お待たせしました後篇です。
街で買い出しの最中自信を追いかけている悪魔勢のハルナ、一誠に遭遇する悠。
ハルナは悠に転生者である事を問い詰めそれに応える悠に親近感を抱きその場を後にするが悠の元にファントムの出現を知らす連絡が入りそのファントムの目にはハルナ達を捕えていた。
街の方から河川敷の方へ移動したハルナと一誠。
ファミレスを出てからずっと上機嫌なハルナに対し一誠は意を決してその理由を聞き出そうとする。
「な、なぁ桜井。何だかお前何時に無く機嫌良いみたいだけど、その……灰原となんかあった?」
「ん?あぁ灰原君ね、まぁ確かに私が機嫌良いの灰原君が関係してるけど。」
「…お、お前にこんな事聞くのもアレなんだけどよ。もしかしてだぞ?もしかしてお前…灰原に…。」
「惚れたって?イヤイヤそんなんじゃないわよ。ただ私と彼に意外な共通点が有ったから意気投合してお喋りしてただけよ。」
「意気投合って、それだけでそんな上機嫌になるモノか?」
「アンタだって同じ趣味の相手が居たらその手の話で盛り上がるでしょ?
ようはソレよ、ソレ。お蔭で有意義な時間を過ごせたわ。」
「へぇー。ちなみにどんな共通点なんだ?」
「フフン。ヒミツよ、ヒミツ。」
一誠の思い違いを簡単に一蹴したハルナ。一誠も余りに機嫌よく笑顔で応えてくるハルナに対しこれ以上何も言わない方がいいと思った。
「さて、今日の見回りはこの辺りにしてそろそろオカ研に戻りましょ。」
「そうだな。昼からずっと歩きっぱなしだったからなぁ。」
カラコロカラン
「うわっ、危ね!」
「ちょ、誰よ!石なんか投げてきたのは!?」
戻ろうとした二人の前に無数の石が飛んで来た。
子供のイタズラかと思って周りを見渡すが周囲には二人を除いて人がいない。これに首を傾げる二人だが投げられた石から紫のオーラが出ていることに気付き、やがて人型の形になっていき量産型のファントム、グールになって二人を囲った。
「コイツ等は!…」
「例の石のような魔獣!……兵藤来るわよ!」
二人はグールに囲まれた状態で戦闘態勢を取る。
グール達は槍を二人に突きつけ攻めて行き、一誠は籠手の倍化の時間までグールの槍を躱したり受け流したりしながら応戦し、ハルナも自身の肉体を強化し一体ずつだがグールを倒しながらなんとか応戦していた。
[Boost!]
「どうりゃ!桜井大丈夫か!?」
「心配は無用よ!それより気を付けなさい!報告によればコイツ等を従わせてる親玉が少なくとも一体居る筈よ!」
グール達を相手に応戦するハルナだがまるで狙ってたかのようにグールとは違う影が一誠に向かって特攻しており、グールの相手に気を取られた所為か一誠がそれに気付くのが遅かった。
「ぐあぁっ!!」
「兵藤!」
「フゥゥゥゥッ……。」
一誠に体当たりを仕掛けハルナから引き離した正体は龍と悪魔を掛け合わせ胸から顔が前に突き出てる風貌のファントム、ガーゴイル。
ハルナは何とか一誠の元に行こうとするがそれをさせまいとグール達によって行く手を阻まれる。
「兵藤!」
「イテテ。コイツがあの噂の魔獣かよ。」
「オ前ノ魔力、頂ク。」
「へっ!誰がテメエなんざにくれてやるか!!」
[Boost!]
倍加した魔力で身体を強化しガーゴイルに向かって籠手で殴りに行く一誠。
対してガーゴイルは何も動じずただそこに棒立ちに立っていた。
「どうりゃ!!!」
カアァァァァンッッッ!!!
「っ~~~~~~!!!!イッタアァァァッッッ!!!!!なんだあァ!?一体!!」
ガーゴイル目掛けて渾身の一撃を繰り出したが鉄を叩いたような音が辺りに響き渡り、攻撃した一誠が籠手を抑えて痛みに悶える。
涙目でガーゴイルを見た一誠はガーゴイルの体が先程までとは違い灰色一色の状態になっており、そこでようやくガーゴイルが体を石の様に固くして自身の攻撃を防いだと気付く。
「何だコレ!?石になってやがゴハッ!」
ガーゴイルの石化に驚く一誠だったが石化を解いたガーゴイルは一斉に再度体当たりし一誠を弾き飛ばした。
「クッソッ!あの野郎…!、何処行った!?」
[相棒!上だ!!]
倒されて一瞬ガーゴイルから目を放してしまいガーゴイルの姿を見失うがドライグの指示に目を頭上にやると石化したガーゴイルが自身に目掛けて真っ逆さまに落ちて来ていた。
「ブッハァッ!!?」
[相棒!!!]
一誠はそのまま石化して重量を増したガーゴイルのプレスに押し潰され地面が陥没するくらいの衝撃をモロに喰らったのである。
「兵藤!こんの、退きなさい!」
ハルナが一誠の元に何とか近づこうとするがグールに阻まれてる所為で一向に近づけない。
そうしてる間にも押しつぶされた一誠をガーゴイルは掴み上げる。
「魔力ヲ頂クゾ。」
「っ!?あ、あァァァァァッ!!!?」
[相棒!ぐっ、凄まじい勢いで魔力が!……。]
掴み上げた一誠の体から出て来た赤黒いオーラみたいなものがガーゴイルの口に入っていき、端から見れば一誠の魔力をガーゴイルが食してる様にも見える。
そしてしばらくしてガーゴイルが一誠を放し、地に倒れた一誠は荒く息切れしている様子から命の心配はないようだが今とても戦える様子ではなかった。
「次ハ、オ前ダ女。」
ガーゴイルは次にグールと戦ってるハルナに目を付ける。
グール達と戦ってる最中のハルナにガーゴイルは一誠の時と同様に跳び上がり空中で体を石化した状態でのプレスを仕掛ける。
ハルナはグールを相手にしてる所為で上に居るガーゴイルに気付いていない。このままではハルナも一誠と同様にガーゴイルの攻撃を喰らってしまう
ブオォォォォォォンッ!!!
所であった。
「ハアッ!」
「グオッ!?」
ハルナ目掛けて落ちていくガーゴイルの横からローズアタッカーに乗った武神鎧武の体当たりにより軌道がずれ石化した状態のガーゴイルは的外れの地点に落下し、宙を跳んだローズアタッカーも着地する形で停まった。
「ガイム!」
「…今度はガーゴイルか…。」
「オ前ハ、仮面ライダー…。」
「ほう、今度はまともに喋れるファントムって訳か。」
「仮面ライダー…倒ス!」
ガーゴイルが叫んだのが指示の様にハルナを囲んでたグール達が標的を変え武神鎧武へと向かって行く。
武神鎧武はローズアタッカーから降り大橙丸と無双セイバーを構え向かって来るグール達向かって駆けた。
「兵藤!」
グール達の妨害から逃れたハルナは一誠の元にようやく辿り着き魔力を取られ負傷している一誠を治療する。
「さ、桜井……。」
「じっとして。…とにかく今はアイツに任せるしかないわね…。」
「フッ!」
大橙丸と無双セイバーの二刀流でグールを切り倒していくも数が多い所為かグール達の猛攻の勢いが中々収まらない状況に武神鎧武は舌打ちした。
「面倒だ。コイツで雑魚掃除するか。」
<< ドリアン! >>
<< LOCK・ON >>
<< ドリアンアームズ! Mr,Dangerous! >>
刺々しい剣闘士のようなアームズ、ドリアンアームズのアームズウェポンの双剣[ドリノコ]を構え向かって来るグールを迎え撃つ。
大橙丸とは違い重量のあるドリノコを振るう事で生じる破壊力に次々と倒れていくグール。
半数近く切り倒した所でドリノコの柄頭でカッティングブレード一回倒す。
<< ドリアン スカッシュ! >>
「ハァ~、フッ!」
頭のトサカから巨大なエネルギーブレードが生成され、そのままグール達を薙ぎ払う様に頭を振り回す[ドリアッシュ]にグールは全滅した。
「さて、お次は!」
武神鎧武は此方を見据えてるガーゴイルに狙いをつけ駆けて行く。
ガーゴイルは向かって来る武神鎧武を前に立ち尽くしており武神鎧武は二本のドリノコを上段で振り下ろすが。
ガキィィィィィンッッッ!!!
「…あ、忘れてた。」
石化したガーゴイルによって甲高い金属音が響くなかで武神鎧武はガーゴイルの持つ石化能力の厄介さについて思い出した。
「ソンナモノ、俺ニ効クカ!」
「っと!」
石化を解いたガーゴイルがドリノコを払って頭突きを繰り出したが後ろに跳躍して回避した武神鎧武。
着地と同時にドリノコを投げ、ガーゴイルの頭上辺りで炸裂したドリノコは頭上から棘状の光弾が放たれたがこれも石化の前で対したダメージは与えられない。
<< パイン! >>
<< パインアームズ! 粉砕・デストロイ! >>
すぐさまパワー系のアームズに変えパインアイアンの変則な連続攻撃をガーゴイルに振るい放つも石化したガーゴイルの前に甲高い金属音が響くなか全く効いてる様子が見られなかった。
「だったら…。」
<< パイン スパーキング! >>
「これならどうだ!」
跳び上がった武神鎧武は空中で横回転しながら振り回すパインアイアンのエネルギーが光り輝き、ガーゴイルはこれも石化して防ぐつもりで堂々と腕を広げている。
「セェイヤッ!!」
降下と回転の勢いを着けスパーキングの威力を帯びたパインアイアンを叩き付け、最大攻撃を前に後ろへ後退するガーゴイルだが叩き付けた個所からは白煙が上がってるだけで効果はいまいちと言った所だった。
「オイオイマジでか。これでもダメかよ…。」
「無駄ダ、貴様ノ技ハ俺ノ体二ハ通用セン!」
ガーゴイルが唖然としている武神鎧武に特攻を仕掛け、武神鎧武はガーゴイルの攻撃を防ぎつつパインアイアンを振るい反撃するも此方の攻撃に瞬時に反応して石化し防いでいくなか一瞬の隙を突かれガーゴイルの攻撃を許してしまった。
「グッ!」
アームズから火花が飛び散りパインアイアンを手放してしまい吹っ飛ばされてしまう武神鎧武。これを好機と見たガーゴイルはつかさず跳び上がり石化した状態で武神鎧武へ向かって落ちていきプレス攻撃を醸し出した。
「!、んがッ!!」
武神鎧武は腕を前に出して押し潰されるのは回避したが、あまりの重量に押し返してもビクとも反応しなかった。
(重ッ!!パワー系のアームズ使ってんだぞコッチはッ!!)
「潰レロッ!」
ズンッ!!!
「!?、んがァァァッ!!!」
ガーゴイルが言葉を発した後に武神鎧武の下の地面の亀裂が広がり始めた。
(更に重くなりやがった!?)
段々と重量が増していくガーゴイルに押し返すどころか押し潰されていく
(これが、強化されたファントムの力かよ!?)
「潰レロ!潰サレテ死ンデシマエ!」
(オイオイ、本気でヤベェぞオイ!)
「お、おい。アレヤバくねえか?アイツ…。」
「仮面ライダーでも敵わないって言うの?」
ハルナが一誠を治療してる傍ら武神鎧武がガーゴイルに押し潰されそうになってる光景を見て唖然としていた。
今まで自分たちの前で圧倒的な実力を見せつけられた仮面ライダーがああして絶体絶命のピンチに陥ってる光景は二人の顔を驚愕にさせるのに十分な光景だった。
暫くの間唖然としていた二人だったが、ハルナは立ち上がり意を決した顔つきをして武神鎧武の方へ顔を向ける。
「桜井。お前何を…。」
「決まってるでしょ。アイツを助けに行くわ。」
「はぁ!?お前何言って…。」
「忘れたの兵藤?私達は仮面ライダーを生かして捕まえなきゃいけないのよ。
それにアイツが死んだら魔獣は今度は私達を狙いに来る、助けを呼ぶにしても今からじゃ間に合わないわ。」
「でもだからってお前が…。」
「理由はまだあるわよ。少なくともこの状況を何とか出来るのは今の所アイツしか可能性は無いわ。アンタは魔力盗られて、私はサポートと腕っぷしの強さしかないからねッ!」
「お、おい!待てって!桜井!」
ハルナは一誠の言葉に目もくれず武神鎧武の元に行った。
ハルナの背を見て一誠は悔しそうな顔付きになる。
「クッソォ!女の子にばかり戦わせてジッと見てるなんざご免だぜ!
ドライク!今のオレの魔力で倍加できるか!?」
[出来る事は出来るがヤツに一撃喰らわす程となれば時間は掛かるし、桜井が治したと言え今の相棒の体ではチャンスは一回きりだ。]
「それでもやってくれ!それだけ分かれば十分だ!」
[分かった。]
「ングウゥゥゥゥッッッ!!!」
「死ネ!仮面ライダーッ!」
ガーゴイルのプレス攻撃に反撃のチャンスを狙う武神鎧武だが、両腕で押し潰そうとしているガーゴイルを抑えるだけで精一杯の状況であり、おまけに重量が段々と増えていくこの危機的状況で正直打つ手が無かった。
(一瞬でも気を抜いちまったら!)
「コレデ、・(ガシッ)・ン?」
「!、お前…。」
「ぬぎぎぎぎぎぎッ!」
押し潰そうとしているガーゴイルにしがみ付いて持ち上げようとするハルナに武神鎧武は思わず声を荒げる。
「オイ!お前なんかが出て来た所で無駄だっての!さっさと逃げてろって!」
「るっさいわね!此方とら自分たちの都合で動いてんのよ!アンタの言う事聞く義理なんか無いっての!」
「だぁーもう!聞き分けが悪い女だなぁお前は!触らぬ神に祟りなしって前に言っただろうが!」
「私が今触ってんのは神じゃ無いし!それよりかアンタこそねぇ、…女ナメてんじゃないわよォォォォォッッ!!!」
「ナニ!?」
ハルナが雄叫びを上げながら渾身の力を振るい少しずつだが確実にガーゴイルを持ち上げていく。
「……マジで?」
「しゃんなろうがぁぁぁぁぁアァァァぁぁぁァッッッッッ!!!!」
悪魔の戦車の力、自身の肉体強化による力、そしてハルナ自身からの気合と言う根性論による精神によってガーゴイルを投げ飛ばした。
「グァッ!!」
「しゃあああああッッッ!!!見たかァ!これが女の底力よッ!」
「……うそーん。」
「オノレェ、女ァ!・「ドラゴンショットォッ!」・ブアッ!?」
投げ飛ばされたガーゴイルが石化を解いて忌々しく睨んでいた一瞬。ガーゴイルの横から砲撃並の魔力弾がガーゴイルを撃ち抜いた。
立ち上がった武神鎧武と息切れが激しいハルナが見た先は籠手を突き出した一誠の姿だった。
[運良く当たったな。]
「へへっ。どうだぁ石野郎!一矢報いてやったぜ!」
[…相棒。狙って言ったかどうか知らんが、笑えないぞ…。]
「コシャクナ!…」
「ハアッ、ハアッ……さてと、結果的に私達はアンタを助けてやったんだから、この借りは今返してもらうわよ。」
「ハッ、ゲンキンな女だねェ。」
武神鎧武はハルナの前に立ち新たにロックシードを開錠する。
<< スイカ! >>
ーギュイイイイイインー
「ス、スイカ!?」
「ちょ、デカすぎでしょ!?コレ!?」
<< LOCK・ON >>
<< スイカアームズ! 大玉・ビックバン! >>
<< ヨロイ・モード! >>
クラックから降りて来たスイカのアームズのデカさに思わず声を出して驚く一誠とハルナ。
カッティングブレードを倒してアームズの中に入る様に飛び込むとアームズが変形し巨大な人型のパワーローダー形態へと姿を変えた。
「スイカがロボットになったぁ!?」
「…もうツッコむのも疲れるわ…。」
「ムッ!?、フンッ!!」
驚く二人を余所にアームズウェポンである双刀[スイカ双刃刀]を構えガーゴイルに接近し空いている左手で殴りかかる。
ガーゴイルは石化して迎え撃つも全アームズの中で圧倒的な戦闘能力を有してるスイカアームズのパワーには歯が立たず、スイカアームズの鉄拳はガーゴイルの石化に皹を入れ大きく吹き飛ばした。
「グワアァッ!!」
「一気に決める!」
<< スイカ スカッシュ! >>
ヨロヨロと立ちあがるガーゴイルにトドメを決める為アームズの中でカッティングブレードを倒し、スイカ双刃刀から放ったスイカ型のエネルギー空間に閉じ込める。
跳び上がった武神鎧武はそのままスイカ双刃刀を振り回しエネルギー空間ごと乱れ斬りを喰らわす[双刃割り]でガーゴイルを斬り伏せた。
「ガアァァァァァッッッ!!!!」
ガーゴイルがスイカの果汁と共に爆散していき、爆炎が上がるなか武神鎧武はスイカ双刃刀を振り払う仕草をしガーゴイルを撃破した。
「いよっしゃァッ!…っと、喜んじゃダメだ。オレ達はアイツを捕まえなきゃいけないんだから…。」(ブツブツ)
「まぁ今はイイじゃない?今回は利害の一致ってヤツで……ん?アレって…。」
一誠が武神鎧武の勝利を喜ぶが一応敵対関係で有る事を自身に言い聞かせるなかハルナがガーゴイルの爆散した跡から浮かび上がるあるモノを見つける。
赤黒いエネルギーの球体、それは先程ガーゴイルが一誠から奪った魔力の塊だった。
「…アレがヤツの奪った魔力なのか…。」
武神鎧武が冷静に見るなか、魔力は行き場も無く宙にふわふわと浮いていた。
ーキィィィィィンキィィィィィンキィィィィィンー
「あ?」
ーSyaaaaaaa!!!ー
突如川の水の表面から出て来た悠の契約モンスターであるべノスネーカが現れ、突然現れたべノスネーカに一誠は腰を抜かしハルナは反射的に足が下がるなどの反応を見せたが、べノスネーカはジッと宙に浮いてる魔力だけをを見つめてる。
「な、何だよあのヘビ!?川からいきなり出て来やがった!」
[相棒!あのヘビ、コカビエルの時に見たヤツのドラゴンと同じ魔獣の類だ。]
「あのバカ蛇ィ……オイ!今はお呼びじゃねぇ!早く向こうに戻れ!」
ーSyaaaaaaa!!!ー
武神鎧武の言葉を無視してべノスネーカは魔力の塊に近ずき、それをそのまま魔力の塊に喰らいついた。
その場に居た者達は次々と起こる出来事に目を見開いてるなか魔力を食ったべノスネーカは満足げに鳴き、川の水面からミラーワールドへ戻って行った。
「ちょっとガイム!アレは一体どういう事!?なんでアンタの使い魔が兵藤の魔力を食べたのよ!?」
「俺が知るか!一体何がどうなってやがる!」
スイカアームズの腕で頭を搔く動作をするが一向に頭に考えが思い浮かばない。
強化されたファントムによる魔力の収集。
自らの契約モンスターがその魔力を食した。
敵の行動の謎がまた深まった時であった。
「う~~~ん、やっぱり解かんないなぁ。ホントどうなってんだろ、コレ」
一方ここは悠の上司である神が居る天界。
上司は壁や家具が白一色である自らの仕事部屋でデスクに置かれたノートパソコンの画面をジッと見ているだけであった。
「アレなのかなぁ、写ってんだけど電話で言った通り見えない程速く動いてるのかまたは透明化でもしてるのか……この映像解析に回した方が手っ取り早いかな?」
パソコンに写ってるのは悠がゴルドドライブからトドメを指されそうになった時の映像。それなりの仮説を立てて
より詳しく調べようとした時に白いドアからノックする音が聞こえる。
「はーい、どうぞー。」
「失礼します。」
「おや、伊良湖ちゃんじゃないか。どうしたの?」
「いえ、ちょっと最中を作ってたんですけど少し多く作り過ぎちゃって、よかったら休憩にどうかと。」
「おぉ、ちょうど良い。甘い物が欲しかった所だよ。」
部屋に入って来た伊良湖が差し入れにと上司に最中と茶を上司の前に置く。手に持った茶を一口飲んでホッと一息吐く。
「いや~やっぱイイね~。職場に華が有るってのは。」
「フフッ、そんな大袈裟な。」
「イヤイヤこれホントの話。キミ達が来るまで実質私と彼で今の仕事をやってたようなものだからさ、こうして差し入れを持って来てくれるだけで本当に嬉しいんだよ。」
「そんなに長くたったお二人だけでやってたんですか?」
「うん……彼にも色々あった、ね…。」
上司がしみじみと昔の事を思い出すなかデスクに置かれてる黒電話ならぬ白電話が鳴り響き、上司は受話器を取る。
「ハイもしもし……やぁ君か、どうしたの?………おぉ、見つかった!?それは良いニュースだ、…えっ悪いニュース?どうしたの?…うん…うん………え!?特訓メニュー終わって無いのに降りちゃった!?……あー、分かった。とにかく後の事は此方で何とかするから、うん。……イヤイヤ君の所為じゃ無いからあんまり気にしないで、うんそれじゃあ。」
「……何かあったんですか?」
「あー、うん。ちょっとね。…これ食べたら悠君にすぐ連絡しなきゃ。」
上司が電話を切った後、皿に乗せられた最中を口にしたその時だった。
「んぐっ!!?…。」(バタッ)
「え?ど、どうしたんですか!?…キャ!か、顔が真っ青に!…。」
「ム、ここに居たのか伊良湖。」
「磯風さん!」
「なぁ、厨房で作った私の最中それこっちと間違えてないか?私が思ってた味と大分違うからもしやと思ってお前を探してたんだが…。」
「え?じゃあ今この人が口にしたのって……だ、誰か!メディック!メディーーック!!」
この日、磯風の料理は色んな意味で神を凌駕すると言う噂が天界に広まった。