その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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本気

 

 

 

 

オーディン達オカルト研究会+αの前に現れたゴルドドライブと新たに現れた四人目の仮面ライダー。ジャッジこと仮面ライダーオーディン。

 

 

圧倒的な存在感に一同が押し潰されるプレッシャーを味わってるなか、オーディンの高らかな名乗りに言葉が上手く出て来なかった。

 

「オーディン、だと?お前の、名前が…?」

 

「…一度で理解出来ぬとは、下等な生物の証拠だと言わんばかりの低能だ。」

 

ようやく出た言葉がアザゼルの最も気になるワードである仮面ライダーの名前。

 

放たれてるプレッシャーの領域が軽く魔王レベルを超す目の前の仮面ライダーが神の名前を語る程の実力者であると言われたら本能的に納得せざる得ない程の存在に誰もが固唾を飲み込む程であった。

 

そんな中、北欧のオーディンの傍についているロスヴァイゼが威圧感に押されながらもせめてもの抵抗もあって自らの心中に溜まってた怒りをぶつけざる得なかった。

 

「どうして…どうしてオーディン様を狙うんですか!?それに、どうして北欧を…数多くの仲間を…!」

 

「愚問。絶対なる存在の前に同じ名は二人も必要ない。

我は至高。そこに居るのは下等な生物。

態々生かす道理を見つけるのは、不要。」

 

「私は仲間を殺した事も聞いてるんです!答えなさい!!」

 

「……下等が。」

 

その言葉を放った瞬間。オーディンは忽然と消え…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下がれロスヴァイセ!」

 

「ッ!?」

 

 

ドガァァアァンッ!!

 

 

「ぐうぅッ!」

 

「オーディン様!」

 

一瞬で起きた出来事に誰もが理解できなかった。

 

オーディンが消えたと頭で理解したその一瞬で何時の間にか北欧のオーディンがロスヴァイセを突き飛ばし、吹き飛ばされ壁に叩き付けられていた。咄嗟に防御の魔方陣を敷いて防いでいたがそれを簡単に壊す程の一撃であった。

そして北欧のオーディンが居た場所には今し方消えた筈のオーディンがそこに立っていた事に誰もが驚愕の色に包まれる。

 

「い、今のは一体…!?」

 

「祐斗より速いスピードで移動した!?私達の目に見えない程の…!?」

 

「ちっくしょう!何だが分かんねえが行くっきゃねえ!行くぜ木場ぁ!子猫ちゃん!」

 

「うん!」

 

「…了解。」

 

「オイ待てお前等!訳の分からねえ相手に無闇に突っ込むんで行くな!」

 

北欧のオーディンを吹っ飛ばしたオーディンに向かってく一誠、祐斗、子猫を止めようとしたアザゼルだったが、時は既に遅かった。

 

「…フン。」

 

「ハァッ!」

 

先陣を切り手にした魔剣でオーディンに斬り掛かる祐斗だったが、そこに居た筈のオーディンの姿が消え空を切る。

消えたオーディンを目で探そうとしたが、見つけるよりも先に頭部に感じる衝撃と全身が壁に激突する際の痛みを味わった。

 

次に狙われたのは子猫だ。祐斗がオーディンに斬り掛かり何時の間にか祐斗の後ろに回り込んで、虫を払う様に手を振り祐斗を吹き飛ばしたのを見た後、何時の間にか自分も壁に叩き付けられていた。

 

最後の一誠は祐斗、子猫の前にオーディンが何時の間にか回り込んで攻撃を加えた事に思考を働かせていたがそれは愚行な行いだった。

答えを予測するより先に目の前に突然現れたオーディンにビンタするような攻撃で先の二人の様に壁に叩き付けられた。

 

一瞬で、五秒とも掛からない内に三人を撃退した。つまらなそうにしてるオーディンを見てアザゼルはオーディンの謎に気付いた。

 

「そうか。野郎、騎士の駒みてぇに早く動いてるんじゃなく転移の術…瞬間移動ってやつか。それで消えたり現れたりの繰り返しでイッセー達をやったってのか…。」

 

「そんな!幾ら転移とは言え、あそこまでインターバルの短さで転移できるなんて…!」

 

「魔法とは違う類の術なんだろうよ。魔力の痕跡も無いと見るとそれが妥当だ。

オマケにあんな、ビンタ見てぇな攻撃でイチコロとか…ありゃ相当厄介だぜ。」

 

「我を前にして無駄口とは…不敬め。」

 

オーディンの力の謎に納得行く答えを導き出し一層警戒心を高めオーディンから目を離さずにいたが、眼前に現れたオーディンを前に体が反応する前に後ろに吹っ飛ばされてしまう。

胸に一撃。それもあばら骨が数本折れる程の一撃に気を失いそうになるのを堪えるのが精一杯だった。

 

傍に立ってたリアス、朱乃はアザゼルが吹き飛ばされるのを理化するより先にオーディンによって先の眷属達同様一撃で伸されてった。ただ丁度両サイドにいる二人に片手で振り払う動作だけで。

 

あっと言う間に戦力の半分以上を倒されたオカ研メンバー。そんな光景を前にアーシアとギャスパーを庇う形で政権を構えてたイリナが信じられない目でオーディンを見る。

 

「嘘でしょ。こんな…こんな簡単に…。」

 

「は、早く治さないと!」

 

「待ってアーシアさん!下手に動いても直ぐやられちゃう、回復薬の貴方は無事でいて貰わないと…。

…そうだ!ギャスパー君の神器でなら…!」

 

「で、出来ないんですぅぅ!さっきから、止まってる今でもやってるんですけど、停まらないんですよぉ!

あの仮面ライダーはそれ程強いって事ですぅぅぅ!」

 

「そんな…。」

 

唯一の希望を見つけ出したと思ったイリナだったが、それは風前の灯となって消える錯覚を感じた。

ギャスパーの持つ神器”停止世界の邪眼”は視界に入った対象の時間を停止できるという能力であるが、使い手であるギャスパーよりも上位の存在には効かないと言うデメリットが存在し悠々と佇むオーディンには効かないようであった。

 

そんなオーディンを前に痺れを切らしたゴルドドライブが口を開きだした。

 

「そろそろ戯れはその辺にして早く終わらせてもらっていいかい?

これ以上は明らかに時間の無駄だとボクは思うんだけどね。」

 

「貴様に物言われる道理は無い。

これ以上我のやり方に口出しをするなら、この場で消す。」

 

「あー、ハイハイ。それは申し訳無かったね。キミの満足の行くまでご自由にどうぞ。」

 

彼等のやろうとしてる事が、北欧を代表する神を殺す事だと言うのに口ぶりからもって虫を駆除するかのような態度にイリナ達は恐れ、自分を庇って攻撃を受けたオーディンを庇うように立つロスヴァイセは悔しさから顔を歪ませるもどうしようも出来ないこの状況に自分の無力を呪った。

 

「…ふぅ、やれやれじゃのう。コレは…。」

 

「オーディン様。此処は悔しいですが撤退しましょう。倒れてるグレモリーさん達は私が何とかしますからオーディン様は先に…。」

 

ロスヴァイセが逃げの策を講じそれを口にしてる最中、かなり離れた位置に居たオーディンがロスヴァイセの眼前に現れた。

 

「ッ!」

 

「去ね。」

 

オーディンがリアス達同様に腕を振り上げそれをロスヴァイセに叩き付けようとしていた。

北欧のオーディンが助けようにもロスヴァイセと敵が余りの近さに居る所為で上手く動けず、当のロスヴァイセは瞬間的でも自分に危機が迫っている事には理解できたが、それを乗り切る為の動作が間に合わなかった。

 

そうしてオーディンがその腕を振り降ろそうとした時だ。

 

 

 

ーGuoooooooon!ー

 

 

 

 

窓のガラスから出て来た黒い龍、ドラグブラッカーは一直線にオーディンに目掛けて体当たりを仕掛けたが、またしても瞬間移動によって回避した為ロスヴァイセの横をギリギリ横切る形で終わってしまう。

 

余りの展開に腰が立たなくなるロスヴァイセと、助っ人の登場に安堵し息を吐いた北欧のオーディン。

 

そんな二人の前に同じくガラスから飛び出して来た人物は二人の前に現れた。

 

「…へぇ、これはこれは。まさか彼が来るとは、予想外の展開だ。」

 

先程までつまらなそうにしてたゴルドドライブが一変して楽しそうな声色を上げる。

雑用仕事を押し付けられたと思ったら予想外のゲストの登場に喜んでいるのだ。オーディン達の前に立ってる仮面ライダー、リュウガに対して。

 

「これは意外なゲストの登場だねぇ。偶然、の言葉で片付けるのは、ちょっと出来過ぎな気もするんだけど…。」

 

「俺としてはアンタも居るって事に驚いたね。

で?俺はお邪魔だったかな?」

 

「とんでもない。むしろ来てくれて嬉しいよ。

退屈な仕事を押し付けられて、ウンザリしてた所だったんだ。」

 

「それはどうも。…でも悪いね。今日はアンタの相手は出来なさそうだ…。」

 

ゴルドドライブとの会話を打ち切りリュウガは別の相手へ顔を向ける。

此方を見据えて腕を組んで立っている仮面ライダー、オーディンに。

 

「初めまして13番目。俺の事聞いてる?」

 

「無論。我を相手に挑もうとする愚か者だと言う事は、大臣より耳にしている。」

 

「あっそう。知ってくれて光栄だね。

ならさぁ、俺がこれからアンタにしようとしてる事、大体想像尽くよねえ?」

 

「我に立ち向かい、無様に死ぬ。それが貴様が辿る未来だ。」

 

「…言ってくれるねぇ。

なら戦ろうぜ。邪魔者抜きで、じっくりとよ。」

 

リュウガが顎で示したのは、先程出て来た窓ガラス。リュウガの提案を察したのかオーディンは答える。

 

「…いいだろう。そこを死に場所と選ぶのなら。」

 

その言葉と同時に、二人は歩き出す。

 

向かう先はリュウガが指してた窓ガラスだが二人は歩みを止める気配はない。むしろまだ先に道がある様に歩む。

そして二人の体が窓ガラスに触れる寸前。ガラスが水面の様に波紋を描きながら二人はそのまま入って行った。

 

「ひ、ひえぇぇえぇぇッ!?!?!?

が、ががが、ガラスの中に入って行ったですぅぅぅうぅッッ!?」

 

「もう何がどうなってんのよ!?また仮面ライダーが出て来るわ、可笑しな感じで消えてくわで…。

あぁーッ!もうッ!どうせならマッハさんに来て欲しいィーッ!!」

 

「ふ、二人とも落ち着いてください!」

 

目の前の光景が信じきれないギャスパーとイリナはオーディンからのプレッシャーから解放された反動の所為か発狂に近い奇声を上げる。

 

そんな光景を前に、ゴルドドライブはまた態度を一変して深く大きな溜息を吐く。

 

「…折角楽しめると期待してたのに、ジャッジをご指名か…。

もういいや。八つ当たりなんてみっともないけどもうこの位しなきゃバグを起こしそうだよ。片目の爺さん以外なら、殺しちゃってもいいよね?」

 

今度はゴルドドライブから放たれる殺気に意識ある者達は”一難去ってまた一難”と言うことわざを想像してしまう程ゴルドドライブの殺気も尋常では無いもだった。

 

先程までオーディンにやられ倒れてた北欧のオーディンだったが立ち上がり戦闘準備をしようとした時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待てぇぇぇえいッ!!」

 

突如聞こえた第三者の声に一同は目を別の視点へ向ける。

 

 

そこには別口の扉から武器であるゼンリンシューターを構え立っているマッハの姿が在った。

 

「追跡!撲滅!いずれもぉ、マッ・「マッハさんッ!」・ンウェイッ!?」

 

いつも通りの名乗り上げをしようとした時である。此処まで発狂に近い状態のイリナが突然マッハに詰め寄って来たのだ。それもかなり間の空いた距離を一瞬で。

 

「あ、え、えぇーっと…確か君はこの前の…。」

 

「覚えていてくれたんですかぁ!?そうです!アナタに助けて貰った紫藤 イリナです!

今まさにピンチって時に来てくれるなんて、私感激です!」

 

「…あ…うん、いや、おうとも!それが、仮面ライダーの使命?ってヤツだからな!当然だともさ!うん!(助けてくれたって言ってるけど、あの時悠兄さんも居たんだよなぁ…。)」

 

目の前ですっごく良い顔で迫るイリナに少し気圧されるも何とか誤魔化しきったマッハ。

未だに興奮を抑えきれないイリナを何とか下がらせて、自分の本来の役目を果そうとするマッハはゴルドドライブの前に立った。

 

「よぉ。まさかここでテメェに会うなんてちょっと予想外だったぜ。」

 

「ボクもだよ。良い意味でね。キミなら彼ほどじゃなくても多少は遊べそうだし。」

 

「ケッ、相変わらずカンに障る口調だぜ。」

 

一度激しい戦いを巻き起こした二人はそれぞれ思う所を含ませながらも相対する。

そして少しの時が経った後に動き出したのはゴルドドライブ、否、後ろで控えてた死神ロイミュード三体がマッハに向かって行った。

 

「って結局そいつ等かよ!?…まぁどっちにせよ倒すけどさ!」

 

<< ゼンリン! >>

 

<< ズーット・MAGH! >>

 

手にしたゼンリンシューターを構えマッハは初めからトップスピードで死神達に仕掛けて行く。

 

加速した状態で死神より早く距離を詰めたマッハは先ず、先頭に居た死神の胴にゼンリンシュータを叩き付ける。トップスピードで間を詰めたマッハに対応が遅れまともに喰らった死神は後退する。

 

最初に一撃を入れたマッハに鉤爪の死神が左から迫り、マッハはコレを軽快なバックステップで回避。更にダンスの様にステップを刻んで鉤爪の後ろに回り込み後ろ蹴りでバランスを崩す。

 

そこへ鎌を手にした死神が大きく振りかぶって来るが、マッハは回避に回らず逆に間を詰めて死神の懐へ。近すぎて鎌を満足に振れない死神の胸部に連続のラッシュ。最後にゼンリンシューターの前輪部を回し、強烈な一撃を入れた。

 

後ろから見てたゴルドドライブはマッハの動きを冷静に分析して、この前の戦闘とは違い動きがスムーズに成ってることに気付く。

 

(あの無駄の無い動き…この前と比べて格段に良くなってる。…しかも所々彼に似たような動きも交じってる。

…これは案外、見方を徹底的に見直さなければいけないかもしれないねぇ…。)

 

<< ゼンリン! >>

 

「デァラァッ!!!」

 

ゴルドドライブがマッハについての見解を見改めている内に、死神三体はマッハにまとめて横薙ぎのゼンリンシューターの打撃に吹き飛ばされゴルドドライブの元まで下がる。

 

「どうだッ!これが厳しい特訓で得た…すっごく!厳しい特訓で得た成果だ!!」

 

「何で二回も言ったんだが…まァさておき、キミが相当力を付けたって事は分かった。此処からはボクも行かせて貰おうか。」

 

「ようやくかよ。でもテメエが今更出てこようが、今日のオレは、限界を超えてるぜ!」

 

「ふぅん。どうやら実力の他に、無意味な大口を叩けるようにもなったようだね。

分かってる?今のボクにはキミと以前戦った際のデータもあるんだよ?確かにキミはちょっと力を付けたみたいだけど、その位なら大した問題じゃないさ。」

 

「へっ、分かってねえのはお前の方だよ。頭イイ癖してさ。」

 

「…何だって?」

 

挑発と見たゴルドドライブが声色を低くしてマッハに問い詰める。

 

「オレは常にマッハで突き進む!

例えそれが自分の進化に繋がる道でも、オレはトップスピードで突っ切るぜ!…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来い!デッドヒートッ!」

 

高らかに叫ぶマッハの元に駆けつけたのは、シグナルバイク、シフトカーが一つに合わさりサイドカーの様なデザインのシフトカー、[シフトデッドヒート]。

 

駆けつけたシフトデッドヒートを手にしたマッハにゴルドドライブは先程と様子が変わり、警戒心を露わにしだした。

 

「何だいそれは?…一体何なんだ!?」

 

「これから見せてやるよ。

よぉーく見とけよ、これからカッコいい一面観せんだからなぁッ!」

 

シフトデッドヒートを折りたたむようにバイク部がシフトカーに収納され、ドライバーからシグナルバイクを取りだすと入れ替える様にシフトデッドヒートを装填した。

 

 

<< SignalBike/ShiftCar! >>

 

装填したと同時にドライバーから激しいテンポのギターメロディの待機音が流れながらマッハの周りを無数のパーツが飛び回り、マッハをパネルを勢いよく倒した。

 

<< Rider! >>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< DEAD HEAT! >>

 

 

周りを囲い周ってたパーツが一斉にマッハのボディに装着されると、胸にはドライブと同じタイヤがタスキ掛けに掛けられる。

赤いオーラと共に噴き立つ蒸気。それはどれだけの熱量を纏っているか一目瞭然の光景であり、マッハは耐える動作を見せた後叫びながら周りのオーラを弾き飛ばした。

 

「ンン~~~~~ッッタァッ!!!」

 

凄まじい衝撃が周りに放たれながらその姿を明らかにさせる。

 

白いボディに加わった赤いボディ。顎には赤いチンガードと胸に掛けられたタイヤが特徴的の姿はドライブとマッハを一つにしたと言って良い姿。

 

「…やっぱこれやんなきゃスタートした気になれねえわ。」

 

今だ出る蒸気を纏いながらマッハは先程満足できなかったお約束を、自身の新しい力を示すと共に声を出した。

 

限界を超え、死地の領域に踏み入れた新しい力を。

 

「追跡!撲滅!いずれもぉ、マッハ~~ッ!

仮面ライダーッ!…マッハーッ!」

 

仮面ライダーデッドヒートマッハ。

 

今、更に加速して新たな領域に踏み出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてマッハが現実世界で新たな力を出してる最中、別世界、ミラーワールドでは…。

 

 

「フゥッ!ホッ!」

 

 

絶賛リュウガがミラーワールド内を全速力で駆け走ってた。

 

現実世界と大して変わりない風景を出しているが、看板等に書かれてる文字が鏡合わせのように反転し、何より生き物の気配を感じさせない無の世界。ミラーワールド。

 

そんな世界に出入りできるリュウガはホテルから離れた町の街道を障害物を避けながらも、全速力で走っていたのだった。

 

我武者羅に走ってるように見える光景だが、その実態ではリュウガは頃合いを見ていた。

 

(出て来るか?そろそろ痺れを切らす頃合いだから、次に奴は…。)

 

走りながら脳内である予想を立てている時であった。

 

 

 

目の前にオーディンが現れた。

 

 

(来たッ!真正面!)

 

「フンッ!」

 

走るリュウガの真正面に現れたオーディンは平手の裏拳をリュウガに仕掛ける。

だがリュウガはこの時を予め予期してたのか、持ち前の反射神経で膝を崩し、上体をのけ反らせる事で通り抜けながらオーディンの攻撃を回避。そしてまたすぐ足を戻しオーディンを余所に走り去って行った。

 

「…あれだけの大口を叩いて逃げの一手とはな…。」

 

呆れる様に口を開くオーディンはまたしてもその場から消えていった。

 

一方のリュウガは先程の感覚から、自身の考えを纏めていた。

 

(大体の感覚はさっきので掴めた。

後は上手い具合に見切って…。)

 

「そろそろ飽いた。消えろ。」

 

そしてまたしてもリュウガの進行方向に現れたオーディン。

 

今度は躱せ切れないタイミングを見計らって現れたのか既に攻撃態勢に入っており、諸手突きをリュウガに向けようとしていた。

 

対するリュウガは諸手突きが放たれたほんの一瞬の瞬間。

眼前に迫る突きを走るペースを落とさず、顔を少し傾ける事で仮面に掠り、右拳を引いてそして…。

 

「ゼァラァッ!!!」

 

「ッ!?グッ…!」

 

そのままの勢いでオーディンの腹部に拳の一撃を入れた。

 

引く姿勢を一歩も見せず。むしろダメージ覚悟で向かって行くギリギリのカウンター。それが今、強敵であるオーディンに初めて入れた一撃だった。

 

思わぬ一撃を喰らった事に腹部を抑えながら後ずさりするオーディン。対するリュウガは拳を突き出したまま肩で息をしつつ当たった事に関する実感を受け止めるのに時間を有していたのだった。

 

「貴様ッ、まぐれとは言えよくも…ッ。」

 

「フゥー。…ホントにまぐれだと思ってんのかい?」

 

「何だと…?」

 

「気付かない?あんだけの口叩いて、俺がこっちに来てからいきなりダッシュで走り回った事にさ。」

 

息を整える時間稼ぎかリュウガは気を引く事が出来たオーディンに対し、間を空けて説明しだす。

 

「アンタの一番厄介なのは消えたり出て来たりするその瞬間移動だ。的確に死角に回り込んで反撃できないように一撃喰らわす。シンプルだけど強力な能力だ。……止まってるヤツに対してはな。」

 

「………。」

 

「全力で走ってる俺に対してもアンタは当然死角に入り込んだ。だが攻撃を繰り出す際に常に動いてる俺にまともな一撃を与えられない。喰らってバランスを崩す程度に掠っただけだ。

それが8回続いてアンタは遂に痺れを切らした。確実に当てる為に俺の真正面に移動し始めた。

正面なら勝手に自分の所に向かって来るし、急な方向転換しない限り俺が躱せる確率は低くなる。

でも、それは逆に考えたら、俺にも一撃当てる絶好の機会になるってハナシ。」

 

「…まさか。」

 

「そう、そのまさか。俺が狙ってたのはコレって訳。

走ってる最中に攻撃パターンやら、次の瞬間移動の短いインターバルも計って、ようやく当てる事が出来た。

…言ってる意味わかる?

もうその瞬間移動は通じねえってハナシだよ!自慢じゃ無いけど、さっきのペースでフルマラソンは軽く走りきれる体力は在るんだぜこっちはよぉ。」

 

オーディンに指を突きつけ大きく出るリュウガ。だが、その内心は全く別の心境だった。

 

(なんて言ったけど嘘に決まってんだろ。それじゃあコッチの攻撃は限られるし、普通に対策も立てられるし、何よりフルマラソン所か半分の20キロ行くか行かないかが限界だし…。

上手くハッタリに乗ってくれればいいんだが…。)

 

正直、リュウガにはオーディンの瞬間移動の対策に思いついた先程の案は、ただのその場凌ぎとも言って良い程の粗末な考え、挑発だ。

 

これから戦うにおいて瞬間移動を克服する確実な案はまだ出て来て無い。せめてもの対策はハッタリに乗って自分の望む展開を作る事。その結果が今出ようとしている所だ。

 

大きく出るリュウガに対しオーディンは間を空けた後、遂に動き出す。

 

手を翳すとそこから現れたのは鳥の装飾が施された錫杖型のバイザー、[鳳凰召錫ゴルトバイザー]。

デッキからカードを抜くと、ゴルドバイザーの一部がスライドされそこに抜いたカードを装填した。

 

<< SWORD VENT >>

 

リュウガのバイザー音と違い高い機械音声が鳴り響くとオーディンの手にゴルトバイザーが消え、代わりに二本の羽を模した双剣、[ゴルトセイバー]が握られた。

 

「我の能力を一つ破ったからと言ってそれでも貴様の運命に変わりは無い。

姑息な手など通じない程の力で、打ちのめせば良いだけの話し。」

 

(…ハッタリ成功、ってか?…まぁなにわともあれ、此処からか…。)

 

オーディンがゴルトセイバーを構える動作を見て、リュウガもデッキからカードを引き抜く。

 

「さて、ここからが本番ってヤツか…。」

 

「貴様が如何なる手を使おうと、全て一蹴してくれる。

姑息な手も、何もかも。絶望与え、最後の審判を下してやろう。」

 

「…あっそ。なら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こっからは俺も…本気で行く。」

 

 

 

 

 

刹那、リュウガの周りが蒼炎に包まれた。

 

 

リュウガとオーディンを囲う蒼と黒が混じった炎はその勢いを増し続け、その熱は空気すら焼き尽くす程。

 

 

その中心に立っているリュウガの手には、蒼い炎に包まれた黒い左翼のカード。

 

 

「貴様、そのカードは…。」

 

「アンタ相手に出し惜しみなんて余裕はねえからなぁ。

アイツも多分言いつけ破って最初から使ってるだろうし…こっちも使う事にしたよ。」

 

突き出した左腕に巻かれたブラックドラグバイザーに炎が纏わりつくとその形を変えていく。

 

纏ってた炎が消えるとバイザーは籠手ではなくドラグブラッカーの頭部を模した銃型のバイザー、[ブラッグドラグバイザーツバイ]。

 

変化したバイザーの口部分が開き、リュウガは先程抜いたカードを装填する。

 

カードに記された文字の意味は、”生存”。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< SURVIVE >>

 

 

 

エコーが掛かったバイザーの音声が鳴り響くと、蒼炎がリュウガに纏われる。

 

そして炎が晴れた先には、終わりなき戦いに生き抜く為に進化したリュウガの姿。

 

 

 

仮面ライダーリュウガ・サバイブ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

片方は死地の力で科学の極限に挑み

 

もう片方は生存の力で無限の力に挑む

 

 

 

二人の進化した力が放たれようとした。






リュウガサバイブ態はS.I.C.のデザインを参考してしただければ、想像尽きやすいです。

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