あれから一月、え?飛ばしすぎ?いいんだよ細かいことは。
さて話を戻すが、公園での戦闘の後手っ取り早く気絶させた女をどうするか悩んでいた所……。
「──さて、どうするか…やっぱ手っ取り早く警察にでも…。
「テメエ!!一体何してやがる!?」
彼女をベンチに寝かせ、少し悩んだ後ここは市民の味方である警察に頼もうと携帯を取り出した矢先に後ろから何故か殴り掛かって来る男が。
「このっ!(ブン!」
「(ヒョイ!)おっと、…ちょっとはな」
「チィッ!(ブン!)」
「(ヒョイ!)っと!だから話を…!」
「この変質者が!(ブン!)」
殴られては避け、殴られては避けるのこ繰り返し、このやり取りといい眠さいといい、イイ加減イラッと来たので。
「……ッ!」(無言の腹パン)
「ウッ!…(ドサッ!)」(膝をつく)
それから、俺の紳士的な説明と目を覚ました彼女の証言により俺の変質者の誤解は解けた。
何故か俺が説明してるとき顔が青かった気がするが、そんなに強く殴りすぎたか?
殴りかかってきた男は、どうやら襲われた女の兄らしい。コンビニに行くと言ったきり中々帰ってこないのを心配して捜してたら俺を襲った奴と間違えたようだ。
気絶させた彼女には、気を失った後担いで化け物から逃げ切ったとそれらしく誤魔化しといた。
それからその兄妹と別れ、やっとの事で家に着いた後ベッドにダイブして昼ぐらいまで爆睡。目が覚めて、リビングのテーブルの上に俺がこれから通う学校の転入届と制服が置いてありこの事について上司の神に連絡すると
「私からのサプライズだ。イイだろ?」
電話の向こうでめっちゃイイ顔してるであろう上司の顔に無性に飛び蹴りを喰らわせたい気分だった。
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それで今に至ると。入った学校とやらはまぁとにかくデカいの一言、中高のエスカレーター式で通学してる学生も普通じゃない奴らが多いと来たもんだ。
この学園では悪魔も通ってる等、武器の所持を認められた探偵のクラスがある等、武術の四天王の頂点が自称美少女等、この学園一体何したいの?戦争でも仕掛けて世界乗っ取るの?だとしたら転生者相手にするより面倒なんですけど。
そんな事を窓に突っ伏して、バカそうな奴とハゲとメガネの三人組が銃持った女子達に追いかけられる様を見ながらしみじみ思いふけるのであった。
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「よお、灰原。お前も帰りか?」
放課後になり生徒が帰宅や部活に行こうとする中、下駄箱にいる悠に声をかけたのは銀が混じった灰色の頭髪にフードつきのパーカーを着た男だった。
「あぁ、そういうおたくはこれから噂の彼女とデート?青春だねぇ。」
違えよ!と大きく否定した男は[暁 古城]、彼が語りにあった悠を自身の妹である[暁 凪沙]を襲った変質者と間違え襲いかかってきた張本人。
偶々彼がいたクラスに悠が転入してきたのもあって彼から話しかけられることがちょくちょくあった。
「ったくお前は…そういやお前一人暮らしなんだって?それ聞いた凪沙が助けてくれたお礼がしたいから出来るなら食事に誘ってきてとか言ってるんだけど…。」
「…折角だけど遠慮しとくよ。冷蔵庫の中の食材今日中に使い切りたいからさ。」
そうか、と古城は答える。これまでも古城は恩返しと謝罪も兼ねて悠を色々誘っているが未だに悠が答えてくれたことはない。クラスでもそれなりに相手に対して接してるようだが一人で居るのが殆どだった。悠の帰宅する背中を見ながらどうすればうまく付き合えるものかと考えるのであった。
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「………。」
悠は帰り道を歩きながら先ほどの古城の誘いを思い出す。
悠はこの一カ月、古城の他にクラスメートから遊びに誘われたがそれらを全て何かしらの理由をつけて断ってた。誘ってきた彼らからしたら悠と親睦を深めようとの行動かもしれないが悠は彼らと必要以上に関わるつもりは毛頭なかった。
何故なら自分は人殺しだから。転生者という世界にとって異物の存在である事に変わりはないのだから。
今もこれからも自分が険しい道を進むのに変わりない。携帯に送られたメールを見て、その意思を貫く思いでいた。
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時刻は深夜、人目からかなり離れた今は使われていない廃工場。
そこには180cmありそうな大柄の体にボサボサの髪を腰近くまで伸ばし革ジャケットを着た男が足を踏み入れていた。男は工場内の真ん中に辿り着くと、誰も居ない所に向けて口を開いた
「テメエか、俺たちのような転生者を消している野郎ってのは。いい加減隠れてねえで姿見せろよ。」
「……知っていたならもっと早く声掛けてくんねえかなぁ。」
物陰から出て来た悠を目に男は歪に口角を上げる。その眼はまるでイイ獲物を目にした野獣の様なギラギラした目付きで。
そんな視線に臆する様子も無い悠は大男に声を掛ける。
「さて、一応確認。神代 皇鬼改め、西園 大樹で間違いないね?」
「あぁそうだ。ついでに言うと、これからテメエを潰す奴だぜぇ。」
「うっわぁ、戦闘狂というのはマジだったぁ。」
「否定しねえよ。強い奴と戦って、勝利する快楽っていうのは一度味わったら病み付きになるからんだよ。今でも戦りたくて戦りたくてウズウズしてんだ。
なぁ、テメエは強いんだよな?オレと同じ転生者を殺してるようだから強いんだろ!?ホレ早く俺を楽しませろよ!」
「こりゃまた重度のジャンキーな事で…。」
そう言いながら悠は懐から片手サイズの長方形のデッキを取り出す、そのデッキの中心部には、黒い龍のエンブレムが彫られている。
すると取り出したデッキを、近くにある割れた窓ガラスへと写るように向けた。するとガラスに写された悠の腰に黒いベルト[Vバックル]が装着。
「でもまぁ、早く済ませたいのは、大いに賛成──変身。」
カードデッキをVバックルに入れると鏡像が悠の体に重なり姿を変える。
全身が黒いボディに釣り上った赤い複眼。
黒龍を使役する竜騎士[仮面ライダーリュウガ]
標的、神代 皇鬼は石で出来た巨大な斧を片手で軽々と構える。対してリュウガはリラックスしたゆっくりな歩調で、神代と相対する場所に立ち、指で挑発する。
「来いよ、デカブツ。」
戦いが始まる。
主人公は自分がどういった存在であるか認識した上で一人でいるんですよね。
どれだけ救おうとしてもやってることは悪と同じだと。
次回!リュウガの強さが明らかに!