その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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本郷 猛はいつまでも皆の英雄だった…!(映画を見た本人感想談)


子供

 

 

 

ロイミュードの名称について説明するなか、街の地図が貼られたホワイトボードを前に悠が赤ペンを持って印を着けながら説明する。

 

「リジュベが行った犯行地点は市街地と商店街のこの辺。

二つの犯行現場は基本人通りが多い場所で知られている。狙いはとにかく子供を増やすって事らしいからな。

だからヤツがこの街で次にやらかすとしたら、人通りが多いココとココとココ、そしてココだ。」

 

「四つか……所でさ、いい加減この子等について聞かせて欲しんだけど…。」

 

悠が次の犯行が起こるであろう場所に目処を着けているなか、秋は先程から気になっていた事を悠に聞き出す。

そう、作戦会議に呼ばれて来たと言うこの場に不釣り合いな四人の少女に。

 

 

「何よ、レディの私がココに居る事がそんなにも可笑しいかしら?」

 

「いや、そうじゃなくて。…悠兄さん?」

 

「…今回の作戦の鍵。」

 

「鍵って…マジで言ってる?このおチビちゃん達が?」

 

「心配無用よ!このアタシにどーん!と任せなさいって!」

 

「今こそ電の本気を見せる時なのです!」

 

「おー。」

 

「…悠兄さん?」

 

「お前がそういう目を俺に向けるのは最もだと思う。

だけど、俺は、マジ、だ。」

 

今回の作戦のキーマンと言われて自信満々に胸を張る暁、響、雷、電の四人の少女を前にジト目で悠を睨む秋。

悠が本気で有る事を強調しながら言うなか秋に睨まれながら悠は作戦の説明に戻る。

 

「奴の狙い、お前覚えてるか?」

 

「え?えっと確か…お兄ちゃんって呼ばれたい。だっけ?」

 

「それ。リジュベは筋金入りでこんな事まで仕出かす程のロリコンである事が分かった。だが、それは同時に弱点でもある。」

 

「弱点?……そうか!大人を子供にはさせてるけど、その子供には手を出さないって事か!」

 

「?…あの、出来れば電達にも分かりやすく教えて欲しいのです。」

 

「つまり、今回の敵はお前達相手に手が出せないって事。上手くいけば無駄な戦闘は避けてバイラルコアを手放してくれるかもしれない。」

 

「…と言う事は、今回私達は敵に交渉する、と言う事で良いのかな?」

 

響の解釈に悠は首を縦に頷く。

その中で暁は話の内容に付いて行けてなかったのか、周りに悟られない様にオロオロしているのを見て悠が響の解釈に一つ付け加える。

 

「まぁでも交渉だなんて難しい事をやれとは言わない。ただ相手に少し近ずいて上目づかいで、”お願い。バイラルコア頂戴!”って言えば良いだけ。あとお兄ちゃんって言えば成功する確率上がるかも。」

 

「へ、へぇ。そうなんだ。でもそんな子供っぽい事しなくても、私のレディの魅力でメロメロにさせちゃうんだから!」

 

「え~?そう言いつつこの中じゃ一番子供っぽいの、暁ちゃんじゃないの?」

 

「ち、ちがうもん!暁は立派なレディの女よ!」

 

「ホント~?」

 

「ホントだも~ん!!!」

 

秋にからかわれた事にご立腹なのか、秋の足元で届かない手を必死に伸ばして叩き続ける暁の姿に秋はほっこりと和んだとか。

そんな二人を余所に悠は説明を続ける。

 

「そんでさっき言ったこの四つの地点にそれぞれ暁達を行かせて、奴を見つけ次第接触させる。」

 

「え!?それってこの子達一人で行かせるって事!?」

 

暁の顔を伸ばしたり潰したりして遊んでいた秋が悠の言った言葉に大きく反応した為に悠が落ち着かせる。

 

「流石にそれはしないよ。俺達もそれぞれにバラけてこいつ等と一緒に探すんだよ。」

 

「でもオレ達二人が一人に付くとして後の二人はどうすんのさ?」

 

「それもちゃんと考えて人手を頼んだよ。

…頼んだけどさ………アイツ等遅い!この時間に来てって言ったのに何で居ないの!?」

 

「サボってどっか遊びに行ったんじゃない?」

 

「でも、呼ばれた時張り切って私達より先に出た筈だけど…。」

 

「…ハア、まぁいいや。来ないなら来ないで代理で来てくれる奴等を…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その必要は無いデース!」

 

 

その声と同時に何故かラボの照明が落とされるなか派手な演出と共に悠が呼んだ彼女等が現れる。

 

「金剛型戦艦!一番艦、金剛!」

 

「同じく二番艦、比叡!」

 

「同じく三番艦、榛名!」

 

「同じく四番艦、霧島!」

 

「高速戦艦、金剛四姉妹!此処に参上デース!!」(ドォーン!!!)

 

「「「「「オーッ!!」」」」」

 

背景に爆発や紙吹雪などの演出と共に現れた金剛姉妹の登場に秋と暁型の姉妹は歓喜の表情で拍手で賞賛する。

 

 

 

 

 

 

が…。

 

 

「…とりあえず、お前等正座。」

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

「…ハラショー…。」

 

この人には全く通じませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅れた理由がさっきの登場ってお前等なぁ…しかもサーカスまで使って…。」

 

「分かってナイですネー。ミー達にとってはコレが初めての見せ場デース。それなら登場する時もインパクトのデカい演出が必要だと思っての考えネ。……それはそうとこの体勢そろそろ解いてOK?足がビリビリ痺れて来ましタ。」

 

金剛達四人が正座してる前で呆れた様子の悠。その手に乗ってるアメイジングサーカスもしょんぼりとした様子である。

 

「しっかし比叡はともかく榛名や霧島まで金剛の考えに乗っかるとは、正直予想外だったわ。」

 

「すみません。比叡お姉さまでは無いのですが、気合が入ってついそのノリで…。」

 

「私も、お姉さま三人の勢いに勝てずに、つい…。」

 

「私はお姉さまと一緒なら、何にでも気合入れて付いて行きます!」

 

「……まぁいいわ、時間勿体ないからこの件についてはコレでお終い。

とにかく金剛姉妹には残りの二人を護衛する形で付き添って貰うんで、その辺頼んだ。」

 

「イエース!どんな内容であってもバッチリこなして見せるデス!

そして目を覚ましたあの人に、うんと褒めてもらうデース!」

 

「あの人?」

 

「ウチの上司。艦娘全員の面倒見る気前の良さに惚れたんだと。」

 

秋が金剛の放ったあの人と言う言葉に悠が自身の上司だと説明する。

余談だが、恋愛相談と称して金剛が上司の好み等について色々と聞きたがっていたので、那月にあげた紅茶葉等と交換に知る限りの事を教えた結果、金剛に対する上司の好感度が上がったとの事。

 

それはさておき、正座から解放された金剛姉妹を加えて本題に戻る。

 

「じゃあ気を取り直して、配置と組み分け言うぞ。

〇〇地に俺と響。」

 

「ダー。」

 

「☓☓地に秋と暁。」

 

「オッケイ。ヨロシクね♪」

 

「ふん、ちゃんとエスコートしてよね。」

 

「□□地に金剛、榛名、雷。」

 

「イエース!」

 

「はい!」

 

「任せなさい!」

 

「んで、△△地に比叡、霧島、電で頼む。」

 

「はいなのです!」

 

「了解しました。」

 

「ちょ!?どうして私が金剛お姉さまと一緒じゃないんですか!?」

 

「これがベストだと考えての配置。

よし!早速行動開始!あと全員シフトカーを一台手にしとけ、重加速対策にだ。」

 

不満げに言う比叡を無視して作戦を開始する一同。

それぞれが固まって指定の場所へ向かいラボから出て行くなか、霧島が思い出したように悠の元に近寄る。

 

「そう言えば悠さん。コレ、明石さんから悠さんに届ける様に頼まれていたのを忘れてました。」

 

「え?…これって。」

 

霧島が悠に手渡したあるモノ。それは以前の戦闘で激しく損傷したブレイクガンナーであった。

 

新品同様に戻って来たブレイクガンナーを手に構えてみたり、軽くシャドーボクシングなどしてみて調子を見る。

 

「…前より少し重いな。」

 

「えぇ。でもその分耐久を少し上げたそうです。それでいて射撃の誤差も出来るだけ以前のと大差が無い様に施されているようですよ。」

 

「そうか…今度明石達にお礼をしなきゃな。」

 

「そうしてあげてください。

…あぁでも、今あの二人何か造っているようで、暫く部屋に籠りっきりなるって言ってましたね。」

 

「造る?何を?」

 

「さぁ、そこまでは…。なんか、必要なデータは揃った。とか言ってたのは聞こえましたが…。」

 

そうか、と悠が言いつつ霧島は落ち込む比叡を引きずって電と一緒にラボから出た。

そして悠も長く愛用してきたブレイクガンナーが戻った事に内心浮かれながら、自身もラボから出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから今絶賛その件で忙しいのよホント。

…うん……うん……いやいやちゃんと聞いてますって。まぁアレじゃない?本を叩けば元に戻れんじゃないの?確証ないけど………いや真面目にやれって、だからしてるっつうの………聞いてます聞いてます。はいはい…あぁ悪い電池切れそうだからもう切るわ。

ま、今の内に子供料金の店行っておけば?お得だろうから。んじゃあね~。

…ふぅやれやれ。」

 

「随分と長電話だったね。しかも女の人から。」

 

「桜井だよ。なんとかしてくれだの、周りから色んな目で見られるだの、ひょろお?ってのが猫に殴られただの後半は愚痴延々と聞かされたぜ。」

 

「仕方ないさ。彼女だって被害者の一人さ。」

 

「……なぁ。」

 

「何だい?」

 

「…別によ、延々と耳元で愚痴聞かされた腹いせをお前にぶつけようとか八つ当たりとかじゃなくてな、そろそろ言わなきゃなんねえと思うから言わせてもらいたい事が有んだけどよ。」

 

「構わないよ。」

 

「……お前等駆逐艦のチビ共はよぉ、どうしてやたらと人の頭に乗りたがるんだ?」

 

そう、今の悠の頭には同伴している響が親子の様に肩車しながら街中を歩いているのである。

 

「深い意味はないさ。ただそこに君が居るから登りたいと言うもの…。」

 

「そりゃ山だろ。それにしたって、流石に大人数で来るのはどうかと思うぜ?俺はジャングルジムじゃねえんだからよ。危うく潰れる所だった…。」

 

「皐月や雪風達は子供だからね、それは君が上手く受け止めるしかないよ。」

 

「あの時お前も腕にぶら下がってなかったか?」

 

「……フ、私もまだまだ子供だったと言う訳か…。」

 

「胸張ってドヤ顔で言ったって、言ってる事はさも当然の事だからな?お前…。」

 

「そうかな?大人ぶって君のコーヒー飲んで吹いた暁に比べれば、私はまだマシな方だと思うよ?」

 

「…まぁそれについては同意するが…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へくちッ!」

 

「あれ?暁ちゃん夏風邪?あぁほら、鼻ちーんして…。」

 

「んもう!だから子供扱いしないでよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それに今回は意味なくココに座ってる訳ではないよ。

こうしてれば自然と視線を集められるから、ロイミュードの正体を暴くのに効果的だよ。」

 

「まぁ確かに視線は集まってるが、熱い視線より俺に対する疑惑の目が多い気がする…。」

 

「大丈夫その時は私が何とかするよ。」

 

「その時が来る前に降りてもらえると嬉しいね。暑いし、重いし。」

 

「子供とは言え女性に重いは禁句だよ。……ところで話は変わるけど…。」

 

「何だ?この疑惑の目を向けられてる気分を変える為なら幾らでも聞くが…。」

 

「私達はね、素となったゲームのキャラクターのイメージを基に生み出されたのも有ってその性質も丸っきり同じなんだ。」

 

「イメージねえ、まるでイマジンだな。」

 

「暇人?」

 

「イマジンね。で?何で今更お前等について語り出してる訳?」

 

「本題はこれからで、私達の強さは主にレベルで決まるんだ。ちなみに私は20だ。」

 

「ほぉRPGみてえな仕組みって訳か、シンプルな事で……待てよ、お前最初っから20なんてそこそこのレベルなのか?こういうのは皆1から始まるもんだろ。」

 

「そうだよ。20までいったのは仕事の合間を縫ってレベル上げをしてるんだ。向こうじゃ何でもあるからレベル上げに必要な環境も充実してるし。

特にこの間の一件についてはその時居た天龍達はレベル上げに力を入れてるよ。」

 

「この間の一件?」

 

「君が倒れた時さ。」

 

「…あぁ、クリムが来た時ね。」

 

「話を戻すけど、どんなに頑張ってレベルを上げても皆99までしかいかない。そこで強さの成長はストップしてしまうんだ。」

 

「それもお決まりだな。何事にも限度があるってのは。」

 

「ここからが本題なんだ。私達のレベルは99までしかいかないけど、実はある事をすればレベルの上限は無くなって無限に強くなることが出来るんだ。」

 

「マジ?何それすっごく気になる。教えて。」

 

「それはね、レベルが99に為った艦娘に指輪を与えるケッコンカッコカリシステムさ。

その指輪が有れば、上限無くレベルが上がって強くなるんだ。」

 

「…ケッコン?」

 

「そうケッコンさ。カッコカリとは着いてるが、ただ指輪を渡すだけじゃ無く艦娘との結婚も兼ねてのやつなのさ。」

 

「……………えっと。」

 

「ちなみにこれを聞いた川内さん達は、躍起になる程レベル上げしてるよ。

たぶん今50は行ってるんじゃないかな。」

 

「…へ、へぇ。暫く見ないと思ったらそんな事してたのアイツ等…。」

 

「……で?」

 

「…で?って…どういう意味?」

 

「二人の気持ちにとっくに気付いてるんだろう?君はそれにどう答えるつもりだい?」

 

響の言葉に悠は足を止め、顔を手に立ち尽くす。

あぁついにバレたか、と体で物語ってる様に…。

 

「…酷い男だね君は。二人の気持ちに気付いてるくせに、それをわざと気付かないフリをしている。」

 

「色々あるんだよ。大人の深い事情、ってヤツ。」

 

「それでも相手の気持ちから目を背ける理由にはならないよ。言い訳としては下の下、だね。」

 

「生憎とそれしか言えないのよ。

やってる仕事柄、そう優々と恋愛なんて出来る立場じゃ無いの。」

 

「でも…。」

 

「でももこうも無いの。とにかくこの話は終わり。

それにさ、どうあれ他人の恋愛事情に首突っ込むのも俺はどうかと思うけどね。」

 

一方的に話しを切ってダメ押しを押したのもあって頭に乗ってる響はこれ以上何も言って来なかった。

 

 

響の様子を見てこれ以上は何も言って来ないなと思い再び歩き始めた所で携帯に着信が入り、発信してきた人物を一目見て携帯に出る。

 

「どうした秋。見つかったか?」

 

「おうよ!見つけたぜ!

さっきから隠れて暁ちゃんをヤバい目で見てるメガネをとっ捕まえたぜ!いやー無駄に暴れて来るから少し手こずったけどよ…!」

 

「…バイラルコアは?」

 

「…へ?」

 

「バイラルコア。そいつがリジュベなら持ってる筈だ。確認してないのか?」

 

「……………無い。」

 

「…丁重に謝罪しとけ。」

 

吉報の知らせかと思いきやそれは秋の早とちりであった事に落胆して電話を切る悠。

すると切った直後にまた携帯が鳴り、嫌な予感を感じつつ少し間を空けてから電話に出る。

 

「もしもし。」

 

「榛名です。あの…すこし困った事が…。」

 

「…どうしたの?」

 

「その…雷ちゃんが、河原で寝ている青髪の人に声を掛けてるんですけど、その人が中々起きなくて…。」

 

「金剛は何やってるの?」

 

「お姉さまもその人を起こそうとしてますけど、それでも起きてくれなくて…あぁ!ちょ、金剛姉さま、流石に主砲で起こすのはダメですぅぅぅぅッ!!!」

 

電話の向こうで慌ただしい声が一方的に聞こえて来たので、悠は現実逃避の意味も込めて電話を切った。向こうで苦労してるであろう榛名に同情しながら。

 

そんな悠にまたしても着信の音が耳に入る。発信者を見て、半ばヤケクソ気味で通話に出る。

 

「電なのです。あの…霧島さん達が町内のアームレスリングの大会に…。」

 

「連れ戻して来い。」

 

声のトーンをかなり低くしながら強引に通話を切る際に短い悲鳴が聞こえたが、頭に血が昇っているため気にはしなかった。

漏れ出している怒気に周りの通行人は距離を空けながら通り過ぎていくなか、少し落ち着いたのか深い溜め息を吐いて肩をガックリ落とす。

 

「ドンマイ。例え上手くいかなくても、気を落とさずに。」

 

「…そう思うなら降りてくれ。以外にこれバランス取るの疲れる。」

 

頭の上で慰める響を受け流してる最中、またしても携帯の着信音が鳴り出す。

深い溜め息を吐きながら画面を見るとラボに残ってるクリムからの電話だった。

 

「もしもし…。」

 

<私だ。リジュベロイミュードの正体が分かったぞ。>

 

「あぁ、そう………何ィ!?」

 

適当に聞き流した悠であったが、クリムの放った言葉に過剰に反応してしまい頭に乗ってた響も勢いよく振り上げた頭の所為で危うく落ちそうであった。

 

<最初の現場付近の防犯カメラを調べていたら、何者かが映像に手を加えている事が分かったのでね。詳しく解析したらビンゴだったよ。ゴルドドライブがバイラルコアを渡してる場面がバッチリ写ってたんだ。>

 

「流石クリム、イイ仕事してくれるわ。」

 

<…どうした?君がそんなセリフを吐くなんて……暑さに頭がやられたのか?>

 

「ある意味悪いニュースとウェイトでね。そんな事より一体誰だ?この騒動引き起こしたロリコンは?」

 

<あ、あぁ。既に身元も判明してる。解析した映像を携帯に送るよ。>

 

そう言った直後、悠の携帯にムービー付きのメールが送られてきて早速ファイルを開けて見てみる。

 

「コイツがリジュベか…。クリム。」

 

<居場所も特定してるよ。彼の所持してる携帯のGPSで今も追跡中だ。>

 

「よし。なら早速行くとしますかね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【よし、次は此処でやるか。】

 

場所は変わり街を見渡す事の出来る程の高い高層ビルの屋上に立っているのは融合進化態ロイミュード、リジュベロイミュード。

今度はより一層高い所から水を振り撒いて多くの大人を子供に変えようとしている模様であった。

 

【これで…これで俺は踏ん切りをつけて…。】

 

「そこまでだ。」

 

実行に移そうとしていたリジュベだったが突如後ろから聞き覚えのある声に振り向く。振り向いた先にはリジュベの思ってた通りに昼間に遭遇した悠が立っていた。

 

【お前昼間の仮面ライ…ぬおッ!?】

 

またしても現れた悠にリジュベは警戒するが、リジュベはある光景を目にすることで悠に対する警戒心を根こそぎ抜かれてしまった。そう、悠の頭に乗っている響の姿を見て。

 

【お、お前!そ、その可憐な少女は…!】

 

「どうだ?手が出せまい。お前にとって酔狂な存在であって弱点でもあるコイツの前にはな。」

 

「…言ってる事が…悪役の、台詞だよ…。」

 

自身の頭の上に載ってる響を前に狼狽えるリジュベ。端から見れば子供を盾にしている光景に響が思わず声に出すが悠からすればそんなモノは関係なく、使えるモノは何でも使って相手を打ちのめすのが悠の流儀であるのだ。

 

相手が一人なら何とか逃げ切れる自信が在ったリジュベだが悠の連れている響を前にそんな考えは無くなっていた。

そんなリジュベに悠は追い討ちをかけるに行く。

 

「それと、お前の素性は既に掴んでいるぞ。

…井上 準!。例えここから逃げ切れても、お前は俺から逃げられん!」

 

【んなぁ!?】

 

響に見とれてたリジュベが正体の名前を叫ばれた事で大きく動揺している。

響を盾に悠に攻めて行く事も出来ず、尚且つ自身の名前も知られてしまい今のリジュベに打開策は無い。後は無駄な戦闘を避ける為に響を前にバイラルコアを回収する。ここまでは悠の描いたシナリオ通り快調な進み具合だった。

 

「響。作戦通り後はお前が……響?」

 

【ん?…。】

 

響に声を掛ける悠だがどこか様子が可笑しい事に気付き、名前を呼ばれて動揺してたリジュベも様子が可笑しいことに気付き再び視線が響の元に行く。

悠は頭に乗ってる響を掴み自身の眼前にまで持ってこさせると、響の顔は汗が止まらず目の焦点が合っていなかった。

 

「お前……熱中症に為りかけてんじゃねえか!」

 

【な、ナニィ!?!?】

 

「うぅ……ふ、不死鳥の私が、たかが熱中症如きで弱音を吐くわけには…。」

 

「んなとこでその設定は要らねえよ!クソッタレ!」

 

悠は思わず自身に対して悪態を吐く。

この炎天下の中、休まずに日の下で歩き回った挙句、響が頭に乗ってるのもあって自分には自然と影が出来てたお蔭で日射の影響は何とも無かったが、対する響は帽子を掛けていたとは言えほぼ直接日差しに当たっていたのもあって少し考えればこの位の事予想出来ていた筈だった。

 

とにもかくも今の響をリジュベの前に出すわけにはいかない。影に為ってる所へ座らせて響が手にしてたロードウィンターに冷気を浴びせる様に頼んで、急遽作戦を変える事にした。

 

(仕方ねえ。こうなったらクリムか秋が来るまで戦るしかねえか。)

 

本当なら無駄な戦闘を避けたかったが、こうも予想外のアクシデントが続いたのなら仕方ない。

悠はリジュベの前に出たが、ここでリジュベの様子が可笑しいことに気付く。先程までの慌てた雰囲気とは違い、今のリジュベはただならぬ覇気を纏っていた。

 

【お前ェ…よくも…よくも…!】

 

胸のコア部分が赤く点滅しだしてるリジュベは昼間と違って別人のように見え、これも融合進化態の特徴なのか今のリジュベから感じるのは、激しい怒りと此方を射殺す様な殺意を感じた。

 

【あんな小さい子を盾の様にして、挙句の果てにあんなに為るまで…!】

 

「ッ!?」

 

一瞬。

気が付いたらリジュベは一瞬の内に悠の懐まで接近し、間合いの詰めの速さには流石の悠も眼前に来るまで反応出来なかった。

 

反応が遅れた悠にリジュベは右ストレートを繰り出す。咄嗟に両腕でガードするも威力は殺し切れず体は後方へ吹っ飛ばされてしまい、その次にリジュベは掌に若返りの水を溜め込む。

 

【そぉうらぁッ!】

 

「くッ!」

 

リジュベが放った水をモロに浴びてしまった悠。

そしてそれと同時にビルの壁を上って走って来たネクストライドロンが到着。中にいたクリムは悠の濡れた体にリジュベの水を浴びてしまった事に気付く。

 

<悠!それはもしや…。>

 

【そうだ!今ソイツに俺の水を掛けたのさ。そいつはあっと言う間に赤ちゃんにまで若返るのさ!】

 

<なんだと!?>

 

リジュベの放った言葉にクリムは驚く。これまでリジュベに関して分かっている能力は水を掛けたら子供の姿に若返るという一見対した害にならなそうな能力だと思っていた、だがその見解が自らの予想を上回っていた。

 

【俺の水は若返らす力しか持っていないが、同程度の歳まで若返らすかの匙加減は思いのままなのさ!

やろうと思えば子宮でしか生きてられない胎児の状態にまでする事が出来るんだ!】

 

「へぇ~。じゃあ何で俺は赤ん坊まで若返るのさ?」

 

【ハハッ!胎児まで若返らせちゃあ流石に死んじまうからな、せめてもの慈悲で赤ん坊まで……アレ?】

 

<ゆ、悠?…。>

 

リジュベとクリムが見てる先には、水を掛けられてびしょ濡れの状態の悠が立っていた。

 

【ば、馬鹿な!?霧状じゃなくて直接浴びたんだぞ!?直ぐに赤ん坊にまでなる筈なのにどうしてお前は…!?】

 

「生憎体質としか答えようが無いな。

それよりもアンタの能力にまさかそんな隠し玉があったとは…今日は予想外の一日だよ、ホント。」

 

<大丈夫なのか悠!?君は確かに…。>

 

「ご覧の通りだ。それよりも予定変更だ。

やっぱり穏便に行くのは無理だったわ。」

 

驚いてるリジュベを余所に悠はネクストライドロンからクリムを取り外し自身の腰に装着する。

その顔にはこうなる事が予め分かっていたかのように。

 

「下手な小細工より、こうして戦ってる方が俺に一番合ってる、か……変身!」

 

<< DRIVEtypeNEXT! >>

 

悠はダークドライブに変身。

ブレードガンナーの剣先をたじろいでるリジュベに突きつける。

 

「何時までボサっとしてるんだクリム!戦闘開始だ、切り替えろ!」

 

<O、OK!Start our mission!>

 

【チクショウ!何なんだよお前はぁぁあぁッ!?】

 

自身の能力が効かないと知って地団駄を踏むリジュベに向かって行くダークドライブ。

 

ブレードガンナーで斬りかかって行くが冷静を取り戻したリジュベがその攻撃を下がる事で避け、武器も持っていないのに関わらずダークドライブへ攻撃を繰り出して行く。

 

繰り出される拳や蹴りは以前とは違って相手が一人だけという状況以外にもリジュベからダークドライブへ向けての闘争意欲というものが籠められているのか一撃の重さは格段に上がっていた。

 

リジュベの徒手格闘の攻撃をブレードガンナーで受け流しながらダークドライブはリジュベと組み合う。

 

「この前とはエライ違いじゃないか。前はビビってた癖によ!」

 

【今の俺は猛烈に怒っている!

あの愛らしい子を使って俺を倒そうとしていたんだろ!?子供を利用するまでに飽き足らず、あんなに具合が悪くなるまでこき使うお前は絶対許さねえ!

この俺が、鉄槌を下してやる!】

 

「いや、ただ喋り過ぎた所為で熱中症に為りかけてるだけなんだが…。」

 

【バカ野郎!!!為りかけでも未成熟の子供の体にとっては十分苦しいモノなんだよ!】

 

取っ組み合いから離れた二人は距離を空けた後、ダークドライブが剣先を向けて突きを繰り出して行くもリジュベは器用に足で剣を持っている手を蹴り上げダークドライブの手からブレードガンナーが離れてしまい、そのままビルの屋上から下へ落ちていった。

 

「やばッ…。」

 

【そらぁッ!】

 

武器を無くしたダークドライブにリジュベは前に踏み出して絶え間無く拳を叩き込んでいく。

 

「うおッ!」

 

放たれた拳が急所に入ったのか怯み、下がるダークドライブにリジュベは好機と見て攻める手を絶やしてはいけないと思いダークドライブへ詰めていく。

 

【ハッハァー!今の俺には勝利の女神が微笑んでいるぜ!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、流石の女神さまもロリコンは受け付けないと思う。」

 

<< GUN >>

 

【あばァ!?】

 

攻めて来るリジュベにダークドライブが取り出したのは先程霧島から受け取ったブレイクガンナー。

ガンモードでリジュベに発砲。武器を手放したと思ってか全くの無警戒で攻めて行った所為でモロに光弾を浴びてしまい後ろに吹っ飛ばされるリジュベ。

 

「おぉ。すっげえ手に馴染む。流石オタクコンビ、いい仕事してくれる。」

 

<少し機械に対しての情熱は引くほどある分腕は確かだからね。私の時なんかのホント…。>

 

先程まで感じていた違和感も変身している時を考えてか重量もグリップの握り具合も驚くほどに馴染んでいる。下でクリムが何やら呟いてるが手にしてるブレイクガンナーを眺めるダークドライブ。

そんなダークドライブに当てられた箇所を抑えたリジュベが口を開く。

 

【お前…!またしてもズルい手を使うとは!】

 

「ハッ!武器が無くなったからって油断してたそっちの落ち度だろうが。

それに、戦いにズルいもセコいもあるか。コッチは何が何でも勝たなきゃいけねえんだよ!」

 

<< BREAK >>

 

ブレイクガンナーを近接戦のブレイクモードに変えたダークドライブはリジュベに接近。渾身のストレートを繰り出しリジュベは腕を交差してガードしていくがパワーが上がってるダークドライブのストレートはリジュベのガードを難無く崩し、胸部に痛烈な一撃を与える。

 

【ぐっはッ!!】

 

「おぉッ、威力も上々。」

 

続いて顔面に裏拳。脇腹部に右フック。鼻先と胸部にジャブの連撃。

 

【ぶへッ!ごほッ!ぶッ!がはッ!】

 

「ラス、トォッ!」

 

【どぅはァァァッ!?】

 

そしてしゃがみこんでから顎に向けてのアッパー。打ち上げられたリジュベは奇声に近い声を叫びながら先のブレードガンナーの様に放物線を描きながら下へ落ちていき、ダークドライブも逃げられない様に柵を越えて屋上から下へ落ちていく。

 

下へと降り立ったダークドライブに待ち受けていたのは先程殴り飛ばしたリジュベロイミュード。そしてその手には先程手放してしまったブレードガンナーが握られてた。

 

「オイ、そりゃ俺のだ返せ。」

 

【へへッ、やっぱ女神さまは俺に味方してるぜ。落ちた先に丁度コイツが刺さってたからな。

さぁーて、お互い武器を持ってこれでフェアだ。

んじゃ行くぜ、ッてえェェェェェえぇぇッッッ!?!?!?】

 

<< CLOCK OVER >>

 

「っと!待たせたな悠兄さん!今来たぜ!」

 

「おっと…お帰り。」

 

武器を手にしてダークドライブへ駆けようとした時に猛スピードの車に撥ねられたように体が宙に舞うリジュベ。

その原因はクロックアップにて此方に来たガタックであり、ダークドライブへ声を掛けるも当の本人は手放されたブレードガンナーを手にして聞いてなかった。

 

「おーい!悠兄さーん?」

 

「はいはいちゃんと気付いてますよ。別に待っても無いけど。」

 

「ヒデェ!それが全速力で加勢に来たヤツに言うセリフかよ!?」

 

【その声、もう一人の白い奴か!】

 

何時もの如く些細な言い合いをしてる二人に撥ね飛ばされたリジュベが立ち上がって来る。

ダークドライブは遅れて来たガタックを後ろに自身は前に出る。

 

「さて、そろそろ終わりにするぞ。俺が切り離すからその後はお前に任せる。」

 

「おう!」

 

【負けねえ!…俺は負けねえェェェッ!!】

 

リジュベが駆け出したのを皮切りにブレードガンナーとブレイクガンナーを手にダークドライブも駆けだして行く。

 

リジュベの拳を右のブレイクガンナーで捌き左のブレードガンナーで胴を斬る。

怯んだ所を切り返してもう一撃斬り込み、ブレイクガンナーで打撃。仕舞いに二つの武器から為る銃撃で容赦ない光弾を浴びせまくる。

 

少し下がったリジュベはもう満身創痍。これ以上戦っても勝機も何も掴めないのは一目瞭然であった。それに見かねてダークドライブはリジュベに話し掛ける。

 

「…フゥ。もういいんじゃないの?この辺で止めても、アンタはただ質の悪い奴等に良い様に言いくるめられただけだ。死人も出てないし、許されないとは言えないが俺はアンタを責める気は無いよ。」

 

【何を、言ってやがる!知ったような口叩きやがって!】

 

「いやだって、アンタさぁ…

 

 

 

 

 

 

 

ホントは自分のやった事に罪悪感感じてんじゃないの?どうせなら完璧に悪人に成ってやるー、なんて思いながらこんな事しちゃったりとか。」

 

【ッ!】

 

その言葉を掛けたと同時にリジュベの動きが完全に止まる。

その隙にダークドライブはリジュベのボディを斬り付けると腕を伸ばして融合している人間であろう、スキンヘッドの男を取り出してロイミュードと分離させた。

 

「秋!」

 

「待ってましたぁ!」

 

<< ONE・TWO・THREE >>

 

「ライダーキック!」

 

<< RIDER KICK >>

 

分離させたスパイダー型を蹴り上げてガタックの元へ飛ばす。

ガタックも此方に飛んでくるスパイダー型に狙いを定めながら跳躍し

 

「オラァッ!」

 

タキオン粒子を纏った横蹴りのライダーキックがスパイダー型に炸裂。ライダーキックを受けたスパイダー型は間も無く爆散していき、爆炎の中を通ってガタックは着地した。

 

ガッツポーズしているガタックを横目に気絶している男、井上 準を見ながらダークドライブは一息吐いたのだった。

 

 

 

 

「……あれ?オイ秋!お前暁はどうした?」

 

「え?……あ゛ぁッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーっと。お嬢ちゃん、お名前教えてくれる?」

 

「ひぐッ、ワ゛ダジ、お嬢ちゃんじゃなぐでぇ、レディッ。」

 

この後秋がもうダッシュで交番へと向かいに行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

『こ、これがあれば、俺の願いを…?』

 

『そうさ、これは強い感情をカギに強大な力を与えてくれる夢のようなアイテムさ。

井上 準君。キミはコレで自分の思い描く夢の世界を造り上げてみないかい?』

 

『で、でも、俺は…。』

 

『フム。迷いがあるか…まぁいいさ。キミが迷えば迷う程キミの好きな子供は自然と汚れていくのだからね。』

 

『汚れる?』

 

『そう、子供はいずれ大人になる。汚い欲望を持った清純とはかけ離れた生き物に。

キミは純粋な子供の笑顔が好きなんだよね?ああいった子供が成長していくにつれて社会に汚されると思うとどんな気持ちだい?』

 

『……。』

 

『…まぁそんな迷いがあるならキミにこれは扱えないな。コレはその人間の強い感情と本物の気持ちが無ければ動かないからね。この話は無かった事に…。』

 

『待ってくれ!…俺の…俺のこの思いが本物じゃない?そう言われて、黙っている俺だと思ったか!?』

 

「うわー。これかなり陰湿な誘導だよ。マジえげつねえ。」

 

「人間の心理について上手く利用してやがるな、ロイミュード造りだけが取り柄じゃないってか。」

 

騒動を収めた悠達は最初の事件の現場の監視カメラに映ってたゴルドドライブと井上 準のやり取りを見ていた。

 

バイラルコアを受け取りロイミュードと融合する瞬間を見ながら悠達は今回の騒動について思い返す。

 

「にしても今回はホント変な一件だったね。ロリコン相手にここまで騒ぎになるなんて。」

 

「欲望が持つエネルギー…今回は正にそれを形にした事件だったなぁ。

これからもああいうの相手にすると思うとマジで鬱だ、コレ。」

 

「そういやさ、悠兄さんどうしてアイツが本気でやってないって気付いたの?オレから見たら全然そういう感じしなかったけど。」

 

「気付いてないの?アイツ言ってただろ、”ここまでやっちまったからには後戻りは出来ねえ”って、普通これから本気で悪事やらかしますっていうヤツの口から出る言葉か?」

 

「成程…。」

 

「それにアイツ、俺を胎児にさせて殺す事も出来た筈なのにあえてそうしなかった。無駄な死人は出したくなかったって事を物語っている証拠だよ。」

 

「はぁ~、探偵みたいだね悠兄さん……あそうだ!ベルトさんから聞いたけどリジュベの水浴びたのに何とも無かったってアレマジ?どうして何とも無かったのさ?」

 

「それ私も聞きたいわね。」

 

秋に便乗するように聞き出してきたのは腕組みしながら階段に寄りかかってるハルナだった。

 

「お!姉ちゃん元に戻ったのか!いや良かった…。」

 

「良くないわよ!何の前触れも無く戻っちゃったから来ていた服が破れて丸裸よ!あの場にはウチの男共全員居るし!もう最悪の気分よ!」

 

「ま、まぁまぁ。とにかくさ、悠兄さんのカラクリのタネ聞こうぜ。な?」

 

「…まぁ言っても良いけどさ。

簡単に言うと、特異体質なの俺。」

 

「「特異体質?」」

 

「そ、稀に居るんだよ。三毛猫の雄みたいに希少にさ。

それのお蔭で俺は子供にならずに済んだって話。」

 

「マジで!?いいな~悠兄さんだけそんな特別扱いとかさ~。」

 

「いやお前もそうだぞ。」

 

「あっそハイハイそうですか、うん…………え?」

 

「リジュベが最初に言った言葉思い出してみろ。

”何で子供に為ってないんだ?ココ一帯に霧状にして撒いたはず!”って、あの時お前も俺もリジュベの水を浴びたんだよ。

天界に選ばれる人間は特異体質の方が催眠とかああいった変わった能力は効かないからな。」

 

「マジでか…。」

 

「…ん?ちょっと待って、それじゃあ私が子供に成った時ちゃんと自分の事をはっきりと意識できたのも…?」

 

「遺伝的なヤツなんだろう。秋ほど強くないがある程度の抵抗力はある。て、言った所か。」

 

「私にも…。」

 

「…さて、今日の事もあって疲れてるだろうけど取りあえず三人揃った今話しておきたい事がある。今後の俺達について重要な事だからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞きましたか?今日の出来事…。」

 

「あ?………あぁ。ヤロウの撒いたアレだろ?子供に変えるだけの。」

 

とある喫茶店、ジュエリーではカウンターに座ってる男、キングにカウンター内の厨房でカップを拭いてるジュエリーの店主、大臣が今日一日の出来事を話していた。

 

この店は大臣の表の仕事場であり、こうして組織のメンバーが集まる場も兼ねてこの店を経営しているのである。

 

「えぇ。でも仮面ライダー君達と大いに遊んでいたようですよ。そのお蔭でこうしてゆっくりと計画も進められて大いに助かってますがね。」

 

「あっそ。」

 

「……あぁそう言えば言い忘れてましたが、近い内ジャッジが此方に戻って来るそうですよ。」

 

「あ?あの鳥野郎か。」

 

「えぇ。何も言わず勝手に何処かに行ったらしいですけど、ようやく連絡がついて一安心です。

彼、ある意味一番の問題児ですから。」

 

「ハ、何言ってやがる。それも個性だ何だで許すんだろうがテメエはよ。」

 

「それもそうですね。でも我々の共通点は一緒です。

……それはともかく、この街にようやく五人が揃う。……フフ、これを仮面ライダー君はどう立ち向かって来るのか楽しみです。」

 

「言っとくがな。アイツは俺の獲物だ。他のヤツには安々譲ってやるつもりは一切ねえからな。」

 

「フフフ。そうですか。ですがそれは私とて同じ気持ちですよ。ドクターも、そして恐らくジャッジやラバーも、ね。フフフ。」







おまけ





「そういえば響ちゃん大丈夫だったの?熱中症に為りかけたって聞いたけど…。」

「何ですって!?灰原君!アナタと言う人が居ながら…!」

「あぁそれか、それならな……。」

「「?」」

「………アイツ。ウォッカ飲んだら一発で治ったって…。」

「「……えぇ~~~?」」

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