その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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お待たせしました後篇です。

今回の話は無理矢理感が強いのでご注意を


理由

 

 

「オォォォッッッ!!!」

 

ハルナのアンダーワールドの中心部に向かって降りて行くビースト。

やがて辿り着いた先にあったのは何も無い黒一色の世界へと降り立った。

 

「此処が姉ちゃんのアンダーワールド?……てか何も無さすぎでしょ!」

 

本来なら入った本人の記憶の風景が写しだされてる筈の世界は何の色も形も無い空洞の世界になっていた。

 

「とにかく早く原因探しだして何とかしねえと姉ちゃんがファントムに!・(ズン!)・…ん?」

 

黒一色の世界だが自身の体が巨大な影に隠れてるくらいの明暗は分かるようで、恐る恐る振り返ってみると。

 

「で、デカァァァッ!?!?!?」

 

後ろに立っていたのは10メートル以上の巨体に黒の城と悪魔の二つの特徴を模した巨大ファントムがビースト目掛けて腕を振り降ろそうとしていた。

 

「うおォォォッッ!!!だァァァッッッ!?!?」

 

逃げようとしたビーストだが余りの巨体に横から来た腕に吹き飛ばされてしまう。

 

大きく吹き飛ばされたビーストはヨロヨロと立ち上がりながら此方に向かって歩いてくる巨大ファントムに目をやる。

 

「アレが姉ちゃん苦しませている元凶か…。」

 

懐から指輪を取り出して顔をパンパンと叩き気合を入れ嵌めた指輪に語り出す。

 

「確かにお前の言う通りオレは未熟者だよ。

だからこそ頼む、今この場で姉ちゃんを助ける為にオレに力貸してくれ!キマイラ!」

 

<< CHIMAIRAISE GO! >>

 

キマイラズリングをベルトに嵌めるとビーストの左肩のライオンの頭部から魔方陣が現れそこから出て来る巨大な金のライオン。

右肩にハヤブサ・左肩にイルカ・胸部にバッファロー・尻尾にカメレオンの顔が特徴的な子のライオンがビーストの体内に居るファントム、キマイラである。

 

 

ーGaoooon!ー

 

 

前にいる巨大ファントンに向けて咆哮を上げるキマイラ。

だが巨大ファントムはキマイラの咆哮に何の反応を見せず、気に入らないのか不機嫌そうに唸り上げ巨大ファントムを睨んだ後ビーストに乗れと小さく吠える。

 

「よっしゃッ!」

 

ダイスサーベルを手にキマイラの背に騎乗したのを確かめると、空を走る様に飛び上がり巨大ファントムに向けて体当たりを喰らわせた。

 

「うおォォォォッッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアッ!」

 

「おっとアブね!」

 

一方現実世界では武神鎧武のソニックアローの矢をグレムリンは俊敏な動きで回避し決定打を与えられない状況が続いていた。

 

「ア~ラよっとォ!」

 

「!、何処に…ガッ!」

 

いきなり姿が消えたと思ったら突如後ろから斬られた様な痛みが走り振り返り様矢を放つもそこには何もおらず放たれた矢は只飛んでいくだけ。

そうしてる間にまたもや後ろから斬られる武神鎧武。耳に突き刺さるような笑い声が聞こえながら辺りを見渡すがグレムリンの姿が何処にも居ない。

 

「シャラァッ!」

 

左から聞こえた声に反応してラプチャーからの攻撃を防ぐが気付いたらまた姿が消えた。

 

「…あぁそうだった。確かグレムリンって結構すばしっこいんだったっけ…。」

 

「ひゃははは!どうしたでやんすかぁお兄さん!ひょっとしてエクスカリバー以上のスピードに付いて来れないんですかぁ!?」

 

後ろから聞こえる笑い声で振り返ると両手のラプチャーを弄びながら立っているグレムリンの姿がそこに居た。

 

「へっへぇ~ん。こりゃ今度こそ勝負決まったかなぁ?流石のお兄さんも手も足も出ない様子ですしィ?」

 

「まさか、スピードならこっちだって負けてないぞ。」

 

<< チェリーエナジー! >>

 

「…え?チェリー?」

 

クラックから降りてくるチェリーアームズに怪人態でも唖然としているのが分かるが、それを余所にゲネシスコアにレモンエナジーからチェリーエナジーに替え

 

<< MIX! ジンバーチェリー!ハハァ! >>

 

レモンの断面図からチェリーの断面図の陣羽織になったジンバーチェリーアームズに姿を変え、唖然としてたグレムリンはようやく意識を取り戻す。

 

「…ハ!あーいけねえいけねえ。バナナの次はチェリーと来たもんだから狙ってんのかと思っちまったぜぇ。」

 

「…ナニをとは聞かないが、ほら構えろよ。」

 

その瞬間武神鎧武の姿が消え、何時の間にかグレムリンの前にソニックアローの矢先を突き出す。

 

「戦いにレフェリーは居ねえだろうが。」

 

「………ヒャハ♪」

 

放たれた矢は顔を逸らすだけで躱された次の瞬間二人の姿はピンクとグリーンの軌跡を残しながら消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうりゃあァァァァァッッ!!!」

 

そしてアンダーワールドでは未だ巨大ファントムとの戦いは続いていた

 

巨大ファントムの巨腕を避けながらキマイラがすれ違い様にビーストが斬りつけるも強固な体の所為で大したダメージを与えられない。何とか踏み込んで下手に攻め入ろうにも返り討ちに遭うのを恐れ時間ばかりが過ぎて行った。

 

「ヤッベェ、早くしねえとホントに・(ガシィ!)・おわっ!しまった!」

 

焦りが積もるなか一瞬の隙を突かれ巨腕に捕まってしまったキマイラ。

腕から逃れようと暴れるが然り掴まれた腕から逃げられずそのままの状態で顔の前に運ばれると口と思わしき部分が開き、口の中から光が見え始める。

 

「ヤベェ、このまま喰らっちまったら………イヤ待てよ?これチャンスじゃね?」

 

巨大ファントムが口から何か撃ちだそうとしていることに気付き焦るビーストだが、何か閃いたようである。

目の前の巨大ファントムは外側からの攻撃に対してダメージを与えられない。なら内側からなら?

 

「キマイラ!ヤツの口に目掛けてぶっ放せぇ!」

 

 

ーGaoooon!ー

 

 

キマイラの口から放たれたビームのようなモノが巨大ファントムの口の中放たれると口から砲撃を撃ちだそうとしていた巨大ファントムの体内から鈍い爆発音が聞こえキマイラを捕えていた腕の拘束も解かれ脱出することに成功。

 

「いよっしゃあッ、計算通り!後は一気に行くぜぇ!」

 

内側からのダメージが思ったより効いたのかヨロヨロとふらつく巨大ファントム。

距離を取ったキマイラは巨大ファントムに向かいながら出現した魔方陣を通過し、巨大な頭部の幻影を現して巨大ファントムの頭部目掛けて噛み付いていく[バイティングエンド]が炸裂し、巨大ファントムは爆散していった。

 

 

ーGaoooooon!ー

 

降り立ったビーストとキマイラは爆散していった巨大ファントムを背にキマイラを勝鬨の如く咆哮を上げ、ビーストはホッと一安心したように胸を撫で下ろした。

 

「ふぅ~。何とか間に合ったぁ。

…あれ、これって…。」

 

突如アンダーワールドの風景が色が着いたように変わり始め段々と黒一色の世界から空や木々などと言ったものが姿形を現し始めた。

 

「アレは…。」

 

ビーストが見たのは公園で走り回ってる二人の子供。

ビーストはあの子供が幼い自分とハルナだと言うことに気付くのにそう時間は掛からなかった。

 

「…守れたんだな、この風景を……って、早く先輩のトコに戻んねえと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドラァッ!」

 

「ぶげらッ!」

 

高速同士の戦いを繰り広げてる武神鎧武とグレムリンの戦いは未だ続いていた。

ソニックアローでやっと一太刀を浴びせられた武神鎧武は追撃に矢を放つがラプチャーを盾にして防がれる。

斬りかかって来るグレムリンにソニックアローの連射をするがラプチャーを巧みに振るい全て防がれ。接近を許したグレムリンのラプチャーの上段をソニックアローで受け止めるがグレムリンから前蹴りを喰らい、後ろへ蹴り飛ばされてしまい倒れ込んでしまう。

 

「グッ…。」

 

「隙ありィ!」

 

倒れた武神鎧武に目掛けて素早く斬り掛かろうと剣を振り降ろすグレムリンだが、突如横から現れた剣によって受け止められる。

 

「あり?」

 

「お待たせ先輩。オラァ!」

 

横から武神鎧武を助けたビーストがグレムリンを下がらせ後に武神鎧武はビーストと共に並び立つ。

 

「そっちはもう終わったのか?」

 

「当然!姉ちゃんはもう大丈夫だ。」

 

「ウッソォ!?助けだしたとかそんなんアリですかィ?、この後オレ旦那になんて言やぁいいんだよォォォ!」

 

「安心しろ、怒られずに済むように…。」

 

「お前は此処でぶっ潰す!」

 

「……アレ?なーんかヤバい雰囲気?」

 

グレムリンが予感が的中したように、武神鎧武とビーストは一斉にグレムリンに向かって駆けだす。

 

グレムリンが後ろに下がろうとしたが瞬時に間合いを詰めた武神鎧武に斬り掛かれたのをギリギリ躱しすが後から来たビーストのダイスサーベルの攻撃を躱すことが出来ず受け止めるが横から武神鎧武の放った矢を喰らってしまう。

 

舌打ちをしこの場から逃げようとするも先回りした武神鎧武に足止めされてる隙にビーストは指輪を取り出し。

 

<< CAMELEO GO! >>

 

<< CaCa-Ca-CaCa CAMELEO! >>

 

黄緑色のマント、カメレオマントを付けたビーストは武神鎧武が足止めしてるグレムリンに頭部のカメレオンの舌をグレムリンに巻き付けた。

 

「うぇえ!?ちょっと、オレッち束縛プレイなんて趣味じゃないんですけど!」

 

「オレだってねぇっつうの!!」

 

巻き付けた舌を思い切り上に挙げグレムリンを宙に舞わすと、空中で身動きの取れないグレムリンに武神鎧武がソニックアローの矢を命中させる。

 

「ブギャッ!!」

 

矢を喰らったグレムリンは地に落下し、武神鎧武とビーストは再び並び立った。

 

「に、二体一は流石に卑怯じゃないですかぁ……。」

 

「先輩、オレ達初めての共闘の割に結構息合ってんじゃない?」

 

「バカ言え、俺が仕方なくお前に合わせてやってんだよ。

それよりもさっさと決めるぞ。」

 

<< LOCK ON >>

 

「オッケイ!行くぜ、フィナーレだ!」

 

 

武神鎧武はチェリーエナジーロックシードをソニックアローに装填しビーストはダイスサーベルのスロットを回し始めた。

 

「う、う~ん……、うお!ボクちん今とってもピンチ!?」

 

頭を抑えながら立ち上がったグレムリンは必殺技を出そうとしてる二人を前に危機感を感じる。

 

<< ブラッドオレンジ スカッシュ! >>

 

<< チェリーエナジー! >>

 

<< Three! >>

 

<< CAMELEO! SAVER STRIKE!>>

 

「「ハアッ!!」」

 

武神鎧武の放ったソニックボレーはピンクの軌跡を創りながら放たれ、ビーストの放ったセイバーカメレオは三匹のカメレオンがグレムリンに向かって跳ねていくが。

 

「うおォォォッ!!!全力の撤退ィッ!!!」

 

ラプチャーから放たれる斬撃が辺りに放たれた衝撃で矢は軌道が変わってしまい、カメレオンも吹き飛ばされてしまった。

爆煙が晴れるとそこにグレムリンの姿が見えず、逃げられた事に武神鎧武は舌打ちをしながら変身を解除し、ビーストも釣られて変身を解除した。

 

「クソッ、逃げられたか…。」

 

「……ねえ先輩。」

 

「あん?」

 

「…オレさ、最初は姉ちゃんさえ守れればイイって感じで思ってたけど、あの時の姉ちゃん見たら気持ち揺らいじゃってさ、何か真っ向から否定されたみたいな?

……オレ今何を理由に戦って良いか分かんなくなっちゃった。…ねえ先輩、オレ何を理由に戦えばイイ?この世界の為?人の為?…なぁ先輩、教えてくれよ…。」

 

「……俺が此処で言ったって、それがお前の戦う理由になる訳無いだろ。他人に理由を求めてる時点でお前の覚悟なんざ底が知れてるって話だ。」

 

「………。」

 

「……だけどまぁ、物事の理由なんて最初からなきゃいけないってモンじゃない。

人間完璧に出来て無いんだ。いくらでも路線変更してもバチは当たるまい、お前には途中で辞めようが最後までやろうが、まだ残されてる道が山程ある。俺から言ってやれるのはこの位だ。」

 

「……道は…一つじゃ無い…。」

 

「まぁ俺としては辞めるんなら即刻辞めて欲しいね。

一人の方が効率良いし、朝叩き起こされなくて済むし。」

 

「……ハッ。此処まで来て今更辞めるかってんだ。

上等だよ、やってやる。姉ちゃんに反対されようが自分が納得行くまで最後まで戦う。

それが、今のオレの戦う理由だ…。」

 

「……あっそ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ねえ二人とも、私の事忘れてない?」

 

「「あ。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<成程、そんな事が…。>

 

「あぁ、ゲートでも無い奴をファントムにさせるとか、よくもまぁそんな恐ろしい事を考えるもんだよ。」

 

ラボの一室では今日起こった出来事をクリムに話してる悠の姿がそこにあった。

 

<にしてもこれで大体の敵の動きが予測できるな。この世界の住民をファントムとして増やし戦力を増加させる。>

 

「後は敵のライダーが何人居るか、どのくらい強いかが当面の問題か……。」

 

<……ところで悠、秋はどうした?>

 

「あ?あぁアイツ。今姉貴とお話し中だとさ。このまま反対されまくって辞めてくれれば俺としては最高の展開なんだが…。」

 

<またキミはそんな事を…。>

 

「残念だけどそう言う展開は来そうに無いよ~?」

 

後ろから聞こえた声で嫌そうな顔をする悠。

取りあえず振り返ると、そこに居たのは秋一人では無かった。

 

「……え?」

 

「ふ~ん、此処が仮面ライダーのアジトなんだ。思ってたより広いのねぇ。」

 

「ゴメン。姉ちゃんって結構強引なトコが有ってさ。」

 

秋が申し訳無さそうに手を合わせてるその後ろにラボを見渡してるハルナの姿がそこにあった。

 

「……どういう事?なーんでソイツが此処に居る訳?」

 

「それは…。」

 

「事情は全部聞いたわ。アナタの事も今何が起きているかも全部ね。」

 

「お前…。」

 

「アハハハ…。」

 

「全部聞いた上で決めたのよ。秋のやってる事にまだ納得は行かないけど私の言う事聞かずに戦うのが目に見えてるから私も一肌脱ごうってね!」

 

「…ちょっと待って。え?なに?どういう事?」

 

「だから!私もアナタ達に手を貸してあげるって言ってんの!

こういうのは人数が多い方が良いもんでしょ?」

 

「賛成!」

 

「勝手に決めんな!」

 

「まぁまぁいいじゃない。そう深く考えないでここは仲間が増えた事に喜ぼうよ、悠兄さん♪」

 

「肩組むな!それに何!?悠兄さんって!?」

 

「いやオレ達一応背中預ける仲じゃん?何時までも先輩って言い方はアレだから親しみを込めて。」

 

「とにかく!私が加わった以上アイツ等の企みを絶対阻止するわよ!

チームライダー此処に結成!」

 

「オー!」

 

「チームって……もう勘弁してよ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<……フフ、コレは良い意味で騒がしくなりそうだな。>

 

 






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