その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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今回は話の最後にあの人物が・・。


正義

 

 

古城達に嘘の秘密と彼らの素性を聞いた日の放課後。

学園から自宅に戻った悠はリビングのソファーを独占してる奴に目を向ける。

 

「くかぁ~~。」

 

「・・・コイツは何で来るなりいつも寝てんだ?」

 

「あっ、お帰りなさい悠さん。」

 

ソファーでいびきをかきながら寝てる加古に疑問を投げるも寝てる本人を前に帰って来る事も無く後から掃除でもしてたのかエプロンを着けた姉である古鷹が悠を出迎えた。

 

「ただいま。

別にそんな事しなくてもいいのに。」

 

「いえ私が勝手にやってる事ですから気にしないでください。」

 

「そう悪いねなんか。それに引き替えコイツは俺の家に来てまで寝る必要があんのか?」

 

「くかぁ~~。」

 

「もう加古ってば来て早々に寝ちゃうんだから。

あっそういえば家の前にこんなのが落ちてましたよ。」

 

古鷹から渡されたのは差出人が書かれてない一通の手紙。

手紙には灰原 悠へと書かれてるだけであって悠は便箋を開いて中の手紙の内容を読む。

 

「悠さん?」

 

「・・・古鷹。加古を連れてお前達は向こうに戻れ。」

 

「えっ?」

 

「俺は少し出る。」

 

「ちょ、悠さん!?」

 

古鷹に戻るように告げガレージからエクステンダーを出して発進する。

 

古鷹は突然の悠の行動に何も言えず、先程悠が読んだ手紙がガレージ前に落ちていたので手紙の内容を読むと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”仮面ライダー、今日街外れの港で待つ”

 

 

 

 

 

 

 

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悠がエクステンダーから降りた所はは輸送船から降ろされたコンテナが並ぶ港。

 

空はもう暗くなり潮風と波の音が辺りを包むなか悠は警戒を解かない。

 

「来てくれて嬉しいよ、噂の仮面ライダー。いや、灰原 悠。」

 

突如コンテナの影から出て来たのは手紙の送り主であろう金髪の男。

万人受けするような爽やかな笑みを浮かべるが悠は構えを解かなかった。

 

「そんな身構えなくても大丈夫だよ。

別に俺は君と戦いに来たわけじゃないから。」

 

「俺の正体突き止めて、あんな手紙で呼び出しておいて警戒するなって言う方が無理があるんじゃないか?」

 

「確かに君の言い分は間違ってないけど、こうでもしなきゃ君が来てくれないと思ったから仕方なしでね、そういえばまだ名乗って無かったな、俺は木山 タカトだ、よろしく。」

 

「・・・・・。」

 

呼び出した男、木山は悠に敵意が無い事を口にするが悠は木山の言う事を全く信用していない。

罠であることも信用しない一つの考えだが、悠は目の前の木山という男が何処か胡散臭さを感じる個人的な理由もあった。

 

「さて、自己紹介した所で早速本題だ。

灰原、俺達の仲間になって欲しい。」

 

「何だと?」

 

突然の誘いに悠はより一層怪訝な顔をするが対して木山は演説するように悠に語り出す。

 

「君は悪事を働いてる転生者を消しているようだが、転生者だって人間だ。

きっと話し合えば彼らだって正しい道を進める。」

 

「それと俺が仲間になるのがどう関係あるんだ?」

 

「君がまず手本になるんだ。

君は今や転生者達にとっていろんな意味で目をつけられてる。だから君が今やってる事を皆に公表してもう転生者を消さないって言うんだ。

君がそれを公表すれば周りに大きな影響力が出る。」

 

「ふぅん。で?その後皆と仲良く手でも繋ぎましょうってか?」

 

「間違ってないかな。俺達転生者は世界を良くするための力を持ってる。

なのに皆その力を自分の欲を満たすためだけに使ってるなんて間違ってる!

だから俺は変えるんだ。転生者の力を世界を良くするために、正義に満ち溢れた世界に変えるために!」

 

「・・・・・。」

 

木山は自分の胸に秘めてる野望を悠に熱弁する。

悠はそんな木山の熱弁をただ黙って聞いていた。

 

「既に俺の元にかなりの数の仲間が居る。そいつ等も世界の平和を望んでる。

だから君にも協力してほしい。この世界を変えるために。」

 

「・・・・あぁそうかいそうかい。」

 

悠に笑みを浮かべて手を差し伸べる木山に悠は納得したように口を開く。

 

「わかってくれたか!」

 

「あぁ、よく分かったよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所詮お前もただの愚か者ってなァ。」

 

悠が木山に向けた答えは真っ向からの否定、いや最低の評価を突きつけた。

 

「なっ!?」

 

「何が世界を良くしようだ正義だ。

結局の所世界を自分の思うようにしたいだけの自己満足じゃねえか。

この世界の人間の事これっぽっちも話に出てねえしよ。」

 

「違う!俺達はこの力の正しい使い道を・・。」

 

「その力なんてのは結局周りのモノ壊すだけの傍迷惑な代物なんだよ。

転生者も人間も関係無くな。第一、俺が転生者殺すのを止めたってアイツ等余計に暴れ出すぜ。だってそういう奴等なんだから。」

 

「どういう・・。」

 

「そのまんまの意味だよ。いや寧ろ経験談って言った方が良いか、俺が転生者って言う人間の欲望の果てを見てきた経験でな。」

 

悠の気迫が籠った言葉に今度は木山が黙って話を聞く。

 

「俺が消した奴らの中にはお前の様に正義だ秩序だなんかを掲げて、その世界で内戦やってる奴らを皆殺しにしたんだよ。これも正義の行いだとか言って何の躊躇もなく虫潰すようにな。

そしたら周りの人間はそいつをカミサマの様に崇めたけど、そいつらの顔には少なくとも恐怖が混じってた。正義だなんだで大量の人間殺した化け物が今度は自分たちを殺しに来るんじゃないかってビクビクしてたよ。」

 

「っ!」

 

「当然そいつは俺の仕事の対象になった。

そいつを殺した時周りの人間は俺をどんな目で見て来たと思う?

・・・まるで恐ろしい怪物を見てるかのような目だったよ。」

 

「そんな、君は恐怖に怯える人たちを救ったのに!」

 

「そいつ等から見たら消した転生者と変わらずとんでもない力を持った化け物だったのさ。

・・・結論言うけどよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正義を語る奴に正義は無い。」

 

悠が告げた言葉は木山の心を揺らぐほどの重い言葉だった。

 

「知ってるか。どこの世界にも理由の無い悪意って言うのは存在する。

でも一番質の悪い悪意は、悪意の無い悪意。

お前が世界を良くしようとしてる最中で悪意の無い悪意で傷つく奴らが必ずと言っていいほど出るんだよ。」

 

「・・・・・。」

 

「これ以上お前のくだらない夢物語に付き合うつもりは無い。

寝言は寝てから言え。」

 

そう言って悠は木山に背を向け此処から立ち去ろうとする。

 

その時背後から突然何か光り出し、後ろを振り向くと黄金の両手剣を持った青い甲冑に身を包んだ木山が立っていた。

 

「何のつもりだ。」

 

「俺は・・・俺は自分の考えが間違ってるとは思えない!

皆を正しい道に進めるのが力を持ってる俺達の役目だ!」

 

「それが一種の支配だと何故気づかないのか、お前に導かれなくても人間は自分の足で進めて行ける。」

 

「黙れ!本当はこうするつもりは無かったが、君を連れて仲間の催眠を掛けさせて俺達の仲間にさせる!」

 

「・・・所詮は力で従わせる奴か。」

 

悠はオーガドライバーを腰に着けてオーガフォンを開き、変身コードを入れる。

 

<< Standing By >>

 

「変身。」

 

<< Complete >>

 

悠はオーガへと変身して木山と対峙する。

オーガはベルトに付いてるオーガストランザを取り出し、ミッションメモリを入れる。

 

<< Redey >>

 

オーガストランザーを大剣モードにして木山に向かって駆けだす。

対する木山もオーガへ向けて駆け出していき、オーガストランザーと手に持った大剣がぶつかり合う。

 

両者大剣同士の打ち合いは激しい剣戟音が周りに響き渡る。

オーガの方がパワーが勝ってるのか若干押されていく木山。

 

「くっ!」

 

木山は下がり始めるが、オーガは下がる木山を追い上段の振りを出すも木山はそれを避け、コンテナが縦に大きく焼き切れる。

 

「はあぁぁぁっ!」

 

オーガの隙を突いたのか大剣で斬りかかる木山の一撃を振りかぶる前に片手で剣の柄部分を掴んで動きを止める。

 

「なっ!?」

 

「このくらいでイチイチびっくりしてんじゃねえ。」

 

オーガは動きが止まった木山にオーガストランザーの突きを繰り出し、突きは木山の胸の甲冑に刺さる。

当たった瞬間に体を後ろに下がらせたのか突き刺さったのは甲冑だけに止まり、木山は後ろに吹っ飛んだ。

 

「ぐあっっ!!!」

 

吹き飛ばされた木山は10mほど吹っ飛び、起き上がったその時に先程掴まれた腕の籠手と突き刺さった胸当てが灰になって零れ落ちた。

 

「!」

 

灰になった甲冑を見てオーガに触れるのは危険と察知し、離れてるオーガを睨みながら自身が持つ最大の技をぶつけようとする。

 

「・・・ほう。」

 

オーガが見てる光景は大剣を構えた木山が金色の光に包まれてあたかも最大限の必殺技を放とうとしてる最中だった。

 

<< Exceed Charge >>

 

オーガフォンのエンターキーを押してオーガも自身の技を放とうと必殺のモーションに入る。

 

木山が大きな光に包まれ、オーガは天に届く光の剣を構える。

 

「エクス・・・カリバーーー!!!」

 

「オラァッ!」

 

木山の放った光の波とオーガのオーガストラッシュが激しくぶつかり合う。

 

両者の放った技は、周りのコンテナが吹き飛ぶほどの余波が生まれ、海は静かな波が一気に荒々しい波へと変わっていった。

 

「うおぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

「オアァァァァッ!!!」

 

ぶつかり合う両者の技は一歩も引けを取らず、遂には激しい光と爆風により辺りは光に包まれた。

 

「うわああああああっ!!!!」

 

技の引き分けは周りのコンテナが空高くに舞い上がり港は面影を残してなかった。

木山は爆風に飛ばされるが剣を地面に突き刺して何とか踏み止まり腕で爆風と光から顔を隠す。

 

<< Exceed Charge >>

 

「!」

 

突如聞こえた電子音に顔を向けると前からこちらに向かってくるオーガの姿が。

 

オーガはあの爆風と光の中から既に次の手を出しており、木山は咄嗟に剣を構えてガードした。

 

「ウラァッ!」

 

オーガはデジタルカメラ型のオーガショットを使った[グランインパクト]を木山の剣に当てる。

木山はグランインパクトの威力に耐えられず後方へ大きく吹っ飛ばされた。

 

「ぐあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

木山の持ってた剣はグランインパクトのフォトンブラッドに浸食され灰を撒き散らしながら崩れていく。

木山は倒れながら剣だった灰を見て信じられないと言った顔をしてくる。

 

「ウソだ・・・俺のエクスカリバーが・・・そんなの・・ウソだ・・。」

 

先程の爽やかな笑みを浮かべた顔とは思えない程絶望しきった顔をする木山にオーガ近ずいてくが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< LIGHTNING NOW! >>

 

 

「ぐあああああああああっ!!!」

 

「!」

 

突如振り落ちた雷光が木山に当たり、木山は悲鳴をあげながら雷光に焼かれてく。

 

(これは・・・魔法!?)

 

オーガは先程の電子音と目の前の雷光に自身が知ってる魔法だと気付き、周りを警戒すると。

 

「おやおや、まさかこのような場面で出会うとは。」

 

声のした方へ顔を向けるとそこには金色の体に黒曜石の様な頭部、腰には手形のベルトが巻かれ手には頭部と同じデザインの指輪が嵌められてた。

 

「お前は・・。」

 

「お初にお目にかかります噂の仮面ライダー君。

私はとある組織で大臣と呼ばれておりまたの名を金色の魔法使い。

・・・いやここはこう名乗るべきでしょうか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソーサラー、仮面ライダーソーサラーと。」

 

 

 

 

 

 





突如現れた仮面ライダーソーサラー。
その目的は一体!?

次回お楽しみに。

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