その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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乱入

 

 

 

 

 

「へぇー、あの町が例の…。」

 

悠がこの世界に来て最初に足を着いた高台に一人の男が立っていた。

茶髪の短髪に白いジャケットを羽織った男は日が暮れた街の風景を見渡す姿はこれから起こる出来事を楽しみに待つ子供のように笑っていた。

 

「いんや、今日はもう夜になるし明日にするよ。流石にその辺は礼を弁えるって…。」

 

突如誰かと話すように口を開くが高台に居るのは男を除いて誰も居ない。それなのに男は確実に誰かと話してる口調で喋り続ける。

 

「まっ、その辺は何とかなんだろ。……はっ?誰がヒヨっ子だよ!?これから強くなるっつうの!……ハイハイ、分かった分かりました。戦い舐めてるほどそこまでバカじゃないさ。」

 

あからさまに誰かと喋りながら男は高台から歩いて去って行く。

 

「さーて、お楽しみはオレからだ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<ファントムが奪った魔力をキミのモンスターが食べた…か。>

 

「あぁ。」

 

ラボでは悠とクリムが先程のガーゴイルとの戦闘の後に起こった出来事であるべノスネーカの無断な捕食行動について話し合ってた。

 

<フム、ファントム自身を食べたと言う話ならそこまで問題視する内容では無かったかもしれんが、キミの命令を無視してまで魔力を食べたとなるとこれは見過ごせない問題だね。>

 

「……関係あるかどうか分かんないんだけどさ、俺なりに魔力について考えてみたんだが…。」

 

<ほう、どんな?>

 

「魔力ってさ、言い方変えれば生命力って言えるモノじゃないか?俺の知ってる魔法使いでは体内のファントムと言う生命体を核に魔法を使っているなら…。」

 

<悪魔などの人外が持つ魔力とは自分自身の命を源に生み出される生命エネルギーという事か?>

 

「そう言うこと。それならあのバカ蛇が勝手に喰った事に説明がつく。アイツは俺が飼ってるモンスターの中では一番の大喰らいだし。」

 

<ではファントムが悪魔だけに限らずその他の人外から魔力を奪ってる理由は…。>

 

「……分からん。でも絶対何かしらの目的が有る筈だ、奴等の目的に関する何かに。」

 

悠は椅子に座って顔を下に向けてブツブツと小言を言いながら自身の頭を整理している。

端から見れば奇妙な画だがそんな事お構いなしに悠は自分の世界に入っていた。

 

「魔力をエネルギーとして集めてるのだとしたら何かの起動剤に使うのか?……いや、だとしてもファントム自身の魔力で補えるんじゃ……いろんな人外から集めてる……サンプルか?いやでもそれなら魔力じゃなくてももっと効率のいい採取やり方が……。」

 

このような状態の悠に声を掛けようか迷ったクリムだが、暫く悠のやりたいようにやらせることにしたのだが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやもしかしたら此方の目を欺くためのカモフラージュ?……それはないか。…待てよ、ファントムの強化。…これなら納得がいく……いやでもだとしたらさっきのガーゴイルは………。」

 

<…(すごい集中力だが、もう既に二時間はずっとあのままだぞ…。)>

 

好きにさせた結果、椅子に座って考える男のような体制のまま日付も変わり既に夜明けまであと僅かと言った時刻と言った所でクリムが声を掛けた。

 

<…悠。いい加減そろそろ休んだ方がいいぞ。あと少しで夜明けだし、今日は学校だろう。おまけに昨日のファントムとの戦闘の疲れも今日に響かせるのはどうかと思うぞ?>

 

「ん?……あぁーもうこんな時間か…。悪いなクリム、そうするわ。」

 

クリムの言葉に素直に応じた悠はずっと座りっぱなしだった体を伸ばしながらラボを出て行った。

 

ラボから出た悠を見た後クリムは悩ましげな顔をして一人呟く。

 

<この戦い。やはり思ってた以上に過酷な戦いに成りつつあるな…。

それを悠一人で何処まで行けるか最早時間の問題……早く例のアレが来る事を祈るしかこの問題は解決しないか…。>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「はぁ~~。……」」」

 

昼休みの学園にて久しぶりに顔を合わせた古城、キンジ、悠の三人。

何時もの自販機の前で偶然揃った三人は買った飲み物を飲んで揃って一息吐いていた。

 

「…何かよォ、こうして三人揃うのって随分久しぶりだよなぁ…。」

 

「そう?」

 

「いや実際にそうじゃねえか。特にお前なんてここ暫く休んだ理由が入院してたっての聞いたの今日だぞ。」

 

「は?俺も初めて聞いたぞオイ…。」

 

「いやぁ、ねぇ、ホラ、遠山は遠山で武偵の仕事忙しそうだし、暁に言ったら下手に周りが騒ぎそうだったから…ね。」

 

「だとしても一声くらい言っておけって、あと少しで那月ちゃんの所に聞きに行こうとしてたぜ、ゼノヴィアが。」

 

「あーー、そういえば今日顔合わした時珍しく饒舌だったなぁ、凪沙ちゃんレベルに…。」

 

「それだけ心配してたって事だろ、凪沙だってお前の事気に欠けてたし。でも何でまた入院なんてしてたんだよ?」

 

「……それはな…。」

 

「「それは?」」

 

「親戚の料理がメシマズを超えたメシドクでな、それ食った所為で入院を…。」

 

「「イヤイヤそれは無いだろ!」」

 

悠はその場しのぎの嘘に二人は息の合った否定をするが実際の所本当にあった出来事であり、あの時の記憶を思い出して遠い目をしていた。

 

(あの時…マッドドクターのフルブレイク何回やって意識戻したんだっけ?……。)

 

「まぁ何はともあれお前が無事そうで何よりってヤツだな、此処最近起きてる事件に巻き込まれたのかと思ったよ。」

 

「此処最近って、何か抱えてるヤマでもあんの?」

 

「いやそうじゃないんだが、ほら少し前まで街で無差別に騒いでた……ロイミュードだっけか?そいつ等が最近パッタリ見なくなったら今度は人外相手に襲う化け物が出たとかの話が出てよ、まぁコレに関しては俺たちの出る幕は無いんだけど一応住民に被害が出ないよう目を光らせてるんだよ。」

 

(俺はその件で絶賛行き詰ってんだよね…。)

 

「化け物?……なぁ灰原もしかしてその化け物って…。」

 

「……君の言いたい事は分かるけど遠山の話だけじゃ決めつけるのは早いと思うぜ。」

 

「え?何、お前ら何か知ってるのか?」

 

「あぁ、と言っても灰原がなんだが……。」

 

「灰原が?おい灰原、お前何か知ってるのか?」

 

「(……仕方ないか)…その化け物がもしかしたら俺の師から教えてもらった種族かもしれない、って話さ。まぁ人外を襲ってるのがそいつ等かどうかは分からないけどね。」

 

「なっ、マジかよ……て言うか師って…。」

 

「まぁその辺の話は後にして、もし何だったら知ってる限りで詳しくまとめた資料後日渡してあげようか?」

 

「あぁ頼む。目撃談が有るから後でお前の情報と照らし合わせられる。」

 

古城がうっかりバラしてしまったファントムの情報に誤魔化すヒマが無かった悠は仕方なくキンジにファントムの情報を明け渡すことにした。今自分を捕まえる為に悪魔勢と組んでいるキンジならその伝手で人外側にもファントムの危険性が伝わるだろうし、何より敵の狙いが分からずとも奪った魔力で何かしらのアクションを起こすと考えればこれが戦闘以外で唯一取れる対抗策であろう。

 

時間的に昼休みが終わる間近でキンジと別れた悠と古城は自分たちのクラスに戻って行く最中。

 

「そう言えばよ灰原、あの時は聞けなかったけど結局の所ファントムって何なんだ?」

 

「何なんだって言うと?」

 

「一般的に知られてる悪魔とか俺のような吸血鬼とは違ってどういった種族かってヤツだよ。」

 

「あぁそう言う事。まぁ簡単に言っちゃえばファントムは………。」

 

「?、どうした?」

 

突如立ち止まって古城をジッと見つめる悠に古城は声を掛けるが

 

「………忘れた。」

 

「っておい!ウソだろ!?あんだけ間を空けてそれかよ!」

 

「仕方ないじゃん俺が聞いたのかなり昔の事なんだし、それよりも次の授業あのおチビちゃんの授業だから早く行こうぜ。」

 

「オイちょっと、待てよ灰原!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(普通に生きていた人間から絶望して人を襲う化け物に変わる…それを聞いたら君はどう思うんだろうねぇ、暁。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁーーー。終わったぁ。」

 

授業の終わった放課後。

 

悠にとって久々に味わった学校の授業風景はほぼ眠気との戦いであったが授業が終わった今現在自販機に向かいながら背を伸ばしていた。

 

「これから帰ったらファントムの資料作りか……一通り思い出さればいいんだが・(トンッ)・おっと失礼。」

 

「あぁいやコチラこそ…ってあーーーーッ!!?」

 

「え?何?」

 

曲がり角からぶつかった男に謝る悠だが角から来た茶髪の男、学園の制服に身を包んだ昨日の夜高台に居た男は悠の顔を見るなり驚いた様子で叫びだし突然の事に流石の悠も面を喰らう。

 

「…えーと、キミと俺何処かで会った?」

 

「え?あ、あぁいや!そういうんじゃなくてさ!ホラ今先輩ってかなり噂の人だからさ、ついびっくりしちゃって。」

 

「あぁそうなの…。」

 

何処か誤魔化している様子にも見えるが実際の所悠の噂が学園に広まってるのは事実である。

噂の内容は武神が悠を狙ってる等や売れっ子アイドルが悠を追いかけてる等のモノだが悠自身は所詮確証も無く只広がった与太話としか思っておらず75日経てば忘れ去られると言う感じで放っておいた。

 

「君は…一年生?、一年にも俺のどうでもいい噂広まってるの?」

 

「そうだね、じゃなかったそうですね。と言ってもオレ今日転校してきたばっかだから噂の全容なんてあんまり知らないんすけどね。」

 

「そう……あと喋りにくいなら使わなくてもいいよ、敬語。

俺はそこまで気にしないし。」

 

「マジ?いやぁそれならお言葉に甘えて。先輩って器デカいねぇ~。女子にモテモテなのもこれなら頷けるわ。」

 

「そうかねぇ、全く自覚無いんだけど。

それにしても夏間近のこの時期に転校?変わった事情でも?」

 

「んーー、まぁね。

にしてもこのイイ学校だねぇココ。キレイだし、女の子は可愛い子一杯いるし。」

 

「先輩として一つアドバイスするが、中には見た目は良い女だが中身はとんでもない女が此処にはかなり居るから気を付けろ。」

 

「お、おぉ。なんか分かんないけどすごく説得力ある忠告。

……っと少し時間喰っちゃったかな?んじゃ先輩オレそろそろ…。」

 

「あぁ時間掛けさせて悪かったね。」

 

「イヤイヤ気にしないでよ。…それじゃあまた後でね♪」

 

人当たりが良い笑顔を振りまき最後に意味深な言葉を残して男は去って行った。

男の最後の言葉に悠は一瞬眉が釣り上ったが去って行く男の後姿を見ているだけに終わった。

 

(あの男……。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Bi!-Bi!-Bi!-Bi!-Bi!-

 

「!」

 

男の事について考えてるなか悠の携帯から着信とも仕事のメールとも違う着信音が鳴り響き、画面には街の地図と赤い地点を中心に波紋状に広がってる画がデカく写しだされてる。

 

「重加速!」

 

以前悠がロイミュードの探知に造り出した重加速探知のレーダーが反応しだしたと言う事はロイミュードが暴れ出していると言う事。

製造主であるドクターは倒したが事前に造り出したロイミュードが居ないとは限らないと言う理由で探知機は外さないでおいたがその判断が正しかった事が今知らされたのだ。

 

携帯に写ってる地点へ急いで急行する悠。

そんな悠の姿を先程別れた男は遠目に見てニヤリと笑みを浮かべた。

 

「おんやぁ?もしかして、もう見せ場来ちゃったカンジ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれは男に限らず

 

 

「ん?アレって灰原君?あんなに慌てて何急いでんのかしら?

………ちょっと気になるわね…。」

 

同じ転生者であるハルナも走り行く悠の姿を捕えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドオォォォォォォンッッ!!!

 

 

街中では爆発音と逃げる人々の悲鳴を嫌でも耳に響き渡るなか三体のロイミュード、バット型、コブラ型、スパイダー型が重加速を発現しながら街を破壊していた。

 

「ぐすッ、ママァッ!助けてぇ!」

 

街を破壊しているバット型がふと倒れて泣き叫んでる年端も無い少年に目が行く。

泣き叫んで助けを呼ぶにも爆発音と周りには怪我人しか居ない所為でその声は誰にも聞こえず、逃げ出そうにも重加速の影響で思うに体が動かせなかった。

 

「ヒグッ、ウゥン、エェェンッ!」

 

泣き叫ぶ少年にバット型はエネルギーを溜めた手を少年に向ける、どうやら撃ち抜くつもりだ。

自身の命が狙われてることに気付かず泣き叫ぶ少年をバット型が手に掛けようとする瞬間バット型の元に二つの小さな影コブラとバットのバイラルコアが強襲し、狙いを外したと同時に重加速が解ける。

 

子供が体の自由が解けた事に呆けてるなか少年に近ずく人影が彼を立たせ同じ目線で語りかける。

 

「走って此処から離れろ。かけっこするみたいに全速力でだ。」

 

「う、うん!」

 

少年に逃げる様に言った人物、悠は少年が走って此処から消えた後辺りの怪我人に目を向け遅れて来たシフトカー、ファイヤーブレイバー、フッキングレッカー、ロードウィンター、マッドドクター、ジャスティスハンターに指示を出し悠は目の前に居る三体のロイミュードと対峙する。

 

「うおっと!」

 

悠に向かってスパイダー型が襲って来るが悠は横に跳んで回避。

続くコブラ型が掴みかかって来るもこれもローリング回避で何とか避ける。

 

今は回避するしか手が無い悠だが突如ロイミュード達のボディから火花が散る、聞こえてくるエンジン音に目を向けるとボンネット部に機関砲を実体化させたネクストライドロンが悠の元に停まった。

 

<悠!早く私を!>

 

「クリム!」

 

運転席のドアが開きそこからクリムを取り出し自身に取り付ける。

 

<やはり既に造り上げられたロイミュードは健在だったか。>

 

「迷惑な置き土産残してくれたもんだ。さっさと片付けるぞ!」

 

<OK、敵ロイミュードの殲滅…Start our mission>

 

手元に来たシフトネクストを手にイグニッションキーを捻る。

 

「変身!」

 

<< DRIVEtypeNEXT! >>

 

シフトネクストをブレスに装填し悠はダークドライブへ変身する。

 

そしてその瞬間を先程の男が影から見ていた。

 

「へぇ~~。あれがかぁ…。」

 

笑いながら男はブレードガンナーを手にロイミュード達と応戦してるダークドライブを見て今か今かと機会を窺っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャドウ、来い!」

 

<< タイヤコウカーン! >>

 

<< MIDNIGHT SHADOW! >>

 

三体のロイミュードを相手に闘ってるダークドライブはタイヤをミッドナイトシャドウへ変え中距離からの手裏剣攻撃をロイミュード達に浴びせる。

 

そんななか一番耐久力が有るコブラ型が他の二体よりも早く立ち直り単身でダークドライブへ特攻を仕掛けて来るがダークドライブは逆手に持ったブレードガンナーを駆使しコブラ型の攻撃を捌き、カウンターをコブラ型の鳩尾に叩き込み下がらせた。

 

<< Sha,Sha,SHADOW! >>

 

シフトアップしたダークドライブはミッドナイトシャドウのもう一つの能力である分身で五体に増えたダークドライブがコブラ型を中心に囲み両手に手裏剣を構える。

 

「「「「「ハッ!」」」」」

 

五人のダークドライブが一斉に手裏剣を投げ四方八方から十の手裏剣による攻撃を浴びせられたコブラ型はこれに耐え切れず爆散していった。

 

「まずは一体!」

 

<よし、このまま残る二体も倒して行くぞ!>

 

コブラ型を撃破したダークドライブは此方を見据えてるバット型とスパイダー型へ目を向ける。

武器を手に二体の元へ駆けようとしたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イイ~ね~。イイ感じに盛り上がって来た所かな?」

 

その場に突如聞こえた声に皆顔を向けるとそこに居たのは悠と学園で会ったあの男であった。

 

「アイツ…。」

 

<何だ?あの男は…。>

 

「下級が二体かぁ、まぁ最初はこんなもんでイイか。

後の残りはオレがやっといてあげるから、そこで見ていてよ…先輩。」

 

「なッ……。」

 

男がダークドライブの正体を口にしてるなか二体のロイミュードは現れた男に向かって駆けて行った。

 

<!、危ない!逃げるんだ!>

 

「逃げる?……冗談。」

 

向かって来るロイミュードに向かって走って行き、跳んだと思ったらスパイダー型の頭を踏み台に更に高く跳び上がり空中でアクロバットな動きを魅せて華麗に着地した。

 

「さぁ~て、初のお披露目だからカッコよくいきますか!」

 

両手を広げこれから劇でも開くような手振りを見せる男にロイミュード達は向かって行こうとするが、二体のロイミュードに強襲する五台の小さなバイクがロイミュードを止めてるなか男は取り出したドライバーを手に腰に装着した。

 

「アレは…。」

 

<あのドライバー……まさか!>

 

呆然としてるダークドライブを余所に男は手元に来たバイク[シグナルマッハー]を手にバイクのマフラーを模した腰のベルト[マッハドライバー炎]のパネルを上げシグナルマッハーを装填した。

 

<< SignalBike! RIDER! >>

 

パネルを倒すと軽快な待機音が流れてるなか踊るような動作をし高らかにあの言葉を叫ぶ

 

「Let‘s!…変身♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< MACH! >>

 

 

男の体が光に包まれその姿を変えていく。

 

スタイリッシュな白いボディに風になびく赤いライン入りのマフラー、右肩にタイヤを着け頭部にはヘルメットのようなマスクを被った戦士

 

「追跡、撲滅、いずれも…マッハ!」

 

「…………は?」

 

<…………。>

 

「仮面ライダァ~~~…マッハ~!」

 

派手なポーズを決めたドライブの次世代型システム、ネクストシステムを搭載したライダー

 

 

 

 

白き追跡者[仮面ライダーマッハ]

 

 

 

「さぁ~て、派手にいこうか!」

 

マッハは二体のロイミュードに向かって車輪のようなパーツが着いた銃であるマッハの専用武器[ゼンリンシューター]を手に駆けて行く。

 

向かって来るマッハにスパイダー型とバット型が二人掛かりで攻めて行くがマッハは軽快なステップで躱していきゼンリンシューターに手を掛ける。

 

<< ゼンリン! >>

 

「タアッ!」

 

車輪を回転させたゼンリンシューターをバット型に叩き付けダメージを与えていき、続けてスパイダー型に向けてゼンリンシューターと蹴り技を繰り出し圧倒していく。

 

バット型は翼を広げ空から光弾を放つがこれに気付いたマッハはサイドステップで回避。

手元に来たシグナルバイクを手に掲げる。

 

「フフン♪」

 

<< SignalBike! >>

 

<< シグナルコウカーン! カクサーン! >>

 

マッハドライバーに[シグナルカクサーン]を装填し右肩のシグナコウリンの標識が変わる。

 

マッハゼンリンシュータをバット型に構え銃弾を放つ。

 

<< シューター! >>

 

放たれた光弾はバット型に真っ直ぐ向かって行くが距離もあってこれを回避するのはそう難しくない。バット型が容易く回避しようとした時にマッハはバックル上部のスイッチを押す。

 

<< カクサーン! >>

 

スイッチを押したと同時に光弾が散弾のように分裂し、突然の弾数の多さに回避できず銃弾を浴びるバット型。

マッハは手を休めず更に光弾を放つ。

 

「次はもっと増えるよ?」

 

<< タクサン! カクサーン! >>

 

スイッチを4回程多く押したら先程とは比べ物にならない位に分裂した銃弾が容赦なくバット型に襲い掛かりその様はまさしく雨のように振りかかっていた

光弾の雨を浴びたバット型は爆散。上を見上げるマッハの死角からスパイダー型が奇襲をするもマッハはカウンターに蹴りを放つ。

 

「そろそろフィニッシュと決め込もうか。」

 

シグナルバイクをシグナルマッハに戻し、パネルの上部を開いてスイッチを押す。

 

<< ヒッサツ! >>

 

<< Full Throttle! MACH! >>

 

パネルをサイド戻すとベルトからでたエネルギーが包みそのまま跳び上がったマッハは前方宙返りを繰り返し急降下で蹴りを放つ必殺技[キックマッハー]がスパイダー型に命中し吹っ飛ばされたスパイダー型は爆散していった。

 

「フフン。いい画だったでしょう?」

 

爆炎をバックにポーズを決めるマッハ。

そんな光景をダークドライブは唖然と見ていた。

 

「アイツ…一体。」

 

ダークドライブは頭部のマスクについているイノベイトバイザーを展開し全身の余剰エネルギーを強制排気しているマッハに近ずきマッハもダークドライブに気付いて気さくに話しかける。

 

「どう先輩、強かったでしょ?オレ。」

 

「…お前は…・「見た事も無い仮面ライダー!?、しかも二人ィ!?」・…。」

 

ダークドライブがマッハに語りかけようとした時、横から割り込んだかのように口を出したのは此処に来る途中の悠を見かけ追ってきたハルナだった。

 

ダークドライブはまたかと言った風に溜息を吐くなかマッハはハルナを見て「お!」っと声を上げ、ハルナに近ずいて来た。

 

「ちょ、何なのよ。私に何か用でもあんの?」

 

ハルナがマッハを前に警戒の目を向けるなかマッハをパネルを開きシグナルマッハーを取り出してパネルを戻す。

 

<< オツカーレ >>

 

変身を解除した男にダークドライブは何をやっているのかと声を上げそうになるがそれよりも早く反応したのはハルナだった。

 

 

 

 

 

 

「アンタ……シュウ!?」

 

「へへッ、久しぶりィ!姉ちゃん!」

 

「………ハァ!?」

 

思わず間抜けな声を上げたダークドライブ。

それもそうだろう、なにせいきなり現れた仮面ライダーが此処最近知り合ったハルナの弟らしいのだから。

 

「桜井 秋!仮面ライダーとなって生き帰って参ったんでこれからヨロシク!」

 

「「……ハァァァァッ!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうかしたのですか?いきなり呼び出したりして…。」

 

大臣が訪れたのはあらゆる機材が置かれた研究室のような部屋。

大臣が話すように口を開くが大臣以外に部屋に居る人間はだれ一人いなかった。

 

<少し報告することが有ってね。先程ロイミュードのリンクの調整に街で適当に暴れさせたんだが…。>

 

「仮面ライダー君が出て来たのですか?」

 

<あぁ、だがこれは予想の範囲以内だ。ボクが言いたい本題はこれから……二人目の仮面ライダーが現れたよ。>

 

「……そうですか、二人目が来るとは…。」

 

<おや?そこまで見た限りそこまで驚いてる様には見えないねぇ。>

 

「そうでもありませんよ。ただ向こうの方でも何かしら打って出るとは予想していたのですが、よもや二人目が来るとは思ってみなかっただけですよ。」

 

<そう、ボクは君の驚く顔が見れると思って期待していたのだがね。>

 

「それは残念でしたね。でもアナタの事を彼が知れば少なくとも彼は驚くと思いますよ?

何せ倒した相手がまだ健在であるのですから。」

 

大臣の視線の先には黒いドライブドライバー。

その中央画面には顔が写しだされていた。

 

<そうだねぇ。そう考えれば早く彼に一目会いたいよ。どんな顔して驚いてくれるかなぁ?

…フフフッ、フハハハハハッ!>

 

「いずれ、ですよ。その時まで楽しみに待ちましょう。ドクター。」

 

 

 


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