少し無理やりな形にしすぎたかなあ
「上等だよオラァ!!」
神代は自身の丈以上ある石で出来た斧を持ちリュウガへ向かって駆ける。
リュウガはベルトのデッキからカードを取り出し、左腕に付いてる龍の頭部を模した召喚機[ブラックドラグバイザー]にカードを読み込ませる。
<< SWORD VENT >>
空から降ってきた黒い青竜刀[ドラグセイバー]を右手でキャッチ、迫る斧の攻撃を受け止めるで無く受け流したす為ドラグセイバーを振るう。
二撃、三撃とこの状態が続き、斧を振るう神代の一瞬の小さな隙を見つけた。
大振りの横薙ぎをしゃがんで避ける。すれ違い様に右足を斬り付けられた神代がバランスを崩した隙にリュウガが空中で回転しながらドラグセイバーで神代の首を切り落とした。
首を斬られた体は前のめりに倒れるが、リュウガは瞬時に距離を取り警戒の色を解かなかった。
その時、神代の首がまるでビデオの逆再生の様に戻り首が繋がった神代は何ら変わりようが無くリュウガの目前に立ったのだ。
「フー、驚いたぜ。あっさり一つやられちまった。」
「それが特典の十二の試練か。命を12も持つとかどうとか。」
「なんだ知ってんのか。なら分かってるよな?俺には一度やられた武器や技がもう通じないってことに。…いやにしても驚いたぜ、そんな剣で今初めて殺されちまったよ。流石に一筋縄じゃいかねえみてえだ。」
「そりゃどうも。」
<< STRIKE VENT >>
ドラグセイバーを捨て新たにカードをバイザーに入れ、右手に装着されたと同時にリュウガの契約している黒龍のモンスター[暗黒龍 ドラグブラッガー]が現れドラグブラッガーの頭部を模した手甲[ドラグクロー]を構えると、ドラグブラッガーがリュウガに合わせて黒炎を吐く[ドラグクローファイヤー]を神代に放つ。
神代は迫る黒炎を斧を盾にして受け止め弾き飛ばすが、視線を戻すと目の前のリュウガが居なくなってることに気付いた。
急いで辺りを見回す中、自分に影が掛かってることに気付き上を見上げると、ドラグクローを構えたリュウガが自身の顔目掛けて黒炎を放っていた所であった。
神代の頭は黒炎で一気に炭と化し、リュウガはそのままドラグクローで炭になった神代の頭を殴り砕いた。
「2回目。」
「……く、くはははは!。やっぱりテメエ強いな!もう二回もやられちまったよ。コイツはマジのガチでやんなきゃイケないなァ!」
一瞬で回復した神代は斧を地面に着けて振り上げると、地面の破片が広域にかなりのスピードで来たので躱し切れないと判断したリュウガは拳で迫り来る破片を防ぐ。
その間に神代は猛スピードで距離を縮め、斧を斜め下から切り上げようとする一撃をリュウガは瞬時に上体を反らし最小限の回避。攻撃を躱したが、切り上げた勢いを殺さずに体を一回転させて速さと遠心力が増した斧の一撃をリュウガに食らわせ、廃工場の壁際まで飛ばした。
だが、先程の一撃に手ごたえが無く、むしろ違和感を感じた。
リュウガが飛ばされた先を見てみると、両腕にドラグブラッガーの腹部を模した盾[ドラグシールド]を構えた状態で片膝をつくリュウガが居た。斧を切り上げる直前あらかじめカードをバイザーにセットしていたのがリュウガの危機を免れた一瞬の出来事だった。
「いいね、いいねぇ!ここまでやりがいのある戦いは初めてだぜ!
…でも、やっぱりこの戦いに勝つのはオレだ。
オレもお前の事知ってんだぜ、仮面ライダー?ちょうど子供の頃見てたよ。
確かお前があと使えるカードは、あの龍を呼び出すのと必殺技だろ?その二枚で殺せたとしても残り八つの命は潰せない。オレとの相性が悪かったなあ。…さて、これからは嬲り殺しの時間だァ!!」
自分の勝利を確信した神代は再度リュウガに突攻を仕掛ける。リュウガはデッキからカードを抜くが龍の召喚か必殺技のどちらかを発動させても関係ないと神代は思いながらも突攻の勢いを緩めずリュウガに向かって行った。
だが神代のその考えは間違えていた。
何故ならリュウガは残りのカードが二枚とは一言も言ってないのだから。
<< SHOOT VENT >>
召喚されたのはリュウガの身長を超える巨大な大砲[ギガランチャー]
目を見開き驚く神代だが時すでに遅く、勢いを殺せないままリュウガが構えるギガランチャーの銃口がほぼゼロ距離になった時に引き金が引かれる。
ゼロ距離で喰らったギガランチャーの弾丸は上半身と下半身を二つに分けた。すぐに再生されたが神代の顔は先程のと違い、意見に皺を寄せ困惑していた。
「どういうことだ!その馬鹿デカい銃は他のライダーのだろうが!」
「…俺はカードが残り二枚とは一言も言ってないし、契約してるのがドラグブラッガーだけとも言ってない。お分かり?」
(クソッ!ヤロウ舐めやがって!こうなればもう宝具を開帳して…!)
余裕の勝負と思われたが、相手の予想外な一手と三つの命をやられた焦りから神代は自身の切り札を開帳する決心を決めた。
斧を上に掲げる様を見たと同時にリュウガは、デッキからカードを引き抜く。
「コイツで終わりだ!!射殺す百──!」
<< CONFINE VENT >>
宝具による短期決着を考えいざ発動しようとしたら突如神代の手にした斧が割れたガラスの様に粉々に散っていった。
リュウガの使ったカードは全ての能力を打ち消す特殊カード、コンファイン。
宝具を開帳とした矢先、発動どころか武器そのものが突然消えた事に、神代は声を上げるヒマすら与えられなかった。
「残念。悪いがそれはお預け……さて、確か残りは、9個だったか。」
ゆっくりとした歩調で近づきながらカードを引き抜く光景が、神代にとって鎌を持った死刑執行人が来るのと同じように見えた。
「おたくの言う通り、確かに俺とアンタの相性は悪かったみたいだ。
さぁこっからが本当の祭り……虐殺の血祭だ。」
「ほ……ほざけぇぇぇ!!!」
リュウガが両手を広げ開告の宣言を同時に武器を無くした神代は素手で殴りかかるが、両手で拳を受け止め上に払った後、鳩尾に左ストレートを浴びせ二連続の回し蹴りを顎に、最後に隙だらけの腹部に蹴りを入れ、10メートル程蹴り飛ばした。
<< FINAL VENT >>
音声と共に自らの体が宙に浮き、周囲を飛び回るドラグブラッガーが背後から黒炎を吐く。キックの体制をしたリュウガに黒炎を纏わせ飛び蹴りを喰らわす[ドラゴンライダーキック]が炸裂し爆散する。
「8つ。」
<< FINAL VENT >>
闇夜の空から黒いコウモリ[闇の翼 ダークウイング]が[ウイングランサー]を持ったリュウガの背に付き上空からダークウイングの翼がリュウガを包む。そのまま急降下し、マントがドリルの様に巻き付きながら突貫する[飛翔斬]により再生された直後にまた爆散される。
「7。」
<< FINAL VENT >>
咆哮と共にけたたましい足音を鳴らしながらこちらに来る銀色のサイ[メタルゲラス]の肩に足を乗せ、右腕に付いた[メタルホーン]を前に突きつけ高速で突進する[ヘビープレッシャー]を喰らわせ再度爆散。
「6。」
<< FINAL VENT >>
闇夜に映える浅紅色のエイ[エビルダイバー]が高速で飛行し、その背に乗って相手に体当たりする[ハイドべノン]が当たり爆散。
「残り5。」
<< FINAL VENT >>
両腕を広げながら走るリュウガの背後に地を這って付いて来る紫のコブラ[ベノスネーカ]が空中に飛んだリュウガに毒液の勢いを乗せそのままリュウガの連続蹴りを喰らわす[ベノクラッシュ]の蹴りと毒により爆散。
「あと4。」
<<FINAL VENT>>
何も無い空間から色が付いたかの様に姿を見せてきたのは、二足歩行のカメレオン[バイオグリーザ]の舌がリュウガの足に巻き付く、振り子の要領で再生した神代を捕まえ空中できりもみ回転した後頭から地面に叩き落とす[デスバニッシュ]で爆散しなかったが余りの威力に頭部が潰れ死亡。
「残り3つ。」
<< FINAL VENT >>
起き上がった神代の背後から奇襲したきた白いトラ[デストワイルダー]神代をうつ伏せで引きずる先には、両腕に付いた巨大なクロー[デストクロー]を構えたリュウガが。リュウガの元に来た神代の胸に深く爪を突き刺す[クリスタルブレイク]で死亡。
「あと2つ。」
<< FINAL VENT >>
地面から水しぶきと共に現れた巨大なホウジロザメ「アビソドン」の口から出た高圧水流に乗り、飛び蹴りを喰らわす[アビスダイブ]が決まり残る命はとうとう一つになった。
神代は最早最初の時とは比べ物に為らないくらいフラフラで目の焦点も合っていなかった。8回も死んで蘇るを繰り返し彼の精神はこれ以上になくボロボロにされたのだ。
<< UNITE VENT >>
神代の背後にベノスネーカー、メタルゲラス、エビルダイバーの三体が融合。凶悪な竜[獣帝 ジェノサイダー]と成り、リュウガは走りながら最後の一撃を喰らわそうとした。
「ラスト、これで終わり。」
< FINAL VENT >>
ジェノサイダーの腹部が開き、その穴はブラックホールとなって辺り一面をそのマン吸い込むほどの吸引力を見せる。
放心状態の神代がリュウガの両足飛び蹴りでジェノサイダーの方へ、蹴り飛ばされ何の抵抗も見られずジェノサイダーに吸い込まれる[ドゥームズデイ]により神代は12の命全て失いこの世から消えたのだった。
神代の死を確認しこの場から去ろうとしたリュウガだが、ふと複数の視線を感じる。
「そこに隠れてるヤツ等、コソコソ見てないで出てきたらどうだ?」
この一言により姿を現したのは7人、内2人が制服を着てる男子と残りは同じ制服を着た女子だった。
「…アナタ何者なの?さっきの戦いは一体…。」
「人に名を訪ねる時は、先ず自分から名乗るのがルールだぞ?」
紅い長髪の女子がリュウガに訪ねるが、逆に言い負かされたことに一瞬顔を険しくしたが、すぐに表情を直し。腕を組みながら名乗った。
「それは失礼したわね。私はリアス・グレモリー、それと、人ではなく悪魔よ。」
(悪魔……ねぇ。)
その名には少なからず聞き覚えがあった。
悠の通う学校でその容姿からクラスの男子が話題にして話し、悪魔の名家の生まれとして目立っている存在だった。
「どうしたの?私は名乗ったのだから名乗りかえして欲しいのだけども?」
「……リュウガ。」
「リュウガ?本名は明かさないってワケ?
それよりもさっき戦ってた男はなんだったの?アナタが殺したようだけど死んですぐ生き返るなんて、とても人間業ではなかったわ。」
「ノーコメント。」
「…じゃあ、アナタが従えてたあの魔獣達は?あれもどれも見た事の無いものばかりだったわ。」
「ノーコメント。」
「…ふざけてるのアナタ?さっきからこちらが知りたい重要な事をまともに答えてないじゃない。」
「それについてはそっちが知る必要の無い事もあるし、聞けば何でも答える程お喋りでも無い。」
リュウガが答える中、リアスはいつでも自分の後ろにいる眷属たちに仕掛けられる様に目で訴える。
その時リュウガは自分の体が粒子と成って消えかかっていることに気付く。
(時間切れか。)
リュウガのライダーシステムは本来なら鏡の世界”ミラーワールド”においては長時間活動できるのだが、現実世界では約10分でしか活動出来ない大きなリスクがあるのだ。
コレ以上の長居はベルトに手を搔けカードを抜く動作を見てリアスは行動を起こした。
「祐斗!」
「はい!」
リアスが指示を出し、金髪の男子が素早いスピードでリュウガを捕まえようと手を伸ばすが、逆にリュウガは自分を掴もうとした男子の腕を掴み、そのまま投げ飛ばした。
リアスの眷属たちは続いて動こうとするが、その間にリュウガはカードをバイザーに読み込ませてた。
<< ADVENT >>
召喚されたエビルダイバーが飛行しながらリュウガを回収し、主を乗せたエビルダイバーは廃工場の外に出て夜の闇に消えたのであった。
(……今のって仮面ライダー…だったわよね?)
リュウガが姿を消した後、残されたグレモリー眷属達はリュウガを取り逃がした事を悔しがっていたが、その中で一人、黒髪をセミロングほどの長さに伸ばした少女はリュウガの存在について思い馳せていた。
(さっきの男も見るからにFateのヘラクレスの様だったし、それを倒すさっきの仮面ライダーの強さもただモノじゃなかった。
……最悪。せっかく二度目の人生歩んでいるっていうのに、あんなチート転生者がウジャウジャいるなんて聞いてないわよっ!)
彼女はまだ気付かない、これからあの仮面ライダーと深く関わり、自分も戦乱の中に巻き込まれる運命に。
後半ちょっと適当になっちゃったかな。