その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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前回の続きです。

話しの展開的に少々強引な一面がありますので、読む際にはご注意を。


通告

 

 

 

「いやぁ~申し訳ないね。対談の場をこんなトコにしちゃって。

落ち着いて邪魔が入らない場所と言えばココしか思いつかなくてね。ま、その辺は美味しいお茶請けでも食べて気を紛らわしてくれると嬉しいね。」

 

森の中で屋外に関わらず座り心地の良い椅子に座りながらアザゼル、リアス、キンジは目の前に向かい合ってる人物に怪訝な視線を放っていた。

 

足を組みながら用意した小皿の上に載ってる羊羹を食べている緊張感も何も無い、むしろ終始マイペースな雰囲気の男、戦極凌馬を前にアザゼルがようやく口を開く。

 

「…今回は対談の機会を与えてくれて感謝する。オレは…。」

 

「あー、言わなくていいよ堕天使総督さん。こっちもある程度は調べてあるからね。

赤い髪の子が魔王の妹のリアス・グレモリーで、そっちのキミは武偵の遠山キンジ君だったね。てっきりピンクのおチビさんが来ると思ったからコレを用意しておいたんだけど…。」

 

羊羹を食べ終えた凌馬は、また何処からか取り出した紙袋から饅頭のようなモノを取り出してキンジに見せつける。キンジは凌馬の取り出した食べ物に目を奪われる。

 

「アリアの好物まで調べたのか!?」

 

「まぁね。でもまぁ無駄になっちゃったみたいだし、捨てるのも勿体ないからコレあげるよ。今金欠で困ってるんだろう?」

 

紙袋を差し出されたキンジは少し戸惑った後、しぶしぶと言った感じで凌馬から紙袋を受け取る。

アザゼルは咳払いをし話を進めようとしていた。

 

「お前等の情報収集の良さは十分分かったよ。それよりもいい加減話の本題に移ろうや。」

 

「おっとそうだったねぇ。では早速だが・「待ってくれるかしら?」・ん?」

 

凌馬が本題を持ちだそうとした瞬間それを遮る様に口を出したのは、リアスであった。

 

「これから話し合いをしようと言うのに、私達の事を一方的に知っといて自分は教えないとかフェアではないと思うのだけどもその辺はどうなのかしら?お茶請けよりアナタで気を紛らわしたいわね。」

 

「ハッハッハ。悪魔に魅入られてしまうとは、私も罪作りな男で参っちゃうね。」

 

「自分で言うのかソレを?

…だがオレとしてもココはハッキリお前さんに知っておかなきゃ気が進まねえ。リアスから聞いてた仮面ライダーの人物像とはえらく違うみたいだし、二人目や金色の可能性もあるがお前さんからはどうも戦う人間とは感じられねえ。

…戦極凌馬。お前は一体何者だ?それと仮面ライダーとは一体何なんだ?」

 

リアスの話に乗っかるようにアザゼルが凌馬の素性についての説明を求めるなか、当の凌馬はおちゃらけた雰囲気を流したまま演技掛かった風に言う。

 

「う~ん。何者、と言われてもねぇ~。私は戦極凌馬であって、ただの科学者に過ぎないよ…。」

 

「科学者?」

 

「そ、科学者。」

 

凌馬の答えにイマイチ疑惑の疑いが残るなかここでキンジも凌馬に対し質問する。

 

「じゃ、じゃあ。アンタと仮面ライダーの繋がりって…。」

 

「う~んそうだねぇ…。簡単に言っちゃえば、私が裏方で彼らが表舞台を任されてる。戦闘員と非戦闘員。って言えばいいのかな?」

 

「仮面ライダーにも組織的な協力者が居るって事か…。

ちなみにだが、科学者としてお前はどんなモノを開発してるんだ?」

 

「それならとっくにキミ達が見てる筈だよ。私の造った発明品の性能を…確かこの中で一番詳しいのは彼女だったかな?」

 

凌馬に指を指されたリアスは凌馬の放った言葉からある答えを見つけ出す。

 

”発明品” ”性能” ”自分が一番詳しい”

 

このワードから導き出されること答えは一つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…アナタが…アナタが仮面ライダーを造りだした?」

 

「っ!…。」

 

「え!?…」

 

「正解♪」

 

リアスの導き出した答えにアザゼルとキンジはリアスから凌馬に目を変える。

小さく拍手しながらコチラに対して本性を隠してるこの男が、仮面ライダーを造りだしたと思われる科学者。戦極凌馬の正体に驚いてる三人にここで凌馬が先程も答えに付け加える様に話しだす。

 

「でも私が彼に与えたのは二つのドライバーだよ。

一つは戦極ドライバーと言ってね、ほらキミ達が挑んであっさり負けた時に着けてたベルト。

正式名称アーマードライダー武神鎧武。世間は仮面ライダーと呼んでるから、仮面ライダー武神鎧武かな?

それでどうだったかな?私の造ったドライバーの性能は?彼はあの時本気じゃ無かったからフルの性能は引き出して無かったけど、端から見た第三者の声も是非とも聞きたいんだ。」

 

「ぐっ…!」

 

リアスに向けて凌馬は率直な感想が聞きたいと言われるのが、おもちゃを見せびらかす子供の様に見えるがリアスからしたら当時戦った武神鎧武もそうだが同時にこのふざけた男の造りだした発明に手も足も出なかったと言う事実が彼女を憤慨な気持ちにさせていた。

 

そんなリアスを悟ってたここでアザゼルが輪に入る様に凌馬に疑問を問いかける。

 

「ちょっと気になったんだが、お前の渡した発明品は二つ、と言ったがもう一つは…。」

 

「ん?あぁ、それはコレだよ。」

 

凌馬が懐から取り出したモノに今度はキンジが声を上げ始める。

凌馬の持っていたモノ。それは自分たちが初めて見た仮面ライダーの着けていたモノと全く同じベルト。ゲネシスドライバーを持っていたのだった。

 

「そのベルト…!?まさかあの白い鎧武者もアンタが!?」

 

「白…あぁ斬月ね。そう!このゲネシスドライバーは云わば戦極ドライバーの完成品さ!戦極ドライバーに比べ簡単に量産出来ないのはネックだけど、性能はその倍。今の所このゲネシスドライバーは私の人生の中で一番の傑作と言う訳さ!…と失礼。少し熱が入ってしまったね。

ちなみ言っとくと斬月の変身者も武神鎧武と一緒さ。彼にはホント感謝してる。戦極ドライバーの実戦データが無ければこのゲネシスドライバーは完成しなかった。

キミ達にも感謝してるんだリアス・グレモリー。大したデータは揃わなかったが、それでも私の開発に少なからず協力してくれてね。」

 

「何…ですって!?」(ガタッ!)

 

「!、馬鹿リアス!落ち着け!」

 

アザゼルが止めようと抑えるもリアスの怒りは収まり切れず椅子から荒げた様子で立ち上がり凌馬に睨み付けるが凌馬の表情は涼しい顔で此方を見てその不敵な笑みを浮かべるだけだった。

これ以上は話が進まないと感じたアザゼルは無理矢理リアスを抑えつけて何とか椅子に座らせて凌馬と向き合う。

 

「いや失礼した。ウチのもんが粗相なマネを…。だがよ、あぁ言う事言っちまえばこうなる事ぐらい簡単に予想がつくだろ?」

 

「あ~確かに考えてみればそうだったねぇ。

…うん。こればっかりは私の所為だ!相手の気持ちを考えずに不躾な言葉を言ってしまった!ハハハ!」

 

アザゼルの指摘に対し一人で勝手に納得したかと思えば笑い出す。自分の行いに不備があった事を自覚してるようだがリアス達に対する反省の色は無いように見えてそれが却って煽られてる気分になった。

 

「…まぁアンタがこっちを苛立たせる話は置いといてだ。もう一つ聞きたいのは、冥界を襲撃した仮面ライダーとの関係を聞きてえ。」

 

「フム。…そうだねぇ、簡単に言っちゃえば敵、かな。

我々にとって、そしてこの世界にとって。」

 

「目的は?」

 

「それは不明だ。分かっているのは敵の大まかな戦力ぐらいだ。

未知の生命体、ファントム。機械生命体、ロイミュード。そして仮面ライダー…。あ、あと冥界で生まれたファントムも含めてか。彼等はこの戦力を率いて何かしらこの世界に爪痕を残そうと企んでいる。と。

…ここまでだ。キミ達に教えられる限りの情報は。」

 

そこまで言って急に凌馬の態度が一変したように笑みが無くなり緊迫した空気を造りだす。

 

「大分話の路線が脱線しちゃったみたいだけど、質問タイムは此処で終わりだ。

キミ達を呼んだのは他でもない。キミ達にあるお願いをしたくて呼んだんだ。」

 

凌馬の放った一言に全員が息を飲む。

恐らくキンジが言ってた”戦況が変わりつつある”という現実に関係している事なのは間違い無いと踏んでいる。

肘をついて手を顔の前にやる凌馬の口が開き始め

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キミ達は今後一切我々に関わらないで欲しい。彼等にも冥界の襲撃犯についても。

正直言って迷惑でね。此方が必死になって戦っていると言うのに邪魔されちゃあ迷惑以外の何物でもないから。」

 

凌馬の放たれた言葉に三人は驚いた表情になる。

放たれたのは拒絶の言葉。

 

「関わるな、ですって?」

 

「うん。さっき言った通り敵の戦力は圧倒的に多く実力も半端ないし、何より今確認されてる向こうの仮面ライダーよりコッチは少ないし、全く持って状況はよろしく無いんだよねえ…。」

 

「だったらここは普通手を結ぼうとか、そういう話を持ちかけるべきじゃ…。」

 

「そうだよねえ。普通ならキミ達と協定を結んで此方も数の理を整えるのが定石だろうね。

でも相手は普通じゃない。キミ達はおろか真っ向から向かっている我々でさえその実態を掴めない存在。まるで幽霊だ。

そんな幽霊相手に冥界は襲われ、数多くの犠牲者が出た。正直今の冥界と手を組んでも我々にとってのメリットが一切無い。戦力外通告という訳さ。」

 

「アナタねぇ、此方の事情も知らないで勝手な事言わないで頂戴!

それに戦力ならまだ、お兄様…魔王様方がまだ…!」

 

「…あぁはいはい。魔王様方ね、成す術無く負けたって言う…。それこそ論外だ。此方からは願い下げだよ。」

 

「何でよ!?魔王様達は生きて…。」

 

「そう!それだよ、私が言いたいのは。」

 

逆上しているリアスに対して凌馬は立ち上がり、机の周りを歩きながらさも愉快そうに語り始める。

 

「魔王とはズバリ冥界に於いて事実上トップに立つ存在。これはキミ達も当然の如く分かっているよね。」

 

「当たり前じゃない。貴族より上級の立場に居る冥界に於いて無くてはならない当事者。それが魔王よ。」

 

「うん。そうだねえ、冥界にとっては何かあった場合に必要なリーダーであり最終戦力。それがキミ達にとっての魔王。」

 

「さっきから何を言って…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では何で彼等は殺されてないんだろうね?数多くの死傷者を出したあの事件で…。これはちょっと可笑しいよね?」

 

凌馬の無情にも放たれた言葉はここに居る全員を固まらせるのに十分の威力を持っていた。

 

凌馬の言いたい事を察したアザゼルは苦い顔を、キンジは少し考えた末言葉の意味を理解し、リアスはどういう意味なのかまだ分かっていない様子であった。

 

「あれ、分かんなかった?それじゃあ分かりやすく解説しながら…。

普通一つの国を落とすのに於いて攻略するのに一番手っ取り方法。それは言わずもがな国を纏めている親玉を潰してしまう事さ。当事者を無くした国は一気に崩れ滅び去って行く。

彼等が本気で冥界を落とす気だったのなら、なんで止めを刺さずに帰っちゃったんだろうね?」

 

さも楽しそうに笑みを浮かべて語っているが、その内容は非常無情の言葉を淡々と突きつけられているようであってこれ以上先は言わないでと言わんばかりの内容だった。

 

だがそんな事を気にも留めず、凌馬はリアスの後ろに回り込み覗き込むように非情な現実とも言える言葉を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「答えは簡単。彼等にとって大した脅威でも何でも無かったからだ。

”お前等なんて目じゃねえぞ、何時だって潰せる”って感じで、キミ達は敵として見られなかったんだ。

そんなキミ達と手を組もうなんてメリットの無い話、全く以て話にならないよ。」

 

拒絶の言葉を包み隠さず三人に言い放った凌馬。

 

その目からも先程までのマイペースな様子と違って明確な意思が感じられ、冗談でも何でも無くリアス達にこれ以上手を出すなという無言の圧力が科学者と名乗った男から放たれていた。

 

「…さてと。私からは以上だ。もし何も無かったらこの話はコレでお終いと言う事で、後日また別のが誓約書やら何やら…。」

 

「待てよ。」

 

話を進めていく凌馬に声を掛けるアザゼル。他の二人はアザゼルから放たれる気迫に息を飲んでしまう。

その表情は先程まで一変して普段見せる様なオカ研顧問としての顔で無く、堕天使を束ねる長として、長い闘いを生き抜いてきた男として凌馬を睨んでいた。

 

「冥界事件に関しちゃウチのとこの奴等も悪魔ほどじゃねえが被害被ってんだ。堕天使総督として好き勝手やった奴等を野放しに出来るかってんだ。

…それに被害はお前等の敵とやらだけじゃねえ、コカビエルの件はアイツの自業自得だが一緒にあの戦争生き抜いた仲だったんだよ。」

 

「コカビエル………あぁ。放っておくと色々面倒になりそうだから消しといたって聞いたアレか。

聞いてた人物像からてっきり嫌われてたのかと思ってたけど、案外仲間意識はあったんだね。」

 

「……口に気を付けろやガキ。とにかくテメエじゃ話にならねえ。テメエのボスか、仮面ライダー本人を連れて来い。」

 

「…嫌だと言ったら?」

 

「こういうスマートじゃねえやり方は好まねえが……力ずくで聞いてもらうぜ。」

 

手に光の槍を出して凌馬にその切っ先を向けるアザゼル。額に青筋が浮かんでいる事から内心怒りを宿しているのが見て取れた。

 

そんなアザゼルを前に凌馬は溜息を短く吐いて。

 

「ハァ…やれやれ、堕天使総督も案外底が知れるね。出来れば穏便に話しを進めたかったが…やむを得ないか。」

 

そう言って凌馬は先程三人に見せたゲネシスドライバーを自ら装着しこの光景に威嚇を見せてたアザゼルも驚いた顔つきになる。

 

「アナタ…科学者と言ったのはウソなの!?だってそのベルトは…!」

 

「ウソじゃないさ。私は正真正銘の科学者だよ。

ただ量産し辛いゲネシスドライバーの内の一つを護身用に持つ事ぐらいは何てこと無い。私の造った最高傑作のドライバーをね。」

 

「…面白え。ならいっちょ科学者同士戦り合おうぜ。

オレが勝ったら此方の言う事を聞く、もし負けたら素直に手を引いてやる。」

 

「アザゼル!?」

 

「先生!?」

 

「任せろお前等。伊達に総督なんて椅子に座ってるだけじゃねえって事、今に見せてやる。」

 

「ハァ~。こういうのは私の専門外なんだが…仕方ない。…変身!」

 

<< レモンエナジー! >>

 

取り出したレモンエナジーロックシードを持ちながら両手を前に突き出し、頭上にレモンのアームズが出現するなか手を小刻みに回してドライバーにセットしシーボルトコンプレッサーを押し込む。

 

<< LOCK・ON >>

 

<< SODA! >>

 

<< レモンエナジーアームズ! >>

 

<< FightPower! FightPower! Fi,Fi,Fi,Fi,F,F,F,F,Fight! >>

 

アームズが頭に被さりライドウェアが形成。展開され鎧と姿を変えたアームズを纏った西洋風の騎士。仮面ライダーデュークに変身した凌馬は見せつける様に三人の前に出る。

 

「これが私が開発した次世代型アーマードライダー、デュークだ。今からその性能も是非ご覧に入れよう。」

 

「デューク…侯爵か。随分気取った名前だ。

いいぜ、来いよ。ソイツの負けっぷりをとくと目に焼き付けてやる。」

 

デュークがソニックアローを手に弓を弾いて構え、対してアザゼルは槍を手に持ち構える。

リアスとキンジは二人から発せられる気迫に息を飲みながら遠くから見届ける事にした。下手に手を突っ込めば巻き添えを喰らう所の空気では無かったからだ。

 

「……ハッ!」

 

「フンッ!」

 

しばらく時間が掛かって先に仕掛けて来たのはデュークだった。ソニックアローの光矢を寸分違わぬ狙いで放ったが、アザゼルはこれを槍で叩き落とし自身の羽を広げてデュークに特攻。

 

目に見えない速さで槍を突貫して来るアザゼルにデュークは正面から受け止める。槍とソニックアローが激しい火花を散らしてくる。

 

「ほぉ、ただの科学者にしちゃあ随分反応がいいじゃねえか。それもそのベルトのお蔭ってか?」

 

「ご名答。私のゲネシスドライバーは性能をギリギリまで底上げした特別性だ。

幾ら堕天使総督でも、コレには少し厳しいと思うよ?」

 

「そうかい。ならこっちも自慢の発明品を見せてやらなきゃな!」

 

鍔迫り合いからいち早く抜けたアザゼルは懐に手を入れた瞬間眩い光に包まれる。

光が晴れた後に居たのは金色の鎧を身に纏ったアザゼルが黒羽を開きながら空に上がりデュークを見下ろしていた。

 

「へぇ。それが噂に聞いた神器マニアが自ら手掛けたという人工神器か。」

 

「んだよ知ってんのか。あぁそうだ。”堕天龍の鎧”。

今はまだ調整中のコイツだが、その力は…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーヒュン!ー

 

 

「っ!」

 

「以前より増してるぜ。」

 

空に上がっていたアザゼルだったが、一瞬で姿を消えたと思いきや瞬時にデュークの背後に回り槍を横薙ぎに振るうも咄嗟に反応してソニックアローで受け止めたが、思った以上のパワーに弾かれてしまう。

 

体勢を立て直したデュークはソニックアローを連射。しかしアザゼルは迫り来る光矢を次々と弾きながら一直線にデュークへと向かい、迫り来るアザゼルにデュークはブドウロックシードを開錠する。

 

<< LOCK・ON >>

 

<< ブドウチャージ! >>

 

「っ!ちぃ!」

 

ソニックアローの矢先に紫のエネルギーが収集。威力と弾幕が上がったの紫の矢はアザゼルの動きを止める事に成功し更なるロックシードを開錠する。

 

<< LOCK・ON >>

 

<< バナナチャージ! >>

 

地面に突き刺したアークリムからバナナ型のエネルギー波がアザゼルを拘束する。

動きを完璧に止めたデュークは接近し勝負を決めようとベルトのレバーに手を掛けるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーバキィ!ー

 

「なっ!?」

 

「この位で止めたと思うな。」

 

あろうことか力づくで拘束から抜け出したアザゼルに驚きを隠せないデューク。

両手に現した槍を二本デュークに向けて投擲。一撃目をソニックアローで弾き、二撃目を半歩下がって回避。その隙にデュークに接近したアザゼルは槍でデュークのアーマーに一撃入れデュークのボディに火花が散る。

 

「グッ…。」

 

「前のカテレアの一件で壊れちまったコイツだが、仮面ライダーの生け捕りが決まった際にちょくちょく改造した人工神器だ。扱うにはちとキツイのもあるが、少なくともオメェのベルトよりかはこっちが上だってのが証明できるな。

…さぁどうする?大人しく降参するか、もう少し痛い目みるか…。」

 

下がったデュークに対し自身とデュークの差を思い知らせるアザゼル。

この時のアザゼルは正しく堕天使のトップに座る頂点としての威厳が感じられ普段オカ研のメンバーに雑に扱われたりされてる姿とは全く想像つかないモノだとキンジは思い。リアスも流石の仮面ライダーも三大勢力のトップを相手に優勢でいられる訳が無かったと冷静に分析していた。

 

明らかにアザゼルの方に軍配が上がったと思われるなかデュークは

 

 

「…フゥ。どうやらパワー、スピードの面においてはそちらが上のようだね。これはまたドライバーの調整を改めなくてはいけないみたいだ。」

 

「随分とみっともない言い訳だな。それがお前の降参の台詞か?」

 

「まさか。キミの発明に有って私の発明に無い。と言うだけの話をしてるだけ。

総合的に見てまだどちらが上かなんて判断は速いと言っているんだよ、私は。」

 

「面倒臭ぇヤツだな。それともなにか?オメェの発明品にはまだ隠し玉があるって言いてえのか?」

 

「あるとも。とっておきの裏技がね。」

 

そう言って取り出したモノは四つ。

 

その内の三つは他のアームズと比べ比較的パワーがあり入手困難と言われているスイカロックシード。

そして最後の一つは果実が模られた錠前では無く大きくSと描かれたロックシード。

 

デュークは三つのスイカロックシードを宙に投げたかと思いきや、Sと描かれたロックシードをソニックアローに装填し。

 

<< LOCK・ON >>

 

<< CONNECTING >>

 

放たれた矢は真っ直ぐスイカロックシードに命中した後光を放ちながら巨大化していき、やがてその姿は錠前では無くアームズとなって現れたのだった。

 

「何だ、あれ?…馬鹿デカいスイカが三つ!?」

 

「…もしかしてアレ、イッセーの言ってたスイカのロボット?」

 

「また奇怪なモノを次から次へと……オモチャ遊びが裏技ってか?」

 

「まぁね。ではとくとご覧あれ。」

 

<< ジャイロモード! >>

 

三機のスイカアームズが飛行形態のジャイロモードへ変形。

 

三機はマシンガンをアザゼルに向けて発砲していきアザゼルはこれを瞬時に飛んで回避。スイカアームズ達はアザゼルを追いかけ、連携の取れた飛行制度でアザゼルの動きを制限していき防戦一方追い込めていく。

 

(こいつ等の動き……指示を出してるのはアイツか!さっきからネチネチネチ嫌な飛び方、機械で出来る飛び方じゃねぇ!)

 

スイカアームズの連携の取れた飛行制度のカラクリを探っていくアザゼル。

アザゼルの考えは正しかった。先程から上空を見上げているデュークの額のカラーランプが点滅していたのが答えだった。改良を加えたゲネシスドライバーからの演算能力を生かした遠隔操作によってアザゼルの動きを先読みし、回り込んで攻撃する。空での戦いに長けているアザゼルにとって最悪の戦法だった。

 

「ちッ!こなくそォッ!!!」

 

痺れを切らしたアザゼルはスイカアームズの一体に狙いを定め、一際巨大な槍を生成。そのまま此方に向かって撃ってくるスイカアームズからのダメージを受ける覚悟で投擲した槍は

 

<< 大玉モード! >>

 

「ナニィ!?…グハッ!」

 

防御形態の大玉モードに変化し回転して投擲された槍を弾き返したスイカアームズに気を取られ、真上から真っ逆さまに落ちて来た別の大玉モードに巻き込まれ地中へと落下していく。

 

地響きと共に土煙が舞うなか転がるスイカアームズの下に潰されたアザゼルが立ち上がる。鎧に所々皹が奔り先程のダメージが結構効いたようであった。

フラフラの状態で落下の際に出来たクレーターから這い上がった先にデュークが歩み寄る。

 

「どうかな裏技の人形遊びは?中々に楽しめただろう?」

 

「あぁ、最高に趣味の悪いヤツだ。よくもまあデザインと言い、こんなん思いつくぜ。」

 

「中々だろう?私のセンスは。

さて、これで立証できたね。人間の私。堕天使のキミ。どちらの発明品が如何に優れて、あらゆる強敵に立ち向かえるかの性能を持っているか。」

 

「んな事、テメエなんぞが決めつけるな!

オレ達はそんな、一度の大敗で引き下がる程ヤワじゃねえ!」

 

「…キミがどれだけ確証の無い空論を突き出そうが無意味だ。…だって。」

 

<< LOCK・ON >>

 

ソニックアローにレモンエナジーロックシードを装填し構えるデュークに対し、アザゼルは残りの力全て引き出して強大な槍を造り出していく。

 

「キミは私に敗れる。

…何故なら、私の造ったドライバーは勝利に導く為に造られた唯一無二の傑作だからだ!」

 

「ウオォォォォオォォォリャァッ!!!」

 

先に仕掛けて来たのはアザゼル。振り絞った力で造りだされた槍はこれまで以上の光と速さを以てデュークを貫こうと空気を裂く様に飛んでいくが、デュークはそれに大した変化は無く手を捻る事でアークリムが肥大化しエネルギーの収縮率が上がっていき。

 

「ハアッ!」

 

<< レモンエナジー! >>

 

最大出力で放たれた矢はアザゼルの放った槍と衝突。

 

拮抗する技の衝突に勝ったのは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グァァアァァァアッッ!!!」

 

「アザゼル!」

 

「先生!」

 

デュークの放った矢はアザゼルの槍を貫きそのままアザゼルの胸部に当たり爆発した。

これを喰らったアザゼルは堪らず声を上げてしまう。鎧は光となって分解していき、ボロボロになって倒れていくアザゼルに駆け寄るリアス達に対し、デュークは変身を解き凌馬の姿へとなって三人に歩み寄って行く。

 

「アナタよくも…!」

 

「さぁーて。勝負は私の勝ち、っと。

では日を改めてまたコッチの誰かがキミ達に色々誓約書とか渡すと思うから今日はコレでお開きと言う事で…。」

 

リアスが凌馬を睨んで来ているがそんなのお構いなしと言った風に凌馬が話を進め指を鳴らした途端何処からか巨大何かが凌馬とリアスの間に降り立ち、これにリアスは警戒し、キンジも気絶したアザゼルを背にしながら銃を抜く。

 

降り立って来たのは二本脚で立っているロックビークル[チューリップホッパー]。

誰も操縦しておらずに動いていると言う事は先程のスイカアームズ同様に自動で動いていると見られる。

 

そんな時ふと凌馬が思い出したようなリアクションを取りながらチューリップホッパーの後ろからキンジに声を掛けていき。

 

「あーそう言えば言い忘れてた。

そこの武偵のキミ。戻ったらキミの相方に伝えてくれるかな?」

 

「アリアに?一体何を…。」

 

「なぁに対した事じゃ無いよ。

キミは追いかけるのに熱心になれる相手を見つけたけど、遊び過ぎて家族の事忘れちゃいけないよ?って伝えといて。」

 

「!アリアの母親の事!?何でお前が…!?」

 

「んじゃそう言う事で。じゃーね。」

 

凌馬が手を振るうと同時にチューリップホッパーから光線が放たれ、これを攻撃を思い込んで構えていたリアス達だったが光線はリアス達の後ろに向かっていく。すると光線は空間を切る様に縦に下ろすとリアス達が此処に入って来るときに使ったクラックが開き、それに目を奪われてる間にチューリップホッパーの突風に押し出され三人は森から出て行き、クラックも三人を出したと同時に閉じていった。

 

目の前から消えた三人を目に凌馬は上を向いて大きく息を吐いた後、先程までの陽気な態度から一変して別人のような雰囲気を纏っていた。

 

「……帰るか。疲れたし。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方拠点の地下ラボでは

 

「てわけでさ~。武蔵姉さんマジ容赦無いっての。

幾ら変身している状態と言ってもあそこまでマジ殴りで向かって来るかねえ?」

 

「うわ~。流石大和型。何に於いても常に全力とか。」

 

「というかよく生きていられるね。戦艦の全力パンチ受けて…。」

 

ラボ内では今日の鍛錬の苦労話を偶々遊びに来てた蒼龍、飛龍に話し場を盛り上げていく秋。

 

深夜に関わらずラボ内が笑いに包まれるなか、それは急に来た。

 

 

 

ーギュイィィィィンー

 

「え!?」

 

「な、なに!?敵襲!?」

 

「おー、戻って来た。」

 

突如ラボ内にクラックが開き、蒼龍と飛龍が警戒して弓を構えるなか秋は椅子の背もたれにもたれ掛る様に座りながらクラックから出て来た人物、戦極凌馬を迎え入れた。

 

「お帰りー、どうだった?成果は。」

 

「あぁ。形は予定と大分違ったが、イイ感じに進められた。次で追い打ちかけて、それでお終い、だ。」

 

「さっすが。いい仕事するね~。」

 

「「ちょっと待ってよ!」」

 

仲良さげに話す秋と凌馬の光景に耐え切れず二人は待ったをかける様に口を挟んで行く。

 

「ちょっと秋君!誰なのこのイケメン!?いきなり現れて、さも当然の如く!?」

 

「あ~そういえば言ってなかったね。

……そろそろネタばらししたら?悠兄さん?」

 

「「え?」」

 

「ネタばらしとか、別に狙ってた訳じゃ無いんだけど…。」

 

凌馬が腕をまくると腕からメモリ状のナニかがとび出した途端、凌馬の姿がぼやけるや否やそこに居たのは凌馬では無く用が在っていないと言われてた悠であった。

 

「「え…えぇ~~~~ッッ!?」」

 

「うるせえよ、今何時だと思ってんだ…。」

 

「無理ないと思うよ?オレだって何処からどう見ても戦極凌馬にしか見えなかった悠兄さんに顎が外れるかと思ったもん。」

 

「えっと、どういう事?一体何で…?」

 

「簡単に言えば、こういう事。」

 

<< DUMMY >>

 

悠はガイアメモリ、ダミーメモリを再度腕に挿した後姿がぼやけ始め、二人の前に現れたのは。

 

「「か、加賀さん!?」」

 

「何騒いでいるのかしら?全く、二抗戦を名乗るのならそれに相応しい態度を取って欲しいものね。」

 

「か、加賀さんだ…。」

 

「態度もあの目つきも、おまけに腕組んでふんぞり返ってる雰囲気とかも…。」

 

「とまぁ、こんなカンジに姿を変えてモノマネするのが得意ってだけよ………んあぁ。そのかわりすっごく疲れるがな。」

 

説明しながら加賀から元の姿に戻った悠。呆然としていた二人だったが、飛龍がハッと思いついたように悠に詰め寄る。

 

「ね、ねぇねぇ!もしかして、多門丸になれる?って言われたらなることが出来る!?

ねぇやって!お願いだから多門丸になって、”飛龍愛してる”って言って頂戴!」

 

「え、ちょっ、おい…。」

 

「あちゃー。飛龍ったらまた悪い病気が…。」

 

「ハハハ、やっぱ女の子の前じゃ悠兄さんは手も足も出ないか!」

 

「見てないで助けてくんない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、オカルト研究会の元に一人の男が訪ねて来た。

 

名を村上 峡児。歳は三十代半ばといった顔立ちが整ってるスーツ姿の男は戦極凌馬と同じ仮面ライダーの傘下に入っていると言い、本人は使いで誓約書の説明、受け渡しを担当する者と言ってオカ研に部室を訪れた。

 

アザゼルが不在の中、村上の巧みな話術と物腰の良い対応で話はドンドン進めていき、これからの対応についての誓約書を渡されリアスはそれに目を通した。

 

誓約書にはこの前の戦極凌馬の一件でアザゼルに怪我を負わせた詫びに此方は一切三大勢力に手を出さない等や敵の情報等、出来る限りの情報提供を約束すると言う事が書かれていたが、万が一此方に敵意を見せた場合実力行使で排除するなど描かれていたのに対しリアスは反発したが、そこは村上が

 

「それはあくまで、貴方達が敵意を見せそれを実行した場合です。貴方達が何も手を加えなければ済む話。

それともそれを同意する上で何か不都合な事があるのですか?」

 

この返しにリアスは何も返せなかった。おまけに何時録音したのか、あの時戦極凌馬に向けてアザゼルが言った勝負の内容をレコーダーで聞かされたのがトドメ。おまけにその時の映像も込みでだ。

仮にも堕天使総督の提案して言ったしまった一言はどれだけ此方が反論しても何も言い返すことが出来なかった。

 

そんなオカ研メンバーに対し村上は更なる辛口を言う事になる。発端は一誠が村上の”貴方達では荷が重い”と言う一言に対し感情的になってこう言ってしまったのだ。

 

「黙って聞いりゃいい加減にしろよアンタ!

アンタ等がどれだけオレ達を下に見ているか知らねえが、これから力を着けていけば仮面ライダーだろうが化け物だろうがいつかぶっ倒して…。」

 

「…そのいつかとは、何時なのですか?」

 

「え?…。」

 

「明日か、一週間か、一カ月か、一年か…具体的に何時、どう強くなるのですか?」

 

「そ、それは…。」

 

「我々が直面してる脅威は、現在進行形で着々と暗躍していってます。

我々が今欲しているのは、優れた上の上の逸材。曖昧に宣言してるキミでは直ぐに死んでしまうだけですよ。」

 

「でも!オレ達は今まで色んな危機を乗り越えて来た!オレだけならともかく、ここに居る皆で頑張れば…。」

 

「いくら団結しても、下の下が合わさっただけの集団では巨大な壁を乗り越える事は出来ませんよ。キミは現実を見る事が欠けているようだ。目を逸らそうにも過去に貴方達が総出で負けた事はどうあっても覆りません。

…失礼。話が逸れてしまいましたね。話を戻しましょう。」

 

 

 

結局村上に何も言い返せないまま一誠達は村上の一方的とも言える話につき合わされ村上は部室を後にした。

 

そして村上から渡された誓約書はリアスから兄のサーゼクスの元に渡り、魔王達四人は同意する事に中々受け入れなかったが被害の爪痕が未だ残ってる冥界とアザゼルの敗北、なにより仮面ライダーの脅威を目の当たりにした魔王達は誓約書に同意しすることに決定したのだった。

 

冥界を皮切りに堕天使、天使勢も乗っかる様に仮面ライダーについての関与、及び捜索を取り払いこの日を以て三大勢力は仮面ライダーという存在を最も危険な存在として関わらない事になったのだった。


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