今回はちょっとぐだぐだな感じになっちゃいました。
「そう、叶瀬は残ると・・。」
「えぇ、さすがに彼女の意志を尊重しない訳にはいかないので。」
自宅のリビングでラ・フォリアと電話している悠。
古城のマンションで朝食を取った後と雪菜と古城は夏音を連れてあるところに行くと言い、恐らく雪菜を通じてラ・フォリアの所へ向かうのだろうと判断した悠は取りあえずミッドナイトシャドーを後に付けさせ夏音の身を二人に任せることにした。
それからは残された凪沙と買い物などに付き合って時間を潰し、日が暮れた後は凪沙を自宅まで送り届けて自宅に帰宅し今に至ると言う訳である。
「そういえばあの事は言ったのか?アルディギアの血を狙う輩が叶瀬を狙うかもしれないって。」
「彼女本人には言ってませんが今日一緒に来た雪菜と古城には伝えました。」
「あの二人に?」
「えぇ、もしかして聞いてないのですか?
雪菜が師子王機関という組織に所属していることに。」
「薄々感付いていたけどね、こっちも事情があるからなるべく触れない様にしたかったんだよ。
となると、暁も?」
「いえ彼は・・・・いや、やっぱり止しましょう。
私の口から言うべきことではないでしょうね、これは。」
「・・・君がそう思うならそう言う事なんだろうな。
まっ、俺も人の事情に首突っ込むほど野暮でもないし。」
「ふふっ、貴方らしい意見ですね。
それはそうと貴方随分と夏音に慕われてるご様子で。」
「俺の事言ったのか?」
「えぇ。でもアナタが一番隠したがってる件については言ってませんよ。」
「・・・・君は聞かないのか?」
「今は聞かない事にします。
少なくとも貴方が喋ってくれるのを気長に待つつもりですよ。」
「・・・そうか。」
「それにいざとなればこれをきっかけに色々お願い出来ちゃいますからね♪」
「やっぱり君性悪だよ、かなりの。」
やっぱり記憶消した方が良かったんじゃないかと今更後悔する悠だった。
「はぁ。で、君は何時ごろ国に帰るんだ?」
「あぁそのことなんですけど、この前の襲撃で騎士達の殆どが病院で治療中や飛行船が飛べなくなったのでしばらくコッチに居る事になったんです。」
「・・・・は?」
「こう言うのもなんですけど私としては不幸中の幸いなんですよ。
これを機に夏音と仲良くなっていきたいし、貴方とデートするのも悪くないって思うと楽しみでしかたありません♪」
「いやいやいや、王国なら飛行船以外にもプライベートジェットやその他にも色々国に帰れる手はあるだろう。」
「向こうの両親にもココに滞在する許可はもらいましたし、私の友人が雪菜の所属してる組織の人間ですので警護はその人にしてもらうからこれといった心配はありません。」
「心配ないって、でも現にこの前。」
「その時はアナタが居るじゃないですか。」
「この前の時と同じように来るとは限らないぞ。」
「いいえ、アナタは来てくれますよ。」
「何を根拠に?」
「アナタが灰原 悠ですから。」
「・・・それ理由になってないぞ。」
「兎に角暇があればまたバイクに乗せてくださいね。
それじゃあおやすみなさい。」
一方的に話に乗せられ電話を切ったラ・フォリア。
悠はラ・フォリアの言った根拠に頭を使うも彼女の言った言葉の意味が分からず仕舞いだった。
「・・・・・俺だからか。
・・・・・それはそうとさっきから覗いてるそこの三人!」
「バ、バレた!?」
「流石ユウやん、ウチらの完璧なステルススキルを見破るとは!」
「だから不知火は言ったんですよ、覗き見なんてマネはやめようって。」
リビングの入り口から覗いてた陽炎、不知火、黒潮の三姉妹。
三人の様子から悠の電話の内容が気になって覗いてたようだ。
「せやかてなぁ不知火、あの年頃の男子がイチコロの愛宕さんの巨乳ダイブをアイアンクローで返したあのユウやんが女の人と仲良く喋ってたんやで?
青葉さん程じゃないけどこればかりは気になってもしゃあないやないか。」
「確かに、”割れる!頭がぱんぱかぱーんになっちゃうぅぅぅぅっ!!”って言わせるほどの悠さんがあそこまで女性と仲良さ気に話していたのは気になりますね。」
「おい、何勝手に話進めてんだコラ。」
「・・・でも実際どうなのよ。
アンタがあんな風に喋ってんの初めて見たわよ。」
「それだけコッチの調子を崩す程の相手だって事さ。
なんだ、気になるのか。」
「べ、別にそういう訳じゃあ。」
「・・・見てください黒潮。
あの陽炎の態度。」
「あちゃー、まさか陽炎がチョロインとは。
川内さんや神通さんも落としたのに恐ろしい男やでユウやんは。」
「ちょっと聞こえてるわよ!誰がチョロインですって!?」
(結局こいつ等何しに来たんだ?)
_________________________________
平日、登校した悠は席に着きHRまで寝ようとした所にゼノヴィアが話しかけて来る。
「おはようユウ。今日も一段と眠そう・・いや疲れてるみたいだが。」
「あぁ、おはよう。まぁ色々あってね。」
そんな言葉を交わしてるなか、担任である那月が勢いよくドアを開き入ってくる。
「灰原、暁。昼休み私のトコに来い。
暁は姫柊も呼んで連れてこい。いいな?」
たったそれだけ言って嵐の様に去っていった那月。
いきなりの事にクラスの人間は悠と古城に目を向ける。
「なんだ、また何かやらかしてしまったのか。」
「やらかしたって言うより、これからやらかしてしまうかもしれんなぁ。」
悠はポケットに入れてたモノを使うときかと思いながら眠るのだった。
__________________________________
「さて、お前達が呼び出された理由は言わずとも分かってるな?」
那月の自室に呼び出された悠と古城と雪菜。
那月の側にはメイド服に身を包んだアスタルテが控えてるなか雪菜が口を開く。
「この間出現した魔獣についてですよね?」
「そうだ、お前達が遭遇した魔獣と空港で出現した魔獣はどこの組織が調べても該当するものは一切無し。
お前達に聞きたいのはその時の状況と、・・・灰原、お前が知ってる事ココで喋ってもらう。」
そういって那月は座ってる豪勢な椅子からある物を取り出す。
それはミノタウロスの目に刺した時回収し忘れた悠の剣だった。
「あ、それ俺の。
いやすみません態々拾ってもらっちゃって、探したけど見つかんなかったから誰か持ってっちゃったと・・・。」
「姫柊。お前この剣どう思う?」
悠は那月から剣を受け取ろうとした時、那月は雪菜に剣を投げ渡す。
雪菜は剣を受け取り、鞘から抜いて刀身を眺める。
「・・・・刃こぼれの跡が無い。あれだけ斬りかかったら多少の刃こぼれが有る筈なのに綺麗なまま。
私の雪霞狼とは違って何の術式も感じられない。」
「そう、しかも聖剣デュランダルと打ち合ってもなんともない程の頑丈な剣。そんなものを唯の学生が持っているなんて話どう考えても不自然だろ?」
周りの視線が一気に悠の元に集まる。
悠は頭を搔きながら息を吐いてある交渉をする。
「わかりました。隠してる事言いますよ。
その代り一つ条件が。」
「なんだ?」
「暁と姫柊さんの隠してる事と交換に俺の知ってる事を話す。
それでどうでしょう?」
「・・何故そんな条件を?」
「いえ、俺が唯気になっただけですよ。」
悠の提案に雪菜は想定してなかったのか焦った顔色を見せるなか、古城は下を向いて考えた後決心したような顔つきになる。
「・・・・分かった。」
「先輩!?」
「いいのか暁。灰原にお前の秘密を言っても。」
「俺達の事を言う代わりに灰原の秘密が知れるなら安いもんだ。
それにいずれにせよ形はどうあれそう長く隠し通せるものじゃあ無いからな。」
「先輩・・。」
「だそうだ。これで満足か?」
「えぇ、じゃあ話しますか。」
悠は雪菜から剣を受け取ってファントムの事について語り出す。
「まず、俺達の前に現れたあれは、ファントムと呼ばれてる一種の人外。」
「ファントム?あの牛みたいな奴がか?」
「あぁファントムは一種の種族と考えていい。
あの牛みたいなのはミノタウロス、名前の通りあのミノタウロスと同じようなタフな体とバカ力が売りのファントムの一種だ。」
「待て、と言う事は空港を襲ったのも・・。」
「俺は見てないけど、何かしら体に神話や伝記にのった化け物と特徴が似てるなら恐らくファントムでしょうね。」
「それじゃあ、私が倒したあの石みたいなのは。」
「あれはグール。まぁ簡単に言えばファントムの手下ってところ。」
「そのグールと言うのも空港で確認されてるからあの空飛ぶ魔獣もファントムって所か。」
悠がファントムとグールについ話すなか雪菜がずっと疑問に思ってたとこを話し出す。
「それじゃあ灰原先輩は何故どこの組織も知らないファントムの事を知ってるんですか?
それと、その剣についても。」
雪菜の言った事について悠は何の動揺も無く淡々と答える。
「俺に戦いを教えた師に教わったからだ。」
「師?」
「あぁ、その人に生き残る術やファントムと言う魔獣について教わったんだよ。」
「灰原、その師と言う人物の名は?」
「知りません。あの人とにかく必要以外秘密主義の人でしたから。
顔も仮面なんかで隠して実際の素顔なんて見てないですよ。」
「お前そんな訳分からない人間の弟子になってたのかよ。」
「そうしなきゃ生きてけない状況だったんでね。」
「でも!その先輩の師匠がどこの組織も知らない魔獣について知ってるなんて・・。」
「でも現にファントムは出た。俺達の目の前で。
こればっかりは紛れようもない事実だ。」
悠の私的に何も言えなくなる雪菜と古城。
確かに悠の言う通り自分たちはあのミノタウロスを前にその力を味わったのだから。
「ではその剣もその師からもらったと言う事か?」
「えぇ、突然いなくなった時にこれが置いてありました。」
「ふむ。」
悠の話を聞いて一通り整理しようと顎に手をやる那月。
そんな那月を余所に悠は古城と雪菜に顔を向ける。
「さて、俺は話したから今度はそっちの番。
暁、姫柊さん。二人は一体何者?」
悠が二人を見る目が誤魔化しの効かない鋭い目になる。
一瞬悠の気迫に飲まれそうな二人だったが先に口を開いたのは古城だった。
「分かった言うよ。
灰原、俺は人間じゃ無い。」
「第四真祖にその監視役・・・か。」
古城から自身が抱えてる秘密を聞いた悠。
古城が人間から真祖の吸血鬼になった事、雪菜が師子王機関と言う組織から出された監視役と言う事に。
「何か悪いな、今まで隠してて。」
「別に謝る必要ないじゃない。そりゃ簡単に人に言いふらせないわなこれは。」
「・・・灰原お前なんとも思わないのか?」
古城はクラスメートに自身の秘密を明かすのは初めてなのだろうか恐る恐る聞いてくる。
悠は特に変化もなく古城に告げる。
「まあそりゃあこんな近くにそんな吸血鬼だとか真祖だとかが居た事には内心驚いたけど実際それだけだし。
お前世界征服とか考えるようなヤツか?」
「そんなこと微塵も考えてねえよ。」
「じゃあそれでいいじゃない。クラスメートは真祖様でしたって落ちで。」
「灰原先輩。私については何もないんですか?」
「いや姫柊さんは天然除いて、ある程度予想できたから。」
「天然って、それ何か関係あるんですか!?」
いつもの光景に古城は思わず笑みを浮かべる。
正直自分が世界を掌握する程の力を持った吸血鬼である事を知られたら拒絶されるのではないかと内心恐れていたのだ。
でも悠はそんな古城をいつもと変わらない様に接してくれる。そのことが何よりうれしかったのだ。
「さてそれじゃあ色々喋ったんで俺はこの辺で失礼・・。」
「待て灰原。最後に一つ聞く。」
部屋から出ようとする悠を那月は呼び止め、悠は那月のほうへ顔を向ける。
「何です?」
「なにそんな難しい質問じゃあない。
灰原、確かお前バイクに乗ってるよな?」
「えぇ乗ってますね。」
「・・・そうか。もういいぞ。」
「そうですかそれじゃあ失礼します。」
悠が部屋から出た後、古城はつい那月に最後の質問について聞き出す。
「那月ちゃん。今の質問っいて!?」
「ちゃん付けするな馬鹿者。別に何でもないさ。」
「・・・まさか南宮先生。灰原先輩を・・。」
「疑ってる訳じゃないさ。少し揺さぶっただけだ。
アスタルテ。」
「はい。今までの彼の様子から、瞳孔・しぐさ・顔の表情からウソをついてる様な反応は一切見当たりませんでした。」
「と言う訳だ。灰原はただ力があるのとファントムとやらに詳しい学生。それが今の私の見解だ。」
「そう、ですね。私も正直灰原先輩を疑うようなことは余りしたくないですから。」
「とにかくこれはお前達が首を突っ込むような件では無い事は確かだがな。
ほら話は終わりだ。さっさと教室に戻れ。」
____________________________________
「何とかうまくいったかな。」
手に持ってるものを見て先程の尋問に不備が無い事を確認する。
手に持ってるのはLと描かれたガイアメモリ、ライアー。
その能力はウソを信じ込ませるという能力だが、悠はそれを自分に使ったのだ。
自身についたウソは”なにを言われても動揺しない”という一種の暗示みたいなもので那月の最後の質問にも何も同様することなく切り抜けられたのだ。
「にしても第四真祖ねえ。」
悠は古城の素性を聞いて古城が人間でないことを知った。
吸血鬼、つまり人外。
「君と戦りあわないことを祈りたいよ暁。」
次回お楽しみに。