お待たせしました。
見て来ました、MOVIE大戦。
課長と仙人の絡みに全て持ってかれた自分でしたw
ガレージ地下ラボ
『本当に申し訳ありません。此方が少し目を離した隙に下界へ繋ぐ道を通った時には既に手遅れの状況で…。』
「それはそれで仕方ないとして何で連絡を寄越さなかった?
増援の件を隠してたにしてもそういった状況なら俺の耳に入っても可笑しくない筈だろ?むしろ何でこんな時に限ってアイツはこっちの連絡に出ないんだ?」
『その件についてなのですが……私がアナタの上司にこの事を報告した後に謎の食中毒で倒られたようでして、アナタの連絡先を知ってるのはあのお方だけでしたのでアナタにこうして連絡が来るまで此方からじゃあ連絡は取れないんです。基本我々は必要以外に下界への干渉を禁じられている身ですので。』
「食中毒って………ハア、天界も天界でそういったとこはホントカタイんだよなぁ…。」
ラボの一室で頭を搔きながらどうしようもなく溜息を吐く悠と携帯のスピーカーから増援として桜井 秋を転生させた神が申し訳なさそうに話し合ってた。
本来なら秋は過去悠の行ったトレーニングメニューとはいかないがある程度の訓練を受けさせて此方の世界に下ろすつもりだったのだが転生させる神が目を離した隙に勝手に降りてきてしまったと言う訳である。
「にしても何であんなヤツかなぁ。」
『アナタの時と同様我々が使いに出すのに適応した人間を厳選した結果です。不慮の事故では無く天命を全うした人物で一番の適性が有った者が彼ですから。』
「アレが、ねぇ……。」
時は少し遡り…
「え、えぇぇと。私が死んで前世に残した弟が死んで生き返って仮面ライダーになって…それで、……えぇぇぇぇっっ???」
「あらー姉ちゃんこりゃまた見事にパ二クッちゃって・(ガシッ)・アレ?」
「ちょっと来い。」
「え?ちょ、ちょっとちょっと何!?そんないきなりさぁ!?」
「そんでもって、えぇぇと……ハ!。
ちょっとアンタ!私の弟何処に連れてくつもりよ!」
「少しコイツ借りるぞ。」
「アンタ…その態度ガイムね!?アンタ一体どれだけ違う仮面ライダーになれるのよ!?」
「おぉ!カッケェ何この車!?先輩のマシン!?」
「いいから乗れっての!」
ラボにて…
「さて、お前が何なのか色々聞かせて…。」
「うっひゃあ!すっげえココ!!!ガレージの下に秘密基地とかロマン有り過ぎでしょ!!!」
「秘密基地じゃなくてラボだ。それよりも聞きたい事が…。」
「あ!ライドブースターだコレ。ねえコレ飛ぶ?飛ぶ?」
「飛ぶ。それよりも…。」
「オイオイ何だぁ?随分騒がしいけど何か有った…。」
「あーー!!天龍だ!!艦これだよ!艦これ!!ねえ何で天龍居んの!?ねえ、何で!?」
「……いい加減に話しを聞けぇ!!!」
「…………ハア。」
『あの…大丈夫ですか?』
「あぁ、今の所…。」
結局の所、当の本人からは何時まで経っても肝心の話が聞けないと判断し。秋の事は一旦天龍に任せこうして悠が本人不在の状況で話し合ってる事についての経緯だった。
『あの……それらの話を踏まえて私の方から一つお願いが…。』
電話越しから聞こえる物腰の低さから到底神と話してるとは思えない程の現状だが、悠は今そんな事微塵も思っておらずむしろこれから告げられるお願いに嫌な予感を覚えた。
『その……彼がその世界で必要な身分や金銭においてはあらかじめ用意したのですが…住居の方がまだ用意できていなくてですね。ですのでその……彼をアナタの所に住ましてやってはいただけないでしょうか?』
「…………ハアッ!?」
余りの衝撃的なお願いとやらに素で声を荒げてしまった。
「ちょっと待ってよ……只でさえいきなりあんなのが来て一段落ついてないのに家に住ませろとか……冗談キツイよ…。」
『無理を言ってるのは此方としては重々承知しています。でもこれからの事態に備えて身近に居させるのには悪くないかと…。』
<それについては私も同意するよ。>
頭を搔いて困惑な表情を浮かべる悠にクリムが口を出す。
その声色から悠を納得させようとする意志が込められているのがベルト越しから聞こえて来た。
<悠。キミにとって快く迎え入れるという件では無い事は私は分かってるつもりだ。
しかし今回に至ってはそうは言ってられない事態なのだ。未だ知れぬ敵の素性や目的が分からない上にその力は途轍もなく強大だ。その身に受けたキミならこれ以上言わなくても分かるだろう?>
「それはそうだけどよ……でも。」
<何も今受け入れろとは言ってない。彼と過ごしていく内に案外良いコンビになれるかもしれないじゃないか。>
「それはイメージつかないな…。」
<まぁなにわともあれ、このまま彼を外に追い出すのもアレだ。一先ず彼の様子見としてここに居させると言う形でどうかね?>
「……………ハア~~。」
クリムの説得に暫く考える様子を見せた悠は長い溜め息を吐いた後通話相手の神に口を開いた。
「……取りあえず。クリムの言った通り様子見と言う形でここに居させる。が、もしアイツが使いに相応しくなかったら此方の判断でそれ相応の手段を取る。それでイイか?」
『はい。少なくとも彼は間違いを犯さない人間と我々は判断したのでもし何か起きた場合はアナタに任せるつもりでいました。』
「…そうやって人間を軽く見るのも相変わらずだね。だからこそ消さなきゃいけない転生者が後を絶たないのも当然と言う訳か…。」
『……それを言われると耳が痛いですね。…』
「…まぁいい。とにかくアイツに関してはさっき言った通りだ。これ以上何も無ければ切るが?」
『はい。どうもご迷惑をおかけしまして本当に申し訳ありませんでした。では。』
電話の通話が切れると悠の深く長い溜め息がラボに小さく響き渡る。
顔色から精神的に参っているのだろうか思わずクリムは悠に声を掛ける。
<大丈夫か?酷く疲れてる様に見えるが…。>
「まぁね。久しぶりに大声出したし、その所為かな…。」
<先程も言ったが今回ばかりはキミの手に収まりきれない程の事態なのだ。
それ故に私がキミのサポートの為に造られAIで、彼もキミと共に戦う為に選ばれた人間なのだよ。>
「分かってるんだよ。俺が何言ったって事実向こうより劣ってるっていう現実はさ…。
俺が言いたいのは…。」
悠はそう言って上を見上げる。ラボの上に設置してるガレージへと
「うわ~~~スゲエ。本物のマシンディケイダーだよコレ…。」
所変わりガレージでは今話題のライダー、桜井 秋は天龍の監視の元ガレージに置かれてるマシンを目を輝かせながら見ていた。
ラボから追い出したのは子供のように騒ぐ秋を前に悠が落ち着いて話せないのもあってラボから出てもらったが今度はガレージに置いてあるマシンに前にこうして童心に帰ってずっと見てる訳である。
「スゲエなぁ。テレビで見たバイクがこうして目の前にあるなんて。ライドチェイサーにマシンディケイダー、黒いカブトエクステンダーに…エターナルかな?見た事も無いバイクも有るし………そんで何よりも…。」
秋が次に目を移したのは悠が作り出したマシン、ライドマッハーであった
「ライドマッハー…なんで先輩が持ってるか知んないけどオレ専用のバイク!抜け出しちゃったから貰えなかったけどやっぱ自分専用のバイクって響き良いよね~。」
「オイちょっと待て。お前専用のバイクだぁ?いきなりしゃしゃり出て来て何言ってやがる、それはオレのバイクなんだよ!」
「えェ?イヤイヤ、これライダー専用のバイク。天龍は艦娘じゃん。」
「うるせぇ!艦娘だってバイク乗るんだよ!そこまで言うならそのバイクがお前のバイクだって証拠あんのかよ!?」
「あるよォ、証拠。」
そう言って秋は笑みを浮かべながら懐からマッハドライバー炎を装着し手元のシグナルマッハーを装填する。
<< Signal Bike! RIDER! >>
「Let‘s、変身♪」
<< MACH! >>
待機音が鳴り響くなか派手な変身ポーズを取ってマッハに変身する秋。
天龍があんぐりと口を開いてるにもかかわらず
「追跡、撲滅、いずれもマッハ!
仮面ライダ~~マッハ~!」
名乗りを上げた後ライドマッハーに跨り天龍に対しアピールするかのように見せつける。
「ホラ、すっごく画になってるでしょ?やっぱ仮面ライダーと言ったらバイクでしょ!」
「なんだよ……なんなんだよチクショウ!……カッコいいじゃねぇか…。」
膝が崩れ落ち負けたように弱々しく顔を俯かす天龍。一方のマッハは自身の専用マシンに跨りかなりご機嫌の様であった。
そしてその光景を冷めた目で見てる人物が一人。
「……お前等さぁ。何か勝手にソイツの所有権について揉めてるようだけど、それ俺の造った俺のライドマッハーだからな?…。」
「あ、先輩話し終わった?」
<< オツカーレ >>
変身を解除し悠の近くによる秋。秋は終始笑顔でいるのに対し悠は眉間のシワが険しい表情なのが如何にこの二人が対照の存在であるのが分かる。
「まぁね。取りあえずお前は暫く家に居させる事になった。」
「マジで!?よかったぁ~~昨日は漫喫で過ごしたからダメ元で姉ちゃんトコ行こうとしたけど・「ただし!」・…ハイ?」
「部屋は貸すがやたら無闇に俺の部屋やガレージ、ラボに入るな。あとライドマッハーはお前にやらん。」
「えぇ~ッ!!?ちょっと待ってよ、バイクなきゃ仮面ライダーじゃねぇじゃん!敵来た時走って現場に来いって言うの先輩は!?」
「その辺は心配するな。ロックビークルを一つ貸してやる。」
「マジで!?……って、嬉しいけどやっぱ違う!確かに白いけどッ!!」
(騒がしい奴だなぁ…。)
投げ渡されたサクラハリケーンを手に一瞬喜ぶが、これではないと否定しながら叫ぶ秋にめんどくさそうに聞き流す悠。
<…あー、二人共盛り上がってる所良いかね?>
「いいんや全然大丈夫。どうかした?」
二人の間をクリムの意識が移ったシフトネクストが話に入って来て、あーだこーだ言ってる秋を放っておいて悠は耳を傾ける。
<そうか、それなら遠慮無く。
ファントムの目撃情報だ。移動しているようだがベガスとキャブの追跡で居場所は掴んでる。>
「了解。ベガスかキャブに俺の携帯に位置情報送るように伝えて。」
<…待ちたまえ。もしかして一人で行くつもりか?>
クリムの知らせを聞いてライドチェイサーへ跨る悠にクリムは声を掛ける。
「そのつもりだが?」
<悠。キミは先程のロイミュードの戦闘も有る。ここは無理せず彼も連れて行くべきではないか?>
「そうだ、そうだ!ファントムぐらいならオレだって…。」
「お前はお留守番だ。いい子に待ってろ。
俺は大丈夫だよ。なんやかんやでロイミュードはコイツが殆ど倒したもんだし、疲れはそこまで溜まって無いよ。」
<しかしだな…。>
「とにかく俺は行く。何かあったらそれこそコイツの出番って事でよろしく。」
「ってオレ補欠扱いかよ!?」
秋の言葉を無視しライドチェイサーを走らせる悠。
秋が追いかけてガレージの外に出るも悠を乗せたライドチェイサーの姿はあっと言う間に小さくなっていった。
<全く、困った男だ…。>
「ホントだよねぇ。先輩ってそんなにオレの実力信用出来ないのかなぁ?」
<少なくとも訓練メニューを全て終えず抜け出して来た事が彼のキミの評価を下げている一番の理由だと私は思うがね。>
「……ア、アハハ~…いや~そのなんて言うの?オレああいう地味なのちょっと苦手と言うか~性に合わないて言うか~。」
クリムの指摘に確信を突かれた秋は気まずい表情で言葉が詰まりながらも隣に居るクリムに苦し紛れの言い訳を語る秋にクリムは呆れたように溜息を吐く。
<ハア……まぁそれも有るのだろうが、結局の所彼にとってキミに素直じゃ無いのは彼の気持ち次第だ。>
「気持ち次第?」
<あぁ。悠はキミや私と出会う前から戦いに身を置いている。たった一人でだ…。
今まで一人で戦ってきた彼にとっていきなり君と共に戦えと言われて気持ちの整理がつかないんだ。こればかりはキミと彼のこれからの行動によって解決するべき問題だと私は思ってる。>
「…ふーん。」
クリムは先程ラボで悠と話してた内容を思い出す。
悠はこれまで幾度と無く困難な戦いをたった一人でこなしてきた。そのような人間が今更誰かと肩を並べて戦うとは自分のみならず相手のパートナーすらもしかしたら危険に曝してしまうかもしれない、例えで言うなら時計の歯車だ。歯車がうまく組み合わなくては針は進まず最悪使い物にならない位壊れてしまう。悠が気に欠けているのは主にそれが原因だ。
<…まぁとにかく私からはこれ以上何も言うまい。こればかりは先程言ったように二人の問題なのだからな。>
「…なーるほど。ようは先輩がオレと組んでも大丈夫だってアピールしていけばいいんでしょ。
それなら…。」
秋は自分なりに答えを出したようで、懐から一つの指輪を取り出した。
「押して行く所はドーンと押しに行かなきゃ問題は解決しないってワケだ!」
所変わりライドチェイサーを走らせる悠が辿り着いたのは公園広場。
今が夜と言うのも有って普段賑やかなこの場も今は静寂な空気に包まれている。
ライドチェイサーから降りた悠の目に真っ先に写ったのは此方を見据えてる様に立っている虎のような縞模様が特徴のファントム、ワータイガーは待ち構えていた様子であった。
「仮面ライダー、モウ一人ハ何処ニ居ル?」
「おやおや、新入りをご指名?でも新人育成がまだでね、俺で我慢してくれ。」
「ソウカ、ソレナラバ貴様ヲ此処デ消シテヤロウ!」
空に向かって吠えたワータイガーは悠に向かって肉薄して行く。
悠はライドチェイサーのサイドミラーにカードデッキを向けVバックルを装着。殴りかかって来たワータイガーの攻撃を避け後ろに跳躍した。
「変身!」
カードデッキをVバックルに装填しリュウガに変身。
再度此方に向かって駆けてくるワータイガーの右のフックをバックステップで回避、尽かさずリュウガは左のアッパーカットをワータイガーに叩き込もうとしたが容易く受け止められてしまい、振り払われた後容赦無いラッシュをリュウガはガード。
ガードに徹し甘い一撃の左のフックを掴んで背負い投げの要領で投げ飛ばすがワータイガーは空中で体勢を立て直し着地。リュウガはワータイガーに向かって接近戦を繰り出して行くが此方の攻撃は上手くいなされ時折来る反撃を防ぐと言う攻防が暫く続いた。
(単純に接近戦を特化させたのか…それならこっちは。)
ワータイガーと組み合っていたリュウガは隙を見計らい振りほどいて瞬時に後ろへ後退。
距離が十分と取れたと思った所でデッキから引いたカードをバイザーへセットする。
<< SHOOT VENT >>
リュウガの両肩にマグナギガの両足を模した[ギガキャノン]を装備しワータイガーに向け砲撃。
ワータイガーは直撃しないよう回避運動するがリュウガが砲撃する度凄まじい砲撃音と着弾時の爆風がワータイガーの常人以上の耳を音響が襲い、爆風から伝わってくる熱波がワータイガーの神経を逆なでしていた。
容赦なく撃って来る砲撃から逃げるのに痺れを切らしたのかワータイガーは反撃の一手を仕掛けてきた。
リュウガに向けて口から咆哮の衝撃波を放ちリュウガの周り周辺を爆煙に包ませ視界を奪う。
ワータイガーは即座に動く。狙うはリュウガの死角であり砲撃の射程範囲外である真正面以外の位置へ、リュウガの後ろを取ったワータイガーは剣を取り出し跳躍してリュウガに斬りかかる。対するリュウガは気付いてないのか背中がガラ空きの無防備状態だ。
(決マッタ!)
ワータイガーが落下しながら剣を振り抜こうとしたその瞬間だった
<< STRIKE VENT >>
「ハイ、いらっしゃいッ!」
「ナニ!?」
両肩のギガキャノンが突如消え、代わりにリュウガの右腕にドラグクローが付けられた状態で後ろで此方に落ちてくるワータイガーに振り向く。
「とりあえずアツいのいっとくかぁ!?」
「グヌゥッ!!」
腕のドラグクローから黒炎の火炎放射が放たれるがワータイガーは咄嗟に持っていた剣を盾に防ぐも片手剣では防げる範囲が余り無く直撃では無いしろドラグクローから放たれた炎を受ける形になってしまった。
地に降りたワータイガーの体からは煙が立ち上がり、まだ立っている様子から戦意は失ってないと見える。
「あーらら、おアツいのはお気に召さなかった?」
「オノレェ……グール!」
懐から魔石を取り出し辺り一面に撒き散らすと魔石はグールに変化していきリュウガを取り囲んだ。
「…やれやれ、時間内に終われば良いんだが……ん?」
デッキに手を掛けカード抜こうとするが遠くから聞こえてくるエンジン音が段々と近ずいて来る音が聞こえ…
「どけ!どけ!どけ!、どけェェェッ!!!轢き逃げされたくなかったら道開けろォ!!」
「アイツ何でココに…ってアブね!」
振り返るとエンジン音の正体はサクラハリケーンを駆使し此方に向かって突っ込んでくる秋であり、グール達を押し退けて行くなか危うくリュウガすら轢いてしまうほどの危ない運転でこの場に似つかわしくない空気を撒き散らしながら現れた。
「うっしゃあっ!桜井 秋此処に参上!」
「何が参上だこのバカ!危うく俺も轢かれる所だったぞ!」
「あーーゴメン。ついテンション上がっちゃって…。」
「それにどうやって此処が分かったんだ?…まさかクリムの奴が…。」
「いんや、ベルトさんは何も喋って無いよ。此処まで来れたのはコイツのお蔭♪」
秋が手を翳しそこへ飛来してくる小さな影、魔法使いの使い魔であるプラモンスター[グリーングリフォン]が秋の手に停まり鳴き声を上げた。
「使い魔?…お前…。」
「オイオ前ラ!」
「ん?」
リュウガが何か言いかけた所で此方を睨んでるワータイガーが後ろにグールを従わせた形で此方に話しかける。
「貴様カ、新タニ現レタト言ウモウ一人ノ仮面ライダーハ!」
「あれ?もしかしてオレってもう人気者になっちゃった?」
「何で嬉しそうなんだよ…まぁ間違って無いんじゃないの?向こう限定で。」
「二人目ノ仮面ライダーハ此処デ消ス!ソレガオレニ与エラレタ命令!」
「へぇ~あっそう。…そう言う事だから先輩コイツの相手、オレがしてもいいよね?」
「勝手に話し決めんな。コイツ等はお前の知ってるファントムより強化された怪人だ。お前が行ったって…。」
「…あのさぁ先輩。今此処で言わせてもらうけど……オレの事舐めすぎじゃない?
確かに訓練サボって来ちまったオレだけどさ、実力云々より此処で戦う覚悟はとっくに出来てんだよ。」
先程までの笑顔とは違いその顔には戦う意志が強く出ていた秋はリュウガを半ば押し退けてワータイガーの前に相対した。
そして懐から取り出したのは銀色の扉を模したデザインの指輪[ドライバーオンリング]を右手に嵌め自身のベルトに翳す。
<< DRIVER ON! >>
ベルトが魔方陣の出現と共に姿を変え銀色の扉のような形になると今度は左手に指輪を嵌める。
「色んなライダーになれるのはソッチの専売特許じゃないって事今見せてあげるよ!」
そして左腕を高く上に挙げ
「変~身ッ!」
<< SET OPEN! >>
腕を交差に大きく回し左手に嵌めた[チェンジビーストリング]をベルトの[ビーストドライバー]の左サイドのスロットに嵌めこみそのまま回すと扉が開き中から金色のライオンのレリーフが現れ魔方陣が前に出現し
<< L!・I!・O!・N! LION! >>
魔方陣が秋の体を潜り抜けると金色に包まれ、ライオンの鬣のようなマスクに左肩の左肩のライオンの頭部が特徴的の金色の戦士
「オ前…マサカ魔法使イカ!」
「フフン。そうだ。オレは魔法使い…仮面ライダー、ビーストだ!」
古の魔法使い[仮面ライダービースト]
「お前も複数のライダーを…。」
「そういう事♪、さぁ~て一暴れ行くぜキマイラ!」
驚くリュウガを余所にワータイガーへ向かって駆けて行くビースト。
ワータイガーはグール達を前に出し迎え撃つ体制を取るがビーストは
「いよっと!」
跳躍しグールの一体に跳びかかって倒し、グールの集団の懐に入り込むとベルトのバックルから取り出したのはビーストの専用武器[ダイスサーベル]。
迫り来るグールの槍を躱しながらダイスサーベルを振るい斬り、時折足技で俊敏に蹴り倒して行くビースト。その動きは正に野獣が襲い掛かって行く姿を思わせた。
「フッ!、オウリャ!」
ダイスサーベルを回転しながら横薙ぎに振るい、周りを取り囲んでたグールはダイスサーベルの一閃に爆散していく。
爆散していった後の爆炎が上がるなかビーストは狙いをワータイガーに定めた。
「次はお前だ!
…てな訳で残りのグールは任せたよ先輩!」
「あっ、オイ待てコラ…フンッ!」
ビーストが倒したグールは全てでは無く、残りの何体かはリュウガが相手していた。
ビーストがワータイガーの元に向かって行く様を後ろから首を抑えたグールの首を横に回し、ゴキッという音を鳴らしながら舌打ちをした。
「あの野郎ォ……言う事守らず勝手に来るわ、轢き逃げしようとするわ、人を扱きに使うわ…。」
<< SWORD VENT >>
リュウガはべノスネーカの尾を模した[ベノサーベル]を召喚し此方を見据えてるグールの集団に目をやる。
「お前等には申し訳ないが…少しストレス発散に付き合ってもらうぞォ!」
この時のリュウガの戦い方は某脱獄ライダーのような暴力的な戦い方だったと言う。
「ハァァァァッ!」
「来イ!魔法使イ!」
ダイスサーベルをワータイガーに目掛けて振るうがワータイガーの手にある剣で防がれ鍔迫り合いになる。
互いのパワーが明確に出るこの勝負。ワータイガーの方がパワーに分が有るのか後ろに押されていくのはビーストのほうだった。
「ぬぐぐぐッ!」
「ソノ程度カ?底ガ知レルナ魔法使イ、ムンッ!」
「のわッ!?」
押し止まるビーストに強烈な前蹴りを繰り出すワータイガー。
後ろへ飛ばされ転げ回りその隙を突いてワータイガーが剣を振り下ろすがビーストは瞬時に身を躱した。
「っとアブね~。先輩の言う通り結構強いやコイツ……それなら…。」
ビーストは懐から取り出した[バッファリング]を右手に嵌め、ドライバーの右サイドのスロットに嵌め込む。
<< BUFFA! GO! >>
<< Bu-Bu-BuBuBu-BUFFA! >>
赤い魔方陣がビーストの右肩を潜ると牛の頭部が着いた赤い肩マントが羽織られる。
これがビーストの魔法。本来の魔法使いとは違い一つのマントに複数の能力が秘められている。
「よっしゃあ、行くぜトラ野郎!」
「タカガソンナ物デ調子ニ乗ルナ!」
バッファマントを靡かせ再びワータイガーと真っ向から向かって行くビースト。
両者組み合い、単純な力比べの戦いに再度なっていき先程とは違って互角の勝負を見せていた。
「ぬぎぎぎぎッ!!!」
「ムゥゥゥゥンッッ!!!」
一歩を引けを取らぬパワー比べの勝負。バッファマントによる肉体強化でビーストのパワーは格段と上がったがそれでもワータイガーと互角のパワーにまでしか行かず拮抗が続くなかビーストの取った行動は
「うおォォォりゃっ!!」
「ヌワァ!!」
ワータイガーに片足をかけ素早く後ろに倒れて行き、掛けた足を瞬時に伸ばして組み合ったワータイガーを投げ飛ばす所轄巴投げを繰り出しワータイガーは宙高く投げ飛ばされた。
「へっへーん。押してダメなら引いてみろってね。お次はコイツだ!」
<< FALCO GO! >>
<< Fa-Fa-Fa-FALCO! >>
手に嵌めた指輪をバッファリングからファルコリングへ変えハヤブサの頭部を付けたオレンジ色のファルコマントを羽織る。
ファルコマントの能力は飛行能力。空に飛び上がったビーストは起き上がったワータイガーに向かって高速で急接近しすれ違い様にダイスサーベルで斬り付けた。
「グァァッ!!」
モロに喰らったワータイガーはよろけ、着地したビーストはダイスサーベルを左手に持ち替えた。
「さぁ~て。ビーストだけど、フィナーレだ!」
ダイスサーベルの鍔に当たるビーストダイスを回転させダイスサーベルについてるリングスロットにファルコリングを差し込む。
<< Six! >>
<< FALCO! SAVER STRIKE! >>
「よっしゃあ!大当たり!」
出た目の数に一瞬歓喜しビーストの周りにオレンジの魔方陣が六つ現れ、ダイスサーベルを振るうと魔方陣から六羽のハヤブサの幻影がワータイガーの周りを飛び回りながら攻撃していく[セイバーファルコ]が炸裂する。
「グオッ!ブァッ!ガアァァッ!!!」
次々と来るハヤブサの攻撃を喰らってしまうワータイガーだが何とか堪えることが出来た。しかしセイバーファルコの攻撃を喰らった所為で瀕死寸前の状態に追い込まれていた。
「オ、オノレェ……魔法使イメ…。」
「うわぁお、原作以上にタフだな。それならコイツで!」
ファルコマントを外しビーストは左のチェンジリングを一瞬口元に運んだ後再度左のサイドスロットへ嵌めこんだ。
<< KICK STRIKE! GO! >>
「とうりゃ!」
空中に跳んだビーストが蹴りのフォームをする最中ビーストの前に幾つもの魔方陣が出現し、魔法陣を潜り抜けると共にライオンの頭部を模したエネルギーを纏いながら、跳び蹴りを叩き込む[ストライクビースト]が決まりワータイガーは今度こそ散って逝った。
「うぅぅぅっしゃ!決まったぜ!思いのほか強かったけど流石はオレ、機転が効くぅ。」
<< FINAL VENT >>
「デアァァァッ!!!!」
一方のリュウガもグールであらかたストレス発散したら落ち着きを取り戻し、残ったグールを一掃するべく必殺技であるドラゴンライダーキックで全てのグールを片付けた。
グールを撃破しビーストの方を見るとやたら大袈裟に喜んでるビーストを見てワータイガーを撃破したのだと知るとドラグブラッガーが咆哮を上げ空を飛び去って行く姿を見るとその先には以前のガーゴイルを撃破した時と同じ球体が浮かび上がっていた。しかし今回は赤黒い色でなく白と黒が合わさった球体であったがドラグブラッガーはその球体を捕食した後夜の空へと姿を消していったのだった。
「またアレか…色が違うとなると別の人外の魔力か……。」
「オーイ先輩。コッチは難無く終わったぜ!」
変身を解いた秋が手を振って此方に近ずいてるのを確認すると自身も変身を解除し、取りあえず秋の頭を殴った。
「イタァッ!?ちょっと!いきなり何なのさ!?」
「何なのさじゃねぇつうの。勝手に言う事聞かず飛び出して来るわ轢きそうになるわ、何考えてんだお前は。」
「いやぁまぁ、オレなりのアピールってヤツ?オレはこんだけ強いからドンと任せて頂戴っていうカンジにさ?」
「……ハア。」
悠は本気で頭を抱えた。
コイツと組んで果して上手くやれるだろうかと
自身の借りてるアパートの一室で桜井 ハルナはベットの上で足を抱えながら今日の出来事を振り返っていた。
今日新たに見た仮面ライダー。その内の一人は発言と態度から自分たちが今まで追っていたであろう武神鎧武のもう一つの姿だというのと近くに居たもう一人の仮面ライダー。
ハルナ自身仮面ライダーが複数居たと言う事知った事実は転生してから一、二を争う衝撃の事実であったがもう一人の仮面ライダーが正体を表したせいで自分は今かつて無いほど悩まされている。
前世ではハルナの弟であった秋。小さい時からべったりくっついて泣き虫であった弟が目の前で堂々と仮面ライダーを名乗っていた。
何故弟がこの世界に来て仮面ライダーを名乗り、自分達が追っている仮面ライダーに連れて行かれたのか。
秋は自身の通ってる学園の制服を着ていたから明日になれば秋に会って話を聞ければ仮面ライダーの正体やその目的が分かるかもしれないと言う絶好の好機を考えていたのだが
「何でアンタが……シュウ…。」
仮面ライダーの事は余り頭に入らず弟の秋の事ばかり考えていたハルナだった。
「フゥ…やっと完成しましたよ。ここまで来るのに大分時間を掛けてしまいましたね。」
所変わり大臣の書庫では幾重にも描かれた魔方陣の上で額の汗をぬぐいながら大臣は満足げに手の持ってる石を見つめる。
手に持ってる石は小さなモノだが赤黒い輝きを放ってるその意思は魔宝石にも見え、何とも言えない不気味な光沢を放っていた。
「さて、やっとお目当てのモノは完成し後は大量生産をしていくだけですが、やはり試し運転をしないと気になりますねぇ…………そうだ、彼に…。」
大臣は何か閃いた後、近くの丸テーブルの上に置かれてる水晶玉に手を翳すと水晶玉の中が何処か別の場所を写しだしているが風景が右に行ったり左に行ったりするのでどうやら誰かの視覚を繋げているようだと思われる。
「ちょっとよろしいですか?」
【あいあーい。なんでやんすかー?、金ピカの旦那ァ。】
水晶玉に向かって話しかけると声が帰ってくる。視覚の主と話しているようだった。
「キミに少しやってもらいたい仕事が有りましてね。至急此方に戻っていただきたいんですよ。」
【ウィーっす。でももうちょっと待ってもらってイイですかァ?今丁度イイとこなんでやんすねぇコレが!】
水晶玉には資格の主が持ってるであろう血に濡れた二本の剣と逃げる様に這いつくばってる獣人の姿が映し出されていた。
「全くまたですか。毎度毎度襲った人外をバラバラの肉塊にするなんて、キミは何処まで人外を嫌うのです?」
【アッヒャッヒャッ!だぁって旦那がオレッちをこんな風にする前はクソ悪魔狩るお仕事やってたんですよ~?そう考えるならばこんくらい普通のことじゃねぇすか?】
「アナタの何処が普通なのか………まぁ普通じゃないから唯一自我を保ってファントムの力を得たのでしょうねぇ。」
【アッヒャッヒャッ!まぁオレッちの体を勝手に弄った時はカッチーンと来ましたけど、その変わりこーんな力と仕事をくれた旦那には一応感謝してますぜィ。
旦那の悪巧みにもボクちん興味津々だし♪】
「そうですか。それなら早く此方に戻ってください。
これからアナタにしてもらうのはある意味重要なんですからね
グレムリン。」
【アイアイサー♪】
おまけ ~その日の夕食~
「おかわり!」
「…よく食うなぁ。もう五杯目だぞ。」
「あぁコレ?ほら、ビーストってファントムの魔力食わなきゃいけないってデメリットあるじゃん?それ無くしてもらった代わりにキマイラの分も食わなきゃいけなくてさ。」
「へぇ~、食費が掛かるデメリットだなソレ。」
「大丈夫大丈夫。ちゃんとその分働きますって………ん?」
「何だよ?」
「いやキマイラが先輩に伝えろって。
…イマイチだな、もう少し料理の腕を磨け小僧…だって。」
「……ナンだとテメェゴル゛ア゛ァッ!!!」
「ちょっと待って!待ってって!!オレじゃなくてキマイラが!!!……」
<<……コレはコレで、上手く行ってる…のか?>>