場所は悠の自宅にあるガレージの地下。ガレージには悠が所有してるライダーのマシンなどが収納されており、その地下には新兵器の開発などが行える一種の研究室があった。
悠は今、二台のパソコンの前で写しだされてるデータの数列を見て不満をつぶやいてた。
「やはりまだデータが足りないか。」
悠の視線の先にはいくつのもコードにつながれたモノが鎮座しており、今開発中の新ベルトは現段階では悠の満足に行く性能には全く行き届いて無いのだ。
(この調子じゃ出来上がるのは早くて半年以上一年未満、それでは時間が掛かりすぎる。やはり一番手っ取り早くデータを集めるには様々な戦闘データが必要だが仕事は早々来るものではないし、一般人相手に変身して戦うのはアウト。・・それ以外の方法は・・・・。)
来るべき強敵に向けて少しでも戦力を強化したい一心に色々試行錯誤するが、基本転生者以外のその世界に居る人間を例えどれ程の力を持っていようと殺すのは悠の仕事上禁止されている。死なない程度に戦うのであれば交戦は許可されてるが、それだと捕れるデータは限られてくる。
しばらく思考の海に浸かりある程度時間が経った頃に悠は
「・・・・アイス買ってこよ・・。」
取りあえず糖分補給に向かうのであった。
_______________________________
アイスを買うために少し距離のあるコンビニまで歩きながら行った。
バイクで乗って行くのもいいが夜道を歩いて気分転換の散歩のついでに行こうと思ったのだ。
ふと、周りの様子がおかしいことに気付く。今は夜とはいえそこらに店がちらほらあるのに人の気が全くしないのだ。それにさっきから何者かに狙われてるような視線を感じ上を見ると巨体が悠目掛けて落ちてきた。
悠は咄嗟に飛んで回避し、巨体の正体を確認すると上半身が八つ目の女で下半身が巨大なクモの体に成ってる人外と言えるモノが居た。
「あらァ、惜しかったわ。でもさっきので潰された方がアナタ的には良かったんじゃなぁい?」
「お前、はぐれ悪魔か。・・」
悠はこの世界に来て初めて戦った化け物について調べた結果、悪魔には王と呼ばれる存在に眷属を付ける習わしがあるが、王から逃げ罪を犯した悪魔は、はぐれ悪魔という扱いになり悪魔のみならず人間の間でも危害を受けるためその首に懸賞金が掛けられているのだ。
その時悠は思いついた。今自分の悩みを解消できる考えに。
「なあ、お前俺以外の人間にも手をかけたのか?」
「えぇ、お腹が空くと適当にそこにいる人間を食べてるわ。そして、これからアナタも私の今晩のディナーになるの。」
「そうか・・・ならば正当防衛成立だな。」
悠にかけられてるルールは、その世界の人間の殺害。実はある特権によって課題をクリアすれば上記のルールは限定的に無効出来るが今回はそれを使う必要はない。何故なら今目の前にいるのは人ではなく人に害成す化け物だから。
悠は窪みのある小刀が付いたバックル[戦極ドライバー]を装着して赤黒いオレンジが描かれてる錠前、[ロックシード]を構える。
悠の行動に怪訝な目を向ける蜘蛛女を余所に悠は手を休まない。ロックシードを開錠しいつものセリフを言う。
「変身。」
<<ブラッド・オレンジ!>>
ーギュイイイイイインー
「・・・・っは?」
悠の上に空間がファスナーの様に開きそこから出てきたのは赤いオレンジ。
思わず蜘蛛女はこの光景に呆然としたが、悠はロックシードをドライバーにセットしロックシードを閉じる。
<<LOCK・ON>>
ドライバーから激しいギター演奏の待機音が鳴りドライバーについてる小刀、カッティングブレードを倒しロックシードのキャストパッドを開く。開かれた錠前はギターのサウンドと共にオレンジの断面が現れた。
<<ブラッド・オレンジ アームズ!>>
浮かんでたオレンジが悠の頭に被られ、首から下にライドウェアが纏われオレンジが展開し鎧となった。
<<邪ノ道・オンステージ!>>
現れたのは赤黒い鎧に三日月の頭部は武将の如く
天下を勝ち取る紅き武神[仮面ライダー武神鎧武]
変身した武神鎧武を見てようやく正気に戻った蜘蛛女は、先ほどの余裕な態度は見られず困惑した様子が見られた。
「あなた、もしかして神器の所有者?」
「いや、ただこれはこれからお前を駆逐するための力だ。」
「舐めた口を!」
蜘蛛女の口から放たれる糸の塊を武神鎧武は横に飛んで回避し、すぐさまアームズウェポンの刀[大橙丸]と腰に挿してる銃と一体になった刀[無双セイバー]で蜘蛛女に斬りかかる。
懐に入り、二刀流で前足の二本を切り落とし、ジャンプして上半身の女の体に無双セイバーで一閃を喰らわす。斬られた蜘蛛女は残った足を使って後方へ跳び、斬られた痛みで顔を歪めながら武神鎧武に語る。
「へえ、やるじゃない。その訳分からない鎧、中々力があるじゃないの私の体に傷つけるなんて。」
「俺としては全く戦りがいが無いな、お前の実力はその程度か?」
「言うじゃない、いいわアタシも本気出してあげる!」
そう言うと、蜘蛛の腹から無数の1mありそうな子蜘蛛が出てきて、蜘蛛女の体も先程とは違い硬化して全身が鎧のようになった。
「これが私の真の力、真の姿よ。子蜘蛛には強靭な牙と毒、私の体は倍の硬さ。これであなたに勝ち目はないわ。」
「・・・面白い。これくらいはしてもらわなくてはな。」
<<LOCK・OFF>>
武神鎧武はドライバーのロックシードを外し、新たなロックシードを取り出して開錠した。
<<キウイ!>>
纏っていた鎧が消え新たに現れたのはキウイを模したアームズ。
<<LOCK・ON>>
<<キウイアームズ! 撃・輪・セイヤッ!ハッ!>>
キウイのアームズが纏われ茶色と薄緑の鎧になりアームズウェポンのチャクラム[キウイ撃輪]を持って子蜘蛛に向かう、子蜘蛛は武神鎧武に飛びかかるがキウイ撃輪を使い舞うように振るうことで子蜘蛛を両断し、武神鎧武を取り囲んでの一斉攻撃も手から離れたキウイ撃輪の広範囲の攻撃で子蜘蛛は全て斬られてしまった。
「なんだと、だが私にはまだこの体が・・。」
「それにはコイツだ。」
<<クルミ!>>
<<LOCK・ON>>
<<クルミアームズ! Mr,KnuckleMan!>>
キウイの鎧を消し新たに橙色のクルミを纏って両腕に着いた巨大なグローブ[クルミボンバー]で蜘蛛女の体を殴る。
「オラァ!」
「グハッ!」
硬い体から伝わる衝撃はトップスピードのダンプカーが当たった衝撃並みで、武神鎧武は重い一撃を何度も蜘蛛女に浴びせまくる。
「オラ!オラ!オラ!オラ!オラァ!」
「グッ!ガハッ!ゴヘッ!ブッ!ボエッ!」
何度も重いパンチを浴びたせいでフラフラになっている蜘蛛女に、ベルトのカッティングブレードを二回倒して構える。
<<クルミ オーレ!>>
「オウリャ!」
「ぎゃあああああ!」
クルミボンバーにエネルギーが纏い跳んで落下の勢いを付けた一撃は蜘蛛女の体全体に皹を入れた、何度も武神鎧武の重いパンチを喰らったせいで硬化した体も限界を迎え今では少しの衝撃でも崩れてしまいそうなくらいにボロボロになっていた。
<<ブラッド・オレンジ!>>
武神鎧武はアームズをブラッドオレンジに戻し最後の技を放とうとする。
大橙丸と無双セイバーが接続してナギナタモードになり、ブラッドオレンジのロックシードを無双セイバーの窪みに入れようとする。
「まっ、待って!もう降参・・・。」
「今更それが通じると思うなよ。」
<<LOCK・ON>>
<<壱・十・百・千・万!>>
蜘蛛女の決死の命乞いを無視しロックシードを嵌めたナギナタにエネルギーが溜まり蜘蛛女に向けて振るうと、斬撃が蜘蛛女を拘束する赤いオレンジのドームになり蜘蛛女の結末はもう決まってしまった。
<<ブラッド・オレンジ チャージ!>>
蜘蛛女を目掛けて武神鎧武は走りオレンジのドームごと真っ二つに斬る[ナギナタ無双スライサー]で赤い果汁と共に爆散した。
__________________________________
戦った相手は大した敵ではなかったがそこそこのデータが取れた為、まぁまぁの成果だと思う。武神鎧武は散らばってる肉塊をいつものようにモンスター達に片付けさせ、変身を解いて帰ろうとするが
「待ちなさい。」
「・・・またお前等か・・。」
武神鎧武は内心うんざりしたような声で目の前の相手を見る。
「また?、以前何処かで会ったかしら?」
「・・部長、この声と纏っている雰囲気・・・こいつ廃工場にいたリュウガですよ。」
リアス・グレモリー率いる悪魔たちが再び現れた。
はい、今回武神鎧武がアームズチェンジしたのはキウイとクルミでした。
キウイはほとんど映画でしか出られなかったんでこの作品で早々にの出番でした。
そしてナックル!ジンバーアームズおめでとう!
次回は原作キャラ達との初めての戦闘?ではお楽しみに。