな風に…。」

 

「そうなの!?ねぇ本当に童貞じゃないの!?大人なの!?ねぇ!?」

 

「…どうだかねえ、俺はお前等より長く生きてるから、そんな事もあったりして。」

 

「…ねぇ。それってもしかしへムッ!?」

 

何かに気付いた川内だがそれを遮る様に川内の口にたこ焼きを詰める悠。次々と容赦なく詰め込まれ川内の頬がリスみたいになり最後の一個は悠が食べた。

 

「ご馳走様。じゃ俺色々忙しいから行くわ。」

 

「…そか、まいど―。」

 

「ひょッ!まっへへょーッ!!」

 

見送る二人の背中を見て龍驤は後になって大事なことに気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

「…あ、アイツ、代金払ってないやん…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぐんぐ…ゴクン。

ねぇ待ってよ悠―――!」

 

「何さ、まだ何か?」

 

公園内の敷地でようやく口の中を飲み込んだ川内が、少し言いづらそうに悠呼び止める。

 

「さっきの話だけど…もしかしてその相手って…。」

 

「…あぁそうだよ。若気の至り、ってヤツ?でも一回きりだったけど。」

 

「そ、そうなんだ…。」

 

「…終わったんならここで…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー”ちゃんと私達の気持ちに向き合って…”ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…今は戦争中……だけど………あんまり先延ばしにしとくとそれこそ色んな意味で厄介なものに……。)

 

「悠?どうしたの急に頭抱えちゃって…。」

 

昨日のゼノヴィアに言われた言葉が脳裏に浮かんでしまい、悠は此方を覗き込んでる川内に遠回しに聞いてみようと考えた。

 

「…なぁ川内、俺達が最初に会った時、アレあんまり良い思い出じゃ無かったよな?」

 

「え?最初って…あぁ!あの時は…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~遡る事数か月前~

 

 

灰原家自宅リビング内で…。

 

 

 

 

「う~ん…。」

 

「あの、姉さん、どうやら御休みみたいですし、今日は…。」

 

「え~?そんな起こしちゃえばよくない?」

 

「Zzzz…。」

 

悠が艦娘達を助け暫くの事だった。

 

上司の傘下についた艦娘達は悠に感謝の言葉と挨拶の為に降りてくる日々が続き、今日この日来たのは川内型の三姉妹。

だが当の悠は昼間なのにソファーにて熟睡していた。

 

「こら那珂ちゃん。いきなり来た私達に突然起こされても機嫌を悪くしてしまうだけでしょう。挨拶はまた今度にして今日は帰りましょう。」

 

「え~!?折角那珂ちゃん達の番が来たってのに、寝てるから帰るって勿体なくない?」

 

「きっと疲れてるんでしょう。そんな状態の人を無理やりつき合わすのは良くないわ。姉さんも良いですね?………?。姉さん。」

 

「…ねえ二人共。コイツ、本当に強いのかなぁ?」

 

「…姉さん。まさかとは思いますけど、変な事は…。」

 

「ちょっと試してみようよ!」

 

神通の静止を聞かず川内は艤装を展開しだした。

 

「姉さん!」

 

「だーいじょぶ、だって!空砲にしといたし、これでどんな反応するか面白そうじゃん。まぁ間抜けそうな顔で寝てる時点で目に見えてるケド。」

 

「Zzzz…。」

 

そう言いながら、砲門を未だ寝ている悠に向けた。その時であった。

 

 

「Zzzz……ッ!」

 

 

ーバッ!ー

 

 

砲門を向けられた悠は突然目を覚まし、ソファーの背もたれに手を掛けて跳び上がった。

完全熟睡してた筈なのに突然起きたと思ったら体を宙に舞わせてる悠に三人は唖然としてるなか、着地を決めた悠は跳び上がった際に取り出したブレイクガンナーの銃口を三人に向けていた。完全にスイッチの入った状態で。

 

「──誰だ?お前等。」

 

「「「ッ!」」」

 

警戒心を出してる悠は三人に対し敵意を見せていた。変な行動を起こせば即座に引き金を引くほどに。

 

川内達も悠から発せられる威圧感に動く事が出来ないなか、神通が異を振り絞って口を開けた。

 

「わ、私達は!軽洋巡艦・川内型です!こ、此度はご挨拶に伺い参った次第です!」

 

「───あぁハイハイ。おたく等もアイツ等の一員って事ね。」

 

神通の必死な言葉が通じたのか悠はブレイクガンナーと同時に威圧を消した。三人は冷や汗が頬を伝う感触を感じながら実感させられた。恐らく三人で掛かっても余裕で負けるだろうと。

 

「あ、あの!姉が勝手な事を…!」

 

「あぁいいよいいよ。今回が初めてじゃ無いし。もう慣れた。」

 

「?、それってどういう事?」

 

「俺の実力を信じられないってヤツは結構いるってコト。

昨日もなんやかんやで模擬戦やったよ、あの、ほらえーと確か………梨と出し殻?」

 

「…それって、那智さんと足柄さんの事言ってる?」

 

「そうそれ!確かそんな名前だった。うん。ソイツ等以外にもまぁ色々と、ね。」

 

「そう、でしたか…、姉さん!姉さんもちゃんと謝ってください!」

 

「…え?あ、うん。えっと…ごめんなさい。」

 

「いいえ、お構いなく。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──でもそれほど悪い思い出とも言えないと思うけど?」

 

「でもお前等に対してマジで撃とうとしてたし…。」

 

「アレは私の自業自得だって後になって反省したから別に良いよ。…でも何でそんな事急に言い出すの?」

 

「それは………アレだ、俺とお前等が出会ってから結構時間経ったよなぁって思って。」

 

「ふぅ~ん…もしかして私が悠の事なんで好きになったか知ろうと思ったりじゃなくて?」

 

「…いや、それは無いよ、それは無い。」

 

「…なんか嘘っぽい。……どうしたの?何時もの悠ならこの程度軽く受け流してた筈だよ?おまけに私達との初めて会った時の事も掘り返して。」

 

「………………この事、誰も言わないなら、相談という形で…。」

 

「うん!軽巡に乗ったつもりでドンと来なさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん。ゼノヴィアったら、悠にそんな事言ったんだぁ…。」

 

「今まで保留にしてた事態が一気に押し寄せて来た気分だ。まぁそういう風にした自分が大いに問題あるとは自覚してるが、流石に、な…。」

 

「へぇー。…(ゼノヴィア、ナイス!)」

 

結局悠は自身が抱えてる悩みについて川内に打ち明ける事にした。

正直な所、只でさえ絶賛抱えてる問題の規模がデカいと言うのに対し、それが二つともなると気が動転しそうだったのでそうなる前に誰かに打ち明けたかったのが悠の本音でもあった。

 

「まぁ事の内容は理解できたとして、問題はその気持ちを受け止める子がどれだけ居るかって話しじゃない?…私を含めて一体どれだけいるか、改めて教えてくれない?」

 

「………言わなきゃ、ダメか?」

 

「うん♪じゃなきゃ私もどうアドバイスすればいいか分からないから!」

 

「……大体、この位……いや、こっち?」

 

両手を出して立てた指の数を六本出した後、少し考えた後もう一本出して七にした。どうやら人数を表してるようだ。

 

「ふ~~~ん……じゃあ名前は出さなくていいから、悠から見てどういう娘なのか教えて?」

 

「あぁ……一人は、腹黒くて間違った日本文化をお持ちでお騒がせだけど、嫌いじゃないヤツ。二人目は、クールぶってある意味イケメンだけど真っ直ぐなヤツ。三人目は、アホだけど何処か可愛げがある元気っ子に、四人目はちょっと口数多くてお節介だけど、周りの気配りが出来てる優しい年下で、五人目も、純粋で誰にでも手を差し出しそうな年下。六人目は、周りを考えて優しくなったり、鬼になったり出来るすごいヤツ。で、最後が…。」

 

「………。」(ドキドキ)

 

「…可愛いお騒がせ忍者。」

 

「むぅ…何か最後だけ簡潔にまとめたカンジ…。」

 

「…以上が、…俺が、直面しなきゃいけない女性たちであって、正直皆いい女過ぎて、本当に俺みたいなのとは不釣り合いであって…ってこれじゃダメって昨日言われたじゃん!!

あーーーーもうォー。考えれば考える程自分がすけこましで最低な野郎って実感が湧き上がって……どうすりゃいいんだよコレェ…。」

 

(…カワイイ。)

 

最早見る影もない程に追い詰められてる悠。戦いになればそれなりに心構えは変わるだろうが、それを抜きにしても悠の心情は崖っぷち寸前であった。

 

そんな悠に川内はとある提案を持ちかける。

 

「まぁまぁ。そんな難しく考えなくても、ようは私達の気持ちを知ってもらえばいいんでしょ?ならとっておきのいい作戦が在るよ!」

 

「ッ!頼むッ!教えてくれ!ここまで来たらもうお前のその案に賭けるしかない!!!」

 

「うんうん。いい心構えだね。

では教えてしんぜよう。悠が彼女たちの気持ちを簡単に知れる方法。それは…。」

 

「それは…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずばり!デートをする事です!!!」

 

「…………………え?」

 

今度から女性の相談は大人にしようと心の片隅で思った悠だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








ー嘘予告ー







チームライダーに与えられた新たな仕事。


それは──






「……ねぇねぇ悠兄さん。」

「何だ?」

「この新聞に載ってる奴さぁ…。
どう見てもニコニコ笑ってる悠兄さんだよな?」



【発見!二人目のIS男性操縦者!!】


「そりゃそうだろうな。
神様の遊びで造られた、”俺のコピー”だしな。」







別世界の灰原 悠を監視せよ!?







「灰原 悠です!不慣れな所は山ほどありますが、皆さんと切磋琢磨していきたいと思っています!ヨロシク!!」





「…何か気持ち悪いな。あっちの悠兄さん。」

「それ本物の横で言うか?自分を見るなんて拷問、色んな意味で最悪だよ…。」




そして対峙の時!



「リュウガ!?な、なんでこの世界にダークライダーが!?」

「…コピーが真っ当なライダーとは、思いっきし皮肉。」


ー激闘する赤と黒の龍騎士!-







<< CHANGE BEETLE >>

「オレのスピードは…誰にも追いつけない!」

「スピードは乗りこなしてこそ最速だろうが。」


ー加速する赤と黒の太陽神!ー




「オレの仲間は誰も傷つかせやしねえ!」

「そう言うのは、力を持ってる奴…強者が口にしていいセリフだよ。」


ー力を示すは、橙の鎧武者と紅い武神ー





<わ、私、だと…?>

<その質問にはYESでありNOと答えよう。私はキミと同じドライブドライバーに内蔵されたAIだが、彼と共に戦った私、クリムという個として私は存在している。>

「仲良くお喋りはもうイイ?…始めるぞクリム。」

<OK。…Strat our Mission>

「ッ!ベルトさん!」

<!あ、あぁ!我々も行くぞ!Start your Engin!>


ー互いの絆を証明するは、未来と現代の超人ー











そして…。





「大変身ッ!」

<< Level Up! >>

<< マイティジャンプ!・マイティキック!・マイティマイティアクション!・エックス! >>




「…へぇー、コレって、そう使うんだぁ…。」

「ッ!それは…!」

「──変身。」

<< Level Up! >>

<< MightyJump!・MightyKick!・MightyAction──!X!>>

「…こっちも色違いかぁ……だけどピンクよりずっとイイ。」

「このッ…何処までも真似しやがって!ノーコンティニューでクリアするぜ!」

<< ガシャコン・ブレイカー! >>

「…お前が言うなっつの。」

<< チュ・ドーン! >>
















そしてコイツも!?


「よっしゃ!オレも行くぜぇ!ホッ!」

<< Level Up! >>

<< 爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク~! >>

「じゃ~ん!どうよォ!…って……オレ自身がバイクかよ!?」

「…何やってんだよお前。」

「俺が聞きてえよォ~~!何でオレバイクゥ!?確かに速さはオレのモットーだけど!?
……まぁここで文句言ってもしょうがねえ!乗りな悠兄さん!」

「切り替え早ッ。」

「おうよ!なんせオレは気持ちの切り替えもマッハだからな!」






近日公開!















…かも、しれないよ?


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